綺麗な蝶は花の蜜以外も求める
!~よたみてい書
軋(きし)む歯車
茶髪の女性は少し強張った笑みを玄関に向けた。
「ショウジ、おかえりー!」
茶髪女性は二十代前半の容姿をしていて、身長は約百六十センチメートル。
前髪を目の上まで垂らし、後ろ髪は背中上部まで伸ばしている。
透き通った青い瞳を目に宿し、目尻はやや垂れ下がっていた。
清潔感のある衣装を身に
ショウジと呼ばれた黒髪の男性は軽く手をあげながら言葉を漏らす。
「おぅ、セイコ。ただいま」
ショウジも二十代前半の姿をして、百七十センチメートル程の身長をしていた。
髪全体が短く整えられていて、前髪は額で切り揃えている。
真黒な瞳をしていて、目尻はわずかに吊り上がっていた。
そして、カジュアルな衣装で身を整え、誠実な雰囲気を
セイコと呼ばれた茶髪女性は小さく笑いながら小首をかしげる。
「今日も夕ご飯……食べてきちゃったの?」
ショウジはとぼけた表情を作りながらたじろぐ。
「えっ、あっ、うん、食べてきたけど。あれ、連絡してなかったっけ?」
「いや、何も来てないけど……」
「えぇ……もしかして、俺、忘れちゃった?」
眉尻を下げながら肩をすくめるセイコ。
「だね。まぁ、いつものことだから慣れちゃった。うん、気にしてないよ!」
「そっか。ごめんね」
「大丈夫だって!」
「ならいいんだけど……。あ、俺疲れてるから、お風呂に入ったらすぐ寝るね」
(わたしも疲れてるんですけど!)
セイコは笑みを浮かべながら廊下の端に寄り、道を開ける。
「うん」
ショウジはやや早歩きで家の奥に進んでいき、風呂場の扉を閉めていく。
そして、セイコも家の中に入っていき、食卓に設置されたテーブルを静かに見下ろす。
テーブルの上には茶碗一杯に盛られた白米とほうれん草の味噌汁、キノコの入った芋の煮物が置かれていた。
台所からラップを持ってきたら、テーブルの上の料理をラッピングしていく。
それから、冷蔵庫の“残り物スペース”に運搬する作業を二回繰り返していった。
(わたし、なんで結婚したんだろう……)
セイコは眉尻を下げながら引きつった笑みを作り、優しく閉めた冷蔵庫の扉を見つめながら小さなため息をもらした。
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