ミツバチさんの引っ越し先の決め方(微調整前?版)
@nuneno
第1話
「お片付けは?」
お母さんから聞かれたけど、みっちゃんは、ささっとイスに座って、
「のんでからあ」
と答え、テーブルのカップを手にとった。だって、手に持っているカップの温かいお茶にはスプーン一さじ分のハチミツをお母さんが混ぜてくれたからカップから甘い香りが漂ってきて、我慢できません。
お片付けのごホウビのつもりでハチミツをたらしたお母さんは、ちょっと期待外れだったから
「何歳だっけ、まだ赤ちゃんかな?というより、まるでお大臣か幹事長だね」
と、ちょっとだけ怒った感じ。だけど、気付かないふりでカップに手をそえたまま指で、歳の数を表すみっちゃん。それから、ダイジンもちゃんとは知らないけど、
「カンジチョーって、なあに」
って、聞き覚えがない言葉についてお茶を飲みながら、たずねてみる。
「自分や仲良しな人の意見で物事をすすめちゃう大人かなあ」
昨日・今日のニュースの感想がみっちゃんへのお小言の中に自然に入ってしまったみたい。なんてことは、もちろん、みっちゃんには分からない。だけど、みっちゃんもおもちゃ片手の片手間に見てた、ニュースのVTRで画面に映っていたおじさんがダイジンかカンジチョーというお仕事か係なんだろうと思って、
「おとななのに、へんなかかりがあるんだね。 いばりんぼうさんなの?」
とおじさんと教室で威張ってる子のイメージを無理矢理、重ながら再び、たずねる。たずねながら、赤ちゃんや自分と威張りん坊について心の中で比べていると、
「そう、感染症については超党派で取り組むべきなのにねえ、仲良しグループの都合で決めちゃうのよ!」
みっちゃんに丁ねいな説明をするつもりもないからか、ニュースの感想の続きをもらすだけのお母さん。一方、よく分からないなりにお母さんのご機嫌がさらに悪くならないように、せめて、お茶を飲んだら、すぐお片付けをしようと思うみっちゃんは、同じ〝み〟が付くハチミツが好きな女の子。だから、お花のミツを集めてハチミツをつくるミツバチも好き。この前、ミツバチが出てくる小さい子用の図鑑も買ってもらったばかりだったりもする。
さて、カンジチョーについておしゃべりを続ける気もなくなって窓の外を見るとベランダに飛んできた一匹のミツバチさんに気付く。プランターのお花ではなく、置いてある空き箱や木のケースに出入りしながら、軽やかに飛び回るミツバチさんを見ているとねむくなってきて・・・・・・
ミツバチになったみっちゃん、自分ではそのことに気付かないで、はたらきバチのお仕事を続ける。
ミツバチになったみっちゃんはベランダの窓からヒト?の家の中を見る。
女の子が気持ちよさそうにねてて、近くのカップからはハチミツの香りを感じる。家の中は春も夏も秋も冬も暑過ぎず寒過ぎず、湿っぽくなく渇いてないことを知っている。もう少し奥の方も見てみる。冷ぞう庫には、たくさんの食べものを長い間、置けるし、蛇口からは欲しいとき、いつでも水が出てくる。カベの向こうにはお風呂やトイレやベッドなど色々あって、どう考えても、さっき見た空き箱や木のケースより探し求めていた場所に、ふさわしい。そう思った、はたらきバチのみっちゃんは おうちの中の素晴らしさを伝えるため、ハチのみんながいるところにもどることにする。
それにしても、みんながいる場所やハネの使い方が分かっていることを不思議に感じるのは、なぜだろう? そのワケは、さっき見た女の子と関係ある気もするけどなあ。しかし、自分の不思議など、どうでもよいことだと我に返ったみっちゃんはたらきバチはいつも通りに上手に飛びながら最短コースを迷うことなく建物などの間をぬって、ときにはサクやヘイ、堤防などをこえて、ほどなく川沿いにある小さな雑木林に入って行く。
モノカゲで人目につきにくい木の枝に、たくさんのミツバチが集まって一つのかたまりがぶら下がるように止まっている。かたまりだけど一匹いっぴきが好きなように動けて、スライムがボールみたいに丸まって、ふにゃふにゃくにゃくにゃ動くかたまり。実は今、ミツバチの引っ越しシーズン。前の巣に新しい女王バチ候補が生まれ育ってきたから今までの女王バチと前の巣には多過ぎるはたらきバチの多過ぎ分が巣を出てきたのだ。
でも、引っ越し先になる新しい巣が決まってないから、こうしてたくさんのハチのかたまりになって木の枝などに止まって、しばらく過ごしている。
どうやら、みっちゃんがなったはたらきバチは、新しい巣にふさわしいオススメの引っ越し先がどこかにないか探していて、みっちゃんのおうちのベランダに、たどりついたハチさんだったらしい。ミツバチのかたまりに、もどったみっちゃんはたらきバチは、引っ越し先を探しているはたらきバチたちが集まっているエリアへ急ぐ。そこではストリートのダンスバトルみたいにダンスをおどっているはたらきバチたちとダンスを見物しているはたらきバチが一緒いっしょになって集まっていた。
ただし、ダンスのテーマは一つだけ、オススメの引っ越し先について!(つづく)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます