第24話 ニンタマ

 歳か!? やたらと最近疲れる。別に太り過ぎていたり痩せ気味であるわけでもなく、睡眠不足や持病を抱え込んでいることもない。

 生き物の身体は全て食べ物で出来ている。そうだ! スタミナ源が必要だ。

 スタミナと言ってまず思いつくのはニンニク。けれど買えば高い。国産のもの一球で250円は下らない。首切り間近ビンボーサラリーマンの身にとってはいささか手が届かない。中国産なら安くでいくらでも手に入るが、農薬管理の面から考えるとちょっと…とは偏見か。

 よし、それではいっそ自分で作ってみよう。


「ネギ類の肥料はアンモニアがベスト。だから鶏糞が一番いいんだ」

 冬野菜の支度に汗を流していた畑のお隣さんからのアドバイスだ。

「植え付けは、拳グーの間隔でいいから場所もあんまり取らないしね」

 なるほど。高価な肥料も必要とせず、栽培面積も広く要らない。今秋の植え付けはニンニクで確定だ。

 そしてもう一品。同じくネギ類のタマネギ。どんな料理でもあう万能野菜だし、血液サラサラ作用で元気ハツラツになりそうだ。


 それでは早速、土作り開始だ。

 畝立ては排水性の良い場所。根菜なので耕土を深くして、高く立てる工夫もしてみる。元肥を入れる前に、先般学習した石灰を1㎡あたり100g(男の掌ひと握りが約50gなので、1㎡あたり二握り)を撒き、近くの造園屋さんでもらってきた木質堆肥を適量施し、土の状態をリセット。

 そしていよいよ元肥の投入だが、窒素・リン酸・カリ比はおおよそ1:1:1なので、応分にざっくり鶏糞を散らしてみる。鶏糞などの有機肥料で換算するとややこしいが、これは化成肥料に置き換えて管理すればわかりやすく、普通化成8:8:8を1㎡あたり50g撒き散らす。

 これで二週間ほど寝かせておく。その間に種と苗の用意だ。


 ニンニクの種は、彼のブランド 青森ホワイト六片を通販10㎏買い。ただし、格安の訳あり食用品。栽培用の種は芽が出やすいよう殺菌処理を施してあるというが、食用でも芽が出るよ! と聞いたことがある。ダメな時は食べよう。

 タマネギ苗のチョイスは中生の「アトン」。早生・中生・晩生といろいろ栽培品種があるようだが、それはそれでひと先ず、「辛みが少なく甘味の強い良質種」「他のタマネギの倍近い大きさに育つ」という謳い文句に釣られて苗屋さんで即300本予約注文。

 ただ、ここでひと工夫。

 ニンニクの種は農学博士推奨の皮剥きつるつる植えだ。その名の通り、一球をばらして一片一片ていねいに皮を剥いて植える方法。土中からの養分吸収がよくなり、成長も早く、出来上がりの玉が大きくなるという。

 愚生はこれを水に浸けて様子を見ること一週間。何と食用にもかかわらず、十中八九の種から発根したことを確認した。

 2022年10月のことだ。さあ、植え付けが楽しみだ。


写真掲載中

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