第7話 底辺JKは暴走不可避

「お兄さん……さあ、わからせてみるといいの♡」


 そういうわけで。


 旭ノノアは


 愛姫あきは強がりばかりのなんちゃってビッチだが、ノノアは少なくとも嘘つきではない。


 嘘ではないことを、俺の身体で確かめてしまった……。


 ガチのビッチギャル。

 ノノアの言葉に偽りはなかった。


 迫ってきたノノアの唇。

 俺の足元に跪き、こちらを上目遣いで見ていた瞳。

 それに、ぽよぽよと柔らかく圧力をかけてきた胸――


 ヤバい、思い出すとまたムラムラしてきてしまう。


 英単語だ、英単語を一つ一つ思い出してノノアの記憶を上書き――

 って、あんなイロイロされて簡単に忘れられるか!


「ふー、お兄さん、タオル借りたの。洗濯カゴに入れておいたけど、あれでいいの?」

「あ、ああ」


 洗面所に行っていたノノアが、居間に戻ってきた。


 顔を洗い、うがいをして、ついでに胸もウェットティッシュで拭ってきたらしい。


「そこまで洗うなら、シャワー貸してもよかったんだが」

「シャワー浴びると、髪を乾かすのが面倒なの」


 ノノアはセミロングだが、男の俺よりずっと髪の乾燥と手入れが面倒なのだろう。


「でも、お兄さん。本当にあれだけでよかったの? 私、最後まででもよかったの」

「そ、そんなわけには」


 既に愛姫に毎日全力でヤってわからせてるんだ。

 その上、もう一人とも最後まで致してしまっては……。


「お兄さん、変なこと考えてるの。先っぽだけならおっけーみたいなの、おかしいの……」

「先もまだだろ!」

「まだ、ということは今後先どころか根元までイく可能性を考えてるの……」

「…………」


 まあ、先っぽもまだなのが奇跡みたいなものだ。


「でも、私なら、最後までイかなくても楽しませるテクニックはあるの……」

「どこで身につけたんだよ、あんな技術……」


「実戦で磨く以外にないの。いくらエロい動画とか観ても、上手くはならないの……プロサッカーの試合を観て、あれなら自分でもできると思いがちだけど、違うから……」

「……的確なたとえだな」


 このガチのビッチJK、どんな経験を積んできてるんだ。


「おまえ、愛姫と同学年なんだよな? 高二でなんでそこまで……」

「逆なの」

「逆?」


「高二だから、いろんな経験を積めるの。私は若くてピチピチしてて、凄く可愛くておっぱいもFカップで、相手に不自由しないからいろんなことができるの」

「…………ピチピチとはまた古いな」

「うん、ピチピチしてるとか言い出すおじさんともよく会うから」

「そんな話までしなくていい!」


 まさかと思ったが、パパ活――古語で言うと援助交際かよ。


「あ、心配しなくても。私、お金で最後まではイかないことにしてるの」

「……それはけっこうだな」

「最後までヤらせなくても満足させる。ハンデ戦で相手を賢者タイムに入らせるだけの、絶対的な技術があるの……」

「おまえ、なにかのプロなのか?」


 なんのプロなのかは言いたくないが。


「あ、お兄さんにお金は要求しないの。ただ、ここに置いてくれたらいいの」

「さっきのアレコレは、それだけのためにヤったのか!?」


「ううん、アイが楽しそうだったから私も試してみたくて。お兄さん、元気でなかなかよかったの。もっとヤってあげてもいいの♡」

「そ、それは……あと二回とかいいのか?」


「別に回数制限はいらないの。ヤってあげてる間、ここにいられるんだから回数多くて時間が長いほうが私もありがたいの」

「…………」


 こんな可愛くて身体も最高のJKが、居場所のためだけに……?

 本人も楽しんでるとはいえ、俺がそれに便乗して欲望を満たしていいのか?


「今回のはタダでいいの。でも、ここに置いてくれないなら……他をあたるの」

「他?」

「今時、女子高生はスマホ一つあれば居場所くらいどうにかなるの。私、お金でヤらせたことはないけど、そろそろ経験してみてもいいの……」

「待て待て!」


 スマホを取り出したノノアを慌てて制する。

 経験しないに越したことも、世の中には存在するんだよ!


「あーっ!」


「な、なんだ?」

「あ、アイ……」


 がらりと居間のガラス戸が開いて、飛び込むようにして入ってきたのは――

 もちろん、愛姫だった。


「ノノ、どっか消えたと思ったら、なんでここいんの!?」

「ここのお兄さん、JKに優しくて家にいさせてくれるみたいだから、来てみたの」


「なんか最近慣れた匂い、するし! 先輩、何回ヤったの!?」

「ま、待て、誤解だ! 最後まではまだだ!」

「あ、そうなん? なーんだ、マジで浮気かと思った。それならいっか」

「いいのかよ」


 というか、男女の修羅場みたいになるところだった。

 誰とも付き合ってない――付き合ったことすらないというのに。


「待てよ、愛姫。おまえ、今日は出なきゃいけない授業があるって……」

「サボっちゃった♡」

「お、おまえなあ……」


「はー、先輩。とりあえず、ちゅっちゅしとこっか♡」

「…………っ」


 愛姫はぎゅっと俺に抱きついてきて、ちゅ、ちゅっとキスしてくる。


「ノノ、キスはもうした?」

「あ、うん。お兄さん、ドーテーっぽいのにキス上手いの。アイが鍛えたの?」

「そうそう、あたしの可愛い唇でちゅっちゅして鍛えてきたんだよ。この幸せもの!」

「…………」


 なんだ、この会話。


「そう……じゃあ、私のほうもお兄さんを鍛えて、アイを気持ちよくできるようにしてあげるの♡」

「えっ、そ、そんなことできるの……?」


「お兄さん、ガチ処女としかヤってない割に凄く上手なの。私がちょっとリードしてあげれば、もっとアイを気持ちよくできるの……」

「マ!? い、今でもガチ凄いんだけど……そこまでできちゃうんだ!?」


 処女をついに認めたな、愛姫。


「任せて、アイ。ここに置いてもらう代わりに、勉強ばかりのお兄さんにこんなに楽しいことがあるってわからせてあげるの……♡」

「あ、あたしも! 先輩にわからせたい!♡」


「なんか話が明後日の方向に行ってないか!?」


 世の中をナメくさってる愛姫にわからせるのが目的だったのに。

 ついでに、もう一人のガチビッチギャルJKも屈服させてやるつもりだったのに。


 いつの間にか、立場が逆転してる……!?

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