33の恋歌

椿豆腐

第2話

 潮風や「海へ行きたい」と呟く

 近くて遠い 桃源郷へ

 飛んでゆけ 命の火花 

 黒髪の 夢路の終わりまで どうか恋ふ


 みをつくし ただ見る僕は

 抱きしめて 愛するなんて叶わぬと

 知りながら『風になれたら』なんて恋ふ


 日が暮れる 「帰りなさい」と 笑む貴女

 もうじき落ちる 線香花火

 背を向けた 「そうだね、またね」

 独り哭く 貴女が知らぬ貴女の正体

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