第1話 いつも通りの日常

-ピピピッピピピッ


携帯が朝6時のアラームを鳴らす。

布団横に置いてある携帯を手探りで探し鳴り響くアラームを止める。

大きな伸びをした後、男は起きる。


「さて、今日も1日仕事頑張りますか。」


そう言うとベッドから起き上がって台所まで歩き、置いてあった菓子パンを口にほうばりながらテレビをつけた。


-俺の名前は菊月蓮(きくづきれん)年齢は22歳。

彼女いない歴=年齢。

趣味はゲームしたり、漫画とか読むこと。

高校を卒業してすぐに社会人になったどこにでもいる社会人だ。

俺の1日はこんな感じ、

まず朝6時に起きる。朝食はほぼ菓子パン、起きたついでにテレビを付けて20分ほどニュースを見ならがら身支度を済まし、車で会社へ向かう。



今日から12月に入るところで朝からかなり冷え込んでおり、車通勤だがコート1枚は羽織ってた方がいいかもしれない。天気予報でもかなり寒くなると言っていた。

身支度をしてクローゼットからコートを取り出し、家を出た。

いつも家から出るとアパートの管理人のおばあさんが


「いつも早いねぇ。行ってらっしゃい」


と出迎えてくれる。引っ越して来てからとても親切にしてくれる優しい管理人さんだ。


「はい!行ってきます!」


そう言っていつも通り少し車通りの多い交差点を渡ってアパートの向かいにある駐車場へ行き、車に乗り込んだ。


会社に着くとまずロッカーに行って作業着に着替える。

エアコンや暖房など体を温める器具などはないため服を脱ぐとこの季節はかなりこたえる。

朝8時に朝礼を済まし、各持ち場へと着く。

俺もいつも通り自分の持ち場へと向かう。

俺の仕事内容はいかって簡単。流れてくるものを箱や袋に詰めるだけ。

なぜこの会社に入ったのかと言うと、他の会社と比べて給料が良かったわけでも、仕事の内容が自分の好きなことだからでもない。

自分の能力に合っているととてもおもったからである。

作業はとても簡単だから いつも何も考えずに作業している。邪念が入ると時間が過ぎるのがすごく遅く感じる時がある。

今日は特に邪念が入ることなく、無心で作業できていたので時間が過ぎるのが早かった。

そう、あれが起きなければ…


時計を見るともう定時の17時を指す手前だった。


(今日は定時で上がれるかな。)


心の中であともうひと踏ん張りと思いながら時間が過ぎるのを待っていた。


「あっ!!」


すると俺と同じ作業している後輩の岡山が突然大きな声を上げた。


「どうした!?いきなり大きな声上げて。」


工場内にかなり響く声だったのでみんな驚いて岡山の方を見ていた。


「き、菊月さん、やってしまいました…」


青い顔して俺の方を見るので何事かと思い


「何やらかした?」

「このAに入れるものとCに入れるもの今まで逆に入れてました…」

「はぁ!?」


俺も急に大きな声を上げるのでまた工場内の視線がこっちを向く。


「おいおい、この作業15時くらいからやってるよな?もしかして全部なのか?」

「は、はい…本当にすみません!!」

「マジかよ…」


このようなミスは度々起こる。すぐに間違えた物と物を入れ替えればいい。後で上司にこっぴどく怒られるが。ただそれだけやればいいのだが、今日この作業は2時間くらいやっている。

2時間もこの作業をしていれば、総数は1人1000は軽く超える。


「はぁ…太田さんに怒られるぞ…」


噂をすると上司の太田さんがこっちへ向かって来るのが見えた。


「おい、今デカい声が聞こえたんだが、お前達か?」


太田さんは結構ガタイが良くてさらに声も太いから威圧はものすごく感じる。


「太田さん、すみません!自分入れるもの間違えて入れてました!!」


岡山は青い顔のまま太田さんに自分の失敗を報告した。


「ちゃんと確認しろって毎回言ってるだろうがぁ!!」


太田さんの怒鳴り声が響く。それも耳が痛くなるほど。間近で聞いていたので声の圧に押し負けた。


「すみません、すみません…」


岡山は必死に頭を擦り付けて謝っていた。


「岡山と菊月!今日中に全部仕分けろ、いいな!」


な、なんで俺の名前が入ってるんだ?と疑問に思ってしまったのでついつい聞き返してしまった。


「お、俺もですか…?」


すると太田さんは怖い笑顔を向けて


「お前もな。」


と言った。


「あ、はい…」


もうこうなると何も出来ない。今日は岡山と一緒に夜遅くまで仕分け作業をしなければならなくなった。


(ちくしょう、早く帰れると思ったのに…!)


横目で岡山を睨みつけるが岡山は謝るのに必死でこちらには気づかない。


太田さんは岡山に作業の基本とは~みたいなことを早口で説明したあとすぐ去っていった。


「おい、岡山!何やってくれてんだよ!」

「すみません、菊月さんまで巻き込んでしまって…」

「お前、今度なにか奢りで俺に食わせろよ。」

「分かりました…」


俺と岡山は早く帰るべく仕分け作業にあたった。


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