第3話 隣にはいつもJKがいます
「はー、気持ちよかったー♡ 先輩、今日も頑張ったね♡」
「おかしい……勉強を頑張るためにこの家に来たのに」
布団に座った俺の横で。
今日は白のブラジャーに同じ色のパンツ。
愛姫は続いて、ブラウスを着てボタンを留めていく。
「ふはは、先輩があたしに“わからせる”日はまだまだ遠そうだねー♡」
「くっ……!」
数日前。
ギャルJKの星沢愛姫にわからせる――
脅しではなく、人をナメくさってる愛姫を脅かしてやろうと布団に押し倒したら。
ついつい、勢いでそのまま最後までイタしてしまった……!
嘘のような、ガチの話だ。
そんなつもりは本気で一ミリもなかったのに。
愛姫が「ふふーん、ドーテーには愛姫ちゃんとヤるなんて無理だよね~♡」とからかってくるもんだから。
俺が愛姫の服を脱がそうが、なにをしようが。
このJKの小生意気な態度はまったく変わらず。
さすがに顔を赤らめて恥ずかしそうにはしつつ、ずーっと挑発を続けやがるから。
「やっぱ、あのとき血迷ったのが間違いだった……」
「なーにー? 先輩ってば、初めての日のことまだ気にしてんの? まあ、済んだことは仕方ないよ。野良犬に噛まれたと思って」
「おまえ、いらん言い回しは知ってるよな。しかもそれ、女の台詞じゃない」
まさか、会ったばかりのその日に――俺ってケダモノか?
愛姫のほうは布団の中でゴソゴソして、準備万全だったとはいえ。
俺のほうも苦手なはずのギャルJKに誘惑されて、身体は反応してしまったとはいえ。
「先輩、真面目そうなフリして会ったばかりの女子高生とえちえちしちゃうとか、なかなかやるよね♡ パパ活オヤジでも二、三回は会ってご飯だけってことも多いらしいよ?」
「俺、パパ活オヤジ以下のクズなのか……」
大嫌いなはずの女子高生相手に……。
性欲は別物ということか。
「しかも、会った日だけならまだ謎の勢いが働いたって言い訳できるのに!」
「まー、ほぼ毎日だもんねえ……先輩ってば愛姫ちゃん好きすぎぃ♡」
「くっ……!」
星沢愛姫はギャルだが派手すぎず、しかもかなり可愛い。
身体は本人の申告によるとGカップらしく、サイズを知らなくてもおっぱいがめちゃめちゃデカくて形もいいのは確かだ。
腰も細いし、お尻も小ぶりだし、文句のつけようがない。
このクソ生意気な性格は置いておくとしてもな!
「よいしょーっと。スカートはいたほうがいい? 先輩、パンツ大好きだから、しばらくはかないほうがいい?」
「……はいとけ」
パンツ姿のギャルJKがいつまでも隣にいたら、また性欲を催しかねない。
それは困る……いつでも再装填可能な若さが憎い。
「つーか、マジでマジでなにしてんだ、俺は……ここに勉強しにきたんじゃないのか?」
「悩みの多い人生だね、先輩」
「誰のせいだよ!」
「あたしのせいだよ! きゃはははっ!」
きゃははっ、じゃねぇよ。
いや、わかってるよ。
欲望に流されてる俺が悪いんだよ。
「出会ったその日は、ガチありえん……」
「無限ループすんじゃん。今さらそんなこと言ってもしゃーないってば」
ぽんぽんと、愛姫は俺の肩を叩いてくる。
「先輩、よっぽどたまってたんじゃね? 可愛い星沢でスッキリできてよかったじゃん♡」
「おまえ、軽すぎんだろ」
確かに、俺の中に鬱屈してるものは山ほどあった。
それが、愛姫の挑発で一気に噴き出した感はある。
いろいろ貯め込むきっかけになった女子高生が相手っていうのも、関係あるかもしれない。
でもなあ……俺、自分がこんな軽率な人間だとは思わなかった。
「せんぱーい、漫画のラブコメとか読みすぎじゃね? 付き合うまで一年もかかるとか、付き合ってもずっとちゅーもしないとか、ありえねーって」
「いや、ないことはないだろ……」
「出会ったその日に即合体♡ とか珍しくもないって。先輩、フツーフツー♡」
「藍蓮女子の普通と俺の普通は違うんだよ……」
