ミルクちゃんは混ざりたい! ~タイムトリップで脱ぼっち計画~

ぺがすす

プロローグ

プロローグ ~旅の終わりと始まり~

 ミルクは何かに混ざった瞬間、元のミルクではいられなくなる。

 それでも純白なミルクは、混ざりたいと願った。

 自らと周りの色が、変わってしまうとしても……。


「……ほんとにいいの?」


 目の前の少女は、不安げに尋ねる。


「うん、これでいいんだよ。……じゃあ、これでお別れだね」


 もうこんな悲劇は繰り返さない。そのために私は、二度と戻れぬ世界に決別し、まだ見ぬ過去へと旅立つんだ。


「……ごめんね、力になってあげられなくて」


 申し訳なさそうにしている少女に、むしろこっちの方が心苦しくなる。なにもかも全部、私の撒いた種で、彼女にはなんの責任もないのに。


「ううん、十分だよ。……今までありがとね、チイちゃん」


 私は感謝の言葉を告げて、そっと目を閉じた。直後、少女は私の背を押すように、力強く旅立ちの合図を放つ。


 ――――ミルキートリップ!


 これは長い旅の終わりであり、さらなる長い旅の始まりだ。

 薄れゆく意識の中、最後に聞いた少女の声だけが、いつまでも私の中でこだましていた。

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