第30話 マツコの甘いイモ
「ワタシ、イモには目がないのよねぇ」
くたびれたおっさんこと愚生が遅めの夕食を摂っていると、テレビからマツコデラックス嬢の声が聞こえてくる。
本日の番組テーマは焼いも。営農系役所勤務のゲストが焼いもに傾倒し、いもフェスなるものを渡り歩く特集だ。金時いもに安納いも、それに紫いもなど様々な品種の焼いも味比べが展開されていく。
なかでも「フクムラサキ」なる品種改良された紫いもがイチ押しされている。
「アントシアニンが豊富で、しかも甘いんです」
ふつう紫いもは甘みが少なくパサパサで美味しくないゆえ、ソフトクリームや焼き菓子などに練り込まれて紫色の映えよく加工販売される。
しかし、このフクムラサキは身体のサビ付き防止、抗酸化作用のあるポリフェノールの一種であるアントシアニンも確保しつつも金時なみの甘さを保っているという。
どのようなものなんだろう!? よし、早速栽培準備だ。
そう言えば、昨季のサツマイモ栽培はコガネムシの幼虫食害に泣かされた。まずはこれを踏まえての土作り。
サツマイモは石灰を必要としない。酸性土壌(pH5.5~6.0)の方がよく育ち、カルシウム不足になることも殆どないと言われるので石灰は撒かない(ちなみに150~250g/㎡の量の石灰を土に施すと、pHが1上がるらしい)。
また肥料もほとんど必要としないため、土に浸み込んでいる前作の養分を考慮すると、元肥・追肥ともに不要といったところだ。
ここで、サツマイモ栽培をされている皆様が苦悩するのがコガネムシの幼虫食害対策だ。
愚生の前作はニンニク。この収穫したあと切り落とした葉を畝にまき散らす。コガネムシはニンニクを嫌がるという情報があったからだ。実際、ニンニク収穫時に土を掘り起こしていても幼虫がほぼ皆無だったこともある。
次に何と言っても2023年度の秘密兵器「メタリッチ」。
片倉コープアグリ㈱社が製造している生物兵器だ。ネットの情報から手掛かりを得て調べるに、培養されているメタジウム菌が特定害虫にとって毒となり死滅させる作用があるという。
福島県の工場で製造されておりJAを通してしか販売していないとのことなので、さっそく近所のJAでお取り寄せだ(参考価格5600円/10㎏税別)。なお、俗にいう生物農薬だが人体への悪影響は一切ないのは言うまでもない。これを100g/㎡、土に混ぜ合わせ灌水をおこなう。
まあ本物農薬のダイノアジンを撒けば害虫効果はてきめんと思われるが、なるべく使いたくない。加えて、椿の油粕撒布のサポニン効果で窒息させる方法もあるが、これは昨年度、窒素肥料過多による蔓ボケを引き起こしてしまったので今回はボツ。
以上でひと先ず土作りは完了。
畝立てはイモの肥大化と排水性を同時に考える。即ち30㎝以上掘り起こして、30㎝以上の高さを作る。当然土が足りないので、近所の建材屋さんで園芸用にも使える真砂土を購入。ホームセンター価格の1/3で入手でき、お得感満載だ。
苗は収量が多く見込める斜め植え。フクムラサキに加えて、金時系の収量・甘み・貯蔵性が優れているとされる黄金色のベニマサリも植え付けだ。
あとは気休め程度に赤紫蘇の種をパラパラと撒いて完了。コンパニオンプランツでもあり、コガネムシは赤を嫌い寄ってこない習性があるからだ。
さあ、今秋は美味いイモに囲まれながらほっこりタイムを満喫できるか!?
写真掲載中
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