第6話 オリビエとハスラム 6
「きれいなお姉さんだね」
二人は、どちらが正義かを見分けることにした。
一人対複数。
一人の旅人の方が正義だと思うが、そうでないことも多々ある。
「いい加減にしてくれない!」
ついに旅人が切れたように声を荒げた。
「あんたにあげるものなんて何もないわ!」
「そうか。オレはオマエが持っている石が欲しいだけなんだが」
大勢の中の一人が低い声で答えた。
「あれはあんたにじゃあなくて、別のところに返しに行くんだから」
フンと言い放つ。
「それに! うっとおしい」
旅人、オリビエがいうきれいなお姉さんは、襲いかかってきた男を蹴り、術を放った。
「焦げてる」
一瞬だった。
囲んでいた者たち全てを感電させ倒していた。
「すごいね!」
おもわず拍手をしてしまうオリビエだった。
「そこの二人も私の敵なの?」
無防備過ぎる野次馬二人組を睨む。
「オレたちは、敵ではない。近くを歩いていたら乱闘になりそうだったから、どうするか観察していた」
旅人の元へ飛び出して行きそうなオリビエの腕を掴みハスラムが応じた。
「へぇー、いい男」
口笛付きで。
「オレたち敵じゃあないよ。加勢するか迷ってただけ」
腕をガシッと握られたオリビエは放せとハスラムの手を叩いていた。
「お姉さん強いね」
やっと放してくれたので、その場で言う。
警戒しているのか、旅人からの殺気がすごい。
「あんた精霊の加護受けてるね」
オリビエを上から下へと見ていた。
「何それ?」
「精霊の加護を受けている者には悪人はいないから」
笑顔に変わっていた。
「どういうこと?」
殺気が消えたと分かるやオリビエは近付いて行った。
「そういうこと」
オリビエを手で制して短く答え、足元を見る。
「早く移動したいから、じゃあね」
旅人は二人から逃げるように駆けて行った。
「オレたちもマズいから動くぞ」
ハスラムも目で旅人と同じものを追う。
襲撃者たちは、気絶させているだけだった。
気が付くとややこしい。
「分かった」
二人も本来の目的地へと向かう。
偶然かどうかは分からないが旅人と同じ方向へ。
「会えるかなぁ」
「さあな。オマエのやっかい事を早く片付けたかったら、いらないことに関わるなよ」
太陽はもうすぐ沈むという時間になっていた。
どう考えても向かう場所は同じだろう。
ハスラムは注意する。
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