僕は遅刻をしなくなった。

アモア

第1話 僕は遅刻しなくなった

私立高校に通っていた頃のはなし


この学校は

毎日、朝礼の15分前に朝テストが行われていた。

科目は色々とあり数学や英語や化学など

テスト科目の中から先生が選び出題される

これは定期テストに平常点としてMAX30点計算される

朝テストは30点満点でその平均が平常点となるシステム

赤点回避救済で開催されるものであった。


テスト開始に間に合わないと入室できず

テスト終了を廊下で待つことになる

朝テストは学校の恒例試験となっていた。


朝教室の前につくと

朝テストが受けれなかった人達が並んでいる景色が見える

これも最初だけで皆30点は惜しいようで

朝ちゃんと間に合うように来るようになっていく


でも僕は朝にとても弱い

学校までは電車を使い30分程度

どうしてもダメで朝テストは数回しか受けることができなかった。

テストも全然ダメで10点とかで落ちこぼれ生徒の一人だった

テストはどうにか赤点ギリギリで通過していくダメ生徒

1学期はボロボロとなりながら終えた


朝テストの偉大さを知ったのも1学期末試験であった

30点あれば最悪0点でも赤点回避できる

バカの発想ではあるが1学期は平常点2点という散々な結果

頑張って朝起きれるように夏休み中頑張ろうと思ったが

夏休みとは恐ろしいもので怠惰の限りを尽くしてしまった。


迎えた2学期初日

やはり朝は弱いまま変わってはいない

むしろ怠惰に過ごしすぎて悪化した。

毎朝恒例朝テストは間に合うはずもなく

廊下で待機組の一員となる日々が始まった。

なんだかんだ言って定期テストがやってきた

今回は中間テスト勉強もしたので安心して受けることができた。

ここまでは

勉強して点数が取れたと安心して

赤点とかなら平常点は大事だが50点取れれば気にしない

点数なんてどうでもいいいと思っていた。

中間が終わり成績も中間くらいになれたので

朝テストはどうでもよくなった

次も同じようにちゃんと授業聞けば取れる

人間すぐ堕落してしまう生き物

またダメな生活に戻ってしまった。

ちょっとダメ生活を送っていると


不思議なことが起こり始めた。

朝たまにテストに間に合うって喜んでテストを受けることがある

でも朝友達や先生に話かけても簡単にあしらわれる

けど一限目が終わると普通に戻る。

これが2学期末テストが終わるまで続き

学期末試験は1学期のより悪く自己採点で赤点まっしぐら

追試と課題をやる気満々で構えていたが

1科目も赤点はなしという奇妙な結果

「うれしい反面違和感がすごい」

朝テストをほぼほぼ受けていないから加点要素ゼロ

流石におかしいと思い赤点の同志と課題もらいに行った。


まさかの朝テストで高得点を取り続けていたらしい

もう一度言う「朝テストはほぼ受けていない」

9割受けていない朝テストで高得点連発?

「先生、僕テスト受けてませんよ」

『いや、受けてるよ記録があるからほら』

パソコン上データで得点一覧を見せてくれた

時折5点とか出してるけどほぼ26点とか満点クラス

確かにデータ上では天才の得点連発してる

「これなら平常点は20点以上あるのもうなずけるけど」

『これが全てだから知らいよ、きっと受けたの忘れたんでしょ』

『いいじゃん、赤点回避で来たんだから文句ないでしょ』

「たしかにないですけど」


この違和感はずっと続く

結局、朝テストに行かない日のほうが点数が高い

受けてない日も疎らにあるが受ければ高得点

次の定期試験も平常点25点ついて赤点を回避できた。


2年に上がってもクラスの入れ替えはない

でもこの違和感はずっと続いていた

流石に2年になっても続けるのは不味いと思い

朝早起きを心がける努力をし始めた

この成果は割と早く出始めて

朝テストが普通に受ける時間に来れるようになった

でもバカなので点数は悪い

一か月連続で遅刻せずテストを受けた日

先生に呼び出された。

『よく遅刻せずに来れるようになったな』

『テストの結果は散々だがうれしいよ』

『この調子で朝遅刻せずに来てくれ』

『これだけは言っとくけクラスのみんなを責めるなよ』

はっきり言って意味が分からない

点数が散々なのに遅刻しないだけで呼び出されて感謝される

確かに毎日遅刻してるダメ生徒だけどこの扱いは謎


教室に戻り友達に

「呼び出されて遅刻しないでくれてありがとうだって、おかしくない?

