台湾と中国

@MasatoHiraguri

第1話 台湾と中国は同じ ?

 1. 1昨日(2022年4月13日)台湾で、非常に恐ろしいニュースがありました。


 引用はじめ


「八田與一像に中国の五星紅旗柄マスク ミニ政党メンバーに無罪」/台湾


 中央社フォーカス台湾

 http://japan.cna.com.tw/



 2022/04/13 18:18

(台南中央社)日本統治時代に活躍した水利技師・八田與一の銅像に中国の五星紅旗柄のマスクを着用させ、「日本人は出ていけ」、「台湾は中国の一部」などと主張したとして、社会秩序維持法違反の罪に問われたミニ政党・台湾人民共産党のメンバー3人に、南部・台南市の台湾台南地方法院(地裁)は12日、無罪判決を言い渡した。


 判決書によると、3人は2021年2月1日、同市烏山頭ダムの八田與一紀念園区で、銅像にマスクを着け、「日本と米国は新型コロナウイルスを台湾に持ち込むな」などと主張し、動画をインターネット上に公開。台南市政府警察局麻豆分局は公共の場での迷惑行為に当たるとし、台南地方法院柳営簡易庭(簡裁)に提訴した。


 判決書によれば3人は、マスク着用の重要性を強調した感染予防のPRだと説明していた。


 裁判官は3人の言論について、個人的な意見を発表しただけに過ぎず、尊重されるべきだと指摘。また極端なヘイトスピーチや犯罪を扇動するものではなく、明らかかつ即時に危険を及ぼすようなことはないとした上で、言論の自由は憲法によって保障されるべきであり、法律違反には当たらないとした。


 麻豆分局は控訴する考えを示している。



 引用終わり



 私が2020年2月に来台した当時は、部屋に備えてある端子に液晶モニターをつなげれば、無料のテレビ放送(全部で5チャンネルくらい)が見れました。

 ところが、「大陸尋奇」という中国の風物・伝統文化を紹介するテレビ番組が面白いとネットに投稿し、さらにその番組から読み取れる中国の素晴らしさを本にして出版して以来(2020年8月以降)、映らなくなってしまいました。新聞でテレビ番組表を見ると、相変わらず「大陸尋奇」は放映されているのですが。


 台湾政府は「中国政府は様々なメディアを通じて常に国民を監視し、自由な情報取得・発信を妨害している」と非難するくせに、台湾政府もまったく同じことをやっているのか、と少しガッカリしました。

 しかし、そういうことはアメリカでも日本でも行われているので「ああ、台湾よ、お前もか。まあ、仕方がない。」という程度の気持ちで、怒る気も不満もなかったのです。


 テレビでニュースや天気予報が見れなくなったので、パソコンで台湾のこと(主に、伝染病のニュースや天気予報)を知ろうと「中央社フォーカス台湾」という、政府が運営するネット情報誌(の日本語版)を見るようになりました。

 ところが、台湾の政治家であるサイという女性が「中央社フォーカス台湾」のなかで、しきりに中国は嘘つきだとか非民主的な暗黒国家などと、中国の悪口ばかり言う。

 まあ、私は日本人だし、中国人に知り合いがいるわけでもないので、どうでもよかったのですが、次第に「中国を悪者にして台湾をよく見せよう」という意図が、彼女の言質に感じられるようになってきた。そこで、それなら「中国の言い分」も聞いてみなければフェアではないと思い、中国国営のネット新聞である「人民網日本語版」を見はじめるようになった。


 ところが、もともと、台湾のことを知ろうと閲覧し始めたこの二つの情報源を毎日見比べているうちに、逆に、中国の素晴らしさばかりが目に付くようになってきた。「悪者」であるはずの中国の、いいところばかり見えてくる。


 私が長期間台湾に滞在するようになったのは、日本に比べ住・食・電気水道代・交通費等々の物価が安いのと、欧米と違い、米・味噌・醤油が食の基本である、という単純な理由からでした。中国とちがい、観光ビザでいくらでも滞在できる(3ヶ月に一回国境を出入りする)から台湾にしただけで、中国でも台湾でもよかったのです。


 さて2年前は、中国に比べて台湾の方がずっと民主的で自由で、食べ物も安心・安全で、親日で、なんて思っていたのですが、「中央社フォーカス台湾」と「人民網日本語版」という2つの政府発行のネット新聞を見る(読む)限りでは、一言で言えば「やっぱり本家本元は中国」という印象が日々強まってくる。


 ここは、非常に重要なことなのですが、私は台湾にも中国にも友人はいません。中国には行ったこともない。

 いま滞在している台湾では、たとえばスーパーのレジのおネエちゃんとか、食堂のおばちゃんとか、行く度に簡単な話をする「知り合い」は沢山いますが、政治や経済についてなんか話すことはない。大体、私にそんな語学力はないし、そんな話に興味もない。

 私は日本拳法に関する本を書くために、くだらない・不要な(日本語)ニュースが(自然と)目や耳に入ってくる日本ではなく、天気の心配くらいしかしなくていい(且つ物価の安い)外国に住んでいる、にすぎない。

 もちろん、言葉(中国語ができないことで不便することは多々ありますが、友人だの恋人など作る気もないので、語学能力など問題にはならない。極論すれば、寝れる場所さえあればいいという、ホームレスなのですから。


 この約1年間、政府発行の(公式)新聞を毎日読み続けて抱いた、やっぱり中国が本物という「感覚」は、次第に具体的な話や「理論」となって私の中に蓄積されてくる。

 ところが、それをそのままネットや本にして表明すると、台湾人から意地悪をされるくらいならまだしも、「社会秩序維持法違反の罪」とか「迷惑行為」という罪によって裁判にかけられるということが、今回のニュースによって判明した。

 台湾の警察とは「台湾は中国の一部である」と口にしただけで「社会秩序維持法違反の罪」で逮捕(拘束)し、現実に人を訴追できる力を持ち、実際にそれを行使しているのです。


 中国に関して、マスコミではとやかく言われていますが、実際、中国における「言論の自由」はどうなのか、私は知りません。

 しかし、少なくとも台湾では、現実に「言論の自由」が厳しく規制されているという事実を、私は目の前で見ました。 今回ニュースになった裁判(一審)では無罪となりましたが、警察(検察)は控訴するようです。これが「真の台湾の姿」です。

 台湾人は「中国には言論の自由がない、暗黒社会だ」なんて非難しますが、たとえそれが本当だとしても、何のことはない、台湾人自身が同じことをやっているわけです。


「中央社フォーカス台湾」を読む限りにおいては、「台湾は自由の国」「日台友好」なんて甘い言葉が台湾の巷には溢れているようですが、彼らは実際には相当、腹黒い、嘘つきなのかもしれません。

 その点、「人民網日本語版」を読む限りにおいては、中国(人)の方がよほど裏表のない、正直な民族であり国家に見えてくる。

 まあ、私自身が体育会系なので、そんな人や国家を好む。そこから来る直感のようなものでしかないのですが。

 <続く>


 2022年4月15日

 平栗雅人

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