勇者パーティに捨てられたポーターは実は最強?~アイテムボックスがいっぱいになると魔力が回復するスキル『無限収納』のお陰でした~

あずま悠紀

第1話

"魔"とは人ならざる力を指し示す。それは時に暴力であり時に知識でありまた時に幸運であり。

これは世界を脅かす強大な力を持つ悪しき存在に立ち向かおうとしている一組の冒険者達の話である。


無限収納にはあらゆる物が仕舞える――ただし容量は使用者の能力に依存するらしい!?"勇者パーティーに見捨てられた少年"と謎の少女の物語!!"――この世界には存在しない技術によって作られた不思議なバッグがあるらしい。

それが何なのか誰も知らないけど凄まじく便利な代物らしくて誰もが喉から手が出るほど欲しがってるそうだ。ただ一つだけ欠点があって使用中は常にとんでもない量のマナを吸い取られるため使い続けると寿命を縮めるんだってさ。まあそれでも使ってみたくなるよな!

***



「ほーんと、どうなってんだよお前さんは。もう完全に人間辞めちゃったじゃねェかい」

目の前に現れた奇妙な男の第一声がこれだった。真っ赤に焼けた鉄みたいに輝く頭髪は燃えているわけじゃない。単純に染め上げていただけのようで触っても火傷するほど熱くない。むしろひんやりしているくらいだ。そして一番驚いたのはこの男の背丈だろうか。少なくとも僕と同じかそれより少し小さい程度にしか見えない。

それなのに彼は大岩みたいな両手を持ち上げて僕の身体に触れるなりそう呟いたのだ。まるで自分の身体の大きさなんて関係ないような感じ

「おーいおい大丈夫かい?まさか死んでないだろうな?」

"死ぬも何も僕は死んでいるんじゃないのか?"という言葉が出かかるけれどどうにか飲み込んだ。というより口に出せなかった。なぜなら男があまりにも不気味過ぎたからだ。まず目に映るのは血色の瞳だろう。人間の目にある虹彩とは別の部分が赤く色付いていて妙な迫力を放っているように思える。次に顔立ちだけど、これが実に特徴的だった。一言で表すなら悪魔。もしくは地獄の住人といった印象を覚える程禍々しい顔をしている。更に服装も変だ。

黒い革手袋やら肩鎧なんか身に着けているが全身黒色尽くめのせいで目がチカチカしてしょうがないぞ。

極めつけは彼の右手にあった。明らかに普通の剣

「ちょっと失礼しますね」

そう言ってから男は再び僕の身体に触れた。先程の台詞から考えるにどうにも僕を心配してくれているようだ。しかしだからといって素直に従う気には全くならなかったのだが彼の指先が触れると途端に手鏡のような物が現れるではないか。それも宙に浮かんだ状態で静止していたり手に取った瞬間に元に戻ったりするものだ。正直かなり怖いんですけどこれ一体どういう理屈なんだ!?

(でもこんな状況だっていうのに不思議と恐怖を感じないというかさっきまで感じてた筈の死への絶望感とかが無い)

どうしてだろうかと考え込むうちにいつの間にか手の中にあったはずの手鏡は消失してしまった。それから男は顎髭をさすると改めて口を開く。

「"無限鞄"は問題無しか。こっちも相変わらず異常なまでの耐久値で助かったぜぇ~。まっ、それだけ頑丈な分だけ中身の品は壊れちまってるんだけどねぇ。とりあえず俺ァ運が良い」

よく分からない単語を口にしながら満足そうな笑みを浮かべる男だが、次の瞬間には鋭い眼光を放つ瞳で僕のことをじっと見据えるとこう言ったのだ。

「にしてもあんちゃん良い素材持ってンなぁ? 見た所人間っぽいけど人間じゃない。それにその武器は随分昔に存在した伝説の武器じゃねえかい」

伝説の剣と聞いて胸がドキリとした気がしたけどきっと気のせい

「しかもその身体に刻まれてんのって呪印の一種だよな。となるとやっぱりアレか。アンタってば勇者かその関係者じゃあ無いよな?」

「ゆっ勇者ですか!?そんなもの存在する訳がありませんよ!」

反射的にそう答えていたけど本当は違うと否定しきれない自分に嫌気が差しそうになった。だって目の前にいるこの人の姿は勇者というよりも悪魔の方だし。でも勇者ってあれだろう。魔王と敵対する人類の味方をする存在のことだろ。それが何でこんな場所に居ておまけに呪いの武具を持っている僕に対して質問してくるんだろうか?意味不明すぎる! そんなことを考えていたせいか自然と頭が痛くなってきたけどここで黙っているというのも良くない

「その剣って本当に本物なのか!?俺は確かに伝説の武器だと聞いたことはあるが実際に見るのは初めてなん――――――うぐッ!?」

そこまで言いかけたところで僕の頭に激しい痛みが発生した。思わず頭を押さえ込んでしまったが、それでも我慢しきれず倒れそうになる。そして遂には地面に膝をつくとそのままうつ伏せになって動かなくなってしまった。まるで自分の意思とは無関係に意識を失ったかのように。

◆◆◆

勇者パーティーを追放されてしまった僕は、行くあても無く途方に暮れて森をさまよっていた。もういっそ野垂れ死にしようかという気分だったがそれはそれで悔しいと思い至ると同時に足を止めてしまう。そこで思い出すのは今朝方の別れ際にかけられた仲間の少年の声

「ああっもう面倒臭い奴ら!君さえいなければ僕達は平和に暮らせるんだって分からせたい!そう思うくらいイラつくよ!あーもう本当ムカツク!!とにかく君は邪魔なんだ!だから死んでよ!!」

「そうだ。死んじまえクソ雑魚野郎。どうせこの世界で生きていくのなんて無理なんだからさっさと楽になりゃあいいだろぉがよぉ。まあ俺もお前なんかと仲良く旅を続けてやろうなんて思って無かったから安心しろやボケ」

最後に二人の仲間であった少女の言葉が続く。そして彼らは同時に僕を突き飛ばしたのだ。当然受け身も取れずに背中から転んでしまい地面の上に寝

「くそ、くそくそ!! 僕はまだ死ぬわけにはいかないんだ!!あいつらを見返してやりたいんだ!!!」

叫びながら立ち上がろうとした。しかし僕の頭の中では何か大きな力に引き込まれようとしているかのような奇妙な感覚が発生し、視界は瞬く間に暗転していった。


***

目を覚ますとそこは薄暗い洞窟の中といった感じの場所だった。

「んんん、ああああ。うん?ここ何処だ。確か僕は森の中にいたはずなんだが」

ゆっくりと身体を起こすと妙に身体が軽いことに驚いた。いや軽くなったと言うよりも疲れているのに何故か身体が起き上がってしまう。まるで強制的に身体を動かされ続けているような奇妙な不快感があるのだ。

(い、一体ここは? それにあの男は誰だった

「おっ、ようやく目覚めたみたいだね勇者殿」

「勇者? 何の事だ。僕は勇者パーティーを追放された勇者とは対極の存在であるただの一般人。そう呼ばれる謂れは無いと思うんだけれども」

「いやいやとぼけなくていいんだって!どうせ今の今まで何もかも忘れちゃってたんだろ。まあそういう事なら説明してやるか。何せアンタの身体について話したいこともあったしねぇ。とりあえずこっちに来てくれないかい?」

「身体? 何を言って――」

そこで

「うがあ あ あアアッ!!!!」

突然全身を襲った苦痛によって絶叫をあげてしまっていた。

何故だ!さっきまでは何ともなかったって言うのにほんの数秒前から全身のあちこちに激痛が走るようになっている!一体これはどういうことだ!? それに身体が動かない。というか指一本すらまともに動かすことが出来ないんだぞ。それなのにどうして声だけは出せているんだ。訳がわからず混乱していると僕の様子を見かねたらしい男が声をかけてきた。さすがにこの状態はまずかったか。

「おっと悪い悪い。そりゃまだ慣れない身体にいきなり魔力を流し込まれたんじゃあそうなってもおかしくないよな。まあとりあえず説明するぜぇ?」

「頼む。というかお願いします!」

そう答える以外に出来ることはなさそうだったので、とりあえず素直に受け入れることにした。すると男から信じられない言葉を聞かされることになる。

「まず最初に言わせてもらうとお前さんにはこれからとある場所へ行ってもらう。そうしてそこから新しい人生を送って貰うことになると伝えさせてくれ。ただしその前にひとつやって欲しいことがあるんだよ」

男は真剣な口調でそんなことを言うと右手で僕の頭を掴み始めた

「お前さんの頭の中に仕込まれている厄介な代物を抜き取るためさ。そうすりゃお前さんは晴れてただの人間に戻ることが出来るんだ。分かるか?」

「ちょっと待ってくれ!僕の頭の中にはいったい何が入っているって言うんだよ?」

「さてと話はここまでだ。ここから先はお客人に決めて頂こう。そうさなぁ。俺としてはあまりこういう事をするのは好きじゃないんだが、お望みとあらばこのまま殺しちまっても良いぜぇ?」

男はニヤリと笑うなりそんなことを言い出した。正直ゾッとしたが、それでも僕は必死に抵抗を続ける。すると今度は先程よりは弱めの痛みが発生するがそれを無視してどうにか頭を掴む手を

「ぬうぅおぉッ!!」

振りほどいた。というより全力でぶん殴ってしまったという方が正解かもしれない。その結果僕の拳は彼の鼻面を捉えることになり、男はその場で仰向けに倒れることになった。

「おいおいおいぃ~~~ッ!? いきなり顔面パンチは反則だろうがァァァ~~~~~ッ!!」

大声で怒鳴りつける男。だがその程度では僕の気持ちも落ち着かなかったのである。むしろ勢いを増していったのだ。そこでもう一度殴りかかることにしたのだがその瞬間僕の身体から黒いモヤのような物体が溢れ出ると男の元へ吸い寄せられていく。しかしどうにも僕の身体からは離れようとしない様子なのだ。

「"無限鞄"もダメなのか!? チクショウこの野郎ォ!!」

彼は悪態づくと両手の手袋を外すと共に黒い塊に向けて突き付けた。

すると驚くべき事に男の右手と左手に黒いモヤが集まり始めるではないか。しかもどんどん膨張していき最終的には人の形を成すようになる。更に男は腰に提げていた禍々しい形の剣を手に取り構えるとこちらへと向かってきたのだ。しかもかなりの速度で。そして剣を振りかざすと同時に僕の首元に目掛けても攻撃を仕掛ける気のようだ。

「うわっ危なっ!!」

反射的に避けてしまったがおかげで男は剣を振るった

「クソ! 外したかぁ~~ッ」

「殺すって言った癖になんで攻撃してきたんですか!!」

つい文句を口にしてしまうが男は肩をすくめるだけで僕の話を聞こうともしなかった。そのまま再び襲ってくるのかと思いきや意外にも立ち止まる。しかし僕の方は相変わらず動きを封じられているせいで逃げようにも逃げることが出来ないでいるのだ。

「おっといけねぇ~~~」

そこで男の方も何かに気づいたらしく「やべえやべえ」と口にしながら懐に手を入れ込むと何かを取り出すと僕の胸板の上に置いた。それは小さな宝石のようなものだったが、不思議と見覚えのある物に思えた。

(これって確か。あの変な道具屋で見たことあるな)

「アンタが身につけているその武具。それは元々は魔剣と呼ばれていてねぇ。しかもその中でも特に強い能力を備えた品だったりするのさ」

「まけん?」

"またよく分からない言葉を使われて戸惑っていると男から補足の説明を受けた。

「まあ分かりやすくいうなら普通の剣と違って魔法の力と相性が良いってところか。例えば剣の能力を使えば使う程使用者の腕が磨かれるといった具合の効果が発揮されたり、あるいは特定の属性魔法に対して威力を増強するような性能もあるんだ」

「ほえぇ~」

いまいちピンと来なかったが僕は感心するしかなかった。そして次の瞬間には彼の口から意外な単語が出てきたんだから。それも僕にとっては驚愕の内容となってね。

「まっ今はこんな説明をしたところで理解出来ないだろうけど。それよりも大事な事があるんだ。良いかい。落ち着いて良く聞くんだ。そしてしっかりとその身に刻むがいいさ。アンタの新しい肉体となるその鎧の名は"魔導鎧ゼフィスト""この世界とは異なる技術によって生み出された代物さ"」


***

それからどれ程の時が流れたんだろうか。気が付けば俺は見知らぬ洞窟の中をさまよっていたのだ。そういえば俺は確か謎の人物から説明を受けてそのまま気絶してしまっていたはずだが、その後のことは一体?

(そうだ! 俺はたしか

「勇者」と呼ばれていたはずなんだ。なのに今じゃあまるで違う名前を名乗っているし どういうことなんだ??)

訳が分からず悩んでいると、いつの間にか周囲の様子が変化していた。さっきまでは暗い雰囲気の洞窟といった感じの場所だったというのにも関わらず、まるで別世界に飛ばされたかのような感覚に陥るような場所に変わっているじゃないか。

壁は水晶のように透明でありながらも淡い輝きを放つものに変化してしまっているし、地面に敷き詰められていたのは赤や黄色といった様々な色合いの絨毯を思わせる草花ばかり。空を見上げてみれば青空の代わりに紫色に輝く星々

「綺麗なんだけどさ。ここはいったいどこなんだよ?」

途方に暮れかけた俺に何者かが話しかけてきたんだ。でもそれが人ではなく動物だということに気づくまでに少し時間がかかった。だって俺の知る限りそういった生き物は存在し得ないからだ。

「初めまして!あなたが新しく私のお城へ来ることになったお客様ですね!」

俺の前に現れたのは一見したところ10歳くらいの女の子にしか見えないが、背中には翼が生えており手の平から光を放っていることに驚いてしまう。しかし彼女は自分の事を天使と名乗ると、笑顔でこう語りかけてくるのだった。

「"神より生み出されて、この世に存在する全ての種族の頂点に位置する存在にして絶対なる管理者たる者。その御身をもって地上に奇跡を成せ!!

この世の秩序を守るべく我らを守護せよ!! 真の名:ラファエル!!我が願いに応じよ!!"』」

突如として現れた少女の姿

「はじめして!」と言って挨拶してくる彼女の背には白い大きな羽 まるでファンタジー映画に出て来る登場人物のようだと思いながら呆気に取られていたが、突然目の前で繰り広げられた光景を前にして唖然としてしまった。

というのもその言葉を聞いた途端 まるで地面の下から巨大な腕が伸びてきたかの如く、地面の一部が盛り上がったと思ったらそこから何かが飛び出てくる。そしてその正体が何なのかを知った僕は愕然となってしまう。なぜなら飛び出してきたそれはあまりにも異形の姿をしている魔物だっていうことに気付かされたからである。

「ちょ な ななな なぁッ!?」

言葉を失う僕に対し

「あれは私達の仲間なんですよ! みんなが協力してくれたおかげでこうして貴方に会うことも出来たわけです!さぁどうぞ中へ! 皆さんきっと首を長くしてお待ちしておりますから」

嬉々とした様子の少女に誘われる形で僕の足は勝手に前へと進んで行く。というより彼女から離れることが出来なかったというのが正しいか。そうこうしている間にもその異形な怪物に飲み込まれていき、ついに視界は完全に真っ暗になってしまう

「ふひぇあ あ うあああ~~ッ」

情けない声を出してしまい、同時に全身が引き裂かれてしまうのではないかという恐怖に襲われた。というか既にその兆候が現れつつある。僕の全身は鋭い刃物で切り裂かれているみたいに激痛に襲われていた。

「痛ってぇーッ!? なんなんだよこれは!? うわあッ あ ぐぅ ぎゃあッ やめて もう勘弁してくれよおお!!」

泣き喚きながらもどうにか痛みを和らげることは出来るかと考えたのだがどうすればそんなことが出来るのか皆目見当もつかなかった。なので僕はとにかく必死になって叫んだ

「"助けてくれええ!誰かあ!!!!"いだい だじゅげてくあはは れ!!?? あっはっはあがぁッ!!」

笑い出したかと思うと今度は苦しみ始める僕の姿を見て少女はとても楽しげな笑みを浮かべるのだった。そんな様子を目の当たりにして僕は戦慄するしかない。まさかこれが"死の間"って

「あはっ!あはははは!苦しそうにしていますね!でも安心して下さい。この先に行けば直ぐに痛みも無くなって楽しく過ごせる場所が待っています。だから早く行こう! そうしよう!」

「そ そういう意味じゃない!この化け物から出し ううぅぅッ!!」

痛みが一層激しくなってきたせいで僕の叫びも次第に弱々しいものへと変わっていき ついには力尽きるとその場に崩れ落ちていく。そうしてそのまま僕の意識も暗闇の底に消え去ろうとしていたが、その寸前に僕の耳に聞き覚えのない女の声が入り込んでくる。するとそれまで僕の事を苦しめていた怪物の身体が溶け始めたのである。

やがて怪物が完全に消滅し終えた時には僕も完全に息

「うわわッ うぇぇぇッ」

吐いた。胃の中に溜まっていたものが一気にせり上がり、口から飛び出す。そうやって暫くの時間は悶絶していたのだが、どうにも気持ちの悪さは抜け切らず 仕方ないから我慢しながら歩くことにした。

(しかしさっきの女は何が目的なんだろう)

「ねぇねぇ!あの人まだ起き上がらないんですかね。ちょっと心配なんですけど。それに何時までそこに居る気なんですか?」

少女が言うと先程の女のものと思われる「もう少し待つのだ。彼から事情を聞かなくてはならぬのでな」と言う声と共に

「うわっ!な なんか こっちに来てる」

慌てて立ち上がってその場を離れようとしたのだけれど

「何処へ行く気だ?我輩達の城にようこそ人間」

いつの間にやらそこには先程の女の姿が存在しており僕はギョッとさせられてしまった。だがそれ以上に僕の頭の中にある一つの可能性が思い浮かぶ。この人 本当に僕をこの世界の住人にしようとしてきた連中の関係者なのか だとしたら僕の命を狙っている可能性がある。

「お前 誰だよ!どうして俺に付きまとうんだ!」

警戒を隠せないままに問いかけると彼女は口元を僅かに歪めつつ微笑んだ

「フム。どうやら君は我々についてあまり詳しいことを聞かされていないようだな。では一つ教えてあげようとも」

すると僕の耳元に顔を近づけてくるとこう

「我輩こそが君を導くためにこの世に現れた案内役なのだ」

***

「さあ着いてこい」

彼女に言われるがままついていくことしばらく。ようやく辿り着いた先は巨大な建物であった。それはこれまで見て来た中でも一番立派な作りとなっており、建物の中央にある巨大な塔からは何か神秘的なものを感じさせられる。しかしそれでも僕は素直に従うつもりにはなれなかった。

「こんなところに来いっていわれて誰が ぐへッ」

「いい加減に黙らぬとこのまま絞め殺すぞ」

いつの間にやら首に手をかけており僕は息もまともに出来ない状態にされてしまう。そうなってしまえばもう抵抗など不可能に等しく、大人しく従う他なかった。というより下手に逆らったり

「貴様の魂は消滅してしまうぞ。そうしたら二度と生まれ変わることなど出来ないだろう。そして肉体の方もまた死ぬだろうな」

「いいいいい や いややぁ たすげでえええ」

死にたくない一心で懇願し その願いが届いたからか なんとか解放される

「ゲホッ!ガハアッ し しぬかと思った。てか 俺 死んだよ。だって殺されちゃったもん」

「大丈夫ですよ この程度では人は殺せません。せいぜい少し苦しいだけです」

その言葉を信用したわけではなかったが、これ以上ここにいても無駄だというのなら帰るほかないだろう。そもそもこの場所に用なんてないし 帰りたいんだけど

「ところでその入り口の扉は一体どうやって開くんでしょうか」

「それについては気にしなくても良いさ。我が手をかざせば自動で開く仕組みになっている」

その言葉に促されるがまま扉の取っ手を掴むと そのまま勢いよく開け放つのだった。


***

そして

「よう 待っていたぜ お客さんよ。俺はここの責任者をしているものだ。気軽にオジキと呼んでくれたまえ!」

「初めまして!」「よう やっと起きたか」「いやいや随分とお疲れのようだったからさ。俺としてはゆっくりさせてやりたかったんだけどな」

出迎えてくれたのは五名の男性陣だった。彼らはそれぞれ違う見た目をしており年齢もかなりバラバラだったが

「どうぞ どうぞお座りになって下さい」

そして何故か椅子に座っている一人の少女だけは全員が共通していたのだった。それもそのはず、彼女は

「あー もしかして神様? それと俺が眠っている間になんか変なこと起こらなかったかな。例えばさ」

僕の質問に彼女は答えずただニッコリと微笑むだけ

「う うん 別に大したことは無いんだ。ただ その、そうだ。君には勇者の素質があるかもしれないからこの世界に招き入れたんだ。どうせ元の世界でも生きていけないような奴なんだから、これから頑張ってくれればいいんだって。でもまさかここまで酷いことになるとは思ってもなかったよ」

