第53話 不死鳥フェニックス攻略戦
なぜ、ワイバーンが不死鳥フェニックスになるのか?
例がないわけではない。
例えば、炎を操り、炎の中に生きる魔物 サラマンダー。
精霊にも分類される魔物であるが、形態が鳥へ変化及び進化したものがフェニックスになると主張する者がいる。
加えて――――
鳥の習性を持つ魔物には、卵の時点で偽装させ、他の生物に子供を育てさせる種類もいる。
彼は、普通に飛ぶ。
それだけで周囲を火炎をばら撒いく。
ただ、飛ぶ。
それだけで生物を滅ぼしていく。
ワイバーンから改め、不死鳥フェニックスに変わった魔物。その思考には変化がなかった……そう言えば嘘になるだろう。
(嗚呼、そういう事だったのか。腑に落ちた)
ワイバーンとして逸脱した強さ。
(誰よりも速く飛べた。誰よりも強かった。それは種族として違うから……)
ワイバーンとしての強者。 ワイバーンの群れの主。
彼の王国は幻想だった。
(だが、どうしてだろうか? 群れが滅ぼされ湧き出た怒りが霧散している。先ほど芽生えたはずの群れへの執着心……我の感情すら植え付けられたものだったか。残っているのは――――愉悦!)
不死鳥と成り、生物としての舞台が1つ上がった。
そのため、執着が抜け落ちた。 もはや、彼に群れを滅ぼされた怒りはない。
それでも残る。強者と戦う事を喜びとする魔物の本能。
(だから、殺す。人間どもを!)
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
森。
その周辺は炎に包まれていた。
もちろん、ジェルとシズクは生きていた。
ジェルの装備 『炎氷の杖』と『吸魔のマント』
『炎氷の杖』によって炎を分解。 周囲に残った魔力を『吸魔のマント』で回収。
それでも、炎に覆われれば生命活動に必須な酸素がなくなっていくはず。
だから2人は、酸素が燃え尽きるよりも前に地面に穴を掘った。
『
「やれやれ」とジェル。
「瞬時に土属性の魔法で地面に大穴を開けたおかげで、炎も熱も遮断されて助かったけど――――」
「ここは、炎で蓋をされた密閉空間みたなもの。不死鳥が去っていくまで持たないぜ? なんせ不死の生物だ。気長な奴に決まってる」
「わかってるさ。でも、どう倒す?」
「ふん、『どうやって倒す』じゃなく『どう倒す』か……嫌いじゃないぜ、お前のそういう所」
「そりゃ、どうも……それで、実際に殺せるの? 不死鳥って?」
「……どうだろうね。聞いた事がないって事は、倒した例が極端に少ないって事さ」
「強烈な氷属性の攻撃魔法とか弱点ぽいけどなぁ」
「それじゃ、試してみるかい?」
「待て待て、すぐに飛び出そうとするな。もう少し、相談とか作戦ってやつをだな……」
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