第54話 ブロックしてやりたい程である
私らしくもない。
そして、結局私の抗議も空しく今日は休むことになったのだが、ホームルームでその事を担任が説明してくれたのだろう。
ホームルームが終わる時間帯に圭介から私の体調を気遣う内容と、雄介に対する誹謗中傷が書かれた通知が来ていた。
きっと、西城は裏でどれだけ人を救おうとも私達からは理解されずにこうして日々罵倒されているのだと思うと、今までの私もこの圭介と同じような事をして来たのだと思い、激しい罪悪感が襲ってくると共に圭介に対して苛立ちに似た感情を感じてしまう。
何も知らない圭介が、何も知らなかった私自身を見ているようでとにかく気持ちが悪い。
今までであれば圭介からの通知が来れば嬉しくて即保存からの返信をしていたのに、今は送り返す気にすらならない。
なんならブロックしてやりたい程である。
圭介に対してこんな感情を抱いた事が無いので自分の湧き出る負の感情に戸惑ってしまう。
けれども、今回西條が裏で行った数々を知ってしまった私はどうしても圭介という男性が口だけの軽い男だとしか思えないのである。
以前であれば圭介の事を口先だけだなんて絶対そんな事は思わなかっただろうし、そんな事を言う相手、それこそ西條のような男性は毛嫌いしていた。
チャラチャラして、いつもいい加減で、人を小馬鹿にするような態度を取り、実際に馬鹿にして、そんな奴が圭介の事を馬鹿にする事自体が失礼だと思っていたのだ。
しかしながらここ最近の西條の、
何故その誉められるべき行いや努力をそこまでして隠してきたのかはまだ分からないままなのだが、もしかしたらもしそういった裏の面を隠さずにちゃんとアピールをして来たのならば間違いなく違った評価をされていた筈で、学園の生徒たちからここまで陰口を言われずに住んだはずで、何なら圭介と肩を並べる程の人気者になれたはずである。
むしろ西條の実家の事を考えれば圭介以上に人気者になれていただろう。
その立場を捨ててまで、悪者ぶるのか……。
とにかくだ。 そのせいで私の中の今までの価値観は今回の件で一気に変わってしまい、何なら反転してしまったといっても良いほどには変化した。
その結果が、圭介を口だけの男性に思え、西城を少しだけ、そうほんの少しだけ認める事ができるようになったのである。
しかしながらまだ私の前だけで良い顔をしている可能性もあるわけで、せっかく学校を休んでいるこの時間に探ってみようと思うのであった。
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