第3話

女性職員が慌てて駆け寄る


「大丈夫? 何があったの?」


「副院長に殴られた」


「なんですって!」


またか。最近隠れて暴力振るわれてるやつ多いよな。僕も駆け寄ると、袋から怪我を治すイメージで取り寄せたポーションを出した。


「ほら、これを飲みなよ。ポーションだからすぐ治るよ」



「ありがとう」


僕より年上のその子どもは、ポーションを受け取ると一気に飲み干し、顔は驚きに満ちていた。


「苦くない!」



「「「え? うそ!」」」


「本当だって!」


「ちょっと貸して!」


職員が空き瓶を奪うと残っていた雫を舐めた


「本当に苦くないわ! ルイくんは後で少しお話しね」


そんなことを話していると、女性職員が血相を変えてこちらに走ってきた


「院長の容体が急変しました! 皆んな急いで院長室へ行って下さい!」


俺は急ぎ院長室へと走った。院長は大切な存在だ。絶対に失うわけにはいかない。部屋に入ると院長の意識は辛うじてある程度で、子どもや職員が最後のお別れをしていた。


「どいて!」


院長のそばに急いで駆け寄ると、袋から診断キットを取り出して、説明書を読みながら、機械をセットした。


機械から診断結果が出てきた。結果には信じられないことが書いてあった。毒だ。急いで毒消しポーションと、自動点滴キッドを取り出し、すぐにセットした。部屋にいた職員が話を聞こうとしてきたが、儀式に同行した職員が止めてくれた。


少し経つと、院長の顔色が元に戻ってきた。


「処置はこれで完了です。話があるので、ルミネさんだけ残って下さい」


職員の反発はあったが、まとめ役のルミネさんの一言で子ども達と一緒に退室していった。


「それで話して何?」


「ルミネさん。先ほどの機械で、院長の体から毒が検出されました」


「それは間違いないのね?」


「はい。間違いありません」


「はぁ、最悪の予想が当たったわね」


「最悪の予想とは? 可能性があると考えていたんですか?」


「まぁね。今日衛兵隊が来てわかったばかりだけど。話は変わるけど、院長がこんな状態なのに副院長がいないのはなぜだと思う?」


「まさか! 副院長が関わっているんですか?!」


「そうよ。真っ黒」


最近副院長が荒れていたのは、院長がなかなか死ななかったせいか


「でもなぜ副院長が院長を?」


「それは秘密。でも功労者である君には特別にこれだけは教えてあげる。エルラ国が近いうちに攻めてくるは!」


な、戦争だって! 僕は驚きうろめいた。天界から見たことはあったけど、まさか当事者になるなんて。そして怒りがふつふつと腹の底から湧いてきた。この僕が遊び場にしようと決めた国を攻めるなどいい度胸だ! このケンカ買ってやる!


「ちょっと大丈夫? いきなり怒り出したけど?」


「大丈夫です」


「そう。話は以上?」


「はい」


「なら、部屋に戻って休みなさい」


「わかりました」


数日後、僕は、容体が回復した院長と馬車で侯爵家に向かっていた


「あの、院長。なぜ僕も一緒何ですか?」


「私の体を治したのだから当然だろう」


院長はどこか楽しそうだった


馬車が侯爵家につき客間で待っていると、高そうな服を着た人物が入ってきた



「エド。久しぶりだな」


「はい。お久しぶりです。エルフォード侯爵様」


「そこの子どもがエドを助けたものか?」


「はい。ルイ。挨拶しなさい」


「ルイです。よろしくおねがいします」


「私とエドは幼なじみでな。大切な幼なじみを助けてくれた礼をやりたいのだが、何か希望はあるかね?」


「では 孤児院隣の空き地を下さい」


ご飯に不満があったルイは、作物や香辛料を育てて、不満を解消するき満々だったのだ。


「良かろう。今日付でお前が所有者だという書類を発行しよう」


「ありがとうございます」


これでうまいメシが食えると内心微笑んでいた。
























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