第53話 知らなかった。 何もかもをだ。
それが俺にとって良い変化ならば良いなと思い俺は登校するのであった。
◆
知らなかた。
何もかもをだ。
まさかあのボクシング部の生徒が強姦の常習犯だった事はもちろん、西條祐也が被害者の方々を事前に探し出し、一歩踏み出す勇気が持てるようにメンタルケアまでしていた事を。
もちろん男性である西條が行ったら逆効果になるので西條家が雇っている女性の使用人を使っていたり、短期間だった為全員までの特定は出来ておらずあの様な結果で終わってしまったのだが、それでも私は何も知らなかったのである。
いや、知らないでは済まされない事を私は西條にしていた事になる。
もし予めあの男がここまでクズであると分かっていたのならば私は西條を止めなかったであろう。
それこそがあの男性を骨折程度で済む最善策だったと今ならばそう思えるからである。
もちろん彼は十八歳を超えている時点で過去の判例からも死刑が適用されている判例があるように十八歳時点で行った犯行があり極めて悪質であると判断されれば極刑もあるようなレベルの事をしでかしたので裁かれないというのはあり得ないのだけれども、だからと言って刺されて生死を彷徨うような事は無かっただろう。
もしかしたら私の考えすぎかもしれないのだが、西條ならばここまで考えていての行動であると何故だかそう素直に思えてしまう自分がいるのだから不思議である。
しかも西條はそれだけではなく男性恐怖症に陥った被害者達を集めて女性だけの部署を作り、職を与えると共にカウンセリングも同時に行う環境を作ると共に、さらに同じような境遇に陥ってしまった女性たちを保護する目的のために運用をしていくとの事である。
それを知らされたのは昨日の夜にあった両親からのグループ通話である。
両親曰くここの事業の責任者として母が、サポートとして父が選ばれたようで、どうやらまだ学生でり今時の若者でもある私の意見も取り入れたいとの事で通話してきたそうだ。
ちなみに両親の会社は叔父が引き継いでいる。
一体、私の知る西條と、婚約して知った裏の顔の西條、どちらが本当の彼の素顔なのかわからなくなったのだが、それでも今までちゃんと見ようとしてこなかったのも事実である。
なので私は今度こそちゃんと西條の事を見ようと心に誓ったばかりなのに朝起きて西條に会った瞬間に喧嘩腰で話しかけてしまったではないか。
意識すればするほどどう接していいか分からなくなり、勢いとテンションでやり過ごそうとしてしまった。
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