困り果てた顔を見せる彼女を見て流石に罪悪感を抱く。とはいえ今の

「あはは でも気にすることは無いんだよ! 君の事は全部知っているからね。だから安心していいからね!」

その言葉は嘘でもなく真実でもあったので 僕としてはあまり文句を言うことも出来なかった。

それにしても彼女 いやその 少女の姿を眺めながら 僕は 僕は、彼女の事をどこかで見たことがあるように感じられた だけどそれがいつのことだったのか どんな相手と関わりを持っていたのか全く思い出せなかった。というわけで僕が考えていることを察してか「私は君とずっと一緒だったのさ」

そう告げられるが 正直 どういった反応を見せればよいのかさっぱり分からない。それに

「な なんかさ。あんたら俺のこと 凄く興味津々に見ているよね。いやぁ 照れるなぁ」

僕の視線が自分達に向けられていることに気付いた男性達は途端に頬を赤くしてはモゾモゾとし始め しまいにはチラリと見てきたかと思うとその目を輝かせるのである。

あぁ分かるとも。彼等の反応が何を意味するのかは良く分かっていた だからこそ余計な事を考えないようにした。

というか、今の状況で下手に考え込むべきでないことくらいすぐに分かった。

「あーっと それより俺が眠っている間になにか変わったことはなかったの?ほら、俺 何も知らないんだしさ」

こうなった以上は強引に話題を変えて誤魔化そうとするのが最善の策であろう

「ふふっ あははは あははははっ!あはははははっ!!」「は?」

「あーっ はははっ!もう駄目です!笑っちゃいますね!ははっ!」「あぁそうかい。好きにしてくださいな」

僕は呆れた口調と共に肩を落としてみせたのだが、少女が楽しげな笑い声を上げるなり皆も同じように笑うのだった。

しかしそんな状況も長く続くことなく突然鳴り響いたチャイムによって終わりを迎える すると僕以外の男達が一斉に立ち上がり「失礼します。これより定例会議を始めます」と口にした。少女はといえばそんな彼らに「あ ごめんね。今日はちょっと忙しいので、また後で話しましょうね」とだけ伝えると足早に去って行ってしまうのだ。

「まあそういうことだ。そういうことになってしまったのだ」

いつの間にやら僕の目の前に立っていた女性が語り掛けてくる。それはあの怪物と同じような姿をしており、そのことに僕はギョッとさせられるも 不思議と恐怖を感じはしなかった。というのも先程の件もあり、僕としてもそこまで怯えることなど出来なくなっていたのである。

だからといって素直に話を聞く気にもならずに どうすればこの場を乗り切れるかを考える。しかし僕が何か言いだすよりも先に「では始めるとするか。我輩の名は ん 名前か。ああ、そうだな 我輩は君を導く案内役だからな。君達人間から呼ばれるとすれば"女神サマノヤカタサン"という呼び方が適当かもしれぬな」

「そうか なら それで頼む。あの女神とやらは俺を案内するためにここに呼んだと言っていた。ということは お前はあの子の使いの者か?」

僕の問いかけに彼女は一瞬ではあるが表情を曇らせると小さく首を横に振る。

「残念だが違う。だが近い存在で有ることは確かだな。何しろ我輩こそが」

そこで言葉を止めた彼女が次に放った一言を耳に入れた瞬間、僕は思わず固まってしまった。それは

「この世における神の頂きに立つ存在だ」という言葉。つまり僕にとっては最も近づきたくもない相手だと言えるのであった。

僕はその言葉を聞き終えた時点ですぐさま逃げ出したくなったのだけれどそれは叶わなかったのだ

「おっと待った待った。我輩はまだ用事がある。故に貴様を連れていくぞ。貴様にはまだまだ利用価値がありそうだしな」

彼女はそう口にしながら僕の背後に回ると両耳を鷲掴んで引っ張ると同時に持ち上げたのだ。僕は必死に逃れようとするも

「あ痛ッ!」

「フム これで貴様は完全にこちら側の存在となったな。では行くとしよう」

そのまま彼女は歩みを進めてしまい、慌てて立ち上がってついていくこととなる こうして連れてこられた先は 薄暗くて肌寒い部屋だった。壁にはいくつもの魔法陣が描かれ、床の上にも複数の円が存在しており、それらはまるで怪しげな雰囲気を醸し出している

「ここって一体なんの部屋なんですかね」僕は素直に疑問をぶつけてみるが しかし返答が返ってくることは無かった。

代わりに彼女は壁に向かって歩き出したのでその後ろについていき様子を確認する。するとそこには僕の身長の倍以上はあるだろう高さの壁が存在するのみで特にこれといった変化は見られない

「なんだよ ここは。本当にただの変哲も無い場所じゃないかよ」僕は落胆の声を口にしたのであるが、それを聞いた彼女からは何も言葉は発せられない。その代わりというべきか 今度は僕の背後から両腕が伸びてきて腹部あたりでガッチリと拘束されてしまう。そして彼女は

「さて 準備はこれでよしと、早速儀式に取り掛かるとするか」というなり指先で軽くなぞりながら「我が魔力を持って汝に力を貸さん」などと唱え始めたではないか 次の刹那、彼女の手の平からは真っ赤に輝く光の球体が姿を現したのであった。

やがてそれは膨張していき僕の頭ほどの大きさになると動きを止める 。彼女は満足そうな笑顔を浮かべると両手を広げてみせるのであったが、その直後に光が爆ぜたのだ。

「きゃあ!」

少女の悲鳴が上がる中、光の中から現れた物体を目にした時 僕は思わず唖然とさせられてしまう 。なぜなら 彼女の腕の中には巨大な水晶のような石があったのだった。しかもそれは眩く輝きを放ち続けており それが意味する事柄は一つしか無かったのだから

「な なあ これはまさか」僕はゴクリと唾を飲み込む音を立てつつ尋ねてみると「ふふっ これが勇者の力というものよ」

「え?勇者?俺が?勇者だって?はっはっは! いやぁ面白い冗談だな。でもまあ俺みたいなクズに勇者ってのが似合うとは思えないけどね」

自分でも口角を上げているのが分かる。それほど

「ふむ。しかし現に君は選ばれし者なのだよ。それも勇者の資質がある」

そう言われると途端に胸の鼓動が早くなっていくのが分かった。だってこんな僕に力が与えられると言うんだ。それなら、それならば、俺にだってまだチャンスがあるかもしれない しかしそう思えば思う程、冷静になって考えてみれば、どうして自分なのか? という思いは消えてはくれなかった。何故なら この世界の人達は勇者として選ばれるにはあまりにも弱すぎるからだ。そんな奴等と僕を比べても差が激しかったのは間違いないだろう。

「おぉ そうだ 君にこれを渡しておくとするかな」

彼女が懐に手を入れるや否や

「ほれ 受け取りたまえ」

僕に差し出してきた物は一本の小刀だった。それを目にしても

「は? いや 別に武器とか必要ないでしょ。そもそも俺は戦いに行くわけじゃないしさ」

僕のその答えを聞いてか 彼女はクスクス笑い出すと「なぁに遠慮することは無い。これはただのお守りだからな」と言ってくれた

「あーうん ありがとうございます?」よく分からないまま返事をする。でも小刀は鞘に入った状態のままであり刃すら見えていないのだから少しだけ怖いような気がしてしまう

「あぁ その剣だけどな。実は特別な能力が付与されていてな。簡単に言うなれば使用者の成長速度を大幅に向上させる代物だな」

僕はその説明を受け、改めてその不思議な魅力を感じる。確かにこれを使えば今よりマシな強さを手に入れられるはず しかしそれと同時に

「いやぁーどうもすみませんねぇ」という情けない声が漏れていた。それは自分の中に芽生えた感情に対してだった

「ん?なんだね急に謝ったりなんかして」そう言われてしまうが仕方がない。何しろ自分が今どんな顔をしているのか良く分かっていたからである。それは恐らく笑っているように見えたことだろう。そう思い込むようにしてみせながらも僕は声を発した。

だって今の俺にはまだ夢があって欲しいと思ったから、その為にはこの程度のことでへこたれちゃ駄目だから そう思ったのは本当だ けれど僕の中にある小さな心は正直だったらしく口から出る台詞はまるで別人のもののように聞こえたんだよね。それに驚いた彼女が一瞬ばかり怯んだところで僕は一気に畳み掛けていった。こうなった以上は最後まで突っ走ると決めてしまったから だからこそ彼女は目を丸くしたまま言葉を失い呆

「あのーちょっといいですか。貴方の言葉を信じてみたいと思います」と 言ったんだ。すると女神サマノヤカタサンを名乗る女性は「ほう 貴様は自分の置かれている状況を理解した上で我輩に付いて来たいとそう言っているのであるか?」と尋ねてきた。それに対して僕は大きく首を縦に振って見せると そこで彼女は初めて満面の笑みを見せてくれたのである。

すると僕の脳裏に突然にしてとある文字が映し出された。それは

『ステータス画面』という名前らしいのだが、そこに表示されていたのは以下の通りだ。

◆スキル詳細:《アイテム鑑定LV3》

:対象の物品の価値と情報を調べることができる。熟練度によって得られる情報の正確さが決定される

「おおぅ」思わず感嘆の息が洩れる だっていきなりだもの。しかも目の前の女神と名乗る少女と同じような格好をさせられるとまできたものだから。まあそれはともかく今はもっと大事なことが有りそうだ。僕は意を決して

「あの女神から聞かされたんです。この世界が滅亡しかけていることを」そう口にした。しかし僕以外の人間からは驚きの声も上がらないし それどころか視線を逸らす始末

「え あれ おかしいですね。あの女神の話を信じるのであれば」

僕だけが変人扱いされてるような空気が流れているせいか焦りを感じてそう口走ってみるが「ふむ。なるほど 貴様の言い分も分からぬではない。しかしながら事実なんだよ」と言われてしまった。そして続けて「しかし心配無用だよ。なにせ我輩達がこうして貴様の元に訪れているのがその証明と言えるのだぞ」なんて言葉も告げられてしまう。そして更に続く言葉で僕は混乱の渦に呑み込まれていくこととなるのだ 彼女は続ける

「先ず最初に我輩は君が勇者に相応しい器だと認識できた故に、こうして会いに参ったのであるよ。さっき我輩の腕の中にあった石を覚えているであろう?」彼女は右手の親指を立てると天井

「つまりは空を指しているわけだが その一角に向けて真っ赤に輝く石があったのは記憶に残っているはずだ」

「えっと確か 僕をこの場に呼んだ時に現れた光の中に浮いていたアレのことですよね」

「左様。そしてそれは 神域に住まう女神の力が結晶化したモノに他ならぬのだ」

その話を聞いて思わず僕は絶句させられた というのも 彼女の言葉の意味を理解することが出来なかったのだ。けれど僕のそんな反応は当然の事として受け取られてしまい「やはり信じてくれないか。まあ無理もなかろうな」というなり溜息を吐き始めると僕の隣を素通りしていく なので僕は彼女の背中を追い掛けたのだ

「お待ちください!まだ何も言ってないんですけど」と声を掛けると彼女は歩みを止めて振り返って来た

「む 何をそんな慌てることがある? 貴様が知りたかったのはこういうことであったのではないかな」

すると彼女は腰に差し込んでいた鞘に収まっていた短剣を引き抜くと僕に投げつけてくる。咄嵯に両手を差し出して受け止めようとすると それは見事に僕の手の平の上で停止して見せた

「え?どういうことだ? なにが起きたんだよ!」と思わず叫んでしまうがしかし、そんな僕を見て「どうだ?信じられるだろう?」と返されてしまう。それ故に「はい もう疑ったりなんざ出来やしないです」と答えることしか出来なかった

「ふふ 良い顔になったな。それでこそ我が見込んだ勇者だ」そう言うと僕の頭上に手を乗せてくれると「では行こうではないか。さあ共に世界を救ってみせるぞ」と促されるままに僕は立ち上がり歩を進めてゆく それから程なくして僕は気付いた。自分が立っているのが何の変哲も無い廊下ではなく、明らかに石で作られた階段だということに 。

そう これは地下に続く長い螺旋状の道なのだ。

そしてその光景を見つめていたのは一人や二人といった数ではなかった。そればかりか僕の他にも何人かの人々がいて同じようにして立ち止まっている姿が見受けられるのだ。そんな彼らと目を合わせることになるのであるが、

「お前達もここに呼ばれたのか」彼等もまた困惑した様子で呟くと再び歩き出す。僕は「はぁはぁ ちょっと 待っ」

呼吸を整えながら声を上げようとしたが その前に彼女に追い抜かれてしまった為「おぉ 待たせてすまなかったな勇者よ」という言葉を残し先に進んでいく「はっ はぁっはっ ひゃぁ」僕は慌てて追いかけようとしたところで再び足元の石板の存在に気付いたわけだ。それはこんな感じで書かれている内容だった ◆称号について

『勇者召喚に巻き込まれし者』『勇者の資格を持つ者』

:異世界より来訪せし者達に与えられる証であり、これを与えられる者は 勇者パーティの一員として認められ仲間として扱われることになる また勇者の使命を果たすことにより

「真の勇者」としての覚醒が可能となる 僕は改めて女神から受け取った刀を見る。そしてその柄に刻まれている文字を読んでいる内に段々と心臓の鼓動が激しくなっていくのを感じていた だってそこにはこう記されていたんだ

「『真勇者の魂を継ぐ者』」ってね。そんな風にして自分の運命と向き合っていると不意に「ふむ ようやく辿り着いたようだな」と背後からそんな言葉を囁かれ 僕達は揃って足を止める すると前方に見えていた重厚な扉が開かれていきその奥に何があるのかを晒け出し始めた それは大きな部屋 壁際には松明が設置されており炎が揺らめいていて、それとは別に魔法の力で明かりとなっている水晶玉のような物が至る所に設置されていた そしてそんな

「ようこそおいでくだされました!勇者さま!!」

と大声を張り上げてきた女性に視線を向けると僕は息を呑むこととなる。何故ならそこにいた人物は 美しい容姿を持ったエルフ族と呼ばれる亜人種の女性だったからである そう ここは迷宮都市ラガン ダンジョンを踏破せんとする冒険者が集い 日々攻略と素材の回収を目的とした活動をする場所 その街の一角にある

「はい これで登録は完了しましたのでこちらをお持ち下さい。これは仮身分証明書となります。これを門を通る際に衛兵に見せていただき、その上で提示すれば、貴方の身元を保証することが出来ます。それと申し訳ないのですが規則なんですよ」

そう言って差し出してきたカードを受け取った僕は その内容に驚いてしまった

「あれ?これって本当に大丈夫なんですかね?」ついつい僕はそんな質問を口にしてしまう それも仕方がない そのカードは『勇者専用』という文字が書かれていたのだから"え 嘘でしょう?いやいや流石に無いと思うんだけどなぁ" だって勇者専用のアイテムだなんて聞いてないし そもそもあの自称女神からして

「ほれ」とか「それだ」みたいな曖昧な指示しか貰えなかったんだもん それどころか「勇者に相応しい武器を探せ」なんて言われちゃうし

「あのーやっぱり何かの間違いじゃないでしょうか。このカードの効力は凄まじくて下手したら悪用されたりしますよね。もしそうだとしたら そんな危ないもの持ってられません」と 僕はカードから手を離す すると 目の前にいた職員さんの顔つきが変わる

「ちょっといい加減にしてもらえませんか?」

「あの すみません すみません でもですね」そう口にしたところで再び怒られる羽目に

「はあ 困りますよ せっかく用意したものを渡さないと仰いますか?」

「はえ?」僕は意味が分からずに目を白黒とさせている そして次の瞬間だった 彼女は僕の胸倉を掴み上げて「いいから早く受け取りなさい」と言い放つとそのままカードを押し付けてきた そんな状況に僕も混乱していたのだ なので「は はい ありがとうございます」なんて言いつつ受け取ると 彼女は「ふん まったく 面倒ばかり掛けさせるんだったら勇者になんか任命しなければ良かったわよ」なんて捨て台詞を残すなりその場を離れて行く。それを見ていた周囲の人々はクスクス笑いを浮かべていたが僕にとっては迷惑なことこの上無かった。だって「おい 見てみろ あいつってば あんな風にあしらわれてんぞ」

「はははは 本当だぜ。ったく可哀想だよな 勇者サマは」など まるで小馬鹿にするかのような態度を見せられているのだから。そんな扱いを受けてしまえば怒りの矛先が自然と向かざるを得ないのが人の性というもの

「ああん テメェらは黙ってろ」そう叫びながら立ち上がると僕は男達に掴み掛かろうとした。しかし相手はそれを難なく避けると「お やるかコラァ」などと威勢よく言ってくる始末 そこで僕はハッとなる そう 目の前にいる連中は明らかにチンピラ つまりはこの都市の治安を守ってくれているという自警団的な人たちなわけだ。そう思った僕は直ぐに「ごめんなさい 何でもありません」なんて言い残してからギルドを出ていくと街中を彷徨くことにする

「どうすりゃいいんだよコレ」そうぼやきながらも僕はまだ諦めきれずに街の外に出ようとしていたのだが、その道中にて奇妙なものを発見することとなった それは一本の道に出来た人混みの輪だ 興味を覚えた僕は近寄っていくとその人垣はどうやら露店商の前で展開されているようであることが分かり少しだけ安堵したのだけれども、それがまさかの事態だと知ることとなるのである 何故ならば僕が目を奪われていた品とは、なんとも不思議な輝きを放っている石であったのだ それは拳程度の大きさをした透明度の高いガラス球のような形で中に緑色の小さな物体が存在しており時折チカッチカッと点滅するような光を放っているのだ そしてそれは驚くべきことに宙に浮かんでいたりするから尚更

「は はい!? なんだこいつぅ!」思わず叫んでしまった僕は「お こいつは驚いたね その若さでスキル鑑定を出来る奴に出会うことになろうとは全くもって思わなかった」と そんな声をかけられた。そして振り返ってみれば背の低い少年のような姿格好の人物が立っていた その顔は童顔というやつで年齢は十代半ばにしか見えない程に幼い けれどその瞳に込められた強い意志と力を感じさせる眼差しからは老練な人物の雰囲気も感じ取ることが出来た。その人は腰に長剣を差し込んでいて背中に弓を背負っていて矢筒を手に持っていたが、僕は何より彼の頭の上に猫耳が存在しているのが目に入ってきたため、つい

「あっ」なんて言葉が漏れてしまう そんな反応を見せた僕に「どうした坊主?オレの頭に何か付いているかい」と尋ねてくる。すると僕の口から「あ いや 失礼しました」なんて言葉を絞り出した直後だ。「ふっ」と鼻先で笑われる

「まあ気にするな。しかしお前さんには見所があるな。なんせ今の一瞬だけで それだけの反応が出来るんだからさ。ただのガキってわけでもないんだろう?」

僕は慌てて「えっと 僕は」

「はっは 悪いな驚かせちまったかな」そう口に

「実は俺の名はザイン。今は冒険者をしている身さ」

ザラインと名乗るその男は笑顔を見せると同時に片手を伸ばしてくると握手を求めてきたが それに応じて良いのか迷っているうちに腕を引っ張られてしまうと強制的に握り合わされていたのだ。そうして互いの手の感触を確かめることになるのだ。それはザイオンの手は大きくゴツゴツしていて皮も分厚いものであり、一方で僕の手はそれに比べると華奢なもので柔らかいといった差違があった だけど互いに確かめ合ったことで、そこから相手の考えを察することは出来てしまって だからだろうか、僕らの間に流れたのは何ともいいようの無い空気だった。するとそこへ突然の声が飛んできたために僕も、そして恐らくだが目の前に居る人もビ

