転移したこの世界では家賃収入でスローライフをしようと思ってます。
プラゴミ
第1章 序章
第1話 解放された力
俺の名前は一二三 五郎(ひふみ ごろう)、ここに拉致されてから1ヶ月ほど経つだろうか、日にちの感覚は麻痺している。施設の名前もわからないしどこにあるのかもわからない。
俺は超能力者だ。と言っても念力は缶ビール1つ浮き上がらせる程度の力しかないし転移みたいなことは出来ない。昔のカメラであれば念写みたいなことは出来たが今はデジカメなのですることはなくなった。
しかし、弱くとも超能力持ちなどバレては大変な騒ぎになるし研究材料として誘拐されてはたまらんと静かに生きてきたがそれも年貢の納め時らしい。毎日色々と薬を飲まされたり色々な器具を取り付けられ電気ショックなどの拷問に近いことをされている。
監禁されている部屋で。
「はあ、どうなっちまうんだ俺は。実験以外は働かなくても毎日美味いものは食えるし生活に困ることはないけど、スマホはないしゲームはあるがなんで今どきスー○ーファミコンなんだよ」
カチャカチャカチャカチャ
文句を言っているがソフトは充実しているので結構楽しんでいた。今やっているのはファイナルファン○ジーVだ。
「はあ、このゲームみたいな世界に逃げるしか自由になることはないんだろうな」
ビーッビッー!
実験の時間が来たようだ。しばらくして白衣を着た研究員らしき者が数名部屋に入ってきた。
「五郎くん時間だ」
はいはい、とついて行くといつもの訳の分からない機器が大量にある部屋へ。身体中にぺたぺたと機器から伸びるコードをつながれてベットに拘束される。
今の念力程度でどうにかなるものではないし、ここがどこかもわからない。逃げてもすぐ捕まるのもわかっているし抵抗するだけ無駄だ。
ビリビリビリビリ
「ぐ!か!か!くう!あが!」
苦痛に顔を歪ませる五郎。なんだか分からない薬も飲まされる。そんな毎日を過ごしていては憎悪が増していくのも当然だが。
そして2ヶ月もした頃。
「この薬を飲め」
渡された薬はいつも見ていた物ではないのは明らかだった。
「これは?」
「いいから飲め」
渋々飲んでみたが特になんの変化もなかった、今は………………
「ぐう!ハァハァ、ハァハァ、なんだこれは」
その夜に変化があった。
周りを見渡すと椅子やら物が浮いている。
「なんだ?今なら何でも出来そうな気がする、力が溢れ出すようだ」
五郎がちょっと念じただけで椅子がグシャリと野球のボールくらいの塊に潰れ、ボールペンに念じると整列して壁に突き刺さった。
「これは……………………ハハハ!ハーハッハッハ!」
「転移」
そう念じると部屋の外に転移していた。
「すごい!すごいぞこれは!」
しかし、すぐ近くの巡回していた警備の者に発見されてしまった。
「おい!貴様!どうやって部屋を出た!」
「げ!いきなり見つかった!」
警備の者が近くのボタンを押すと施設内に警報音が鳴り響く。
ウウウウウウウ!
続々と人が集まってきた者の手に自動小銃が見えた。
「ひえー!銃持ってんのかよ!」
「貴様56番だな!」
「あー、五郎だから56番なのか…………って感心してる場合じゃない!」
「両手を挙げて床に伏せろ!」
一瞬五郎は素直にひれ伏そうとしたが。
“ 待てよ?この力なら逃げれるだろ”
五郎が目に見える自動小銃に念じるとグシャっと一瞬でボールのような鉄の塊になった。
「うわ!なんだこれは!」
警備の者が驚いてる間に五郎は違う場所へと転移していた。
「あ、あれ?56番は?」
五郎は外に転移していた。
「なんだここは、森の中か?」
辺り一面見渡す限りの木。夜の闇でそれ以外は全くわからない。そして外のセンサーに触れたのか照明が五郎に向けて照らされ警報音が鳴り響く。
「くそ!また見つかった!」
そして迷彩服に包まれた者がゾロゾロと出てきて。
「危険対象として処分となった!銃構え!」
「えー!くそー!殺されてたまるかーーーーー!」
「撃てー!」
パパパパパパパパパパ!
襲いくる銃弾に五郎は身を守るよう念じると銃弾は五郎の2m先でその勢いをなくし停止してポロポロと地面に落ちていく。
「な!撃て撃てー!」
パパパパパパパパパパ!
しかし、その全ては同じように地面にポトポトと落ちていく。
「殺そうとしたな!許さんぞーー!」
五郎は強く念じると周りの木々が吹っ飛んでいき、迷彩服を着た者達も同じように吹っ飛んでいった。
「ぐああああああ!」
迷彩服を着た者達は建物の壁に叩きつけられ、ある者は池に落ち、ある者は空中から地面に叩きつけられていた。
「よし!これで逃げれるぞ!」
そう思った五郎だが、すぐに気づく。
“ どこへ逃げる?この場を逃げ切ってもいずれは見つかりまた逃げないと。この世界にいる限り一生逃げないといけないのか”
そうしてる間にもゾロゾロと迷彩服の者が出てくる。
「くそ!くそ!くそーー!転移ーー!」
半ばヤケクソで最大出力で念じると、空間がネジ曲がり光に包まれるように五郎の姿が消えていった。
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