結婚してもう一か月、そろそろ旦那が浮気する頃かな。~そんなに浮気をするのなら、もう離婚しましょう。え、家のローンがあるから慰謝料を払えない? そんなこと知りません。~
Rough ranch
第一話 『夢の新婚生活の幕開け』
「冷蔵庫はそこにお願いします。あ、その段ボールは二階の寝室に置いといて下さい。それから、」
私が指示した通りに、引っ越し業者の人達は次々に家の中へと家具を運んでいく。
まだ四月だというのに、今日の最高気温は23度らしい。
そのせいで、私は指示を出しているだけなのにも関わらず、若干服の中が汗ばんできた。
「おい美香、まだ終わらないのか?」
「あと少しで終わると思う、ほら今の棚で最後だよ。」
私は、この家の縁側で寝っ転がっていた慎二にそう答える。
「そっかそっか、待ちくたびれたよ。」
そう言って、慎二はゆっくりと立ち上がった。
そして、感慨深げに周囲を見回してから言った。
「ああ、これが俺たちのマイホームか。」
「そうだよ、私たちのマイホームだよ。」
私達は無言で、目の前にある立派な家を眺めた。
別に、そこら辺の住宅街に建てられている様な普通の見た目の家だ。
でも、自分たちの家だという色眼鏡を掛けて見れば、この家からは他のどの家よりも魅力的に見えてしまう。
当然だ。
だって、夢にまで見てたマイホームなのだから。
「なんか今、人生で一番幸せな気がするよ。」
私が何気なしにそんなことを言うと、慎二は笑いながら返してきた。
「そんな訳ないだろ。」
そして、私の目を見つめて言った。
「やっとスタートラインに立っただけだ。これから、もっともっと色んなことを二人で経験していって、もっともっと幸せになるんだからさ。」
そう言って、慎二は私に笑いかけてきた。
そんな慎二の言葉に、私は思わず笑ってしまった。
「はははっ、」
「ちょ、何笑ってんだよ!」
「いやだってさ、今のセリフがどうしても慎二に似合わな過ぎて、ははははっ。」
私はまた、腹を抱えながら笑った。
結局慎二も、私に引っ張られて笑いだしてしまった。
(ああ、なんかこうやって慎二といつまでも笑い合って生きていければいいな。)
きっと彼となら、この先何十年も一緒に歩いていけるだろう。
根拠は無いけれど、私はそう感じた。
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「ありがとうございました~。」
私は、仕事を終えて帰っていく引っ越し業者の方々を見送ると、内心ウキウキで家の中に戻って行った。
ホテルにしろ家にしろ、いつもと違う環境で生活する時はいつだって気分はMAXだ。
それに、今は新婚生活一日目だ。
こんな状況なら、誰だって私の様になってしまうはずだ。
「テンション高いな、美香。」
「当然でしょ。慎二だって目にクマが出来てるよ。今日が楽しみで眠れなかったんでしょ。」
慎二だって、今日はいつもと違って若干浮足立ってることを私は見逃してはいない。
「クッ、ばれてたか。仕方ないだろ、この家に住むのが楽しみ過ぎたんだからよ。」
「だよね、分かるよその気持ち。」
私たちの新婚生活は順調だ。
結婚の報告、家のローンの手続き、家具の新調、色々やることはあるけれど、今はその全部がどうでも良く思えた。
「なあ、この家の探索しないか?」
「するする!」
そう、私たちの新婚生活は順調、だった。
あのメールが送られてくるまでは。
~あとがき~
4/15から受付が開始した、「夫にナイショシリーズ漫画コンテスト」に参加する為、久しぶりに(とは言ってもまだ二か月)新作を投稿し始めます!
一万字くらいでの完結を目指しているので、気軽に読んでいただけるかと思います。
より多くの読者の方々に楽しんでもらえたらな、と思ってます。
今後もこの作品は投稿していくので、是非是非楽しみにして待っていて下さると幸いです。
「面白かった!」
「もっと読みたい!」
と思ったら、
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作者のモチベーションになります!
何卒よろしくお願い申し上げます。
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