ただ――
もう一つ気になってることがある。
愛姫がやたらと痛がっていたのと。
布団のシーツを洗濯したんだが、どう見ても血にしか見えない汚れが……。
ちなみに俺はどこもケガなどしていない。
「愛姫……おまえ、実はビッチじゃないよな?」
「出会ったその日に三回もヤらせたあたしがビッチじゃなくて、なんなの?」
「具体的な回数を言うな! そうじゃなくて……」
「藍蓮のギャルなんてほぼ全員ビッチだよ。楽しんでヤってるんだよ。あのさあ、先輩はクソ童貞だったからわかんないかもだけど、女子にも性欲あるんだよ?」
「それはそうだろうが……」
いくら俺が女子のことに疎くても、性欲が男だけのものとは思ってない。
ただ、なあ……。
「それに、あたしは先輩のことは前から知ってたわけだし」
「一方的に知ってただけだろ」
愛姫は、この家の元の持ち主――祖母が可愛がっていたらしい。
合鍵の隠し場所まで教えていて、祖母さんが亡くなったあとも自由にこの家に侵入してたとか。
「祖母さん、元教師だからな……デキの悪いクソガキを見かけると放っておけなかったのかもな」
「いきなり好き放題ディスってくるなー」
「おまえには言われたくねぇよ」
愛姫は祖母さんから、孫の俺の話も聞いていたらしい。
単純に年上だから、俺を“先輩”などと呼んでいるようだ。
俺の知らないところで、勝手に親しみを持たれても困るんだが。
「ばあちゃんには世話になったよ♡ 先輩の話もいっぱい聞いたし」
「祖母さん、なんでまた俺の話なんか……何年も会ってなかったのに」
「デキの悪い孫ほど可愛いって言うんでしょ?」
「残念ながら、祖母さんはデキが悪いと気づく前に死んだんでな」
祖母の他界は、俺が受験失敗する数ヶ月前だ。
女子高生の勘違い一つで大事な受験を棒に振った失敗を知られなくてよかったが。
「……そういや、前にど、童て……とか言ってたよな? まさか、祖母さんが……」
「だって、家でお勉強ばっかしてるって話だったし。どうせネクラ陰キャで年齢イコール彼女いない歴でしょって」
「いらんところでは頭回るんだな!」
その推理力を勉強に活かせよ。
そりゃ、自明のことかもしれんけどな!
「で、ばあちゃんにお世話になったから、星沢を甘やかす役目はお孫さんに引き継いでもらおうと思って♡」
「図々しすぎる!」
本気で言っていそうなのが怖い。
「俺が引き受けたのはこの家の管理であって、女子高生まで管理する気はねぇよ」
「管理される女子高生って、なーんかえっちぃ♡」
「おまえが余計な想像をたくましくしてるだけだろ」
とはいえ、確かに「女子高生を管理」は穏やかじゃない表現だった。
反省しよう。
「それで、先輩。どうしよっか?」
「は? どうするって?」
「三時間目の体育は出ときたいんだよね」
「出ればいいだろ」
愛姫は自由自在に学校を抜け出しては、この家にやってくる。
いくら学校まで徒歩十秒とはいえ自由すぎるだろう。
「あと三十分あるから……もっかいできちゃうよ?♡」
「……しねーよ」
そう、今はまだ朝の十時過ぎだったりする。
愛姫は一時間目の授業をサボって、いきなりウチに来て。
居間に敷きっぱなしの布団の中でゴチャゴチャとヤってしまったわけだ。
「そっかー。まあ、体育の前だからあんま疲れたくないしね。いっぱい突かれたけど♡」
「おまえ、ギャグがきわどいんだよ!」
「シャレにならんことしてるくせにー♡」
「…………」
まったく反論できん……。
「マジで俺、なにしてんだろう……」
このナメきったギャルJKにわからせる日はくるんだろうか。
受験失敗したくせに勉強もせず、朝からJKとイチャついてる俺こそ、世の中ナメてるように見えるのでは……?
小あとがき
具体的描写はないし、まだ大丈夫ですよね。
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