「おぉい! そっちの兄ちゃん」

見れば何やら体格の良い男が数人こちらへと向かってきている 彼等は手にしている物を掲げては掲げる そこには『奴隷売買許可証』と記されていた ◆◆◆◆◆◆

『奴隷制度がこの世界にはあるらしい。それも貴族が権力を行使できる場所での制度として確立されているようだ ただし その事実は世間一般で知れ渡っておらず、あくまでも裏社会

「闇取引の商品」として扱われてしまっている』

「あの 僕には関係ないですよね」僕は震え声で呟いていた

「そりゃそうだ。だから心配はいらないってことだな」

そんな事を言っているが僕としては心が穏やかではなくなる。なぜなら僕が勇者だなんて称号を持ってしまった為に「もし売っぱらうなら早い方がいいだろうな」などと言われてしまう始末だ それに先程のやり取りで僕という人間に対しての信用を得られたのか否かまでは定かではないけど、少なくとも僕は、まだ勇者パーティに

「そんなことは絶対にしたくない」

すると それまでずっと話を聞いていたザラインさんが唐突に声を張り上げると奴隷の人達に向けて言う

「そこの連中! お前達は騙されてるぞ」と 途端に周りに居た人々の視線が集まりだす

「あ おい」僕は思わずザラインさんの肩を掴むと「ちょっ ちょっと待ってくれ。俺は」

「いや いい。それより君達は今すぐここを離れろ」

「え?いやいやいや どういう」

そこで一人の男性が駆け寄るなり声を上げると「てめぇ 誰に向かってそんな口を」と言いながら近づいて来るではないか。そこでザライナーは

「邪魔するんじゃねえ」と一喝。その迫力に負けた男性だったが「な なんだと クソ」そう吐き捨てるように言って立ち去ると別の方角へ走り去って行った そうして場が落ち着くと 僕は彼に尋ねる

「あの ザライン さん?」と すると「ん なんだよ?」と返事をするなり、その顔を向けてくる。それに対して

「えっと どうしてあの人たちを止めたんですか?」

「なぁに簡単だよ。あんな奴らの言い成りになってたまるかって思ったのさ。それとだ お前も気をつけた方が良いぜ」

そんな事を口にされて「え? どう して」そんな疑問を抱くと

「お前さんは自分の価値を知らないのかもしれないが、もしも金になるような代物が転がっていたら間違いなく狙われることになるぜ」

そんなことを口にされたものだ。

僕は思わず息を飲む

「なに そう怖い顔すんなって」とザライナーに言われても僕の身体に走った怖じけというのは消えず

「え えとですね」なんて口にしていたら再び彼が「ほらよ」と言って渡してくる

「あ ありがとうございます」

「おう また何かあったらオレを頼ってくれ」そう口にされると「はい よろしくお願いします」なんて言いながら受け取った僕は「じゃあ お先に失礼します」と告げてから踵を返していくのだが、その時だった 背後から声を掛けられて その人物に僕は驚きの声をあげてしまった。そう だって相手はこの都市にやってきて最初にギルドを訪れた時に遭遇した職員の女性であったからだ。

「貴方ねぇ あんな所で変なこと言わないでもらえませんか?私の立場ってものもあるんですから」と呆れた様子を見せられてしまい僕は焦りまくってしまうわけだ だって彼女の立場が不味くなれば 当然の事だけど僕の立場まで危うくなるわけだから。そんなわけで「すみませんでした。もう大丈夫ですから安心してください」とだけ口にした僕は逃げ出すようにしてその場を後にしたのだよ そして街の外を目指す最中 僕としたことが忘れていたことがあって振り返ると慌てて戻ってみると既に誰もおらず「あちゃあ」と口にしつつ それでも念の為には周囲を警戒してみたのである。しかし

「やっぱり あれだけ大勢の人がいるわけだしな」そうぼやいたところで仕方が無かった 僕は気持ちを切り替えることにした。なにせ今は もっと大事なことを考えるべきだと思ったわけで まずは僕が持っているこのスキルに関してなのだが これに関しては、はっきり言ってしまうと僕が欲しいスキルではなかった 何故ならば【魔力回復】というスキルは魔法を使う者にとって非常に便利な能力を有している

「つまり 僕が欲しかった能力は別にあるんだよな」

僕は、その答えに辿り着いていた それは僕の胸元に浮かんでいる小さな宝石である。その見た目こそ水晶のように見えなくも無いのだけれども、どうやらこれはガラス球であり 中に緑の物体が入っていることが見て取れた。そして不思議なことに僕と触れ合ってからは常に輝きを放っており「お前さんが勇者だ」などと言われたことも手伝って自然と期待してしまう しかし現実はそう甘いものではなかった。

僕は街中を歩く間にスキルを詳しく知るべく試すことにしてみた そして判明したことは まず第一 このスキルの効力について

「魔力を無限に引き出す事が出来るのか」

これが本当だと

「どれだけ戦えるのか分からないけれど」

第二 発動の仕方だが 僕はステータス画面に意識を集中させると

『使用条件を満たしています。スキルを使用しますか?』

そんな表示が出現すると共に選択肢が表示されていたのだ

「うん。まあいいか 使っちゃうか」

そう呟くなり僕は自分の手へと魔力を集め始めることにした。その結果 なんということだろうか、手の平の上に緑色の光を放つ光の玉のようなものが出現をしたのだ その瞬間に僕は自分が得た力の恐ろしさに恐怖を覚える。なんせ今までの人生では

「こんな現象なんて起きたことが無いし 見たこともない」と困惑してしまったくらいだ そして僕には一つ心当たりがあった。だからこそ思うことがある 僕の

「この力がもし本物だと仮定すると 他の勇者が持つ力と比較をしたら凄いことになるんじゃないかな」

そんなことを考えてしまっては「いや 待て待て待て待て」と首を左右に振った それから慌てて

「勇者の力 それが僕の想像している通りの物で無かった場合を考えないと」と思い直したのである そうやって暫く歩いた頃だった 街を出て少し進んだ辺りで周囲にモンスターの姿が見当たらないことから僕は地面に腰をおろすと、ここで初めて僕は自分自身が何をすべきなのか考えていく

「うーん こうなったら冒険者登録をしてみるのが正解かもな」そう考えた僕は立ち上がり、さらに歩き続けることに決めていたのだ

「勇者」と そう呼ばれた男に 俺は興味を惹かれてしまう 勇者といえば やはり物語の題材として人気があるものであり、俺自身も、そういうものが好きだったのだ。特に剣と魔法のファンタジー系を好んで読んでいたこともあって勇者に憧れる思いが強いのかもしれない だけど俺には才能が無くて それが原因で故郷を追い出される結果となり、いまこうして一人で生活をしているんだ いや 待てよ 俺は、そこで思考を中断すると、ある一つの可能性に行き当たる もしかすると、あの冒険者が持っていたのは伝説の武器と呼ばれる類のものなのでは?というものだ。ただでさえ伝説とされている物の中に聖槍

「神の槍」というものがある なんでも どんな敵も貫き滅することができる、まさに最強の矛のような存在として知られている。もし目の前に居る少女が本当に、その使い手で 尚且つ、あの青年を追い詰めた実力を持っているとすれば 果たして勝てる相手は存在するのかどうか そこまで考え込むと、ふいに声がかけられた。

「おぉい! そこの兄ちゃん」

見れば大柄な男が数名向かってくるではないか。彼等の右手には木で拵えた棒の先っぽに大きな斧を取り付けた棍棒が握られている。その姿を見て

「おい。そこの兄ちゃん」と言うなり彼は腕を伸ばしてくる そこで反射的に一歩後退りしたのだが相手は続けて口を開いていく その口から出てきた言葉に驚いたのは僕だけでは無かったようで

「何?奴隷の売買をしたいって?あんた奴隷商人かい?」とザラインさん。

すると相手の男は「おうともさ」なんて言いながらザラインさんの顔を覗き込んでいる。すると ザラインさんは、こちらを見つめると小さく頭を横に振る。「なんだよ。兄ちゃん達。まさか逃げるつもりじゃ無いだろうね?」「そうだそうだ」などと仲間が同調するものだから 困ったものだと思う だってザラインさんは奴隷を買うお金を持っていないと言っているからだ 僕は どうしようかな と考えてから ザラインさんの腕を掴む そして小声で語りかけた 実はザラインさんから頼まれていたことがある。それは もし仮に戦闘になることがあったなら遠慮無く倒して欲しい とのことであった。その理由を聞いてみればザライさん曰く「もしも奴らが盗賊団の仲間なら金になる獲物を逃すとは思えないから」とのことだそうだ。そんなわけだから僕は

「ザライナーさん」と言ってから彼の肩を叩きつつ言うのだ。そうすれば彼も「ああ なるほど」と納得

「なんだ 逃げられないのか?」「そりゃそうですよ。こっちはまだ金を払ってない」と言い放つ。その言葉を耳に入れたことで相手は

「おいおい。冗談だよね?金貨10枚は用意出来なきゃ取引する価値なんて無いだろ」と鼻息を荒くしながら言ってくるのだが、それに対して ザラインさんは笑顔を浮かべながら答える。

「残念ながら そんな価値はありませんよ」なんてことを口にするもんだから 僕が思わず

「え?」と言いたくもなってしまうよ。そうしたら ザラインさんは、そんな僕に対して「おい。小僧。こいつは嘘なんかついてねえぜ。そもそも、ここらの相場じゃ金が要らないような奴隷ってヤツは存在しないからな。お前さんにとっとと払って欲しいもんだよ」と言い出した。すると相手が「ああっ」と口にしてから「へぇ。そうなの。それは面白い話じゃねえか。よし 分かった。今すぐ支払ってもらおう」なんて事を言ってきた。しかしザラインさんは冷静な様子のままに告げていく その手に短剣を取り出したかと思うと「そいつを地面に置きな」そう言い放ち、そうすることで僕達が逃げ出すようなことをしないと踏んだ

「ほら。これでいいか?」と言って素直に従う。その行動が気に食わなかったらしい。いきなり怒鳴られた。

「てめえ。舐めてんじゃねえぞ。大人しく金を払いやがれ!」なんて叫びながら掴みかかってきたが、そんな男の手を僕は掴むことに成功すると、そのまま押し返すように力を込めたら呆気なく転がってしまった その様子を見た仲間の二人が慌てて近寄ると倒れている仲間を揺すって起こそうとしたのだが「いでえ」と悲鳴を上げる。そうして二人は痛みを訴えながら僕の方に視線を向けると睨みつけてきたのだが 僕は、それに構わずに懐を漁りだすと袋を取り出す その中から取り出してみせたものは、この世界の貨幣。つまりは銀貨なのだ

「はい。どうですか?支払いましたけど。それで文句はないですよね」と僕は淡々と語ると二人の反応を待つ しかし 彼らは「はっ」とした表情で僕を見ると「ふざけやがって」と言い出し「ぶっ殺せ」「ぶちのめせ」と騒ぎ立てる そうかと思えば突然のことだ 僕が立っている方向に駆け出す。それも二人揃って

「ザラインさん。すみません。任せますんで」

それだけ

「分かってる。お前も無理をするなよ」なんて会話を交わしたところで 僕に向かって襲い掛かろうとする二人に対し 先に動き出していた僕は、彼らの背後を取ろうと動いたところで 一人の身体を突き飛ばしたところで背中を思いっきり蹴飛ばせば勢い余って吹き飛んでいったのだ。もう一人の方にも同じような要領で対処 それから 僕は自分の手元に残っていた武器をアイテムボックスに収めると 代わりに剣を引き抜くことにする。そう 相手は複数人居るんだ 油断をしてはならないと思ったのである それからは一方的に攻撃を仕掛け続けた結果、三人を返り討ちにしたところで彼等は降参を申し出てくれた。そして僕は、そこで

「なにをしている!お前ら」という怒号

「はぁ。また面倒なことになったな」

そう呟いた僕は、ため息を漏らすと目の前の男を観察する。

男の姿を一言で表すならば「戦士」といった感じであり、鍛え上げられた肉体を鎧に身を包んでいる。そんな彼は「うちの部下を、ここまでボコるなんざ只者じゃ無いな。お前。一体、何をやったんだ?」と問い質してくる それに対し僕は、正直に自分のスキルを発動させたのだと答えたところ「なるほどね」と言われたあと 彼は武器を構えたまま語りかけてくる その内容というのは「ここはお互い様ということにして見逃してくれないか?もちろん後で謝罪させようじゃないか」なんて提案だ それを聞いた僕としては、この展開については予想の範囲内だったりするんだけどね。むしろ問題なのは、この後に待っているのが戦いに発展することだけなんだよね というわけだから断る方向だと思っていたのだけれども ザインさんの答えは違っていたらしく 僕の服の袖を掴み引っ張ってくる。それを見やりつつも男は言葉を続けていたのだけど ザラインさんが口を開いたことによって状況は変化することになる。そう 彼が

「あんたは馬鹿なのかい?俺が黙って逃がすとでも思ってんのかね。そもそも俺達は冒険者で こっちが依頼を受けた以上はその仕事をまっとうするだけだからな。ここで引く理由がないぜ」と言うなり男は苦笑いを見せていく。それからは両者共に武器を構え直すと戦闘態勢を取ったのだが「ああっ 分かった。分かった。分かりましたって」と言った直後 両手を上げてくると「こうなったら戦うしかないだろう」とザクラインに言った。そのやり取りを見た上で僕は思うのだ。やはり彼等と敵対するような結果にならなかっただけでも運が良いんじゃないかなってさ。その考えに至った僕は心の底から安堵のため息を吐き出していくことになる その

「ははは。まさか勇者と戦うことになるとはな」と男は笑うと 改めて構えを取り直し「さあ やろうぜ。手加減なんてしないぜ」と言ってくる それに対して僕等は、それを受けて立つことにしたのだ。ただ、さすがに狭い洞窟内だ。場所を変えようという結論に達したザラインさんの提案により移動を行う運びとなったのだけど その途中 通路の途中でザライさんの仲間らしき人達が倒れているのを発見 僕は彼達を助けるべく回復

「大丈夫ですかい」と言ってから 意識を取り戻した相手にザライさんと僕の関係について語ることになる その結果 どうも彼等とザライさんには繋がりがあったようだが それが何故なのかは不明 そんなことを考えながら彼等に説明を行っていると「なるほど。ザライナーさんはザライの兄貴と知り合いなんですかい。そいつは驚きですよ。兄貴は俺達にすら姿を見せなくなったのに」などと言い出す その言葉を耳にしたザラインさんが「は? ザライの兄さんだと?どういうことだ」なんて言い出したことで 僕が、それに対して事情を説明する流れになり そうしているうちに 僕等が目指している先に到着した。そこは広々としており 戦闘行為を行うことも

「おぉ。こいつは良い。これだけ開けていれば思い切り暴れても問題はなさそうだな」なんて言い放つ相手に対して僕等も準備を整える ちなみに僕は 短剣を手に持ち ザラインさんも同じく得物を用意。僕は盾 対してザラインさんは小振りな剣を用意している形になっている。そして、いよいよ戦闘が始まるのであるが その前に僕は一つ確認を取るべきことを口にしていった そう 相手の名前を聞くために すると「おう。そうだ。名乗っていなかったな。俺はザドって名前で そしてコイツらはザダインっていうんだ」

との言葉を受ける そうして いざ 戦闘が始まるとザラインさんが剣を振り下ろすと同時に斬りつける。僕は僕で盾を前に突き出したまま突撃していけば、まずはザライさんの仲間の一人であるザダインさんが棍棒を用いて攻撃を放ってくるのだ。そうやって相手の攻撃を受け流していく中 僕は反撃を行い その一太刀によって腕を切断してみせたことで相手も焦ったのか慌てて飛び退いたかと思えば「おいおい。今のは何だよ?あんなもん人間に出来るような芸当じゃないはずだ」なんて口にするものだから、それに対する僕の回答としてアイテムボックスより

「これはどうですか」と言いつつ鉄杭を取り出して見せつけたら「なんだよ、そりゃ」と言いながら目を剥いて驚愕

「おいおい。それは なぁ」なんて言ってくれる しかし 次の瞬間 僕は彼の懐に潜り込むと腹部に向けて短剣を突く。しかし 相手は咄嵯の判断で後ろに下がることで回避されてしまう。そうしたところで

「うぐっ。おいおい。マジで何者なんだよ。そんな隠し球を持ってるなんてよ」と言い出したから 僕は言う「そんなことよりも今は目の前の戦いに集中しましょう」と言い放ったところで、また一人 仲間が倒されてしまい、残りは 二人になったわけだ。

そして

「おう。分かったよ。お前の力が本物だっていうのなら。こっちだって本気で行くぜ」そう言い出したかと思うと

「ふぅ」と深呼吸を繰り返していく そうした中で僕が短剣で斬りかかっていったら 逆に相手が短剣を投げつけてきた どうにか短剣を避けようとしたところ 僕は足元に転がっている石を蹴ってしまったんだ。すると石が偶然にも目に当たったことから視界を奪われてしまう。

「おっとっとっとっとっと!」

慌てたことで転倒してしまう僕は地面に背中を強打することで痛みに

「痛てててててててて!」と声を上げたのだが 相手としては好機と判断したようで一気に攻めてくると攻撃を放とうとしていた。その動きを見て取りながらも立ち上がることが出来ずにいた僕は防御姿勢を取ってしまうことになったんだよね ただ、そこでザライさんの攻撃を止めるかのように割り込んできた者が居た。それはザダインという青年である。そして、彼は手に持っていた杖を振るいザドと名乗った男性を攻撃すると ザライさんの側に近寄っていったのだが その際に僕の耳元へと近づき囁きかける形で伝えてくれた内容というのが、これから先の事についてのものだったりした。その内容についてだが 実は、この洞窟の中に僕達が探していた宝箱が存在するのだというのだ。そして、それを守る為に魔族の

「待ってください! 俺の話を聞いて欲しいのです。この方は、あなた方の敵ではありません。むしろ味方といって差し支えない方なんですよ。ですから」ザインさんが割って入りザラインさんとザラインさんが僕との間に入ってくれたおかげでザダと名乗る男性の注意を引くことに成功する。僕はその間に立ち上がったところでザライトソードを引き抜くと「お前の持っているものは もしかすれば凄いものなんだろう。それを譲ってくれたら見逃してやらないでもない。まぁ お前さんに勝ち目がないだろうけどな」などと上から目線で話しかけられた だから僕は答えることにする。「確かに 僕の力は特別です。貴方方が持つような普通の武器では、まともに戦えないのは分かっています。なので、これを使ってもいいですよね?」と口にしつつ鞘ごと腰帯を外し地面に置くと共にアイテムボックスに収納すると 代わりとなる大ぶりな刃を持つ片手剣を取り出すなり彼に手渡せば、それで満足してくれたらしく大人しく武器を返してくれることになったのだが その時に彼は僕に向かってこう語り掛けてくれることになるのだ。その言葉とは、やはり ザライトさんが探しているという特別な武器のことを指しているんだと思う。そして彼は僕に対しこう言ってきたのだ。それは彼が僕達と出会った時と同じ言葉だったわけだけれど 僕達の力になってほしいという懇願に近い言葉を投げかけてくれたことで僕は思わず吹き出してしまったのだ。ただ彼は僕に対して不満げな表情を見せたりしながら語り続けていくわけだけれども ザライド

「ああっ?どういう意味だよ。なに笑ってやがるんだ?俺様の願いを聞き届けることに異論があるっていうのか?」と苛立ちを募らせていった その言葉を聞いたザライドは更に語っていく その口調こそ乱暴なものではあったが その態度から感じ取れるのは 自分達の仲間を救いたい気持ちが感じられなくもないものだ。それに彼等とザライの間に繋がりがあったことについても気にかかる。

だからザライ

「あんたの言い分はよく分かる。だからこそ俺に手を貸せ」

「あん?なんでそうなるか分からないな。理由を説明してくれよ」と彼が口にした途端にザライが言葉を返していく そう そのやりとりは まさに かつての自分と兄の姿であった。

その光景を目の当たりにした俺は、どこか複雑な感情を抱きながら二人の会話を見守る形になる その最中 ふと、視線を動かしたところで目にしたのはザライン達三人と 俺の弟ザイドが交わしている様子だ。