遅刻がクラス唯一とかならまだ言えるけど同じ遅刻常習犯は怒られるんだよ」

『おかしくないよ、あいつとは決定的に違うものがある』

『みんな口にはしないけどね、詳しく言いたくない』

『一つ言えるのは君は朝テストを受けている』

「はぁ受けてないでしょ、遅刻してるんだから」

『いや、いた確かにいたみんな絶対にいたと答えるよ』

確かに聞いて回るといたと答える人が多い

ほかのクラス人も〈朝電車一緒だった〉とか〈話したじゃん〉とか

確かにそこにいたといえるらしいことが聞けた。


でも全部知らないんだよ

全部遅刻してるし、無断で休んだ日までいたことになってる

思い返すと一度だけ

休む時に連絡を担任に入れたときにドヤされたことがある

直ぐに謝られたけどそれ以来すんなり『わかりました』

理由すら聞かないので不思議には思っていた

何だかんだで1学期が終わり平常点は悪いけどなんとか試験は突破


夏休みに入り友達の別荘に遊びに行くことになった。

仲良し組でのお泊り旅行

ゲーム、麻雀、映画など好き放題遊んだ

連日遊んでいて家でゆっくりの日になった。

その時にふと思い出して

あの不思議現象について聞いてみた。

「あのさぁ、朝テストのことなんだけど」

この言葉と共にみな一斉にこっちを向いてぎょっとした

「ん?なんか変なこと聞いた?」

『それだよ、朝テスト』

『お前のせいで朝テストがあんなになってだよ』

「なんだよ、あんなのって」

『そりゃアレだアレ』『お前がいるんだよ』

「ん?いちゃ悪いのか」『違う違ういるのはいいんだよ』

『遅刻しないお前がいるんだよ』

『最後のほうはお前がいたけど去年からいるやつだよ』

「訳わからない、いないけどいるって」

『前に行ってた違和感の正体だよ』

『最初はみんな気が付かなくて普通に挨拶して会話して席について朝テスト受ける』

『でも数回起こると変だと気付くんだよ』

『まず遅刻しないはありえない』『高得点もあり得ない』『しまいには話が変』

『決まって朝の話を覚えていない』『途中にいなくなるってものある』

『一回先生が怒鳴り込んできたことがあったけどたぶんそれも』


「えっいっぱい出てくるじゃん」

「明らかに何かしらやばいでしょ」

「なんで直接行ってくれなかったの?」

『言ったさ』『でも意味がなかったんだよ』『テストを受けて受け答えもできて』

『会話が成立しちゃうんだよ』『でもお前が後から教室に入ってくるんだよ』

『誰も何も言えなくなるんだよ』『その場で行っても信じないだろ』

『だからみんなで朝テストまでは無言でいることになったんだよ』


『これを決めたのはお前が休みの連絡を入れた日の終礼だよ』

『本人には言わないように言われたけど今言っとくよ』

『あれは誰が見てもお前だけどお前じゃなかった』

『たまに変な日あるときメールしてたでしょ』

「たしかに明らかな授業中にメール来た日もあったけど」

『その日だよ』『なんか変な時確認してた』


『だからお前が遅刻しないときは無言を通してたんだよ』

『最近は遅刻しないけど得点がダメだから本人認定されてたよ』

「うわぁ、ひでぇ確かにバカだけども」

「それで!遅刻しなくなっただけで感謝されたか」


だから遅刻はしないでくれ!と言われたのね

「でもソレにあったことないよ」

『当たり前だろ、ソイツとは絶対同じ場所にいないんだから』

『これからは絶対遅刻するなよ』

『するときは連絡入れろよ、こっちだって怖いんだからな』

『話してるやつが急に消えてみろよ、恐怖だよ』

これをきっかけにして

僕に題材にして怖かったエピソード語り合いになった

なかなか怖いのもあった。

ある無断欠席した日は体育までやっていたらしい


この話を仲良し組から夏休みの別荘で聞いたので納得することにした。

「いないけど、確かに僕似た何かが学校に行っていた。」


これ以降も卒業まで時折学校で目撃されていたみたい

無事卒業した今でも記憶の中で生きている

一つ言えるのは僕の人生を変えた

以降遅刻することは怖いことになっている

卒業してから今日に至るまで一度も遅刻はしていない。


「僕は遅刻をしなくなった」








































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