第8話 底辺JKどもはほぼ住み着いてる

 俺、たくみ真也しんやは浪人生だ。


 このたびめでたく、正式に浪人すると決意した。

 遅すぎるくらいだが、勉強は続けていたので問題はなにもない。


 親に「浪人させてください」と、あらためてお願いしに行った。

 親は心底安心したような顔をしていたので、俺はよほど不安にさせていたんだろう。


 ただ、痴漢事件の傷が回復したとは言い切れない。

 予備校には現役生もいるので、見知らぬ女子高生がうじゃうじゃいる環境では勉強できるか自信がない。


 家の隣が女子高ではあるが、それだけなら勉強の支障にはならないだろう。


 ひとまず、自宅での勉強を続けることにした。

 つまり、現状維持というわけだ。


 祖母の家の管理も、続行だ。

 家賃を払ってないのが申し訳ないほど快適な暮らしができているが――

 一応、管理が仕事扱いになっていて、その報酬として親から生活費をもらっている。


 まだまだ甘やかされてるなあ、俺。


 さすがに大学に入ったら、バイトくらいはするつもりだが。

 今は甘えて、勉強を頑張ろう。


 今のところ、現役時と同じ大学を受験するつもりだ。

 合格できるだけの学力はあるだろうが、これを来年の受験まで維持するには充分な勉強が必要になる。


 今度こそ、親の期待を裏切らないように頑張らないと。


 元々、勉強は嫌いじゃない。

 学べば学ぶほどテストの問題を解けるようになる達成感が気持ちいい。


 今日も、居間で卓袱台に向かって問題集を解いていると――


「うぇー、テストでいい点取ろうって発想があたしには信じらんないよ」

「…………」


 愛姫あきが後ろから俺の手元を覗きつつ、あごを肩に乗せている。

 ぷにっと柔らかい頬が俺の頬に当たっていて、なんともくすぐったい。


 おまけに、自慢のGカップおっぱいが俺の背中に押しつけられている。


「……おい、愛姫。当たってんぞ」

「先輩、素直じゃないから“当ててください”って言えないでしょ? だから、優しい星沢が当ててあげてるんじゃん。ぷるんって柔らかいでしょ?」


 ぎゅーっ、と柔らかな胸を背中に押しつけてくる。


「うっ……そ、それは本当に優しさか?」

「先輩が勉強ばっかでかまってくれないと困るよね。ま、おっぱい当てたらすぐ星沢に夢中だけど♡」

「あのな……俺、受験勉強を再開したって言ったよな?」


 この3日で、記憶している限りで五回は言っている。


「愛姫ちゃんになにも言わずにいきなり受験勉強始めるなんてひどいなー。ちゅ♡」


 愛姫は後ろから覗き込むようにして、唇を重ねてくる。


「そういや、聞いてなかったや。先輩、なんでいきなり受験決めたん?」

「……遅すぎるくらいだよな。でも、他にできることもねぇし」


 一度失敗したくらいであきらめる必要もない。

 失敗した経緯が経緯だけに、なかなかモチベが取り戻せなかったが……。


 遅かれ早かれ、こうなっていたのは間違いない。


「もしかして、あたしとノノにえっちなことされたのと関係ある?」

「別に……」


 あるに決まっている。


 このまま、愛姫とノノアとエロいことをやて自堕落な生活を始めてしまっては、親に申し訳がない。

 この家を使わせてくれている祖母さんにも。


 愛姫とノノアの根性を叩き直すためにも。

 俺自身が、しっかりとした立ち位置にいる必要がある。


 浪人生がしっかりしているかは、大いに疑問があるが――

 将来未定の浪人生未満よりはマシだろう。


「もーノノに鍛えてもらってあたしとえっちなことして、楽しく生きればいいのにな~♡ 楽しいの、大事♡」

「将来性のかけらもない生き方だな」


「なんとかなるよ♡ ウチの卒業生だって、みーんな先輩よりお馬鹿ばっかだけど、みんなふわっふわ生きてるし♡」

「藍蓮の女子たち、たくましそうだよな」


 可愛くてエロいギャルJKたち。

 意外に、大学を出て真面目に生きてる連中より楽しく生きてるのかもしれない。


