第13話 美男美女

 美咲曰く明日同僚に見せるのだそうだ。


 そこが友達やクラスメイトなどではなく、同僚の家政婦達というところに俺は罪悪感を感じてしまうのだが、その罪悪感が表情に出てしまわないようにグッと堪える。


「行ってらっしゃませ、祐也様」

「そんな大袈裟な。 でもいつも有難うな、田中」

「ゆ、祐也様っ!!」


 とりあえず、いつも送り迎えをしてくれる西城裕専属運転手に労いの言葉を軽い気持ちでかけてやると、急に号泣し始めるではないか。


「ちょっ、そんくらいで泣くなよっ!!」

「いえ、そのくらいではありませんっ!! 私は、私は、感無量でございますっ!!」

「さ、さいですか」

「はいっ!!」


 何だろうか、さすがの俺もちょっと引いてしまうのだが、それだけ今の仕事を真剣にしており、また祐也の事を少なからず嫌ってはいないという事なのだろう。


 なんだ、意外と探せば身近に西條祐也の事を見ている人が二人もいるではないか。


 もしかすれば、身内には好かれている可能性だって出てきた。


 それだけに、その事実に気づけずに消えていった西條祐也が可哀想でもある。


「それじゃぁ、美咲も写メを撮るのは一旦やめてマックに行こうか」

「は、はいっ!!」

「田中は今日のことは両親には俺から、俺が無理言って寄ってもらっただけだから田中には何も責任はないと言っておくから」

「わ、私如きへの心遣い、感謝しますっ!! 祐也様!!」


 そして俺は美咲と一緒にマックへと入店するのだが、マックに入店した瞬間店内の空気が変わったのがわかる。


 それと同時に耳を澄ませば「だ、誰あのイケメンっ!? めっちゃタイプなんですけどっ!!」「みろよっ!! 見たこともない美人がいるぞっ!!」などという言葉が聞こえてくる。


 幼稚園から大学までエレベーター式の星城学園では聞いた事がないような言葉が俺の耳に入ってくるではないか。


 さすがエロゲの悪役キャラとその側仕えである。


 見た目だけは外の世界と比べるとやはり飛び抜けて美男美女に見えるようだ。


 ちなみに美咲の容姿なのだが、身長は百六十五センチで肩まで伸ばした赤茶色い髪型をしており、肌は陶器のように白く、胸はさすがエロゲ、Jカップとなかなかに大きく、彼女の雰囲気は守ってやりたくなるような小動物を想わせつつ、子犬のような人懐っこさも同時に金揃えた、男性であれば誰しも一目惚れしかねない女性である。


 そんな女性が店内に入ってきたのだから普段から見慣れているクラスメイト達ならばいざ知らず、今まで美咲の事を見た事ない男性達はことごとく美咲に一目惚れしていっているのが手に取るように伝わってくる。


 こういうのを傾国の美女とでも言うのだろう。


 それに、お世辞抜きで世が世なら冗談抜きで一国を潰しかねない程美人なのは間違いがない。

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