第2話 転生失敗?
「ここが…古代、なのかな?」
もしかしたらここは〘平和な異世界〙なのではないかというわずかな願いを持って周りを見渡すが、それはすぐに打ちくだかれた。
周りにあるのは雄大な自然。
遠くには教科書でしか見たことがない竪穴式住居の集落があるのが見えた。
視線を落として自分の手を見つめる。
数秒前に無機質なタブレットの画面を触った手が恨めしかった。
「おおっ!どうやら転生に転生したようじゃな!」
「⁉」
不意にどこかから聞こえてくる声。
ぱっと顔をあげると、目の前には老人がこちらを見つめて立っていた。
柔和な顔の中に大きな髭を蓄えていて、仙人を彷彿とさせる老人。
只者ではないと翼は直感した。
そんな老人に恐る恐る声をかける。
「誰、ですか?」
「うむ。わしの名は
えっへんと言って胸を張る老人。
偉い人は自分で自分のことを偉いと言わないと思うのだが……
と言いたくなったが、ツッコんでいいのかわからないのでここでは黙っておくことにした。
「タカムスヒノカミさん…」
「違う!
「高御産巣日神さん。一体何故、僕は転生したのでしょうか?」
頭が混乱している中で、最初に口をついた疑問はこれだった。
トラックに轢かれて転生するなんてラノベや漫画の世界では聞いたことがあっても、現実の世界では当然聞いたことがない。
そう思って訪ねたのだが…
「知らん!」
「え?」
単純明快すぎるこの答えを聞いて、俺は絶句してしまった。
――えぇ、知らんってどういうことですか……
俺の頭の中の混乱が加速してゆく。
そんななか、俺の反応を見て、高御産巣日神さんも流石にまずいと思ったのか言葉を追加してくれる。
「もっと言うとわしも何故お主が転生したのかはわからんのじゃ。わしの旧友に【すべてを司る大天使】というやつがおるんじゃが、そいつが気まぐれで転生者をこっちの世界によこしてくるんじゃ。」
「あー」
あいつが元凶か。
先程の転生のときに見た名前を思い出し拳を握りしめる。
翼が【すべてを司る大天使】のことを好意的に思っていたのは、はるか昔のこととなっていた。
―――無論自分のせいでこのような状況になったのだが―――
「他に質問はないかのぉ?」
「んー、元の世界に戻る方法ってあるんですか?」
少しばかり冷静になった俺はふと尋ねてみる。
平和な異世界ならともかく古代からはなるだけ早く帰りたいというふうに思っていたのだ。
「ああ。わしのお願いを叶えてくれたら帰れるぞ。」
「そのお願いってなんですか?」
てっきり帰る方法なんてないと言われるのがオチだと思っていたが、どうやら変える方法はあるらしい。
安心してそう聞くと
「それはな……全国47都道府県にいる神を従わせて日本を統一してほしいんじゃ!」
「………は?」
………何じゃそりゃぁぁぁぁぁぁ⁉
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神様紹介NO.1
この世で最初に生まれた三柱のうちの一柱。
天上世界に生まれたこと以外は謎の多い神。
※物語の最後でその話に出てきた神の生い立ちみたいなのを簡単に紹介していきます。
基本的には物語とは関係ないし、関係ある時は物語の中で随時説明するのでスルーしていただいても大丈夫です。
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