〜神様とキスをして〜落ちこぼれだった俺、神社に行くと神様に気に入られて最強に!!

真堂 赤城

第1話 落ちこぼれの出会い

「ふ〜、ようやくついた」

 俺は冒険者になりたかった、だから地元で冒険者試験を受けた。

 結果は惨敗、職業は一つも適正がなく、スキルも持っていない。

 何でお前みたいなのが冒険者になれると思ったんだとバカにされた。


 それでも俺は調べた、どうやったら冒険者になれるのかを。

 そして最近ようやくわかったことがある、それはなにか、ものすごい田舎に行けば冒険者試験が簡単だということだ。

 人手が足りないから一人でも多くの冒険者を作るために簡単な試験をクリアすれば良くなっている。

 俺は”これだ!”そう確信した。


 落ちこぼれで力のない俺が冒険者になるために残された唯一の方法、それは田舎で試験を受けることだ。


 冒険者協会、ボロボロの看板にそう書かれている建物を見つけた。

「ボロボロだなぁ、前回のところは結構きれいだったのに…」

「だけどそのほうが人気がなさそうでいいのかも?」

 建物に入る。


「いらっしゃい…ま、せ…」


「すみません、冒険者になりたいんですけど!」


「か、かしこまりました、それでは手続きですが…」


 名前や住所、その他に職業などを聞かれてそれだけ、書類の作成にはさほど時間がかからなかった。

 お金がないのか職業を見る魔道具もなく話は早く進んだ。

 よし、これならば適正の職業がないのがバレない!そう喜んでいると後ろから声をかけられる。


「お、何だ新入りか?珍しいなぁ」

「今回も俺が試験をしようか?」


「あ、ミルドさん!はい、よろしくお願いします」

 今回も、ということは以前にも担当したことがあるのだろう、俺と同じ考えで来た仲間かな?


「おいおい、そんな不安そうな顔をするなよ!」

「かなりひどい結果じゃない限り合格にするつもりだからな」


「はい!」

 落ちるかも…そういう不安が顔に出ていたのだろう、安心させようと優しい言葉をかけてくれる。


 そして互いに準備も終わりようやく試験開始。

 試験の内容はミルドさんと模擬戦をして認められること。

 行けるか…?やはり不安になってきた。


「それでは開始してください」

 受付の女性が合図をする。


「そんじゃあ坊主、好きに来ていいぞ!」

 俺はミルドさんの言葉に甘え先手をもらう。

「はぁ〜!」

 ミルドさんに向かって勢い良く走り出した、そしてあと少しで攻撃が届く!というところでコケた。


「お、おい大丈夫か?何で冒険者目指してんだよお前…」

「足も遅いし鈍臭いし、これは意地悪で言ってるんじゃない、本心からの忠告だ、冒険者になるのは辞めとけ」

「金が無いなら王都の方にあるいい仕事を教えるから…お前は顔がいいんだ、こんなところで死ぬのはもったいないぞ?」


 何も言えなかった、ミルドさんが意地悪ではなく優しさで言っているといのが声色から察することができたから。

 お金に困っているならと代案も出してくれるしお仕事も教えてくれる。

 なんて優しいのだろう、だが俺は羞恥心と絶望で何も言わずに逃げ出してしまった。


 ミルドさんが最後に言った「お、おいまてそっちの山は…」という言葉は耳に入らなかった。


 俺は一心不乱に走った、足を止めず、ひたすらに。

 だが運動神経の悪い俺ではどれだけ全力で走っても大した距離も進めずに疲れ果ててしまった。

 気がついた頃には中途半端に山に入り込んでしまっていて帰り道もわからなかった。

 恐る恐る歩いていると神社を見つけた、この憂鬱な気分を吹き飛ばすためには気分転換として良いか…。

 そう軽い気持ちで近づく。

 すると神社の奥の方から”チリンチリン”と鈴の音が聞こえた。

 俺の体はその鈴の音に誘われるように奥まで進む、疲れ果てた体が何故かスムーズに動いた。

 しばらく歩いていると先程くぐってきた鳥居とは別の鳥居を見つける。


 赤と黒で染色されておりとても一般的なものだった。

 だが不思議な魅力を持っており吸い込まれるようにして鳥居をくぐってしまう。


 ここは狐を祀っているのか狐を象った石像が複数置いてある。

 1番前にいるのはシュッとした顔の狐。

 2番目はツリ目で性格のきつそうな狐。

 3番目は可愛らしいくりっとした目を持った狐。

 そして4番目は白色の綺麗な毛並みの狐。


「一つだけリアルすぎない?」

 そっと触れてみるとほんのりと温かくフワッフワだった。


「うんうん、良いぞ良いぞ!気持ちいいぞ!」

「もっと撫でろ」


 幼い少女のような声が急に聞こえてきた。

「うわぁ!?」

 俺は驚いて手を話してしまう、すると。

「そんなに驚かなくてもいいだろう、わしは神だぞ!狐の神様だぞ!!」

 白色の狐が喋った、俺は言葉がでなかった。

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