あの子に光は届かない

第23話 病院行こ……？

毎日毎日、飲酒運転を疑って

毎日毎日、喧嘩の日々

｢昔はなぁ｣

｢はいはい｣

｢小さい頃は可愛かったんだぞ？口が小さくて……｣

｢何度も聞いたよ｣

｢そうだっけ？｣

お酒が入る度に多弁になって昔話をする

｢ってことがあってさ｣

｢へーそうなん｣

｢その『そーなん』止めろよ｣

｢え？何で｣

｢お父さんの世代の人から見たら馬鹿にしてるように聞こえるんだよ｣

｢あっそ｣

多弁を良いことに要らないところで説教するようになった

｢めちゃくちゃ蛇行してるじゃん!!危ない!!｣

｢大丈夫、大丈夫｣

対向車線まではみ出して走行していた

｢どこに行くの？｣

｢トイレ｣

｢そこ、トイレじゃない!!｣

階段に向かって立ちションをした

｢この前買ったのに……また車を……｣

知らないうちに事故を起こしていたり

もう……取り返しがつかなかった

｢あのさ｣

｢何？｣

｢車のシートの下見てみなよ｣

｢え？｣

そこには沢山の焼酎のボトルの空があった

｢ねぇ？｣

｢何？｣

｢これって何？｣

｢道で拾った｣

｢な訳ないでしょ？｣

｢空はお金になるから｣

｢いつも車で呑んでるんじゃないの？｣

｢……｣

｢何とか言え!!｣

そうして父親が弱者になっていって

父親のイメージが『めんどくさい人』になった

母親が福祉サービスを使っていたので

ワーカーさんとは繋がりがあり

父親のことも相談していたみたいだ

｢精神科に行こうよ｣

｢何で？｣

｢このままだったら……いつ人を轢き殺してしまうか分からないし!!｣

｢大丈夫だよ｣

｢無理矢理でも連れてく｣

そうして父親も精神科に掛かることになった