しあわせ人
ノブユキ
① 不思議な体験
自分は満州で生まれました。
でも、満洲のことは記憶にありません。
母はよく満洲の生活のことを語って聞かせてくれましたが、自分にはあまり関心がありませんでした。
最近になって私は満州に行ってみたいなぁと思うようになりましたが、一人の日本人として満州(中国)に渡るのは無理なのかもしれないでしょう。
でも、いつの日か一度は行ってみたいと思っています。
私は幼い頃から一般の子供と少し違うところがありました。
それは、学校に行くことについてでした。
普通の子供は、しごく当然のような顔をして学校に通っていましたが、私はそれが納得できませんでした。
家で飼っている馬や牛や鶏なんかは学校なんて無いのに、どうして僕達だけ学校に行って勉強しなければいけないのかなぁ〜と子供ごころに不思議に思っていたのです。
だから、学業の方はついついおろそかにして卒業してしまいました。
私は14歳の時、私をよく可愛がってくれた知り合いの男の人が酒を飲み過ぎて亡くなりました。
それから10日ぐらい経ったある夜、床について天井を何気なしに見つめていると、その真っ暗な天井あたりがボーっと明るくなり、亡くなった筈の男の人の上半身が私の目の前に入ってきたのです。
何秒か、何十秒かはわかりませんが、わたしは目を凝らして見つめていたのですが、しばらくすると光が小さくなり、また元の真っ暗な天井にかえったのです。
私は恐ろしくなり、それ以来就寝する時には必ず頭から布団をかぶって寝るのが習慣になってしまったのです。
人間は何処からきて、何処へ去っていくのでしょうか?
また、人間は何の為に生きならねばならないのでしょうか?
この事は人間である以上一度は誰でも考えることなのであります。
私も例外にもれず、この事を考えました。
人間は一時的に考え、そして解決出来ないとわかるとすぐに問題を他の人に転換して忘れ去ってしまうのが一般的な考えなのではないでしょうか。
私は飽きることなく考え続けているのです。
でも、なかなか解るはずもありません。
しかし、私は思います。
この事を考えていると人間に生まれてきて本当に良かったと思います。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。