第15話 オークの巣の攻略

「ん? なんだ! あいつ等は!」


「て、敵襲! 敵襲だ!」


 俺達が現れると、見張りをしていたオーク達が警戒を露わにした。すぐに巣の中にいるオーク達にも、俺達が襲ってきた事が伝わるであろう。


 奇襲という事もあり、虚を突く事は出来た。オークの攻撃のリーチは短い。物理攻撃による攻撃が殆どだからだ。弓でも使われれば別ではあるが……。


「火炎魔法(フレイム)!」


 セラは火炎魔法を放つ。一体のオークが紅蓮の炎に飲み込まれた。


「な、なに!? ぐ、ぐわあああああああああああああああああああああああ!」


 オークが果てる。焼き豚になった。香ばしい、良い匂いがする。


「ち、ちくしょう!」


 セラに比べて、俺の火炎魔法(フレイム)のスキルレベルは大した威力ではない。遠距離から放っても効果的にダメージを与える事は出来ないだろう。だが、直接放てれば別だった。


 とりあえず接近する。


 オークは俺を迎え打とうと、得物を乱雑に振るう。避ける事など、造作もない事だった。


 ザシュッ! 俺の剣がオークの脇腹に突き刺さる。


「ブヒヒッ! そ、その程度の攻撃が我等オークに効くわけがなかろう!」


 無論、俺の攻撃ではオークを一撃で絶命たらしめる事はできない。そんな事は検証済みだった。


「火炎魔法(フレイム)!」


 俺は剣で出来た傷口から、直接火炎魔法(フレイム)を流し込む。セラ程の火力がないとはいえ、使い方を工夫すれば十分に致命傷足りえた。


「な、なに!? ぐっ、ぐわあああああああああああああああああああああああ!」


 オークが断末魔を上げて果てた。こうして俺達は見張り役の二体のオークを倒したのであった。


「よし……攻め込むぞ。セラ。奴等の準備が整うより前に」


 既に俺達がこの巣を襲撃している事は知れ渡っているだろう。奴等もそこまで馬鹿ではない。俺達を迎撃しようとしてくる事だろう。


 その準備が整うより前に叩くより他にない。時間が経てば経つ程、俺達に利がなくなってくる。それに、クレアの事も気がかりだった。時間が経てば無事で救い出せる確率はどんどんと低くなっていく。


「は、はい!」


 こうして俺達はオークの巣の攻略を始めるのであった。


 ◆


 俺達はオークとの交戦を繰り返す。


 醜い豚のような悲鳴が上がり、そこかしこに、丸焼きになったオークの屍が積み上がっていった。


 その戦闘の数は幾多にも及んだ。数えきれない程のオークの屍を俺達は築き上げていったのである。


「……ん?」


 俺達の目の前に一際大きな扉があった。気配がする。普通のオークよりも大きいエネルギーの塊のようなものを感じる。


 間違いない。この中にオーク達のキングがいるのようだった。


 その前に俺達はポーションとエーテルを使用して、減ったHPとMPを回復させることにした。


 そして、ステータスの確認をする。強敵と闘うよりも前に、自分達の事を知っておかなければならないのだ。


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【名 前】 エルク・フリオニール




 【年 齢】 16歳




 【固有スキル】 『成長率鈍化』




 ※レベル及びスキルレベルの成長効率が鈍化する




 【レベル】 40




 【HP】    400




 【MP】     200




 【攻撃力】    170




 【防御力】    170




 【俊敏性】    150




 【魔力】     150




 【魔力防御力】  150




 【運気】     150




 【スキル】


 剣技LV70

 火炎魔法LV30


 【装備】


 ミスリルソード 攻撃力+20


 ミスリルの鎧 防御力+20


【アイテム欄】


ポーション×2 ※使用して消耗した以下同様

エーテル×2

食料×2

水×2


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流石に大量のオークを倒した事により、それなりの経験値を得てレベルが上がっていたようだ。それに伴ってステータスが向上していた。それからスキルのレベルだ。スキルのレベルは使い程に高くなる。大量に使えば使う程にスキルのレベルが上がっていくのだ。


 成長速度が遅かったとしても、大量の経験値を獲得し、沢山スキルを使っていけば確実に成長していく。


 俺はそんな自分に確かな手応えを感じていた。

 

 セラもオーク達との闘いで確実にレベルアップしているようだった。


「……よし。行くぞ、セラ。クレアさんを助けるんだ」


 俺達は扉を開ける。そして、ついに奴と対峙する事になる。


 オーク達を統べる者。オークキングに……。


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