第98話 優しく接してあげよう
どうしてこうなったと思うのだが、これによりさらに俺を悩ませるのが『ハーレムエンドにするかどうか』という事である。
というか、この場合はハーレムエンドの方が無難ではあるものの、それこそ何か一つでも選択肢を間違えたら刺されそうでもある。
逆にちゃんと一人に絞った場合は倫理観や道徳的にも二股や三股は常識的に駄目だからフラれても仕方がないと残りの女の子は思ってくれるかもしれない。
しかしもしそれがフラグ回収であり死亡フラグルートのトリガーである場合も考えられる。
ようは前者は細く険しい道だが渡り切れば安全は確保されており、後者は死亡フラグを回収してしまう危険性からな逃れられないという究極の二択であるのだ。
そもそも俺に好感度が集まらないように前世での知識を思い出し好感度管理をしてきたつもりなのだが、所詮それは『東城圭介』が主人公の場合のヒロイン攻略方法であり『西條祐也』のヒロイン攻略方法ではなかったという事である。
少し考えれば分かりそうな事なのだが、それでも俺はこのヒロイン達に言いたい事がある。
チョロイン過ぎませんかね?
いや、この不自然なくらいにチョロ過ぎるヒロイン達の状況こそが運命の収束力的な力なのかもしれない。
しかし、そうなってしまった事は仕方ないのでこれからどうするか、もういっその事第三の選択肢『朴念仁のふりして卒業まで待つ』という手段もあるのだが、これはあくまでもゲーム通り高校卒業が一つの終わりという指標である場合であり、この世界が現実世界ならば高校卒業したからセーフという保証はどこにもない。
むしろ高校卒業後雲隠れするという当初の目標も、誰からも好意を持たれなかった場合で考えていた戦法であり、犬飼にまで好意を持たれているとなると間違いなく俺の居場所を突き止められる為悪手でしかなくなったと言えよう。
南川よりかはマシであるのだが、南川よりかわマシというだけであり普通に考えて犬飼ならば簡単にやってのけるだろう事が容易に想像できてしまう。
というか、南川の性癖が異常すぎなんだよな……。
ゲーム内では逆にそのギャップがギャグっぽさもあり楽しめたのだがリアルで南川に目を付けられたと思うと俺のリトルジュニアが危険を察知して縮みあがってしまう。
アイツだけはヤバい。
「あ、翔子から連絡が来たんだけど……プライベートの事だから皆に言おうかどうか迷ったんだけどさ……」
「何よお姉ちゃん、もったいぶって。 そこまで言ったんなら気になって気持ち悪いから言ってよねっ!!」
「そうれもそうね。 その……翔子、圭介と付き合う事になたって」
この時俺は、その言葉を聞き心の中で歓喜したと同時に、今度から東城には優しく接してあげようと思うのであった。
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