 特に、この愛姫を見てるとそう思う。

 だが――


「俺は勉強以外に取り柄もねぇんだよ。バイトすらしたことないしな」

「あたしの可愛さとかおっぱいの大きさとかが、先輩にとってのお勉強なのかな?」

「見た目の良さも、まあ取り柄の一つではあるな」


 愛姫は、これだけ可愛ければ生きていく足しにはなるだろう。

 あまり見栄えの良さを利用してほしくないが……。


 って、愛姫の見栄えの良さに溺れてる俺が言うことじゃない。


「先輩、ノノに鍛えてもらったらえっちの上手さで生きていけるかもよ?」

「路線変更にもほどがある!」

「ダメか。じゃあ、さすがのあたしも、あんまお勉強の邪魔はできないかー」

「あんま、じゃなくて一切邪魔をしないって発想はないのか?」


「なぁ~い♡」

「…………」


 なんというか、こいつは……。


「あたしはここ、居心地いいし♡ 毎日えっちしちゃうくらい、全然おっけー♡ そのくらいで星沢を追い出せると思ったらおーまちがい♡」

「くっ……!」


 いちいち語尾にハートマークが見える……!


 なんというか、なんというか……。


「俺、クソ生意気なおまえを懲らしめようとしたのに、マジで逆効果になってるよな」

「懲らしめるとか、クッソ笑うw んー、可哀想な先輩にちゅー♡」

「…………っ」


 愛姫は後ろからぐいっと俺の顔を掴んで、キスしてくる。


 ちゅばちゅばと唇を合わせ、舌を差し込んできて――


「んー、ふわぁ♡ よかったね、今日も可愛いJKにキスしてもらえて」

「お、おまえな……」


 くっそ、今日も愛姫の唇、柔らかくて最高じゃねぇか!

 もっとしたい!


「愛姫、もう授業出るより、ウチにいる時間のほうが長いくらいじゃねぇ?」

「可愛い星沢がいる時間は長ければ長いほど、先輩も幸せでしょ?」

「俺が受験勉強始めたって話、やっぱわかってないよな?」


「勉強に集中したいとか言って、あたしを追い払おうとしても無駄だからぁ!」

「鋼のメンタルだな、おまえは!」


 天下御免の受験生の妨害すらためらわないとは……。


「あ、そうだ。お勉強終わったら、またえっちする? 先にシャワー浴びちゃおっかな。先輩も一緒に浴びる~?♡」

「どんどん話を進めやがるな……よし、浴びよう」

「ふぇっ?」


 俺はシャーペンをノートに叩きつけ、愛姫の手を取って立ち上がる。


「え、えっ、マジで? お、お風呂一緒は初めてだな~とか」

「…………」


 ちょっとビビってるじゃないか、愛姫。


 あれだけ何度も“わからせて”きても、初めての行為には躊躇するらしい。


「せ、せんぱーい。マジで入んの? そういや――」

「あ、そうか。でも――」


 ガチャリ、と脱衣所のドアを開ける。


 そこには。


「あれ、お兄さんとアイも……お風呂なの?」

「そうだった、ノノアが入ってたんだった」


 今まさに、赤いブラジャーを着けているところの旭ノノアが立っていた。

 制服はまだ着ていなくて、下に赤いパンツをはいているだけだ。


「私、もう上がるところだったけど……もっかい一緒に入る? 私、お兄さんの身体、洗ってあげる……?」


 ぱちん、と音を立ててノノアは一度留めたブラのホックを外した。

 ブラが外れて、ぷるんっ♡とFカップのおっぱいがあらわになる。


 すっかり我が家に入り浸るようになったギャルJKメスガキは、星沢愛姫だけじゃない。

 あの日から、旭ノノアも欠かさず通うようになって――

 我が物顔で風呂に入るようになったくらいだ。


 完全に受験生の環境としては間違ってるが――


「きゃんっ、せ、せんぱいっ♡」

「んっ……おにいさん……♡」


 俺は二人の少女の華奢な肩を、同時に抱き寄せる。


「じゃあ、愛姫、ノノア、一緒に入るぞ」


「お兄さん、今日もまたよくばりコースなの……♡」

「ぜ、絶対お風呂に入るだけじゃ済まないよね……先輩のえっちぃ♡」

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