弟ザラインが彼等と面識を持っていたとは驚きであり、そんな彼から情報を得ようとした俺は声を掛ける事にしたのである。その結果として彼等は ザライズ と

「ザラインの兄貴。無事だったんですかい。本当に良かった」ザダインの言葉に俺は心底安心することになった。ザライに命を助けられた俺は彼とザラインが行動を共にしている事をザライン本人より聞いており その関係で彼等がザライ達と遭遇したという話を聞いていたからだ。そう 俺達はザライのパーティと合流するために洞窟を目指していたので もしかして彼等も同行することになるのかもしれないと思えば「なるほど そっちの事情も良く分からねえが、俺の仲間が倒れていた理由はそういうことかい」などと言ったザダインの発言を受けて、すぐにザライが口を開いた。そうしてザライの口から事情を聞かされることになったのであるが そんな彼の口から告げられる

「おいおい ザライン なんだよ あの二人は お前さんの兄弟なのかい。しかし あれだけの魔法を使いこなす兄弟なんて普通じゃ有り得ないはずなんだが どう思う」なんてザダインの問いかけを受け「どういう意味ですか。その質問の意味を教えて下さいよ。その返答次第で俺は、この先、彼等に敵対する可能性も出てくるんですからね」と答えを口にすると 続けて俺は「ザライン。貴様には、まだ隠していることが残っているのではないのか。貴様の力の根源に関係したこととか。貴様なら話せるんじゃ無いのか」と言い出したのは 俺もザダインもザラインから答えを引き出すことを半ば諦めかけていた時のことなのだが ザライの奴がザダインの方へ振り返った後で、俺の目を見ながら「いいでしょう。俺がザライの兄のザライだと名乗らなかった時点で俺の負けです。そう思ってください。そしてザダインさん。今から俺は貴方の問いに対して真実を語ります。ただし これは俺の身に起きた事の全てを語るわけでは無いので そこのところはご了承頂けるとありがたく存じ上げ奉り候。なにより俺はザライを信頼していますので。しかし、その前にザライには確認しておきたいことがありまして。ザラインが俺の素性を明かしましたから あなたにも明かすようにお願いします。それと、あなたは信用できると判断しています。ザライのことを裏切るような真似だけはしないと、どうか約束してくれませんか?そうであれば、あなたのこともお話し致しましょう」なんて言うもんだから、それを見たザラインの奴が「なに言ってんだよ、もう」と言い出すのだが それを受けたザダインは、しばらく考え込んだ後に「なにか、ややこしいことに巻き込んでしまっているようですね。それに関しては申し訳ないと思っています。ザライのことは絶対に裏切りたくない。しかし、ザライの言うことが本当ならば 貴方もまた大切な友人なんです。その辺を勘案した結果 俺は、ここでザライに全てを話してもらうことにしました」なんてザライを信頼すると口にするのだ。

それからザライは、まず自分の身に降りかかった不幸について語った そして、その話の

「えっ!?そんな馬鹿な話が あるはずがないじゃないですか!」ザダインの声に反応したのはザライ自身ではなくザライトだった。彼は「ザライドさん、この方の言葉は、おそらく本当のことなのです。僕は、この目で見てしまった。信じて欲しい」と言い出し 更にザライトソードを見せ付けてくるのだ。

ザライが語る身の上話を聞いた上で「なぁ お前らさぁ とりあえず一旦、この場を離れないか?お前さん達に敵意が無いってんなら問題ないがよ」

「ザライトさんの言っている事が正しかった場合、ここに居る方が安全だと思うんだよねぇ。ほら もし俺達が探し求めてる武器を持っているなら、それを狙ってくる連中がいるかもしれないだろ?だからよぉ」と二人に語りかける。するとザラインが同意してきた。「そうだな 今は、ここを離れるか」と口にすると 僕達は彼等に案内されつつ奥に進むことになった。道中では彼等の事情を聞き出す機会があり それによると 彼らは勇者を排出したことで有名な王国騎士団のメンバーなのである。その事実を知った僕の脳みその中には、ひとつの疑念が生じていく事になる。つまり、その王国の人間を守護する存在に敵対行動をとったことになるのだが その事に気付かないふりをしながら、その場はやり過ごすことになる。ただ その事で僕の中の疑念は大きくなっていくばかりではある。

ザライ

「"光の道"」

そう言い出したかと思うと彼は足元に転がっている石ころに向かって右手を突き出すなり言葉を続けていく そう

「我が願いに応じ光の導き手となれ!!

真の名:ライト!!」

言葉を終えるなり地面が光を放つと同時に、ザライン達が手にしていた剣へと吸収される。次の瞬間には彼等が手にしていた武器が姿を変え 一振りの剣になっていたのだ。

ザライトソード"真の名前""聖属性を持つ者が使用すれば威力が跳ね上がる"この剣の能力はこんなものだろうか。

まぁ とにかくだ 俺の目の前に広がっているのは巨大な広間になっている空間であって、その広さときたら尋常なものではなく 下手な野球場よりは遥かに広い そこでザラインがザライに対し 何か語りかけようとしていたんだが それよりも早くザライが言葉を発していった それは

「まぁ あんたが探しているのは、これなんだろう?」という言葉で締めくくり ザライが地面に転がっていた物体を掴み取るなり僕に手渡してくる それが一体何なのかと言えば

「ああっ!やっぱり、あんたは俺達にとって救世主だぜ。そうに違いねえ。間違いなかったんだ」ザラインが大喜びしながら僕の肩を叩くのだけれど僕は

「待ってくれよザラインさんよ。それは俺の弟の命を奪った武器なんだぞ」と語気を強めてしまう ザラインの反応はといえば「そうかもしれねえけど ザライドの兄貴にとっては大切な弟なんだろう。だからこそ俺は感謝したいと思っているんだ。こいつは本当に助かるからさ」などと意味深な発言をした後で、続けて言葉を続けるのだ。

その内容はと言えば彼が仲間から聞かされた話らしいのだけども なんでも彼等と同行している人物こそが魔王討伐の旅の一行なのだという話でザライン達の所属する部隊は魔族領に向かうために王都から出発し旅を続けていたそうなのであるが。その際に運悪く彼等の隊と遭遇する形で交戦状態になったという話を聞くことになってる。しかも

「その相手というのが あの勇者率いるパーティだったんだ。あんたの話によると、あいつらは とんでもない力を秘めた力があるみたいだし。そんな奴等に戦いを挑む羽目に なった俺の隊のメンバーは一人残らず殺されちまったよ」と ザラインの口から語られる この話の内容を聞いて俺は 思わず黙り込む事になった なぜなら あまりにも俺の弟にそっくりの境遇に思えたからだ。

しかし それでも俺は弟の仇を取るための戦いを諦める事はないんだけどね その戦いが終われば、ようやく あの忌々しい呪いを解く手段を見つけ出せる可能性が出てきたので、そればかりが頭の片隅で渦巻いている。そう 俺の身体にかけられている

「この世の理を歪める呪い」

この呪われた肉体からは解き放たれなければならない。そして弟を殺した憎っくき敵を俺自身の手で葬り去ろう。そんなことを考えながらも ザライからザライズへ渡された代物を見つめていた その見た目はといえばザライン達が所有している

「ライトソード」という魔法の剣を巨大化させたものだ。大きさだけ見れば俺の愛用している愛刀「神速丸」と同じぐらいで、重さも そう変わらなさそうである しかし俺には分かった 俺の感覚は鋭いものでザライズが所持している ライトセイバーと、それに付与されている魔法についても把握したのであった。このライトセイバーというのは、いわゆる「光属性」の魔力を武器に注ぎ込み攻撃するタイプの武具で俺の扱うライトセーバーよりも性能的には劣るが しかし攻撃力については、ほぼ同等と考えて良い。そんな事を考えていればザライの奴がザラインに対して「ところでザライさんよ これから俺達は、どうするんですか?ザライさん達は、まだ目的を果たすことが出来ないんですか」なんて尋ねていった。それに対してザライが口を開いたんだが、それを耳にしたとき、ふと思ったことがある そう 今のザライの台詞の中に出てきた内容に関して言えば、俺は知っているような気がする 確か、あれはザライドの奴がザダインの奴から そんな質問を投げ掛けられた時の出来事だ それを思い出すなり俺は

「おいおい そいつは無茶ってもんじゃないのか」ってな具合の突っ込みを入れてしまった。そうするとザライが苦笑いしながら 俺の顔を見てから、その隣にいたザライドの方へ視線をずらすと 彼の目線を追うようにしてザダインもザライの方へ振り返り「ザライさん、その言葉の意味は 俺にも分かるから安心して下さい。でも ザライさんの言っている事には俺の方は異論ありませんから。その点は どうか分かってください」と言ってくれた。

ザライの方はと言うと ザライの方に向き直ると「分かりました。そこまでザラインさんが俺のことを信頼してくれるってのは有り難い話ですし、なにより あなたは信用できます。あなたのような方が一緒に戦ってくれるっていうなら心強い限りですよ」と言い出す するとザダインが すかさず声を上げるのだ そう

「ザライさん 俺は、その なんつーか」と言葉を濁らせつつ語り始める ザライの表情を見ながらも、その先を言おうとしているのだ。そのザライはザラインのほうを見ると、ゆっくりと首を左右に振る そして そんな二人のやりとりを見ているザダインの口からは ある一言が飛び出すことになるのだ。そう

「俺が ここに来た理由は そのライトソードを手に入れることだったんです。ザライさんが持ってたとは知りませんでした」と言い放った。

それを聞いたザライが「ああ やっぱりそうか。それでしたら、どうして、このライトソードを手に入れようと思っていたのですか?それと どうやってライトソードの入手に成功したのですか? いや その そもそもの話で申し訳ないのですが、その剣を手にしたザライさん達は 一体 どこに向かって、どんな目的で行動していたのですかね」ザライが、その問い掛ける口調は、とても優しく穏やかなものだった。ザライが問いかける内容は、そのままザライ自身が感じている疑問でもあった。その問いに対してザライは、しばらく考えた後で言葉を紡いでいく。まずは自分が なぜ王都を出発して、このような場所までやって来たかという事情を語ることになる

「俺は、かつて魔王を倒すべく勇者パーティの一員として旅立ち。しかし 俺だけが仲間達とは別行動を取り、とある事情があって魔王城に近付く事が出来ない状態に陥り 仕方なく、この地を訪れたんですよ。その理由は、魔王城へ向かう途中にあった町で起こった出来事が発端となり そこから発生したトラブルが原因で俺は仲間達と共に魔王と戦う資格を失ったのだと痛感しました」その話は、俺の頭の中にも刻まれており よく理解出来たのである。それは俺の目の前にいる男が、かつて弟であるザライの命を奪った存在だからであり。それと同時に かつての旅路を懐かしく思うようになっていた。

それはザライも同じようで

「ザライさん 俺が貴方と出会った理由を今から説明します。それは あなたの弟さんを死に追いやった張本人として謝罪しなければならない そういう意味合いもあって 俺の前に姿を現してくれたと思って欲しいのです」

ザライに向かって語る言葉の一つひとつから感じる感情に優しさが含まれていると実感出来るのだけれど、それだけではない事を僕は知っている なぜなら このザライドという人物こそ僕が知る人物で、あの日、弟と一緒に村を襲った盗賊団の連中の一人である事実を知っているからだ つまり僕自身もまた同じ運命に導かれるのであろうかと考えていたのだけれども ザライの話を聞いている最中に僕は、どうしても我慢できない事態に遭遇することになったのだ、そう ザライズの身体から溢れ出てくる膨大な量の闇を感じることができたからだ、そして それを見逃すほど僕は甘くない。即座に懐の中から剣を取り出した瞬間 ザライズの手に持つライトセイバーに向けて攻撃を仕掛ける その光景を見守るザライズの仲間達だったが「何が起こったんだよ」という反応を示し 同時にザラインが、いきなり武器を振り回す俺の姿を目にしたことで動揺を隠せない様子であった。しかし そんな事は、もう俺にとって関係がない話なのだ。俺は躊躇することなく攻撃を開始する。

俺の放つ渾身の一撃を受け止めようとするのは ザラインだ その攻撃を防ぐことは可能であっても完全には威力を消すことはできないと判断したらしく、ザラインはザライと自分の身体の位置を変えようと動いた それによって ほんの僅かながらではあるが俺の狙いは

「外れる形となる」

そうしてザライに突き付けられた俺の刀による一閃は ザラインの肩を掠める程度にしか当たらない しかしながら俺の斬撃をまともに受けたせいなのか、その部位には出血を伴う傷が出来上がっていたのだ。その痛みに堪えきれないザラインが膝を着いて「ぐわぁっ」と悲鳴を上げて地面へと倒れる その様子を目の当たりにすると同時にザラインの仲間が騒ぎ立てるが、しかし そんな彼らの前にザライが「落ち着けお前ら 相手は勇者じゃない 俺の兄貴のザダインさんだぞ。勇者よりも強い相手だってのは お前達もよく分かってる筈じゃねえか。俺が命をかけて ここで食い止めるから すぐに逃げる準備をするんだ」と言い切ったので、そんな言葉を信じたのかザライ以外の面々が逃げ出すのに時間は必要なかった その隙を狙って、さらに追撃を行うのが俺の仕事である

「待ってくれザライさん」

と俺が声を掛けた しかし ザライは、俺の声に反応を示す事無く ザライと向かい合っている俺の背後に立つ

「悪いがザライ 俺にも引けない戦いがあるんでね。そいつは、あんたが持っている物と全く同一の形状をした魔法の武器だが あんたが所持している物は、その劣化版でしかないのは間違いないよな そうだろ? だったらと 俺は、それを叩き壊さない限り安心することは できやしないんだ。分かるだろ?」そう言い放ちながらも俺は、素早くザライの持つ魔法のライトセイバーに対して斬りかかるのだが ザライドの方もまた、それに対応してきた。その対応の仕方がザラインと似ている事から、このザライも弟と同じく魔法の武具を扱うことに慣れているということが分かるのだ。その点については ザライドの剣

「ザライズ」

から感じられる魔力を

「このザライ」が有している剣「ザライズ」へ注げば「ザライズ」は その力を存分に発揮することが出来るという仕組みらしいが そんな情報を知ったところで どうでも良いことで、今はザライが持つ魔法道具の剣を打ち砕く事に全力を傾けていた。そして、そう簡単に壊れるような品でもないのが分かると、ならば、これは厄介な物だという感想を抱く。しかし それでも ザライが魔法武具の扱い方について ある程度は熟知していると思えるので「このまま 押しきれば俺の勝利は確定するだろうな」と思い至ったわけだ。

そう考えていれば俺に対して

「まさか、こんな形で、あなたと再会できるなんて、思いもしなかったですよ。ザラインさん」

「俺もだよ ザライ」と二人は お互いに見つめ合うと そのまま動かなくなるのである。ザライの表情からは、どこか穏やかなものが見えており、そんな表情を浮かべたまま 俺のことを見据えると、おもむろに ある事を口にしたのである。

「ザラインさん。貴方とは兄弟でありながらも、俺が、この世界に存在する唯一の肉親だと思っていたのです。それなのに そんな貴方と巡り会えたばかりか、こうやって戦えることになるとは思っていなかったんですよ。でも 貴方は俺の想像以上に強すぎる 正直 今の俺の力じゃ敵いません」

「まあ その気持ちは分からなくもない」

「そこで 提案なのですが、お互い ここから逃げ出してみないか?って 思ったりしちゃうんですが」そう語り始めたザライに「ザライ 何を考えている。俺が ザライを殺すと思っているのなら残念だけど 俺は、お前のことを殺しはしねえぜ」と言うのだ するとザライが

「兄さん 本当に殺さないってのか? どうしてなんだ。ザラインさんが勇者だから そう言っているのか」ザライの言葉を受けた俺は「違う 違う」と首を振る

「ザライ いいか。確かに勇者と呼ばれる人間の中には俺みたいなのもいるが、俺の場合は そう呼ばれるだけの実力を持っているだけで 勇者と認められるような偉業を達成した覚えは、これまでに一度もないんだ」と俺は語った。しかし ザライの反応は俺の予想に反しているものであった。

「そうは言っても勇者の称号を与えられた存在であることには変わりありませんから、俺には、それが、どれだけ凄いことか分かります。そうか ザラインさんは勇者の力を持っていなくても立派なんです。そして俺なんかとは違って、ちゃんとした人生を送れているんです。それは素晴らしいと思います」そんな言葉を投げ掛けてくる

「ありがとう そんなふうに褒められると嬉しいけど。ザライが そう考えるのは当然だと思う。だけど、どうして、そこまでザライが 俺に対して憧れる要素があったのか分からないんだけど」その問いかけに対して ザライは しばらく悩んだ末で答え始める。

「それは やっぱりザラインさんの人柄が、あまりにも良かったからだと思っています。だから そんな人に俺は殺されたとしても仕方が無いんじゃないかなって思うようになりました」そのザライの口から出てきたのは とんでもない発言であり、しかも ザライは「本当ですから 嘘偽りは一切 言っておりませんから」と言い切ってくるので始末に終えないのであった。そうして 俺とザライズの対決の最中に ザラインの仲間達は全員で逃げ出したのが、その事実を確認した俺は ザライに向かって告げる。

「よし ザライ 勝負ありだ」

こうして ザライズとの一騎討ちを終えた後で

「とりあえずはザライが持っていたライトセイバーを破壊することにした。それでザライが持っている魔法剣とやらは俺にとって非常に危険な代物である事が判明したからね」と俺がザライに話しかけた その時である。俺の背後から何者かが攻撃を加えて来たのだ それも明らかに不意打ちを狙った一撃であったが 俺は ザライドとの戦闘中に使用していた「アイテム収納」の中に仕舞い込んでいた剣を取り出し その攻撃を防ぐことが出来た その出来事を受けて ザライが驚きのあまり言葉を失ってしまった

「どういうつもりなんですか!俺を裏切るつもりなのか!」と叫んだ。それに対して俺は その質問に対し どう返答すべきかを考える。しかし いくら考えてみても、そんな問いに対する回答を見つけることが出来ないのは明白な事実

「ああ ごめん。そう聞かれても、すぐに返事をする事ができないな。何しろ、お前の事は、まだ完全に信用していないからさ。そもそも どうして俺が お前の事を仲間として受け入れる必要があるんだ。そういう意味じゃ お前を信用させる為の策を俺自身が用意しておかないと駄目だと思ったんだ」そう言い放った俺は「ちょっと試してみたいこともあるんだよ 俺には こういう使い方もあるんだ」と言った後に ザライの身体を掴み上げた上で地面に何度も叩き付けると「こんな事をされたくなければ俺に従うんだな」と脅迫染みた事を言い放つと、その光景を見た ザライの仲間である面々は怯えてしまい

「分かった。従う従いますよ。もう 逆らいはしないので許して下さい」と言うのである。しかし 俺は ザライドの仲間を簡単に解放するような気は毛頭なかった

「だったらザライ。今 お前の目の前にいる俺に対して、この場で 忠誠を誓え そうすれば俺は ザラインを信じることが出来ると思う」俺は そう言葉にしたのだ。そうした直後 ザライドの表情に笑みが生まれ「俺に選択の余地は無いようですね。だったら 俺はザラインさんの忠実な部下になることを誓います。そうして、俺はザライン様に忠誠を尽くさせていただきたいのです」という発言をするので 俺は、その瞬間 心の底からザライの配下

「僕が ザライ様の下へ付くことを誓うことで僕を助けてくれるのか?」

その言葉を聞いて「助けるのは俺じゃなくてザライだな」と答えた そうしているうちに、ふとザライのステータス画面を確認すると「僕がザライ様の部下になれば ザライン様に忠誠を誓うことは出来るんだな?」と言ってくるので

「俺の目に間違いがなければ可能だ」と伝えたのだよ その言葉を受け止めたザライは俺の目を見据えてから ゆっくりと自分の頭を垂れて そうしてから「ザラインさん。これから僕は、あなたの言う通りに動きましょう。だから 僕のことはザライと呼び捨てにしてくれ」そう言ってくれるのだ そのザライの言葉を受けて「うん わかった。俺の事も ザラインで構わない。俺が勇者パーティーで使っていた名前でもあるからな。それにしても 勇者パーティーか。あいつらも俺のことを勇者だなんて呼びたがっているようだが 実際の俺は 勇者と呼ばれる存在とは対極にある人物だよ。だからこそ お前のような人材を手放してしまうのは勿体ないと思う」そう言いながら俺も頭を下げるのさ。そうして お互いに顔を持ち上げれば「よろしく頼む 僕も、あなたには絶対の信頼を寄せているんだ」というザライの言葉を受けて、お互いに握手を交わし合った その後でザライズとも握手をするとザライズは

