『ちりこside』
第2話 旦那の裏切り
ちりこは、今年33歳になった。
もう若さだけで突き進めない。
周りから若いからねと言われることもあまり無くなってきた。
そんなに無理がきかない年齢にさしかかっていることを、この頃ひしひしと感じている。
結婚してからずっと、育児に家事はちりこ一人で頑張っている。非協力的な夫だったから、何にしてもワンオペ状態だ。
今日は、パートの面接に行ってその場で落ちてへこんでる。
面接までいかないことも多くなっていた。
年齢と、二人のまだ幼い子供がいること。
そう告げただけで、やんわりと採用出来ないと断られてしまう。
まだまだいろんなことに挑戦できるし、やれると思っていたのに出鼻は早くも
フルタイムの人が良いなら求人広告に、時間は応じられますなんて書かないで欲しいよ。
意気揚々と挑んだ面接、――時給896円の公園カフェの仕事には結局就つけなかった。
独身時代は英語が出来ないのに、英会話スクールの受付事務の仕事に就職して月給18万円だった。
結婚しても辞めるんじゃなかったな。
こんなに困ったことになるなんて思わなかったもの。
それもこれも、旦那が浮気なんてして私達を裏切ったことが発端だ。
ただいま、夫とは別居して離婚調停中です。
私は子どものために離婚しない。
仕事が見つかってもないのに、離婚してあのアホ旦那は私たちから手を離そうとしている。
この子たちの父親じゃないか!
離婚して早く今付き合ってる人と新しい生活を始めたいなんて、目の前で言われた私は唖然とした。言葉を失った。
(信じられないっ!
どういう神経してんの、この人はっ!)
夫の浮気を許すことも考えた。
無職でポイッと放り出されては、子供達二人と私の三人が到底生活していけるとは思えなかったから。
私が我慢すれば。
とにかく、安定した収入を得られるまででも良い。
準備期間が無いと困る。
「あなたの子供達が路頭に迷っても胸が痛まないの?」
「こっちだって生活があるからさ。早く別れてくれよ」
「子供達が可哀想とか、浮気した自分が悪いとか思わないの?」
そう訴えても、旦那の心には響かなかったんだ。
夫婦の間の愛情も、一度狂った歯車も元に戻ることは出来なかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。