第15話 漫画とDVD

おかしくなってしまった父親は

まだ未成年の自分に漫画を渡してきた


「これ読んでみ」

「何これ?」


よくコンビニ売られている『ヤクザもの』の漫画だった

パラパラとめくると

「よしやるぞ」

「何で貴方としないといけないの?私には好きな人が……」


「……?よく分からないなぁ」


船の中でヤクザの男の人が女の人を強姦する話だった

その時の自分にはよく分からなかった


「俺の女になれ」

「嫌よ!!」


「うーん……」

やっぱり分からなかった


「お父さんーとりあえず読んだー」

「そうか」

よく分からないまま何回も読んだ

「何でこうなってるんだろ?」


連載途中の漫画

しかもヤクザもの

自分が男だったら、それに憧れるのかもしれない

でもそうじゃない

自分は女だ

自分父親が好きなものだったから渡してきたのかもしれない


よく父親はコンビニで漫画を買う

ほとんどが料理を扱う古い漫画だ

ヤクザものの漫画を渡されたのち

自分に渡してきたものは

ほとんどが性描写があるものだった


「あん♡あん///」

「気持ちいい///中に出すぞ」

「私もイク……/////一緒にイこう?」


「ふーん」


何回も渡されるもんだから

慣れてしまった

性的興奮はしなかったけど

「へーこういうのがあるんだ」ぐらい


よく弟妹とテレビを見て

録画してたDVDを見てた

「あれ?どこに行ったっけ……?」

積み重なってるDVDから出てきたのは

アダルトなDVDだった

「何これ?ねぇーこんなものが見つかったけどー?」

「これは隠しておいて」

「?」

母親の言葉がよく分からなくて

元の場所に置いておいた

見るなと言われたら見てしまうのが人間のさが

「どんなDVDだろ……後で見てみよ」

それは『性行為のハメ撮りDVD』だった

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