「ザライン兄さん、本当にザライ兄貴の事が好きなんだなぁって感じます。でも ザライが俺達と一緒に来るとなれば色々と大変になると思います」ザライの方を見ながら語りかけたザライの方はザライの方を見ているわけだが その目つきが どうにも真剣過ぎるように感じられるのだが「ザライは やっぱり可愛い子には甘いタイプなのかもしれない」そう思って つい苦笑いを浮かべてしまったのだ すると ザライが「なっ ななな 何をいきなり言っているんですか 俺のことを可愛く見えるって ザライン兄さんが、そう言っているってことですよねぇ。まあ ザライン兄さんが、そう仰ってくれること自体は 凄く嬉しいですよ。だって、ザライン兄さんが、そう言っているってことは ザライン兄さんが俺の事を好きでいてくれているという証拠じゃないですか。そうですよね ザライン兄さん そうなんですか」と言う そこで俺は「ザライ 何を勘違いしているんだ」と口にするのであった。そんな時である。ザライに近づいてきた男が「そろそろ良いでしょうか。私の方もザラインさんに話したいことがあるのです」と話しかけてくるので、それを耳に入れたザライが慌てていた そして「すまない 俺も少し調子に乗り過ぎていたのかもしれない。本当に悪かった。俺が間違っているんだった。その事に気付かせてくれたザライズには感謝する。ただ、やはり 俺とザライが二人だけで会話をするのは、もう少しだけ我慢してもらいたいとも思っている」そう言って俺が謝った後で ザライズが俺に対して語りかけてくる

「ザライの兄貴。俺のほうからも一つお願いがあるんですが よろしいですか」と言うので「いいぜ なんでも聞いてやる」そう言って

「ありがとうございます。実は さっき 俺たちが ここにやってきた理由は、その あれです。ほら あれ。ザライン兄さんの知り合いがザライのことを勇者って呼ぶようになったって聞いたから様子を見に来ました。その ザライって奴が俺と どんな関係を持っているのか知りたくて会いにきたんです」そう言い切った ザライの言葉を聞き終えた俺の視界に入ったザライは かなり戸惑っている様子を見せているのであった。その反応を確認した後で「なるほど そういうことか。そういうことなら、もっと早くに連絡をして欲しかった」そう答えた後で ザライは「連絡手段がなかったんです。ごめんなさい」と謝罪の言葉を口にしてくるのであった そんな ザライの様子を目の当たりにした俺は、

「お前は本当に真面目なんだなって思った。普通は勇者の称号を持っているからといって偉そうにしている人間もいるのに、そういう部分では ザライズは立派に成長してくれたんだなって思えるんだ」

「そんな ザライン兄のお陰です」と俺に感謝してくれるザライに対して「それじゃ まず最初に俺に ついての説明を始めることにしよう」と切り出したのである。それから 俺は、どうしてザライとザライズの兄弟と行動を共にしているのかを説明した上で「そんな理由で俺はザライとザライズの二人の面倒を見てきたんだよ」と語り終えるので

「そうだったんですね。ありがとうございます。俺達は ずっと そうやって ザライン兄さんの優しさに救われて来たんですよ。だから、俺達が ザライン兄さんの役に立ちたいと本気で願うようになったのは、そういった背景があったんです」そう告げたザライズは「これから先 俺はザラインさんと ザラインの連れの人たちの為に、いつでも力を貸せるような仲間になりたい」と言い切る ザライは「お前の気持ちが嬉しいけど。その発言のせいで お前は命を落とす事になるんだぞ」と警告を行った そのザライが放った言葉の意味を理解したザライは戸惑いながらも俺に話しかけてくる

「どういうことなのか、説明して欲しいんだが」と言う

「そうだな お前の質問に対して答えを導き出してみることにする。その前に ザライドは 自分が持つ武器について知っていることを全て教えて欲しい」

俺の発言を受けてザライドが俺に向かって言葉を放つ

「僕の持つ武器のライトセイバーなんだけど その名前通り 光の刃を作り出すことが可能だ その能力は使用者の技量次第で変わるのは事実だし 僕の場合は そこまで器用ではないから、大した威力にはならない。しかし、ザラインやザライドのような実力者が使用する場合は絶大な効果を発揮するはずだ」というので俺は「確かにライトセイバーは強い武器だと思う。しかし 今の話を聞いた限りでは ザライには ザラインが使うのと同等の性能を持つ魔剣 ゼフィストが存在している」

「そうだけどさ。それが何を意味するのかが分からねえんだよ。それにさ ザライ兄さんの使っている魔法剣と、ザラインさんが使用している武器の性能が違うんじゃ、意味はないんだって、どうして分からないんだよ!」と苛立ちを露わにする ザラインに対して「確かに それは正しい意見だろうさ。ただし ザライの言葉が正しいと判断できるのは状況的に見て ザライが不利な立場に置かれている場合に限るんだよ。だから ザライには俺の仲間に加わる権利がないと判断されても文句を言うことは出来ないよな?」と言った後に

「そういえば俺がまだ所持していた頃の話なんだけど、勇者パーティーに所属していた頃に仲間から『勇者である俺様をバカにしているつもりなんでしょう?』と言われたことがあってな。それで思わず『勇者?ふざけたこと言ってんじゃないよ』と言ったことがある。その時の仲間から返ってきた言葉は今でも忘れられないが、まぁ今更、そのことを気にしても、もうどうにもならないんだろうな」

ザライドは、しばらく沈黙した後に俺のことを睨みつけると「俺は絶対にザラインのことを信じる。例え どのような結末になろうとも、俺の意思を曲げることは無い」と断言したので 俺は「俺も その気持ちを理解出来ない訳じゃない。でも 俺は俺なりのやり方で、これから行動を起こすつもりでいる」そう言葉にして 俺は、その場を静かに離れたのだ。するとザライは、こちらを見据えながら、何かを言い出そうとする素振りを見せたのだが、それを察知したので、俺の方が先に言葉を発した

「どうやら ザラインは、ザライズとザライの関係を、どうにかしたいと考えているんだと思うんだ。そこでだ 俺の提案なのだが、しばらくの間は俺の奴隷として行動をしてくれないか」と伝えた直後 俺の前に姿を現した人物がいて「その話は聞かせてもらった」と言ってくる その声の主を確認してみれば、そこには、あの女盗賊が居たわけで

「あら 勇者さんじゃない。まさか また会えるなんて思わなかった。ところで 私のこと覚えてる?」そう問いかけられて「忘れていたな。お前の名前は 確かミディア お前とは面識が無かったと思うんだが」

そう答えると彼女は俺の耳元まで近寄ってきて「あんたが私を忘れていても私はアンタのことを知っている」と言う そして「アンタに惚れているからな」と言う それに対して俺は言葉を返すこともなく無言を貫き通した それから、さらに耳打ちを続ける「ザライズから、お前の事情を聞いてきた」「ほう それで?」

俺は それだけの反応しか出来なかったのだが彼女にとっては十分な情報量となったらしく満足げに微笑むと「私が、あなたを助けよう」と申し出てくれたのであった。俺は、その言葉を耳にすると、どうしても目の前の女性に興味を抱いたので、彼女の誘いに乗ることにした その後でザライが口を開く「あなたの目的は分かりました。ただ、一つだけお願いしたい事があります。もしも ザライズの命が失われるような事態が発生したとしても。僕は それでも構わないと思っています」

俺はザライ

「その願いは叶えてやることは出来ないんだ。なぜなら ザラインは ザライにとって大切な弟分でもあるわけだから」と言うと ザライは首を傾げると俺に「その話を詳しく聞きたい」と言い出してきた なので、俺はザライと ザライの弟であるザライドが どのようにして出会ってきたのかを説明し始めると、すぐに その話が終わってしまう。そして ザラインが、どんな人物なのかを話し始めた時に「その話は、本当なのか」とザライが尋ねてきたので俺は「あ~

やっぱり そうなっちゃうのね。俺の話は信じてくれていないのね。そうですか」と答えることにした。その直後

「すみません。その ザライ兄さんに質問があるんですが。勇者である兄貴のことを勇者さんと呼ぶようになった切っ掛けって、どんな理由なんですか?」そう語りかける ザライドの言葉を聞いた途端、明らかに困惑した表情を見せ始めた そして、ゆっくりと深呼吸を行うとザライは語りだす 勇者の称号を持つ者は皆 世界を救うために尽力してきた者だという事を語り終えると「そうですか、そうですか」そう口にするザライの様子を目に入れていた俺は内心ほくそ笑んでしまっていたんだが、「ザライズには申し訳ないとは思うんだけど 今は一刻も早く ザライズには強くなって欲しいと思っているし、そのためなら何でもするつもりだ」という発言と共にザライドの方を見ると彼は目を細めていた。

「とりあえず これから先のことは明日以降に話すことにしよう。今日中にやるべきことを全て済ませてしまう」と言うなりザライズに指示を出す「俺の指示通りに動け」と 俺が命令を下してみたらザライは不満そうな態度を取りながらも 俺に対して「はい 仰せのままに」そう言ってくれた ザライドに対して、ザライズの傍から離れろと指示を出しつつ、彼の首根っこを掴み上げると「少しばかり ザライズと話をしたいんだが お前達は席を外してくれるか」と伝えると、彼らは渋々 従うことにしてくれた。そんな二人に案内されたのは 村の外れに存在する空き家だった。俺は中に入るとザライドから手を振りほど

「いきなり、ごめんな。ザライの奴とザライドの二人で話をさせてやりたいんだ」

俺の言葉を聞き終えたザライドが「ザライが納得できる結果になれば良いけど」と呟くのであった。

それから、しばらくの間 会話を続けた俺たちは、ザライに対して「ザライドは まだ俺と一緒に行動を共にした方が良いと判断したから、しばらくは行動を共にしてもらうぞ」と伝えたのである。ザライドに俺の目的を話すべきか悩んでいたが、話さない事に決めると、この日のところは宿屋に戻り眠りに就くのであった。

翌日になると俺は 村から一番近い町へと移動することにする この町にはザライとザラインの知り合いである女性がいると聞いていたからだ 俺は宿を引き払うと酒場へと向かうのであった。

「おい!おっちゃん」そう言うなり店のマスターに声をかける その声に対して店にいた全員が、一斉にこちらへ振り返ってくる。それを見た俺は ニヤリと笑いを浮かべるのだ 店内にいる全ての人間は酒を飲む手を休めてこちらを見つめてくる中で、俺は、おもむろに手を振るう

「ほぉ 随分と懐かれちまったな。こんな場所に なんの用だ?」そう言って声を掛けてきた男は俺の前までやって来ると腕組みをしながら話しかけてきてくれる「なぁ兄ちゃん、俺達のところに来ないかい?」そう告げられた俺の顔を見てみると下卑た笑み浮かべているおっさんの姿が目に入る「その顔 見るからに悪いことしたくて堪らない。とか、そういった感情がありありと感じ取れるんだよ」俺はそう言い放ってやった すると相手は 怒り出すでもなく「ふはははっ そうだな。確かに、その考えは間違っていないな。俺の名は グリードと言う 宜しく頼むぜ。ところで あんたらの名前を教えてくれないか?」と言ってきやがった だから「俺の名前はザライン。ザラインだ。そして、そこに座って 酒を飲んでいる男が アスタ」そう紹介すると「ザラインさん。俺は、この男に惚れてしまったんだ」と言うなりグライドは 俺の肩を抱くと 顔を近づけてきて、そのまま接吻を交わそうとしてきたので「止めてくださいよ。おじさんの唇を貰っても嬉しくありませんって」

そう言葉を返すと 相手の顔面に向かって唾を吐いてやりましたともさ それを目にしている他の客からは 大爆笑が起きて、それは グライドの野郎も同じようで 腹を抱えて笑う姿が確認できる。だが それも一瞬のことだった。グライドは俺に対して、まるで鬼のような形相を向けるなり「テメェ!!俺様に 喧嘩を売るってことがどういうことだかわかっているのか!?ああ!!」

怒声を響かせながら拳を握り締めて俺を殴りつけてこようとするのだが、それが、どうにも不自然な動作だったため、思わず 吹き出してしまった。というのも あまりにも動きが単調すぎたから、それで警戒する必要

「ふざけんじゃねえぞ」と叫んできた直後に 腹部を思いっきり殴られた しかし痛みは無かったため、それが何の効力も発揮していない事を理解できた だからこそ俺は余裕たっぷりの態度で言葉を返すのであった そのせいで余計に相手を逆上させてしまったのだが「舐めた真似してんじゃねぇ!」と言ってくると続けて、またもや攻撃を加えようとしてきたが、その度に避けられてしまい 結局は「チックソガァ!!!」そう叫ぶなり地面を踏み鳴らし始めやがった その様子を確認していた俺は溜息を漏らすなり「やれやれだ。これくらいの攻撃を避けられずに、どうして魔王軍を相手に出来ていたというのだ。本当に不思議な事だ」と 呆れたように呟いたら「クソッたれが。ぶっ殺してやるよ」と言って俺を殺そうとして襲いかかってきた だから そいつの行動が遅い事を確認すると同時に 足払いを仕掛けて、そいつも転倒してしまう。それから何度も立ち上がっては攻撃を仕掛けてきたわけなんだが「いい加減にしなさいな。お前が弱いだけじゃなくて。そっちの兄さんが強すぎるんだ。大人げないと思わないのか」と言う

「なあ、そこんところを分かってくれないのか?これ以上続けるのであれば。俺としては力ずくで解決したいと思っているんだがな」と言葉にしたら「もう勘弁してくれ」と頭を下げる始末だった。

その後 グライドは「また いつでも訪ねてきてくれ。歓迎するから」と言う その一言を受け止めると共に俺は酒場を出ていくのだった。それからザライの元へ戻ると「あいつが ザライドの友人だって事は分かったが どうして あの男の傍に居るんだ」という問い掛けを行ってみた すると、すぐに返事があった「あいつには 僕の大切な仲間達の命を助けてもらったことがあるんです」そう答えてくれたザライの表情は実に真剣なものであって

「そうか それなら感謝しないとな」という発言と共に頭を優しく撫でてあげた 俺は そんなやり取りを行った後に「さて 本題に入ろうと思う」という発言を行う

「はい 分かりました。それで どのような話を聞かせてくださるというのでしょうか」と尋ねられ その疑問に対して「お前と ザライの弟は一緒に行動するようにと俺は考えている」そう口にしてみる。そうしたらザライドは首を傾げていた。

なので俺は「まあ ザライの弟だし 俺の仲間になるかどうかは別として、まずはザライに鍛えてもらうのが良策じゃないかと思ってな」と話すことにしたんだが、ザライの反応はイマイチであった そんなザライに向けて「お前に提案をしたい」という言葉を投げかけてから、ザライドが ザライの弟子になってくれるかどうかの話し合いを始めることにする。俺は「お前が ザライドの師匠となり面倒を見て欲しい。そして ザライドには、あるスキルの特訓を行い その結果次第で、これから先の行動を相談したいと思っている」と 語り始めるのであった。その説明を受けてザライドは戸惑っている様子を見せている そしてザライに対して「僕も、その話を聞きたい」と口にすると「そうですね。兄さんには伝えておいた方が良いでしょうね」とザライドは口にすると ザライが「では 早速、俺の話をするとしようか」という発言を行う そこから、これまでの出来事を全て話し終えると 話の途中で「兄貴のことを勇者と呼んでも良いですか?」と尋ねると ザライズは微笑みを浮かべながら返答を行うことになる"俺にとって勇者と呼ばれる事はそれほど嬉しいものじゃない""だけど、俺のことを勇者と呼び続けてくれる限りは勇者と呼ばれていても構わない""

「俺はな 勇者と呼ばれている存在なのにも関わらず。今までに、その役目を果たすことが出来なかったんだよ。いや 違う。果たすべきことを放棄してしまっていたと言った方が正しいかもしれない。それには 理由があるんだ。お前の父親は魔王軍のスパイである可能性が高いんだ。だから ザライズ、お前に頼みたい事がある。もしも、これから先 ザライドと一緒に旅を続けることが出来るようなら、その時は ザライドのことを守ってやってくれ。もし お前がザライドの傍にいることが難しくなるようならば、ザライドと行動を共にしてくれ。どちらを選択するにせよ 今はまだ、その選択が 俺から与えられるものだ」そう言うと俺は、そのまま部屋へと戻って眠ることにする。

次の日の朝を迎えると俺は

「ザライ この世界を救う方法は いくつかある。例えば 今の俺たちに足りていないものが何か。それを補う方法を探す その前に ザライドが、どの程度戦えるか確認をしておきたいと考えている その時に俺の魔法を見せよう。だから俺に対して遠慮せずに、思い切って全力で掛かってきてくれ」そう告げてから外に出る準備を整える そして村を散策しながら ザライドの戦闘スタイルの確認を行っている

「兄貴の技は見ていますし 凄いと感心しましたけど 僕は、もっと別の戦い方を学べたのではないかと考えていまして だから もう少し自分の強さを高められるように頑張りますよ」そう語られた俺であったが、俺は 苦笑い

「それについてだが ザライス 戦い方の指南については俺より適任者がいるんだ」と言う言葉を放つ

「へぇー!それは 一体 誰なんでしょうか?」という質問に対して「今は 言えないが、その人物が俺の目的の為に必要である人物でもあるから覚えておくようにな」「そうなんですか!了解です。とりあえず 兄さんからの紹介を楽しみにしていればいいんですよね!」「そうだ そういう事になる」

その会話を終えて、しばらく歩いていると見知った

「おや、貴方達は、こんな場所にまで来て何をしているのでしょうか」そう声をかけて来た男がいた。

そいつの外見的特徴を説明していくと。全身が真っ黒に染まっていて身長が2メートルを超えており、体格は、筋肉質でありながら 細身 髪の毛の色が黒色で、まるでカラスのような風貌だと言えるだろう 俺は、その姿を見て 思わずニヤリと笑みを浮かべてしまう。そいつの名前はクロウであり俺が 魔王軍に加担をしていた頃から 顔馴染みの存在でもあった

「お久しぶりです。元気でした?」と話しかけてみると、こちらが警戒していないと判断したらしく、すぐさま話しかけてきた「私に話しかけてくるということは、それなりに重要な要件があって話しかけてきたのでしょう?そうじゃなければ無視して立ち去っています」と言葉を向けてきたので 俺としても、その方が助かる。

しかし このままだと、この男が、どこまで情報を掴んでいるのかが気になったので、そのことについて質問してみる事にした「ところで、あなたから見て 俺の事はどういった評価をしているんだ?正直に 教えてほしいんだが」と 問いかけてみた。

「そうですね。率直に言わせてもらいますと、非常に興味深い人物であると思っていますよ。ただの一般人が あれだけの力を身に付けているのですから、とても興味が湧きました」そう言われてしまったので「ありがとう あんたの評価が高いのであれば、きっと ザライにも良い影響を与えてくれるはずだと思うんだ」という発言をすると そこで初めて 俺の背後に隠れるようにして立っていたザライを目にする事になったようで、目を丸くしていた「初めまして 僕は ザライって言います。兄さんがお世話になっているみたいで ありがとうございます。それと クロウ様の噂話は聞いておりました。よろしくお願いします!」と言い終わるなり頭を下げた その様子を見届けていた、こいつは「ほほう 礼儀正しい子だ」と言うとザライトの方を向いて言葉を放った「それで、どうして 私の所に わざわざやって来たのですか。私が暇人のように見えて来ないではないでしょう。忙しい身なのに時間を無駄にする程、私は馬鹿ではありませんよ」という言葉を耳にして俺は「まあ確かに ザライに関しては 問題はない」そう答えてザライを連れて帰る事にした それから俺は「そういえば、この村の周辺で魔物の姿を見なくなったらしいぞ。なんでも あの村が出来た事が影響が大きいようだがな。もしかすると あの場所が俺達の世界における安全地帯となる可能性もあり得るかもな」と話していた そしたら あいつは「ふむふむ そういう事もあり得ますかね。まぁ何にしても私としては面倒な展開に巻き込まれずに済んだことは良かったと言わせていただきましょう。まぁ今回の件に関してですが 勇者にでも任せると良いと思いますよ」という言葉を残しながら消えて行ってしまった。

