第3話 ステータス
「すいません。もう一回言ってもらってもいいですか?」
「だから全国47都道府県にいる神を従わせて日本を統一してほしいんじゃよ」
「47都道府県にいる神を従わせる?……ごめんなさい。ちょっとどういうことかわからないんですけど」
「そうか。まぁ、今から説明するから聞いてくれるかのぉ?」
「わかりました。」
「まず人の子の世界の運命っていうのは、神の世界によって決まるんじゃ。神の世界であったことがそのままこの世界で起こる。例えば京都の神と大阪の神が喧嘩をして京都の神が勝ったとする。すると人の子の世界では、京都と大阪の間で戦争が始まり、京都が勝つ。こんなふうになるんだ。」
ここで
それをごくっと飲み干してから再び話し始めた。
「しかし今、この神の世界では、神同士がいがみ合っておる。このままでは、日本はしばらく統一されないんじゃ。」
「それってそんなに問題なんですか?いつか統一されたらいいんじゃないんですか?」
ここで俺は初めて口を挟む。いつか神の世界で神同士が仲良くなるのなら何ら問題がないのではないか。
そう思ったのだが、
「それがそうもいかんのじゃ。」
「何故、ですか?」
「お主は人の子の歴史を知っていると思うが、白村江の戦いというのが西暦663年におこる。その時までに日本が統一されていなかったらどうなると思う?」
「まぁ、簡単に日本は攻め込まれて、負けるでしょうね。」
「しかし唐と新羅の連合軍に立ち向かうためには統一されてから最低50年くらいは必要なんじゃ。それくらいかけて防衛力というものはできるものなんじゃ。」
「わかります。付け焼き刃で戦力を前線においても、その間に連携がないとその隙きを狙われて攻め込まれるということですよね?」
「そのとおりじゃ。そして今西暦610年なのじゃ。」
「……ハイ?」
「つまり白村江の戦いが始まるまであと53年。猶予は長くて3年しかないのじゃ。それなのに神たちはいがみ合っていて、一向に団結する素振りがない。」
「だから僕に日本を統一してほしいと。」
「そういうことじゃ。」
なるほど。
しかし、
「でも僕はもともと普通の人間ですよ?スキルみたいなものがない限り神様を簡単に従わせられるわけないじゃないですか!」
そうなのだ。
ただの未来の知識を知っていると言うだけの人間である俺がそんなことが簡単にできるわけがないのだ。
そう思って
「もちろんスキルはあるぞ。『ステータス表示』と呟けばお主の能力を見ることができるようになっているはずじゃ。」
と答えてくる。なんだ流石に特殊能力はあるのか。じゃあなんとかなるかもしれないな。
「わかりました。やってみます。ステータス表示!」
するとステータスが書かれた表みたいなものが目の前に現れた。
ステータス
名前:大宮神
支配範囲:奈良
スキル:協力…相手が自分の支配下に入ることを望んだときだけではなく、相手を弱らせたときに、自分の支配下に置きやすくなる。
え?これだけ?
「
「そうじゃな。」
「いやいやいや!絶対無理じゃないですか⁉これだけでこの神の世界で統一できると思ってるんですか?それともこの世界の神様たちはこの能力で統一できるくらいの雑魚なんですか?」
「いやこの世界の神は普通に強いし厄介だぞ。」
「じゃあ!」
「安心せい!流石にそれくらいわかっておるぞ。そのスキルというのは都道府県にいる神を倒すたびに一つ解放される仕組みになっておるんじゃ。」
「ん?神って各都道府県ごとに一人しかいないんですか?」
「あー、そのへんの説明をまだしてなかったのぉ。神自体は一つの都道府県にたくさんいるんじゃが、そのなかでも代表的な神が一柱いるんじゃ。それを県神というんじゃ。それをお主が仲間にすると、お主の特殊能力が一つ増えるんじゃ。ちなみにいまお主は大宮神という奈良県の県神ということになっておるぞ。」
「なるほど。」
「あ、そうそう!各地方には一際強い地方神というのがいるからそれには気をつけてな!それじゃ頑張ってきてくれ!」
「はい…って、え、ちょっと?他にも聞きたいことたくさんあるんですけど?ちょっとぉ!」
そう言ったが、
「さらばじゃ」
と言ってどこかに消えていった。
「いや、俺このあとどうしたらいいの?」
俺はそうぼやいた。_________________________________________________________________
作者注
神を数えるときは一柱、二柱というように柱という文字を使います。この先もたくさんこの漢字が出てくることが予想されますが、ご理解いただけると嬉しいです。
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