-8- 朝、部屋にて

 ゆっくり起きられていいとあんなに思っていたのに、真夏は朝早く目を覚ました。久しぶりに人と会うので、とても緊張していた。待ち合わせは、渋谷駅。自分なりにお洒落は出来た気がする。あまり早く着きすぎるのも、子供じみて恥ずかしいと思いながら、なんでも気にしすぎる自分のナイーブさにイライラしていた。真夏の駅から渋谷駅は割と近いので、時間を持て余してしまった。

 そうだ、歌でも歌おうか。真夏は、歌うことが好きだ。でも、カラオケは苦手だ。中学の時、親切な友人に誘われて、カラオケに行ったことがある。そこで、人前で歌うことに、苦手意識を持ってしまったのだ。

 真夏は、好きな流行りの洋楽をかけて、自分でも口ずさみながら、部屋をきれいにし始めた。部屋の掃除をすると、あっという間に時が経つ。

「行ってきます。」

 真夏は、家を出た。

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