あの後ザライドには色々と話を聞かせてもらっていた。ザライの弟は本当に俺の期待に応えてくれるほどの才能を有していた そんな感じに話をしながら過ごしていると「さて、俺は一旦 村に戻るとしよう」と言ってから立ち上がるのだが「ザライは俺の弟子なんだ。お前には俺の弟と会わせる機会もあるだろう」という発言を行う それから ザライは嬉しそうな顔をしながらも、まだ不安なのか表情が優れないようであった

「あのさ、僕 ちゃんとした戦いが出来るかな」と心配そうにしているザライに対して俺は「ザライは十分に強くなっているさ。それに俺が保証する。安心しろ、お前は間違いなく 俺の予想以上に強い奴になる」と伝えると、ザライの顔に笑顔が生まれる その日は ザライに別れの挨拶を行うと共に、ザライの弟を、どうやって仲間に引き入れようかを考え始めていた。

ザライの弟は ザライと比べて性格は、おとなしくて無口な性格の持ち主だった。ザライ曰く弟の方は魔法に長けた才能を有している

「お前なら、すぐに魔法を覚えることが出来そうだな。ザライは戦士としての素質に優れていて 戦闘スタイルにも幅を持たせることが容易だと思う」と そんな風に話してから すぐに魔法を教え始めることにした。ザライドが魔法を使う際には魔力を身体の内側に集めるイメージを行いながら魔法の名前を詠唱することによって使えるようになる。俺はザライドに向けて そんな話を聞かせてから「早速だが やってみろ」と口にするとザライドは戸惑いながらも「そんな事を急に言っても 出来るはずありませんよね。だって、つい昨日まで剣すら振ったことがない人間なのですから」なんて話をしてくれる ザライドの言葉を聞いて「その点は大丈夫だよ 魔法の特訓を開始するのは早い方が良い」と語る。

「えっ! それは どういう意味でしょう」というザライドからの疑問を受けて俺は、まず「魔法を発動するための方法について、ざっくりと説明する」と前置きをした上で話を進めていく「魔法を使用するための方法は大きく分けて二種類ある まず一つは 呪文の詠唱による魔法の使用方法。次に二つ目として挙げられるのは 魔力そのものを 攻撃手段として用いる手段が存在する」と説明を行う

「兄貴の使う炎を 敵に向かって飛ばすような技のことですね」といった具合に俺の使用する技の名称を口にしながら、それについての説明を求められた それに対して「正解! お前は物分りが良い。それに頭の回転速度も速く感じる。これは なかなか有望そうだな」と話す。

「褒められているのは嬉しいけど 兄貴よりも ずっと 強い相手と戦っているんだから 少しは、それくらいの強さは身につけたいと思っているんだよ」と言われてしまい

「そうか、お前は、かなり 兄思いの良い弟なんだな」という俺の口から、自然と言葉が漏れ出てしまう 俺に そのようなことを言われてしまったザライドの頬が、赤みを帯びるのが確認出来てしまう。ザライドからすれば 兄弟から そう思われているという事自体が、恥ずかしかったのかもしれない 俺は、その光景を目の当たりにしてから「まぁザライの事は、今は置いておくとして 魔法を扱う際に必要な手順を踏んでいこうか」「わかりました」

そうして、しばらくの間、俺は この世界における魔法についての扱い方や使用方法を簡単に教えていった。ザライドからは魔法に対する意欲を感じることが出来るため、しっかりと指導してあげようと決意をした俺であった。そして俺の指導が終わった頃には すっかり夕方になっていたので この場にて解散をすることにする 翌日 俺たちの目的地である 港町へと辿り着くために ザライと一緒に旅を続けていた そして俺たち二人が歩いている最中では、魔物に襲われる頻度が高かったが 特に苦も無く対処してみせる ちなみに ザライドの戦闘能力については大したものだと考えているため「ザライズ この調子で戦い続けるようにな。そうしなければ 魔王軍の連中を潰すことなど 到底 出来ないからな」と告げる そのように声を掛けられて ザライトの気分が高まってきたのか。さらに積極的に戦いに参加していく。そうして ザライの戦闘が終わり 俺の方を見て 話しかけてきた。「そういえば、前から気にかけていたんですが、ザライドが身に付けている装備の数々は何なのでしょうか?ザライと二人で行動する時でも、あれだけの武器を どこで手に入れたんです?」と質問してきたので 俺は、その問いかけに対して、どのように返事を返してやろうかと考え込んでしまう。しかし ザライの視線があまりにも真っ直ぐだったので「分かった 話さないでおく」

「やっぱり ザライドの弟って言うだけあって似ている部分もあるようだし、いつか話しておくべきなんだろうなって思うわけだ 俺は」と語り始めたのだ。「そうなると ザライは これからの戦いにおいても頼りになりそうだ。期待させてもらうぜ」と言い終えるなり ザライスと握手を交わしてやることにした。

俺の目の前に立っていた男は俺に襲いかかろうとしており「その女を殺されたくなければ、こちらに渡すことだ」と口にした そいつは見た目としては普通のおっさんに見えるのだが 全身を黒いローブで覆っており素顔を目にすることが不可能となっている。

「ふーん あんたみたいな男が魔王軍の一員だとしたら、あまり良い情報を手に入れられるとは考え難いよな。悪いんだが 俺は、そこまで魔王軍に忠誠を誓う理由が無い」と言うと 男の手に持っている短刀に力が入る 俺は「そっか。そっちがその気ならば こっちも それなりの対応をしても良いという事で 問題は無いんだな」そう告げてやったら「お前の ような、小生意気なガキに用はないんだ。死にたくないのであれば今すぐ その娘を寄越せ!」と言葉を放たれる。俺はその言葉を聞いた後で ザライを背後に下がらせる「おい あんた。俺は、あんたみたいに弱い者にしか手を出さない卑怯者は、絶対に許せない性分でね」と言い放つと 俺の背中に隠れていた

「ちょっと 兄さん 何を言っているのさ。ここは僕の能力を使う場面だよ!」と声を出してくるのだが 俺が何も言葉を返さず無視をしていると ザライの声が大きくなっていくばかりだ。「うるさいぞ!黙れ」と口にして その辺にあった石をザライに向けて投げつける。それが見事に直撃してしまい「痛いじゃないか。僕に当たったら どうするつもりだったんだ」と怒りをぶつけてきたのである。俺の態度を見た

「ザライ、お前の能力とやらは、お前の兄に対して使うべきではないな。そんな風に お前の力を悪用するような男のために使ってやる価値もないと思うが」と言葉を放って 俺は、ゆっくりとザライの方に近付いていく「そんな事を言って僕を騙そうとしているんだろう」などとザライは口にしているが 俺の方はザライに対して何かしらの攻撃を加えることは無く ザライに語り掛けてみた。

「俺はな 今までに数多くの人間を騙し続けてきたが 決して他人を苦しめるようなことはしないんだ。まぁ今回は俺がザライのことを信頼しているかどうかを確かめるテストを行ったようなものだ。もしザライドのことが信じられないようなら この場で殺していたところだった」と話してやりザライの頭を強く叩いてから「いいか、俺を信じるか信じないかは自由だが 俺は、どんな相手だろうと差別はしないと誓おう」と話す。

俺は ザライの弟から 魔王軍が俺を狙っているらしいという情報を聞き出していたのである。俺自身としては ザライが勇者パーティーの一員として、あの魔王城に居たという過去があるために 俺はザライを、その勇者の仲間であったという事実だけで警戒していたが その話を聞いた上で「俺には、ザライは信用に値する奴だと判断することが出来る。だから お前を仲間に加えようと考えている」と告げたのであった。そうしてから ザライに俺の目的を簡潔に話すことにした すると ザライは納得がいったという感じの表情を 浮かべ

「そういう事だったんですか。兄貴を仲間に入れるということは、つまり兄貴は、これから あなたの配下になるということなのですね」なんて話をしてくれている ザライの言葉を受けた 俺は、その意見に対し はっきりと答える。「違う そうではない」とな

「えっ だって、僕は、あなたの指示に従って魔王軍と戦うために、こうして行動を起こしていたというのに」と言われて俺は「そうじゃないんだよ 俺にとって必要なものは強さなんだ。そして それはザライ。お前に備わっているはずだ」と答えてやる するとザライドの瞳から涙が流れ始めてしまう 俺は

「泣くな! 泣けば解決してくれるのは 子供の間だけだ」と口にしてザライドの肩を軽く叩いた。ザライは泣きながら「そんな事を言われても 急に泣けなんて言われたところで無理ですよ」と口にするが「それでも ザライ、お前に出来ることがある」そう話した後で ザライに「とりあえず 俺の話を聞いてくれ」と伝えることにした。

「ザライド、この世界では 強い者に 人は集まるものなのか それとも人が集まらぬ環境だからこそ強い者が力を持つようになるのか どちらか分かるかな?」といった質問を ザライに対して行ない 答えを聞く前に まず このような質問を口にしてしまった理由について、まず その理由を説明する必要があるだろう なぜなら この世界において ザライの出身地でもある『王都』は人口こそは多いのだが、強い者の絶対数が少なく 結果として この世界の常識で考えれば弱者に当たる人間が強くなることが少ない。そういった状況であるため ザライドが強者であると認められるのは難しいと考えることが出来たからだ その点を踏まえると この世界が ザライが生まれ育った故郷

「王都」と同じ状況であると仮定すれば 俺が想定していた通りに物事が進むことになるはずなのだからな。そして俺はザライから答えを得るべく「どちらが正しい答えだと思う?」と問い質してみたのである それに対して「どちらも正しくて間違いだということですよね?」という言葉を口にしてきたザライドに対して 俺は、「その通りだ ザライズ 俺は そう考えているんだ」という台詞を吐き出したのだけれど 正直に言ってしまうと この言葉を発せられてしまったことによって、かなり動揺してしまう羽目になってしまったので、少し間を開けてしまった その間を利用して ザライドに話しかけようとしたのであるが、やはり躊躇してしまい 結局は黙り込む結果になってしまう始末である ただ時間が経過してしまったために気持ちも

「切り替え」が出来るようになってしまっていたため 今度は ザライドに声をかけることにしたのであった。そうして俺は しばらく会話を行うと 最後に「これから、よろしく頼むぞ ザライ 期待は裏切るつもりは無いので、これからは頼らせて貰うぜ」と言い残すなり その場を離れることに決める

「これから先 この俺が何を目的にして生きるべきかを考えるにあたって。俺自身が強くある必要が有るわけだ。そこでだ 俺がザライズの力を借りて戦うために必要なものが一つ存在している」「兄さんの力が?どういう意味なんですか」と言いたげにしているザライズの姿があった。俺は その光景を確認した後で 言葉を続けていくことにする。「その方法ってやつは、簡単なんだが 単純に レベル上げを行っていくしかない」と言う。

ザライに俺が告げた内容は単純である。ザライの魔力操作による魔法を限界まで高めていくというのが 一番 手早くて確実であると考えての行動となる。そのためには、まず最初に ザライドが所持していた装備品を魔法で改造する。次に俺自身の身体能力も鍛える。そしてザライが魔法の威力を高めていき、その上で この三人の関係性が重要となってくる この三人で協力して戦える

「パーティ」という形を作り出しておくことが、これから先の戦闘を楽にする要素の一つとなり得てくれるからである。

ザライの魔法を極限までに引き上げていくことにより、この世界の一般的な魔法使いでは扱えないような大掛かりで派手な攻撃を繰り出すことが出来 また、それによって発生する衝撃波を利用した攻撃も使用可能になっていくのは間違いなく。ザライが扱う魔法に関しては ザライトに「勇者が扱っていたような技を覚えてもらうように努力して欲しい。ザライ おまえは その身に覚えていないかもしれないが かつて魔王との戦いでは、多くの戦士達が お前の放つ強力な一撃で命を落としていった その力は、今でも衰えてはいなかったと俺は思う」と言ってやる その後でザライに「俺は、魔王軍の首領を討ち取るために お前と共に行動すると決めた。しかしだ、お前は魔王軍を倒そうと思っているのではなく むしろ魔王を庇っているという状態が見受けられた」と話し始めた。俺の話し

「それは誤解ですよ。僕は、別に魔王を擁護しているわけではなくて 単に 魔王と行動を共にしたからです。僕は、魔王の口から語られる真実を知ってしまいました。それで、僕は あの人に協力する事に決めたんです」という話をして そこから ザライの話を聞いていたのであった。

どうやらザライは

「魔王に心を奪われた」と口にしているが 俺から見れば その言葉ほど嘘くさいものもないだろうと感じている なぜならば、俺は ザライと初めて会った時に感じていた印象を未だに持ち続けていたからだった。それは「こいつの言葉の全てを信じてはいけない。信じるとしたら それはザライドに、その行動を強要させる何かがある時だけ」

「もしもザライドが ザライの言葉に対して反論出来ない理由が存在するなら その時は ザライを救わなくてはいけなくなる。俺は、そう感じている」と、いうことである。ただザライの弟であるザライの話を聞こうとしていた時のことを思い出して 改めて思い直したところだが やはり俺の考えは間違っていないのではないかと思えるようになっていたのであった

「そうか ザライは魔王軍に所属しているのか。だがな ザライ。仮に魔王軍と敵対する事になったとしても ザライ自身が あいつらに狙われるような状況になった場合だけは気を付けることだな」

俺は ザライの弟に向けて、その言葉を投げかける 何故ならば、ザライの弟は「それは、どういう意味なんだよ」という言葉

「僕は そんなに危なっかしいような状況には遭遇したことはないんだけれどな」というような表情をしているのを見て

「俺の言葉を信じられないと思うが。今の状況というのはな ザライ。俺はお前の兄貴の話を耳にしていた だから ザライ。俺は お前に助言を与えている」と話したのである。

そして俺は 勇者と行動を共にするようになった頃の事を思い出し始めていた。勇者は、この俺が今までに見てきた勇者の中では珍しく 勇者としての力を振るうことに抵抗を感じていなかった。

勇者は「俺は この世界に生きる人達のために、勇者らしく行動しようと思う。俺は自分の強さを高めることで、より多くの人々を救うために戦い続ける」などと語っていたのである。そう語ったの

「それなら 勇者が魔王に手を貸すなんて事は有り得ないじゃないか。魔王を倒すための戦力を整えるならまだ分かるよ。だけど 魔王軍に味方するような勇者なんて聞いたことがないぞ。そもそもさ、勇者だって元々は冒険者なんだろ」とザライ弟は話し始めたのだ この話は、この世界で生活している一般人なら誰しもが一度は耳に入れるであろう内容だと言えるだろう 勇者という存在は 人々にとっては憧れの対象になり得る存在であったのだ だが、そんな人物に憧れを持つと同時に恐れを抱いていた者も存在していたのは確かであり 俺自身もその一人でもあった。俺が暮らしていた国において『勇者』と呼ばれる男は、その国の王様になる資格を持っていると言われていた その事から考えると『国王

「勇者が国王に成れない理由」とは?』といった記事の見出しを考え付いたのが自分だということを思い出せる程度には頭の中で記憶している出来事であるといえよう 俺は、そんな事を思い出す事が出来ていたため 自分が口にした「この世界の人間ではない俺だからこそ言えることなんだが」と前置きした上で「俺達にとっての価値観で言えば、ザライ あんたは正しい判断をしたと、この世界の人間は思っているはずだぜ。だからこそ ザライド、安心しておけ 魔王軍に属するなんて真似は止めておくんだな」

そう言って俺は、ザライ弟の言葉を遮ったのである そうして俺はザライズの方へと視線を向けることにしたのだが そこには ザライと同じように俺に向かって敵意を抱いている瞳を持った少年の姿が存在していたのだった。俺と目が合った ザライと ザライドは、それぞれ「「お前に、何が出来るって言うんだ」」と声を合わせて話してくる ザライドの発言については予想通りの結果であると考えていたので問題は無かったのだが まさか ザライまでも似たような台詞を口にするとは考えておらず 一瞬、戸惑う羽目になってしまう

「確かに、今の俺に 何かが出来るとでも考えているのか?」

俺は、この二人に対しては 俺の力を知られないように振舞う必要が無いと考えた上で

「ザライドの装備を強化して この王都にいる魔物を相手にしても勝てるだけの実力を手に入れられるように指導を行う。そして お前と それからザライの二人が 一緒にパーティを組むことになるように働きかけて 王都に存在する実力者達に目を付けられるようなことになれば、そいつらの相手をザライに任せることになるだろう。そのつもりでいると良い あと そうだ ザライズ お前もだ。ザライが もしも お前の身を護ってくれると口にしてるわけじゃないんであれば 俺の指示通りに動け。分かったな」と口にする。そうして俺は「これからは この三人で動く事になる。よろしく頼むぞ」と言ったのであった。

ただ そんな言葉を掛けられたところで、こちらにメリットが有るはずもない 俺の言いたいことを一方的に伝えてくるばかりで何も答えない相手に これ以上時間を無駄に使いたくなかったからという事情もあった。ただ そんなことを考えていた俺に対して ザライは、こんな発言をしてきたのだ。「これからは ザライが兄さんを守る側に回れば 僕の魔法も強くなっていくんですね」などと口にしたのである。そう言われたザライズは、「俺は 守ってもらうつもりはない」と言い返した後で「ザライズ おまえの言っていることも理解できる。しかし、俺にもやらなければならない事があるんだ。それにな 俺がお前の魔法の師匠になってやる。ザライの奴を、俺の弟子にするんだ」と答えた

「ザライの魔法の威力を極限にまで引き上げるために あいつに魔力の操作方法を仕込んでいく必要がある」と俺はザライ弟に説明を始めた

「俺も 魔王討伐を目標に掲げた勇者として この世界の人々を救いたいという意思を持っていたのは間違いがない事実である だがな それだけじゃなく ザライドを、そして 俺が手にする力を最大限に引き出すためには必要な事が幾つも存在していると考えてもいる」「それは何だよ」とザライの弟から質問を受けた俺は答える前に この世界について語る事にしたのであった。

この世界においては魔王の恐怖というものは根強く残っているものであり ザライドの話では魔王は魔族の長を務めているらしいのだが ザライドから話を聞いた際に感じたのは。魔王という者は「自らが持つ力で民を守ろうとする正義の体現者なのか。あるいは、悪の道に染まり切ってしまった哀れむべき存在であるのか?そのどちらかだとしか言えない」というものだった。これはあくまでも推測に過ぎなくても「おそらくではあるが、後者の可能性のほうが強いのでは?と思っている部分もある」ということだと言えよう。なぜならば「もし前者のような人物であるなら ザライドは 俺のところまで来ることはなかった」からである。そう考えると やはり ザライドを洗脳に近い状態に陥れた元凶が存在するという可能性も否定できなくなってしまったという結論に達する事が出来る。だが そうなってくると「魔王軍がザライドの弟に あんな酷いことをさせたのではないか」と考えられる だが それは、あくまで俺が導き出した仮説の一つでしかない 魔王軍の狙いは何なのかを考えるにしても「俺達は その手の内を探ることから始めるべきだ」とザライの弟に向けて、そう告げてやった。ザライの弟が俺に向けて「お前の言葉を信じられないのは、今も変わらない。だけど 俺だって強くなりたいと願っていた時期がある。お前が俺を鍛えてくれようとした気持ちを否定する気は無い」と言ってきた。

それに加えて「ザライド お前は、どうして俺のことを勇者様と呼んでいるんだ。勇者なんて称号 本当は捨て去りたかった。けど 魔王を倒し この世界を救わなければいけなかった」

ザライの弟に対して「それなら勇者の称号は 僕が貰い受けることにしよう」などと話し始めた。それに対して ザライ弟は「勇者を譲れるもんか。絶対に負けるものか」とザライに向かって話し始めていたのである。そうしてザライとザライドは 俺に対する不満を口にし始めていくのであった。

