転生お蚕妖精、生産チートで頑張ります 第二章

赤ぬこ むぎ猫

第37話 過去編1話目 誰かの記憶

シルキーsaido

「この記憶は.....誰のだ...」

ある日の夜。夢の中に現れた覚えのない風景を見て私は呟いた...

目の前には泥と血で汚れ息絶えた鎧を着た兵士達...所々まだ戦っている者達もいるがその者達もすぐに血に塗れた。そして近くの沼にまだ息がある兵士が居て。その兵士は酸欠になっていて少しでも多くの酸素を吸収しよう呼吸するがもう息をする体力もなくなったのかその兵士は地に伏せた。そして私は兵士に触ろうとするが触ったと思った瞬間兵士の肩に接触したはずの手がすり抜け、今度は自分が泥に埋まってしまう。

なんとか血が混ざった赤黒い泥から抜け出した時

「ウォオオオオン!!」

と遠くから遠吠えが聞こえてきたと思ったら景色が一瞬で変わった。

次に映された景色は深い森の中で所々木に人間の手の形をした赤い手形の血の跡があって、その赤い手形のある方向に進んでいくとある洞窟に着いた。

「また変わった...あれは....ロボさん?」

そこには黒い狼が中央に陣取っていてその狼はまだ1メートルと少ししかなかったが、その目つきから若き頃のロボさんだと分かった。

「ロボさん....」

そう呟くが此方に向かず入り口をじっと見ていて何をしても此方に向こうとしない。手を顔の前でぶんぶん振ってみても反応がない。

「やっぱり...見えないんですか....」

そう呟くがロボさんはやっぱり反応しない。

此方からは見えるが、彼方からは認識又は姿見えないことから、誰かの記憶を投影していると考えられる。となると、この記憶は誰のものなのか...という事だ。

まず映っている風景から推測するに今の時代から300年は前ということになるけど、その時代は人魔大戦の頃で今の時代より発展していたと聞いているけど...

この風景からは荒廃した世界しか見えない...

「......」

「........」

その風景に固定されてから10分くらい経ったのかまた変わり

今度は豪華な装飾の家に居た。そして部屋の中には...

「また変わった....今度は家の中?」

写真に向かって何かを話している男性が一人

「この世界に写真?....」

この異世界には写真があるとは聞いたことがないし見たこともない。そう疑問に思っているとすぐまた場面が変わって今度は燃えている小さな村が見える丘に立って居た。あの村は.....行ったことがある?そう思うのは何故だろうか?

この世界に来てからあの様な村には行ったことがなく、この様な場面に出くわしたとしたら一生記憶に残ると確信しているからだ...

村の中には燃えて黒い炭とかした人形の何かや鋭利な刃物で殺された牛などの家畜それに....

「あれは.....私?」

近くの家の物置の中に隠れているもうひとりの私。

着ている服装に僅かな違いはあるけれど顔や身長は瓜二つでとても別人には見えない。

「.........」

暗闇を映すその目で人一人分の炭の塊を見つめるもうひとりの私。

どうやら、この炭の塊は元々はこの子の家族だったみたいだが....他に家族は残っているのだろうか...

そして、周りの足跡からしてどうやら彼女は複数人で一緒にこの村に来たようだが。その姿が見えないので多分他の家の方に行っているんだろう

しばらく見ていると奥の家の方から複数人が集まっているのが見えた。

「誰か来た....男が3人女が2人...」

何を話しているんだ?そう思い。近づいてみるとこんな事を話していた。

「残ったのは5人だけか....」

そうスキンヘッドの屈強な男が呟いた

「あぁ、後はみんなやられてしまった...もうちょっと早く帰っていれば!」

そう言ってもうひとりの金髪の男が悔しそうな声を上げる。

「他に生き残りは居なかったのか?」

今まで喋らずにいた男が口を開くと

「残念ながら....唯一無事だった族長の家は結界で俺たちすら入れなくなってしまった。もしかしたらそこに生き残りがいるかもしれないが、此処に来るまでの時間じゃもう手遅れだろう...くっ!」

悔しそうな顔をして壁に拳を打ち付けている

「ジョン....落ち着いて!壁が壊れるわ!」

そう呼ばれた男は涙を流してまた壁に拳を打ち付ける。

「サリー....」

サリー....それがこの女性の名前....

「これからどうするの?一族復興には族長の血がいるのよ。」

サリーと呼ばれた紫の髪の女性が言った。

「そうだな....我々じゃ残せてあと数世代だ....」

どうやらこの村の住民だった人達のようだ。

「」

「?何か聞こえなかったか?」

そう言ってさっき私にそっくりな少女が居た家の方を見つめ、物音がした物置小屋を開けると.....

「蚕妖精の子供?」

こっちに気づいたのか?

「生き残りが居たのか!?」

そう言って此方に近づいてきたひとりの男が瓜二つの私を抱きしめる

「みんな!来てくれ!」

そうみんなを呼んでみつけた村の生き残りを見せる

「!その服装は.....」

「あぁ、族長の家系に伝わる服に間違いない」

その服は私が着ている服と同じなので私の先祖だろうか。

「そういえば、族長の家は残っているのよね?」

そう紫の髪の女性が言うとスキンヘッドの男が答える。

「うん?あぁ、残っている。だが入れるのか?」


「この子ならいけるはずよ。」

そう言ってもうひとりの私を撫でるサリーと呼ばれていた女性。


つづく

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