第10話 【R-15】罪 ※過激描写ありご注意ください 4月17日

 【注意】この話は性的暴行の描写があります。不快に思われる方、苦手な方は決して読まないようにお願いいたします。


 あいりに別れを告げられた日は眠れなかった。

 俺が杏梨を慰めたから?

 セックスしてないのに、あいりのために我慢したのに?

 こんなに好きなのに、なんでなんでなんて?

 価値観が違うって何?2人で今まで楽しく過ごしてきたのに?

 なんで?


 全く答えがみつからなかった。


 こおり:別れるって冗談だよね?体調心配だから、連絡ちょうだい


 メッセージに既読はついたが、返信は一晩中待っても来なかった。


 あいりはバイトにいってるかもしれない。バイト先にいってみよう。


 朝8時、こおりはあいりのバイト先に向かった。



 あいりの家の最寄駅の近くのコンビニがあいりのバイト先だ。駅から家に帰るまでの通り道にあるのがいいと言っていた。

 あいりは、バイトは時間帯に寄らず、入れる時の全時間帯に入っているので勤務時間はバラバラだ。しかし、その中でも他にやる人がいなくて、日勤よりも時給が良い早朝の時間帯をよくこなしているのをこおりは知っていた。


 2つ先の駅の近くのこおりの家から6-9時の早朝バイトに間に合うように、朝早くに1人で先に起きて出ていくことがよくあった。


 『こおりくん、早くからうるさくしてごめんね』

 っと言って出ていくあいりを、こおりはベットの上から眺めていた。


 コンビニについたのは8時半過ぎだった。

 店内には入らずに、遠目に見ていると、外にあるゴミ箱のゴミをまとめるあいりの姿が見えた。ちいさな身体でゴミを持ち上げている。


 いた。バイト終わるまで待つか。


 働くあいりの姿をこおりはじっとみつめていた。ゴミを2つまとめて運ぼうとするあいりに、若い男定員が寄ってきた。そのままゴミを受け取り、代わりに持っていく。あいりはぺこぺこと頭を下げていた。


 なんだあいつ?

 こおりの心の中に黒いもやもやとした感情が浮き上がった。

 あいりだって、男といちゃいちゃしてるじゃないか。


 レジの合間に横並びで立っている姿がみえる。何を話しているのだろうか。


 早く終われ!


 こおりは時間が過ぎるのを長く感じた。


 あいりがバイト先からでてきたのは9時10分過ぎだった。バイト先から少し歩いたところで、駆け寄って、声をかける。


「あいりっ」

「…っこおりくん…なんで?」

 こおりを見た瞬間あいりの表情が固くなったのがわかった。


「なんでって、お前が心配で。返事もないし」

「ごめんなさい」

 あいりは顔をうつむけた。


「なぁ、あんなのないだろ?価値観って何?俺が元カノと会わなかったら良かったの?あいつかなりへこんでてほっとけなかったんだよ」


「ううん、元カノさんと会ったのが1番の原因じゃない。私達価値観が合わないんだよ」


「その価値観ってなに?今まで楽しくやってきたじゃんか。好きって言ってたの嘘だったのか? あのコンビニの男が好きなの?」


「えっ??誰のこと?見てたの」


「なんか楽しそうに話してたよな。あいりだって浮気してるじゃんか」


「違う。浮気なんてしてない!なんでかわかんないの?わかんないならもうっいい!」


 早足で歩くあいりについて行く。


 アパートの一階があいりの部屋のようだ。鍵を開けて、ドアの前で立ち止まる。

 あいりがじっと俺の目をみていった。


「もう付き合えないの。合わないの、私達」

 そのまま、すっとドアを開けて1人で中に入ろうとする。


 咄嗟にドアに足を挟んで阻んだ。


「えっ、やっ…」

 ドアを開けて中に押し入る。


 抱き締めて無理やりに唇を奪う。


 あいりは目を見開き驚いた顔をしていた。

 必死で首をふり、逃れようとする。


 なんで?なんで?いつもキスしてたじゃんか。

 顔を押さえつけて無理やりに舌をいれる。


「んんーっ」

 あいりの手がどんどんと俺の身体をたたいた。


 靴のまま廊下にあがる。あいりを壁に押さえつけた。


「っく、こおりくん、やめてっ痛いっ」

「いやっいやぁ、やめて」


 あいりの声が遠くきこえる。


 あいりは俺とのセックス好きだもんな。セックスしたらきっと気持ちよくなって、また可愛いあいりになってくれる。


 もちろんコンドームなんて持ってなかった。


 子どもできたら、あいりとなら、結婚してもいい


 こおりは何度も何度もあいりに欲望をぶつけた。


 何度果てただろうか、ふと下に目をやると、あいりがいた。


「っふっくっひっくっ…」


 あいりは顔をぐちょぐちょにして力なく泣いていた。全身が震えている。


「あっあいり、乱暴にしてごめん」

 こんなつもりじゃ…といいながら、あいりの身体から身を引く。


「あいりが好きなんだよ。わかってよ…」

 絞り出すようなこおりの声にあいりは冷たくこたえた。


「っく、私は嫌い。嫌いっ!」

 あいりの目がこおりをにらみつけていた。


 こおりの頭の中は真っ暗になった。

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