第26話 2023年度 極上の蔓モノを作れ
2023年4月。そろそろジャンパーも要らないくらいの気候になってきた。と言うと、夏野菜の準備だ。
昨年は何とか収穫にはこぎ付けたものの、試行錯誤で肝心の品質である味はどれもイマイチ。最終的に今年は質・量ともに最高級のものを作りたい。
ターゲットはスイカ・メロン・カボチャ・ゴーヤ。ともに蔓科で、栽培方法は互換性、共通点があるはず。相互作用の研究で極上のものを目指したい。
まずは何と言っても基本中の基本、土作りから。
植え付け予定としている土壌はスギナが所々に顔を出している。土が酸性に傾いている証拠だ。よって苦土石灰を、撒布標準の100g/㎡撒いてみる。土を弱酸性寄りにするのと同時に、カルシウムとマグネシウム(苦土)の補給も兼ねる(ちなみに男の手一掴み分量が約50g)。
次に土壌改良(更土に近付ける)として、植木屋さんからもらってきた木質堆肥を土嚢1袋/2㎡入れて一度、耕運機で撹拌してみる。
今年のミソはここからだ。
「スイカの元肥基準、化成肥料8:8:8を150g/㎡」および「NPK比1:1.5:1」などのマニュアルを参考に、鶏糞を基本肥に設定。袋表面に記載されている比率で計算し、プラス独断と偏見で投入してみる。小難しい話を抜きにすれば、500g/㎡の撒布だ。
「有機肥料においては、成分の100%を作物が吸収出来るわけではない。およそ60~80%」とはパソコンからの情報。今回はスイカの元肥配分だが、このような情報もあるのでメロン・カボチャ・ゴーヤにおいても細かいことは気にせず、スイカに準じて進めていく。
あとは隠し玉として骨粉と魚粉を投入してみる。なぜ骨・魚粉か!? と言えば、「アミノ酸が豊富な有機質は旨味を引き出す」とされているからだ。散布量は骨粉50g/㎡に魚粉100g/㎡だ。
土作りから二週間後の5月連休、いよいよ植え付けだ。種や苗においては次のように選定。
スイカはやっぱり大玉。糖度も高く、あのシャリ感が期待される「紅大」の苗。メロンは網目系だが作りやすく改良された、ホームセンターで売られている濃厚な味わいの赤肉・さっぱり清涼感の青肉の苗。カボチャはいもくりなんきん、婦人にプレゼントしてもてもてになることを期待して、ほくほく系の「特濃こふき5.6」なる種。ゴーヤは苦みの少ない品種で栄養価割増し、昨年に収穫した種を保存の冷蔵庫から引っ張り出してきた。
という具合だ。
種においてはカボチャ・ゴーヤの殻は硬いので、発芽をスムーズに促すよう、中の胚を傷付けないよう先端をぽちっと爪切りで穴を開けた。それを一晩、水に浸けて呼び覚ます。王道的手段だ。ひと手間加えて液肥を水に混ぜればよりよいのでは? と疑問が湧いたが、胚に栄養が含まれているので、そこまでする必要はないとのこと。養分は発芽後に必要になるようだ。
そう言えば、苗の移植については新たな事実が。―接木の台木の芽は取り除く。なぜなら穂木が負けてしまうことがあるから。―接木苗の継ぎ目は土から3~5㎝出して植える。なぜなら継ぎ目に土の病原菌が浸入する可能性があるため。また、穂木部分の根が発根・伸長してしまい、接木の意味がなくなるから。―接木苗は連作障害が起こりにくい。なぜなら抵抗性の高い台木を使っているから。
種蒔き、植え付けも何とか天候に恵まれた。自然相手の農業は奥が深い。毎年毎年の研鑽が必要だ。
写真掲載中
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