第20話 家族なんてどうでもいい

父親はどうか分からないけど

母親にこう尋ねたことがある


「『家族』と『浮気相手』どっちが大事なの?」


スマホを見てはニヤニヤして

父親のいない日を見つけては夜出歩いて

家に玩具を堂々としまって


それでいて家族にを振るって

母親に逆らえないようにして


母親は家族をどう思ってるのか聞いてみた

確かめたいわけじゃなかった

母親が好きで振り向いて欲しくて聞いた訳でもない

前々から約束してた家族の予定を『ドタキャン』してまでのことがあるのか知りたかった

聞くまでのことはないと思うけど


「そりゃー浮気相手方が大事に決まってるじゃん!!」


頭の中に電撃が走った

同時に怒りも沸いた


「だって~その日~相手と会う予定があるんだもん♪だから無理♡」

「それでも母親?」

「は?」

「それでも母親か、って言ってるの。何の為に都合合わせて家族で出かける約束をしたと思ってるん?」

「そんなの知らないし」

「言ったじゃん!!「都合合わせて一緒に行こうね?」って。だから部活もバイトもない日に合わせたじゃん。「それでいい」って言ったの誰よ?」

「急に決まっちゃったんだもん。仕方ないじゃん~」


どっちが親で、どっちが子どもなんだか……

『大人にさせられた子ども』である自分

あの母親ことも、って言うのも知ってたはず

だけどことが1番嫌だった


「あっそ。じゃ家族よりもその人の方が大事ってことね。じゃその人と楽しめば?じゃね」


自分が虐待を受けて死にかけた時から

あの母親のことは嫌いだったけど

その日から、もっと大嫌いになった

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