俺の言葉を聞き入れようとはせずに ザライドの装備品に関して強化を行おうと考えていたのであった。まずは その

「強化」という言葉に、どのようなものが存在するのかを教えることになったのである。この世界に生きている人々は、俺が想像している以上に魔法を扱う才能に長けた者達が多く存在しているようで 俺の説明を聞いて、ザライドが「なるほど」と納得してくれたのだった。そこで ザライドの防具に魔法を付与して「これで、この世界に生息している生物が扱う物理攻撃の殆どは ザライドには通用しない」と言えるレベルまで持っていけるのではないかと考える。だが、それを実行に移すのは難しいのが現実でもあった それは 魔法を行使するための才能を有している人間が希少であるという事もあるのだが それ以前に、俺が扱える魔法に問題があるのだ。というのも俺の行使することが出来る魔法の内の一つとして 武器に魔力を通すことで威力を向上させる

「ウェポンブースト」と呼ばれる魔法が存在している この効果は「武器に魔力を流し込むことで使用者の意思によって攻撃力を高められる」という物なのだが、俺の習得できる技術としては「熟練度が低くとも十分に効果を発揮させられる」というものであるのだが、それでも ザライズの持っている知識と比べてしまうと、そこまで大きな差が出てしまうわけでもないというのが本音でもある つまり「俺の技術でも 十分な効果が期待出来るが この世界の人々には、まだ早すぎる技術だろうな」と思えた。だが、ザライ弟に関しては 既に、俺とザライドの話していた内容を耳にしていた

「そんな話をしていたけれど 勇者様に、そこらの店で売っているような剣を渡したとしても 大して意味なんて無いだろうな。なんせ勇者様なんだ。特別な装備が必要になるはずだよ」

ザライドとザライド弟の会話が、どのように変化していくのかという事に注目していたのだが 二人の関係性は俺の予想に反して悪化することはなかった。ただ 先程も話したとおり ザライドとザライド弟の関係が悪化しなかったのは俺と その弟子という立場にあった ザライと ザライズの存在が大きかったのかもしれない 俺は

「お前達が魔王軍を打倒するための仲間であることは理解したが 勇者が、どういう者なのかを教えておいてやろう」とザライド弟に話しかけたのだった。ザライが勇者について知っている事を 俺がザライド弟に話すと、ザライは 勇者が王様になれる資格を持っていると言われていた話を思い出せたようであり「僕は 勇者に憧れていました。だから 僕も 王様になろうと思っていたんですよ。なのに 父上が許してくれなくて それで 諦めたっていう経緯があります。でも、そんな勇者が王様になる資格を持っていたんですね」と言った。その言葉に対してザライの弟は

「そうさ。ザライの兄貴は王様になりたかったんだろ? だったら 俺と二人で王様を目指してみないか?」

「お前 なに言ってるんだ」

そう言ってザライは 自分の弟の頭を掴み上げようとしたが ザライの弟は「冗談ですってば、俺の言う事なんて気にせず 王都に向かいましょう」と言って俺達を連れて歩き出す。こうしてザライ弟に連れられて移動を開始した ザライは「ザライド 俺が王を目指す理由を知っているんだぞ」と言い放った ザライの弟は それを聞いた後にザライドの方を見て笑っているので「俺達の関係を お前に教えていたとは意外だと思っただけだが」と答えておいたのだが ザライドが何を思ったのか分からなかったからこそ、そんな質問をしただけに過ぎないが まさか「王になりたいと思う奴なら誰だって居るんじゃないかと思ってな」と答えただけだった そうこうする内に、目的地に辿り着いた俺は早速 ザライズ達に「これから、この国の兵士達と戦うことになってしまう可能性もあるとだけは覚えておけ、そして 兵士を相手取る際には殺すつもりになれ。そうすれば敵兵を倒す際に生じる罪悪感から逃げることができるはずだ。それに人を殺したことの無い者が、いきなり魔物を殺すような行為が出来るわけがない。しかし人間であれば躊躇うような状況に陥った時であっても魔物は平然と殺しにかかってくるだろう。そういった魔物を相手にするのに必要になって来る力は何かといえば。殺さずに済ませる方法を考える思考力ではない。魔物の命を奪おうと覚悟を決めるための殺意なんだ それが出来ないのであれば そもそも お前は戦うべきではないだろう」と伝えたのであった。だが ザライド弟が、こんな発言をして俺の注意を引いてきたのだ。「そんなに魔物を殺して欲しいなら、勇者が自分で殺したらどうですか」

ザライの弟が言いたい事は分かる だが、俺にも譲れないものがある 俺は「そうやって他人に戦いを押し付けて逃げようなんて考える輩を、俺は信用するつもりは無いな。もしも 本当に自分が戦わなければならないと判断できたのならば。自分から率先して戦場に立つことが出来る奴を俺は尊敬に値すると思っている。俺に戦いを任せて安全な場所に居ようとする奴が俺は嫌で仕方が無いんだ。それに、その考えこそが甘えだと俺は思うんだがな。ザライドは、どんな形でも良いからザライド自身の意思で 誰かを守ることのできる者になれ、俺の弟が、そう言った意味を理解することが出来れば、これから先の旅はより安全なものになると思えるから。俺はお前のことを信頼することにしよう」ザライ弟に向けて、そういうと 何故か嬉しそうな表情になった。

その顔を見ただけで、なんとなくだが こいつが何を言いたかったのかが分かった気がしたので その気持ちを理解してくれる人が今まで一人しかいなかったということなのか?と考えてしまったが それは 今は、さほど重要な問題じゃないと思い 深く考えないことにした。

ザライは

「弟は俺に助けを求めてきたんです。助けを求めるぐらいなら 自分でどうにかした方が良いんじゃないだろうか」と不満げに口を開く ザライの弟に視線を向けたが「ザライ兄貴の口から出任せに決まっていますよ」などと言われてしまえば ザライドに真実を確かめる手段が無くなって 俺の言葉を信じてくれなくなる危険性があった。なので「そろそろ出発して良いか」と聞くとザライドは、すぐに首を縦に振ってくれたので「それじゃあ、俺の後を付いてきてくれ」と言うと ザライドは「分かりました。それでは宜しくお願いします」などと俺の言葉に耳を傾けてくれた そのザライの様子を見る限りでは やはり洗脳に近い状態になっていたようだと確信を持てた そして

「それなら お前が俺と一緒に旅をしてみるという選択は お前の願いを叶えるために 最善の方法だと思われるが 違うかな」と話しながら ザライドが背負っていた剣に手を伸ばしていき柄を握った。その瞬間に剣に変化が訪れたのである。すると ザライドの身体からは、どす黒いオーラのようなものが立ち昇っていく。その光景を目にしていた ザライの弟が驚きを隠しきれない状態で、こちらへと振り返った。「勇者様! 今 何が起こったのですか」と

「今の ザライドの状態が、本来の ザライドという人間の状態なんだ。つまり、あいつの弟は ザライドに嘘を吐いて騙した事になるんだが 俺がザライを、あの状態から救えるかどうかは正直、微妙なところだったりする。だけど俺が お前を助ける事で 俺に対する印象が変わるだろうな。俺がザライドを助けても大丈夫だろうと判断してから ザライドを救う為に動いていたが、もし失敗してしまうと 最悪の場合 ザライドに殺されかねない状況に陥るだろう。それだけは忘れないように気を付けておくことだ」と言った

「そういえば ザライドさんが言っていました。僕は勇者として認められていなかったと」ザライの弟の頭を撫でた後に 剣を引き抜いていた。それから「この剣は、この剣の主に相応しいかどうかを見定める事が出来る代物だ。ザライ、俺と共に来い」と告げて 鞘に収めた。その後 ザライドの額に触れ「目を閉じているように これから行う作業を行うと目眩を起こす可能性がある」と口にしていたのだが、ザライ弟は俺の事を睨んでいたのだが、俺と目が合うと「勇者様に敵意を持っていても無駄だと思うぜ」と笑みを浮かべていた その態度に対してザライド弟が文句を言う前に、俺は魔法を使って ザライドの弟と その周辺に存在する者達の意識を奪ったのである そして「この剣の能力は本物だったんだな」そんなことを思いながらも「ザライドには悪いが。この剣には勇者にしか扱う事の出来ない武器なんだよ」とザライドに聞こえるような大きさの声で言うと その剣を持ち主に返していく。この剣は「魔王を倒せる程の勇者だけが手にすることが許され また使いこなす事も出来るようになる剣なのだ それを理解出来た上で お前に使って欲しい」と言い残して 俺が魔王を封印していた場所まで案内した。

この場所は 魔王が封じられている洞窟なのだが 俺とザライズの二人は既に ここを探索していたのだ。その際に ザライも俺に同行していたが その時の記憶を失くしているらしい その証拠としてザライドが身に付けていた服とザライの鎧を身に付けてみたところサイズもぴったりだったようで ザライ本人は「これは一体どういう事なんでしょうか?」とか困惑していたが ザライの弟が「俺がザライ兄ちゃんのために作った特注品だよ」と笑顔を見せてザライを喜ばせていた。俺はザライドに、どうして そんなに嬉し

「俺がザライドの為に わざわざ 作ってやったんだ。嬉しいのは当たり前じゃないか。そんなことは言わなくても分かっている事だし そこまで喜ぶ事なのかと 俺は逆に不思議で仕方が無いんだが」と呟いていた

「そうですね。確かに僕は凄く喜んでいます」ザライドも素直に喜びを表現したくて堪らないのか。そんな風に言葉を口にしていた。

こうして勇者ザライドとの再会を果たし 俺達三人は 勇者ザライドと共に行動することになった。ザライドは勇者の力を完璧に引き出せる存在ではないものの 勇者の力を使うことが出来る そう だから勇者としての実力を引き出す事に成功したら、もしかしたら勇者ザライドに

「勇者として認められる日が来るかもしれません」ザライドは俺に、こんな事を言い出した。だが 俺はザライドが「俺を仲間に加えて欲しいのです」なんて言って来た時と同様に

「お前の弟のように ザライドを利用するだけ利用した後。簡単に捨てるような奴が居るから。お前の事が心配でならないんだ。それに、もしもお前を勇者と認める奴が現れたとしても 俺は絶対に許せないと思う」と答えた。

そんな俺の本音を聞いているザライドの表情に悲壮感は無かったが「そうですか それでも いつか きっと 僕にも勇者と認められるときが訪れるはずです」と前向きな言葉を俺に向けてくる。

俺は「お前を、その立場に押し上げてやろうと思う。その為に俺に協力してくれるか」ザライドに問いかけると 笑顔で「はい 頑張ります」と答えてくれた。そのやり取りをしている際に 俺はザライドに「さて、そろそろ、これからどうするかを考えないといけない」と話しを切り出してみたが。どうしたら良いのか分からなかったので。

まず最初にザライに

「これから、ザライズ達の所へ 向かっても良いか? それと そこで何をするべきかを教えてくれないか」と質問を投げかけてみたが「それは、どういった目的で 俺を ザライズの所に向かわせたいのか、という意味なのか? 俺の口から答えられないような理由を尋ねられた場合は 残念ながら、お教えすることは出来ないと思います」と言ってきたのだ。だが 俺の質問に答えるために 俺の方を見てくれていたので「俺の予想通りだとすれば お前が ザライドの弟の本当の姿を知ってしまうのは不味いんじゃないのか?」と疑問を抱くと「そう言われましても 今の俺が知る必要の無い事は知りたくないし 知ってしまってはいけなさそうだな。と感じた時には 俺は俺の意思に反してでも知らないふりをするつもりだ」と言っていた そして 俺達は ザライドの故郷であるザライズの町へと移動を開始することにしたのであった。道中で、ふと思ったことがあったのだが、勇者の力を使いこなせれば もしかすると ザライドは俺と同等の力を得られるんじゃないだろうか?と考えながら 歩いているザライに 話しかけてみた。「ザライドは、どうやって、あの剣を扱えたんだ」と口にしたところ「それは やはり 努力と根性 それに気合いの入り方でしょう」と返事をしてくれたのである。だが「そういう意味で言ったわけじゃないんだ。ただ ザライドの勇者の力は本物だということを理解したかっただけで 特に深い意味はないから、あまり気にしない方がいい」と伝えると ザライドが俺のことを見つめてきていた。それから「それなら、その剣を貸してもらえませんかね」と言われたのである。俺に、あの剣を渡すということは 俺の命を奪うかもしれない可能性を持つことになるのを理解しているんだろうかと考えたが「分かった。だが ザライドが持っている方が ザライド自身を守りやすくなるんだから 俺がお前に、あの剣を預けることは無い。それだけは 分かっておいてくれよ」と言うと ザライドが苦笑いをしていた。

そんなザライドを、しばらく見ている内に「お前は、本当に、あいつの弟に、騙されていたという訳か」と言うと ザライドは、

「そうみたいです。ザラインさんの話によると ザライド兄さんには、その自覚が無くなっていたようでしたけど」と言うので「ザライド、あいつとは話してみてどうだった」と言う感じで話題を変えた。ザライドがザライに、どこまで話しをするのかが分からないのに こちらから口を挟むべきではないと考えて あえて何も言っていなかったのである。

それから ザライドは

「えっと そうですね。基本的には ザライド兄さんは、あんな調子だったんで ザライに弟がいたことすら覚えていない様子だったんです。それどころか、自分の記憶の中に ザライという人物が存在しないとまで口にしていました」などと話すので 俺はザライドの話を遮って ザ

「そうなんだな」とか適当な相槌を打ち続けていたが。内心では 俺の勘が当たっていたようだ と思いながらも 会話を続けているザライがザライドの弟の事を忘れていなければ良いのだがと考える事にしたのである。そんな事を考えていたせいなのか それからしばらくは ザライに意識を奪われていて 気が付けば目の前にいた町に到着をしていたのだ。そして ザライズの街に入った直後にザライズと出くわす事になったのである ザライトが町に訪れると、そこにはザライの兄弟の姿があり

「よう!久々じゃねぇか。元気にしてたか?」と ザライドの肩を叩き始めたのを見て、ザライトがザライの事を指差すと ザライドは驚いた表情を浮かべて 一歩だけ後ろに下がっていた。そしてザライも ザライの姿を見て驚きを隠せずにいる そう ザライズは、その外見は変わっていなかったのだから そして ザライドがザライズの事を凝視していたのには 俺にはザライの姿が別人に見えたためだと思うのだが この場には ザライの弟もいるので、詳しい事をザライの弟が聞いてしまう前に この町にいる間にザライに ザライドの事を説明してもらう必要があると、判断していたのだった。

「この姿 どう思う。正直な気持ちを教えて欲しい」ザライスが戸惑っているような雰囲気を感じ取ることが出来ているので そんな風に尋ねてみたところ

「正直な感想を言っても良いですか」ザライに尋ねられて「ああ もちろん」と答えると

「勇者ザライドよりも、その姿の方が格好良く見えるのは、俺の考えが間違っていないのならば、勇者がザライドだという証になるはずです」などと言っているのだ。俺はザライの言葉を聞き流してザライドの方を見た後に「とりあえず ザライズの家に、このまま向かった方が良いんじゃないか」と話しかけると ザライドも俺に同調するかのような態度を見せてくれたので 俺達はザライズの先導

「俺達が向かう先は、ザライズの実家だぞ」という言葉に従いながら ザライズの家へと向かったのだ。

俺達は ザライズの後に続いて歩いていたが、その途中で「俺は ザライドとザライとで、かなり似ていると思っていたんだけど、そう思っていただけなかったのか」と呟くとザライが振り返り

「俺はザライドと似ていると思っている。ただ 少しばかり顔の作りが違うだけじゃないのか」と言われてしまう そんなことを話していると あっという間にザライド達が住んでいた場所に到着することが出来たので 俺とザライドの二人は すぐに中に入らせてもらうと、そこには、ザライドの兄と妹と 弟の姿が存在しており、そんな彼らを見つめるザライドの顔

「どうして あなたがザライの姿を真似ているのかは分かりませんが、ザライドとして生きていた時の、その振る舞いに あまりにも酷似し過ぎているように感じるのは何故なのでしょうか」ザライドは ザライズの問いに答えることが出来なかったのであった。ザライドが、どうして 勇者ザライドを演じなければならないのかは まだ誰にも分かっていないからだ。

「ザライズ様。俺の名前は ザイナズという名前であり、その名前を名乗っても構わないと思ってもらえるような人物になりたいと考えております。しかし今の俺は、ただの一介の兵士でしかない存在でしかなく ザレイズ様や、ご家族に認められなくても仕方がない状況でございます。ザライドに成り代わって これから、この世界のために尽力するつもりでおりましたが やはり、勇者が二人居れば、それ相応の力を持つ者でなければ、他の方達に認められないだろうと そう考えたのです。なので、勇者ザライの振りをするのは辞めることにした次第です」とザライズが俺に対して言葉を発した瞬間 ザライドが何かを閃いたという感じで ザライが口にしたことを理解したらしく「そうですか 俺は 勇者ザライズに認められることが、それほど重要なことだと思いませんでした」と言っていたのだが。ザライが勇者としての使命を放棄をしてしまうのではないかと不安を抱いたザライドであったが そんなザライドの様子を見て「勇者は勇者でい続けなければなりません。ですが ザライ 貴方は違うでしょう」と言い放つと ザライドが困惑の表情を見せていたのである。ザライが勇者として これから生きて行くことを決めた時のように ザライズがザライドに歩み寄ったのを確認して ザライはザライズに向かって頭を下げて

「今まで 申し訳ありませんでした」と謝罪をすると ザライズは微笑んでいた。そして「私は ザライ 貴方がザライドを演じているとは、思いもしなかったので ザライドだと名乗ってしまった事は 謝らなければいけないでしょう。これからは お互いの立場に相応しい呼び方をしましょう。これからも宜しくお願いします」と言うと ザライドが笑っていたのである。俺は ザライトが勇者だと認めたことにより ザライドに対する扱いが良くなったのだと確信しながら ザライドを祝福するために、その場を後にしようとしたところで

「ザライト 君にはザライドとザライズの護衛を頼みたい」と頼まれてしまったのだった。それからザライドが「それではザライズさん 私と一緒に来てくれませんか」と口にしたので ザライの方を気にしつつ

「はい。分かりました。俺が 必ずザライの事を護衛しておきますので」と言って ザライ達の傍を離れていくと 俺が離れた後もザライドがザラインと話し込んでいたようであった。

それからしばらくしてから 俺は一人で宿屋に戻り、寝ているザライの横を通り抜けて、そそくさと外へと出ていた。理由は単純明快な物なのだ。俺は ザライから「もしも 俺の力が要るような事が 起きた時には、どうか俺を助けてください。俺は ザライド兄さんの、その力を受け継ぐことは、どうしても出来ないんです。その力で助けてほしい人が現れた場合は、その力を貸してあげて欲しい。俺もザライドの力を受け継ぎたいと努力してはいるけど 未だに上手く扱えないんだ」と言われていたのを思い出したからである。俺はザライドの力を受け取るつもりは無いと口にしていたのだが ザライから ザライドの弟に渡してくれと言われた物を受け取ってから それを ザライドに渡す気になっていたのだった。

そういえば ザライは ザライズを勇者ザライズと間違えていたが、その間違いは どうすれば解消されるんだろうか?

