窓際サラリーマンのサバイバル農業
林葉
第1話 🍉
お世辞が苦手だ。気の利いた一言が出てこない。愛想笑いは10分ともたない。顔が引きつってくる。
こんなの性格のせいで居場所は相も変わらず窓際だ。夏は熱帯、冬は隙間風が身に染みる。
愚生、年齢もアラフィフとなると転職先は壊滅状態。しかも人に使われるのはもう御免ときている。意地が先に立つ。待ってばかりの宝くじも当たらない。年金受給まではまだまだ遠い道のりだ。何か一発逆転劇はないものか。
そんな中、嫁の実家がせっせとくれる旬の野菜が我家の食卓を彩る。春は玉ねぎ・イチゴ、夏はスイカにプリンスメロン、秋はサツマイモにジャガイモ、冬の極めつけは白菜に大根などが温かい鍋を豊かにする。
「これはまた実家から?」
愚生がぐつぐつと旨そうな音をたてて煮える鍋に箸を入れながら問う。
「いつも通り、家庭菜園で採れたやつ」
嫁が答える。いい加減、季節の旬野菜くらい覚えておけっといった表情だ。
「もちろん無農薬、有機栽培ね」
家庭菜園か…。
これだ! 久々に何かワクワクしたものを感じる。
給料もままならない肩叩き寸前、いっそのこと目指すは自給自足。サバイバル菜園に活路を見出したり。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます