第27話 そんな事も分らねぇなら黙っとけ
「う、浮気って……他に言い方があるだろうがっ!! それに結婚詐欺ってなんだよっ!? これじゃまるで俺たちが悪いみたいじゃないかよっ!! ふざけんじゃねぇっ!!」
「ふざけてなどいるものか。 自分のルールで語るのも良いが、所詮それが通用するのは身内だけだよ? 井の中の蛙君。 でも残念ながら井戸の外では自分ルールは通用しねぇ。 子供の喧嘩の範疇を超えてんだよ、テメェがやろうとしている事は。 文句を言う前に少しは自分で調べてから反論しろや。 無知も大概にしろ」
「だが、どう考えても悪いのはお前だろうがっ!!」
「だから文句があるならお望み通り民事と刑事で争うと言っているだろうがっ!! 自分のケツも拭けねぇクズがしゃしゃり出て来てんじゃねぇよ!! 文句があるなら弁護士雇って正式に文句を言いに来いつってんだよっ!! そんな事も分らねぇなら黙っとけよっ!!!!」
あまりの腹立たしさに思わず怒鳴ってしまったのだが、まさか俺が怒鳴るなど思っていなかったのだろう。
東城圭介だけではなく周囲の野次馬まで水を打ったように静まり返る。
「それで、彩音はどうするんだ?」
そして俺はこの静まり返った空気などお構いなしで彩音に問いかける。
お前はどうなんだと。
「……申し訳ございませんでした祐也様。 以後気を付けますので婚約破棄だけは何卒お許しください」
俺に問い掛けられた彩音は、一瞬強張った後少しだけ考えると、素直に謝罪の言葉を述べ頭を下げてくる。
そんな彩音の肩に俺はもう一度腕を回すと、圭介に見せつけるように彩音の胸を揉む。
別に揉む意味はないのだが、強いて言うならば圭介に対しての嫌がらせだ。
まるで視線だけで人を殺せそうな圭介の表情を見れただけでも鬱憤が晴れるというものだ。
しかしながら、ただの俺の私怨のために異性の胸を揉むというのは俺自身どうかと思うのだが、今回の騒動のツケはこれでチャラにするので許して欲しい。
そして俺はそのことを彩音にだけ聞こえるように顔を近づけて耳打ちすると、彩音は驚いた表情で俺を見つめてくるのだが、俺はそんな彩音を無視して校舎へと今度こそ向かいながら心の中でもう居ないはず西條祐也本人へと語りかける。
どうだ。 俺の方がお前以上に悪役が上手いだろ、と。
悪役は悪役らしく、最後まで胸を張って生き延びてやるから、安心して草葉の陰から見届けて欲しい。
◆
「なんでアイツがまるで被害者で俺が加害者みたいになってんだよっ!? おかしいだろうがっ!!」
今思い出しても腹立たしい。
俺は怒りを抑えきれずにアイツがいなくなった校門前で怒りの感情のまま叫ぶ事しかできないのが、自分の無力感を再認識させられているようで更に腹が立ってくる。
──著者より
胸揉みはやりすぎな気もするので不評ならば表現を変更します(*'▽')ノ
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