第27話 なんか悔しい

宿のベッドに寝転がり、自分のステータスを確認する。


クラス:死霊術師

Lv :100→151

HP :145/145→221/221

MP :321/321→474/474

筋力 :127→216

魔力 :200→276

敏捷性:118→207


・スキル


死霊術【6→8】

死との親和【―】

剣術【3】


これが俺の現在のステータスだ。

剣士をサブクラスにして底上げしてはいるが、相変わらず残念な感じである。


一応剣術スキルのお陰で、剣装備時の筋力と敏捷性は上の数字から更に20%程アップするが……まあどちらにしても酷い事には変わりない。


因みにこのステータスだと、そこそこ強力なハイミスリルソードを装備してなお、同レベル帯のモンスターを単独で狩るのはまず不可能なレベルとなっている。

これぞ、ザ・死霊術師クオリティだ。


次はクレアのステータスを思い出す。


――クレア・ヴェルヴェット――


クラス:暗殺者

Lv :150

HP :204/204

MP :1055/1055

筋力 :204

魔力 :881

敏捷性:297


・スキル


隠密【10】

クリティカル【―】

バックアタック【3】

分身【1】

闇魔術【3】


・ユニーク


大賢者【2】


大賢者の恩恵で、クレアの魔力とMPはかなり高い。

上級魔法がまだ使えない事を考慮しても、同じレベル帯の魔法使いと比べて孫色のない強さだと言えるだろう。


「しかも、近接能力までそこそこあると来ているからな……」


スキルのレベルアップに伴い、それまでのマイナス成長部分が払い戻された形の今の彼女は、前衛用のステータスが大きく上昇していた。

まあHPと筋力はクラスの都合上低めではあるが、今の彼女にはそれを補う分身があるし、レベルアップに伴いクリティカルの発生率もあがっている。


ぶっちゃけ……魔法抜きでも、今の俺では絶対勝てないぐらいクレアは強くなっていた。


因みにだが、スキルであるクリティカルが参照するレベルはサブクラスの物も含まれる。

要はメインとサブの合計レベルが、クリティカルの発生率になる訳だ。


現在のクレアはメイン150のサブ50で、合計レベルは200。

これに0,1をかけた数字、20%が今の彼女のクリティカル発生率となっていた。


5回に1回って考えると、結構な発生頻度と言えるだろう。


「はぁ~……別にクレアをライバル視する気はないけど、追い抜かれるのはやっぱ気分の良いもんじゃないよな。早くレベル200になりたいぜ」


暗殺者はレベル180で耐久力の低さを補う完全回避というスキルまで覚えるのだが、レベル200にさえなれば、そんな物など吹っ飛んでしまう程に死霊術師は強くなる。


しかし先は長い……


レベル150までに必要な経験値は4000万程だ。

稼ぐのにかかった期間は約3か月。

レベル200までの残り1億6000万稼ぐには、その4倍の12か月――つまり、1年はかかる計算である。


キラーアントを死霊化出来たお陰で、当初の予定していた2年で200よりかなり早めのペースではあるんだが……クレアに差を付けられたせいか、正直もやもやして仕方がない。


これがもしアイシスやマクシムだったなら、きっと気にならなかっただろう。

元々あいつらの方が強かったからな。


元々格下のポンコツ。

しかも厨二病に抜かれたのは流石にショックだ。


「ん?」


その時、窓がノックされ鎧戸が開く。

そして透明な何かがそこから宿の部屋に侵入して来た。

例の護衛さんだ。


態々ノックしたのは、以前心臓に悪いと言ったのを考慮しての事だろう。


因みに鎧戸のカギは締まっていた。

どうやって開けたのか謎だ。


「持って来たぞ」


護衛が姿を現し、俺に剣を見せる。

それは俺が昨日頼んでいた物だった。


「マジで!?」


正直、用意して貰えるかは怪しいと思っていたのだが、まさかたった1日で用意してくれるとは……流石ヴェルヴェット家としか言いようが無い。


「ありがとうございます!」


俺は剣を手に取り、ニヤリとする。


この剣の名はパラライズソード。


俺のレベル上げをさらに加速させてくれる魔剣だ。

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