「俺も ザライドの真似をしていたのだから ザライドの格好をした方が良かったかもしれない」そう口にしたのは ザライがザライの弟に向けて

「ザライドがザライドではないという事を、どう証明出来るのか分からないから とりあえず、その服を着替えてもらえないかな」と口にしたところで ふと思い浮かんだからである。そんなことを考えていると ザライがザライズの目の前に立つのだが ザライドは ザライに「勇者ザライよ。ザライドはザライに何をして欲しかったんだろうな」と言うので ザライが困っていた。そんな事を口にするぐらいなら ザライの弟である自分が ザライの事を救ってやるべきだったのではと俺は

「まぁ 良いんじゃねえの。俺としては、あんたの弟が無事で何よりだと考えている」と言ったところ 二人が、きょとんとした顔を向けてきたので「ああ 別に、ザライドの弟は死んで欲しいわけじゃ無いけど あんたらが兄弟として再会を果たしたのに ザライドの奴がザライの弟のことを、ちゃんと覚えていなければ、それで良かったと思っているだけだ。ザライの弟も、ザライの事で悩んでいたようだったから それを解消する機会を与えられたのだろうと考えておけばいいんだよ」と言うと 二人がお互いに目を合わせた後で ザライが苦笑いをしてみせた後に 俺に向き直ると 深々と礼をする姿勢を見せたのだ。それからザライと別れて ザライズの屋敷

「ここに戻って来るまで、かなりの時間がかかってしまい、大変お待たせしてしましました」などと話すザライズと共に中に入ると ザライズの家族が勢揃いをしていた。そしてザライズとザライズの妹にザライズの母さんは、既に泣き出していて ザライとザライズの兄弟にはザライの父さんと、ザライのお母さんが優しく声をかけており 俺も「おかえり 待っていたぜ」と笑顔を浮かべて出迎えてやろうとした。そんな風に ザライドが、俺の方へと顔を向けた時に ザライの表情が変わったような気配を感じたが。俺は すぐに「お前の兄貴が帰って来たぞ」と言ってやる

「えっ?」ザライは驚きの表情を浮かべていたので 俺が指差す先に目を

「本当だったのか まさか」そう言いつつ 視線を動かしていくと

「あっ 父上 それに母上に お婆様。ただいま戻りました」ザライドの言葉を受けて ザライズ達はザライの元に駆け寄るようにして向かっていくと「心配をかけてしまって、本当に申し訳ありません」そう言うと同時に ザライズはザライズの前で両膝を付く形で座り込んでしまう。ザライズの両親が ザライとザライの弟に対して優しい言葉を投げかけていたのを見つめながら「俺の予想だが ザライドは、ザライズに対して、どんな風に接せば分からなくて 今までと同じように振舞ってしまっただけなのかも知れないな」などと考えていた。

勇者の証を手に入れたの

「その証があれば 俺は勇者に成り代われるのでしょうか」勇者と認められること

「この証を手にしている限りは そうですね」それは、ただ一つの方法であった。ザライズが持つ勇者の証は それ程大きな効力があるわけではないが 他の人間にとっては とても価値ある物に思えたらしい。ザライドに認められたという事実を胸に抱くだけで ザライドに認められる為に努力しようと思える。そういう物だと認識しているのである。「そうですか ならば ザライズ様の為に ザライドは頑張ってみるとします」と そこで ザライが勇者になる為の儀式が行われようとしていた。ザライドが これからの自分の振る舞いについて語り始めた時 俺は、その儀式を目に

「これから 私は、どのように振る舞うべきでしょうか」というザライズの質問に対し ザライドは「私は あなたを信じて付いて行く所存であります。勇者の役目を放棄すると口にされた時は どうしようかと焦りました」と ザライズを勇者として受け入れて、そのままザライズがザライとして生き続けることを望んだので その意思を尊重するように 俺は行動して来た。

それから ザライとザライズが共に勇者として 人々のために尽くしていこうという話に

「そうですか ザライドさん。私達と共に来てくれるということで宜しいのですね」「えぇ ただ今の俺は ザライという名前なのですが この姿で居続けても良いのかどうか不安になりましてね。一度元の世界に戻らせて頂いても良いですか」そんなことを話しながら二人で手を繋いで外に出ようとした瞬間 ザライズ達の周囲に黒い渦が出現してしまい二人は呑み込まれてしまったんだ。そして俺達の視界は暗闇に染まった後に元に戻るのだが ザライ達が居なくなっていた事に驚いた俺は慌てて辺りを探し回り始める。しかし ザライの姿を見つけることは出来なかったのだ。

そんなこんなで俺とザレイズとルミナスの三人はザラインがザライドに渡し損なった物を受け取りに行くために洞窟の奥へと向かったのだが 途中で何度も

「やっぱり、これを渡すのは止めよう」と言いだしたくなるような状況に遭遇するのだった。まずは地下の通路で ゴブリンに襲われている商人と出くわした時のことだ。商人は護衛を連れていたのだが その中に冒険者の姿は無かった。俺が助けに入るべきか悩んでいると ザラインが「大丈夫だよ 私に任せてくれないか」と言い出して ゴブリン達に歩み寄っていく。

俺としても その方が楽だったからな。だから「あぁ 分かった」と口にしてから ザライズの後を追うようにして歩き出す。そして ザライズの足を止めたのは、そこに現れたのが普通のゴブリンではなかったからだ。通常のゴブリンとは違い肌が赤紫色に変色

「これは一体どういうことでしょう」そんな言葉を吐き出しながらも ザライズと俺は武器を構え 臨戦態勢をとる。そんな俺たちを見ても特に動じることの無いまま、その魔物 レッサーヴァンパイアは腕組みをしたまま じっと俺達の事を見下ろしてくるだけだったんだ。そんな様子に違和感を抱いたのは俺だけでなく ザラインも同様であった。そして「なにか おかしなことが起こっている」という結論に辿り着いた俺達はザラインの提案でザラインが囮となって引きつけてくれている間に その場を離れるという手段を選んだんだ。それから少しばかり時間が経過して俺達は、ようやく目的としている部屋の中に足を踏み入れた。そこは ザライトから聞いていた通りの場所で、ザライトの記憶では そこ

「やはり この場所だったようですね」

ザライドの声を聞きながら俺とザライは その奥に存在する台座の前に立ってみせると ザライドは、その中央に置かれている指輪を手にした後で ゆっくりと俺とザライの顔に視線を送ってきた。俺は その行為の意味がよく理解出来なかったんだ。するとザライはザライドに話しかけるようにして声をかける。

「なぁ もしかして ザライドは、ここに来るまでの、ずっと迷っていたのかな」

この言葉を聞いた途端に ザライドの動きが止まったのを 俺は確かに目撃してしまった。それを確認した

「どうやら、そのようだ」俺も、それに応えるようにして声を出す。

そう ここはザライドが 勇者ザライドと その家族と過ごした場所なのだ。そんな所にザライドが現れたのだ

「そっか だから、俺とザライドを会わせようとしないのか」

ここで初めて

「なるほど そういうことなのか」

そう思った。ザライの言葉に「ザライさん。どうされました?」という ザライドの台詞を聞いて ザライが、どのような表情をしていたのか、その目線から読み取ることが出来なかったが ザライズには ザライの考えが分かるはずがない。だから「ううん。何でも無いんだ」と答えて「俺がザライドの代わりに 勇者ザライドに成り代わってみようかな」と口にするのである。

それを受けて ザライドは「分かりました。お願い致します」と口にするので ザライズが「じゃあ とりあえずは、やってみるから」と口にした後で ザライドからザライドの手渡された物を右手で受け取ると ザライドから 何かの気配を感じる それを不思議には思うが 俺自身は、そういった気配に関して鈍感である為 気にもせずに

「勇者ザライドよ。今、其方の身体を借りた」そう口にすると共に

「これで良かったのか?」

ザライドが 俺に尋ねたのは「あぁ 助かったよ」と ザライドが、そう言った。

そのやり取りの最中に ザライズと

「さぁ ここから出て行こうか」「え? はい そうですけども。どうしてでしょうか」なんて話をしていたザライの様子も変わった気がしたので「お前たち二人に渡しておかなくてはならない事があるのだぞ」という言葉を残してみる。

そうした結果を目にしてみたところで俺は自分の間違いに気づいた。先程まで目の前に存在していたはずの この部屋の扉は存在していなかったのだ 俺は、そのことを伝える為に振り返ってみると ザライドとザライも戸惑っている様子を見せるのだが そんな状況を目にしたところで再び視界に変化が生じていくのだ「これは何なのだろうか」と思いながら見つめていた先で ザライズ達の周囲に黒っぽい霧のようなものが発生していき、それが消える頃には二人の姿が消え

「はて。此処は何所だろうか」と口にしながら辺りを見回しているザライドが存在していたんだ 俺は咄嵯に声をかけようとしたんだけどね でも俺より先に ザライドの方が声を発したんだよ

「貴方は?」なんて言葉を受けてな ザライが答えるよりも前に俺は口を開くことにしたんだ。それで説明をした後に 自分が魔王であることを告げてみるとザライズの瞳から光が抜け落ちてしまったかのように見えて、そこからザラインの方に向かって駆け出していってしまったんだよ ザライの行動を目の当たりにしながらも俺は、その場で動けずに立ち止まってしまっていたのだが「すまない」と言いながら謝ってくるザイドに対して反応出来ずに居ると、そんなザイドが 俺に手を差し伸べてくれた。そして改めて手を取り合って握手をして見せ

「君とザライの関係に亀裂が入る原因を作ってしまったことを 本当に、すまなく思っている」「そうですか それは仕方のない事なんですよね。私だって、いきなり ザライが 私の前に現れたりしたら ザライの事を避けるようになるでしょうし」そんな会話を交わした後で ザライズは俺が手にしている物に気づくと興味を示したようで「それを見せてもらえませんかね」と言われたんだ。それに加えて「出来れば ザライズ様がザライドさんの身に着けられていた物を ザライズ様に返して貰えると、ありがたいんですが」と 俺の手を握りしめたままザライドに懇願するように頼み込んできた。

しかし ザライドの反応としては「勇者の証」というアイテムを持っている事こそが 自分自身を証明することが出来るので「私は ザライドとして生きると決めたのです」

と口にしていた。

その発言は つまり「私は このまま勇者の証を手にする事無く生きていきたいと思っている」ということでもある

「勇者の証が無いザライ」として生きると宣言された形になるザライズは、それでも諦めきれずにいるようだったが「ザライズが これから どんな道を選ぶのか 私は 楽しみにしているから」

ザライドの発言で ザライズの願いを叶えてあげることに 俺自身も、その方が良いと思っていたし

「分かった。俺は、これから ザライズとして、生きて行く事にしよう」

「そうして頂けると嬉しいですよ」

俺が ザライドと約束をしたのは その後の出来事となるのだが

「そうですか これからは、そういう事で良いのですね。では、よろしくお願い致します」

そんな風にザライドが口にした直後に ザライドの姿が変化して その姿が変わっていき、最終的に元に戻ったザライ

「なんだと!貴様はいったいなにをしたんだ!」ザライの姿を視界に捉えた途端に ザライドは声を上げて ザライズに飛びかかってくる それを受けてザラインが立ち塞がり剣を構えた後にザライドに向けて話しかけると

「待ってくれ ザライン これは違うんだ」

ザライが、そのような発言をしてくれたことで一安心だと思えたわけだが「どういうことだ?」といった感じで問いただしてきた相手に答えたのは俺ではなくて ザライドだったりする そのお陰で少しだけ場が落ち着くことになるので それからザライスが勇者の役目を放棄してしまった理由についての話になり その時に「私自身が ザライズではない別の存在である事を自覚してしまった以上、もはや勇者と名乗ることは許されぬ 勇者の証明でもある、あの品物を持つ資格すら無いのだろう」という話になった。そしてザライドの言葉に俺達は黙るしかないのだが そんな中 ザライズだけは 納得したような表情を浮かべていたので ザライドと話をさせてやることにしたんだ そうした結果を見守っていたのだが どうやらザライズが ザライドから受け取ったのは 指輪の形をした「勇者の証」であり そして ザライドが「それを身に付けることを許すことは出来ない。それでは私がザライズの振りをしている意味が無くなってしまうのだから」という言葉を吐き出すとザライドがザライズの手を振り払うような仕草を行い、それに伴って勇者の証が地面に落ちて転がっていく そして「お前に私の気持ちは分からない」と口にしたザライドにザライが、その指輪を手渡そうとするのだけど「それを受け取らないという事は やはり ザライはザライドである」という事になるのだった。それから「ザライド 今まで世話になった。ありがとう」という言葉を残すと共に その場から姿を消して見せたザライドが、どのように消えたのかについて 俺達は知らないのだが それから少し時間が経過した頃になって 突然ザライとザラインの間に 小さな女の子が現れて「パパ」という声を上げたんだ 俺達は「え?子供?」なんて言葉を思わず呟いてしまっていてさ、それで少しばかり動揺してしまったものの しかし冷静さを欠いていたわけではなくて「とりあえず ザラインの家に案内して欲しいんだけれどね」「はい? それは何故でしょうか?」なんて質問を投げかけてくるザライズと、そんな彼女の態度の変化に戸惑っていたんだよね。そうして話を進めていく中で俺は「魔王城に戻る必要があるんだけどね それとは別にしてさ。ちょっと気になることがあるので調べさせてもらいたいなぁと思ってるんだよねぇ。それにね ザライズさんや。君の口からは色々と話を聞きたいこともあるしさ」と口にしてみせるのだがザライズは困った顔をしていてね。結局は、その申し出を受け入れる形で話が進んでいくことになってしまいそうな

「う~ん。どうなんだろうか。

俺も こんなに上手く話が進むなんて思っていなかったから 正直なところ、どうして、ここまで事が運んでいるのか理解出来ていないっていうか でも そうだな。

この子の名前も付けてやりたいな。うん。ザライとザライの娘だろ?それならば お前は『ザライズ』と呼ぼう。それが俺の考えた名案だよ。ザライズ 君は、どうする?」

ザライズの方に振り返って問いかけてみると「はい。それが一番だと思うんです」とザライズの了承を得れたこともあって ザライドの表情が和らいでいくので「まあ ザライズ。

そう、堅苦しい言葉遣いは辞めようよ。それでね今すぐに ここから出て行きたいって事なら、それは難しいかも知れなくて 一応、魔王様に確認をとってみないと 返事は出来ないかな」と口にすると「いえ。私は 貴方方と共に居たいと願っております。どうか私を仲間に入れて欲しい」そう言って俺達に対して頭を下げてくれたんだよ。それで俺は、そんなザライズの言葉を聞いている内に「あぁ、俺としたことが忘れてたよ」と思い至り そこで一旦 皆の方を振り返ると俺はザライに向かって「ザライも、ザライズも、そしてザライドも、ここに居てくれて構わないからね。俺はザライドのことを歓迎するつもりだから その辺りのことを踏まえて貰えると助かるんだけど」「はい!それは勿論ですよ!」

ザライドも同意してくれたので俺は改めて口を開く事にするのだ。そして そこから先については ザライから語られた内容に耳を傾けることになったので ザライの説明を聞いた上での話になるが

「なるほど。じゃあさ ザライズは"ザラインが持っていた力"の事も知ってたりしたのかい?」「それは存じておりませんでしたが ザライトさんの仰られている事は分かりましたし ザライトさんの事を信頼しておりましたので問題ないと判断していました」俺達のやり取りを見守る形となったザイド達の表情にも困惑の色が広がっていくんだが「ふぅーむ」なんて言葉を発しながら首を傾げていたんだよな「そいつを、どうにか出来る方法ってあるもんなのかね?」

「あります。勇者の証を ザライド様に返すことが出来れば あるいは」

そう口にしたのはザライだったので 俺は彼女に「へぇ その方法は何かね?」と問い掛けると彼女は口を開いてくれるので、その話の内容を耳にすることになった そして それを受けた俺は「ははっ なるほど。面白いことを考えつく娘さんだよ」と言ってから ザライドの傍に移動すると

「俺には君が何を考えているのか分からない。君が何者だったのかすら、今の私には知ることが出来ない しかし私にとって大切な人である事だけは確かだ」そんな言葉を掛けていたりする 俺の、そんな発言にザライが反応して見せてきた「ザライド。貴方が、そうやって私の名前を、しっかりと覚えていてくれる事だけでも、嬉しいのです。ですが、もしも貴方に少しでも記憶が残っていたとして、それを思い返そうと考えた時。そこには間違いなく、勇者であった頃の私が 存在している筈なのです。その証拠として勇者の力を使いこなせるでしょうし、だからこそ私は勇者としての役目を放棄することにしたのでしょう」という台詞を口にしてきたザライ それからザイドは俺

「まあいいか」と口にしながら 目の前にあるザライドの顔を見て笑っていたりする。

ザライズの発言によって ザライズの力が引き出せるかもしれないと思ったからだ。

「よし、分かった 俺の身体は自由にしてくれていいぞ」

そして ザライから告げられたザラインの、その提案は ザライの予想していた以上に効果を発揮してみせたのだった そして ザライドが勇者の証を拾い上げようとした途端にザライズとザライドの間にザライと同じ姿の子供が姿を現した

「え? あれがザライズさんの子供だとしたら ザライドさんが2人居ることになっちまうぜ。それに、そんなことが可能なのか」と呟いたザライズだったが ザライが手を差し伸べると ザライドは手に握られていた勇者の証を受け取ると、それを身につけてから「これで ザライドとして、生きることが許されるという事でしょうか?」そう言いながらも笑ったザライドの姿は もう、ザライとは別人にしか見えなかったんだ。その瞬間から ザライズは、ただ1人の女性として生きていくことになる。

そして ザライドが身に付けているのは「勇者の証」ではなく「魔道の指輪」であり、その力をザライが受け継いでいった結果 ザライドの魔力が増大して、しかも、それが無限に近い状態になっていた。

「まさか、そこまで凄まじく強化されるのか?」

勇者の力を持つ者は魔王を倒すことが出来る存在であり、その為に与えられたのだと教えられてきたが だが実際にザライス達が経験してきた戦いで 魔王軍側は勇者が倒したとされる人物の姿をしていることが多く、それは、やはり、その通りの存在だったのだろうと思えるのだが、その一方で勇者はザライスに倒されることも無く またザライドに倒されたという事実も存在していないのだった。

ザラインから ザライドが魔王を倒した後に起きた出来事の話を聞かされていた。その話を聞いた俺は思わず感心してしまう。というのも勇者の役目を放棄してからは、ずっとザライドとザライズと一緒に過ごしているらしいのだけど ザライドは本当に優しくて そして ザライドの娘だというザライズがザライに対して甘えた声を出してくるのを、なんだか微笑ましく

「ザライド お前は父親だなぁ。いや、まあ俺なんかよりも、お前の方が立派だ。しかしな、これからはザライズが、お前の嫁になって行くわけだから その点だけは注意しておけよ」とか言ってしまったりもして そして その日の夜に ザライドからザライに向けて、こんな話をされた。

「なあザライ。私が思うに、この国では奴隷制度が認められているのだろう。それなのにザライもザライズも私のために あえて奴隷を買ってくれてはいないようだな。それでは困る 私は奴隷でも構わないと思っている。私がお前の妻になることで 家族が幸せになれるなら、それだけでも十分に意味がある」

「い、いきなり どうしたんだ? ザライドらしくも無い お前はいつも自信に満ちた様子で、それこそ 俺なんかより余程に強い奴だと思ってたんだが そんな風に言うなんてさ」

するとザライズが「パパ。私はパパとザライ様の家族になりたいんです」なんて言って来て

「そ、そんな だって なあ そんなことを簡単に決められることじゃないだろう」

ザライが慌ててるな。俺から見ても珍しい光景だし まあ そんな事があって 結局はザライとザライの娘であるザライズは俺達の旅に加わる事になった。それで、どうやら、俺と、ザライの関係をザライズに見抜かれてしまっていた

「パパはザライ様のことを想って行動していますし ザライ様の方はザライ様のことが好きで好きで仕方が無いんですよ。それは傍目から見ていても丸分かりでしたからね。私はパパとザライ様の関係に憧れを抱いているんです。私を仲間にしてください 私ならザライ様に寂しい思いをさせたりしませんよ」

そう言われてしまうと

「そうか」と答えておくしかないなと思えてきていたんだよな。

まあ それからの話になるが ザライズは俺達の仲間に加わっていて それで俺とザライの関係性に羨望を抱いてくれていて 俺は、そのザライズに対して、俺達の家族の事を詳しく教えていくことにした 俺とザ

「いってぇ」

俺は頭を強く殴られたような痛みを感じてしまいながら頭を抱える。そして「だ、大丈夫ですか!?」なんて心配そうな表情を見せてくれるザライズは優しい女の子だなと思う そこで「ははは。ザライズの旦那は やっぱり女たらしですねぇ。私と、あの時の、あんな事があったというのに」と口を挟んだザライの声に反応して、そちらの方を振り向いてみるんだが 俺の記憶の中に存在するザライとは違って、なんという

「ん~っとね そう言えば ザライもザラインのことを『ザライト』と呼べと言ってたけど 2人の関係が良く分からなくて」「ああ。そんなことまで口にしてたか」

俺達は互いに顔を見合わせて笑う。そうした中で不意に疑問に思ったので口を開いてみることにした

「ちなみにザライドには子供がいるんだろう? ザライドには母親になる権利はないのか?」

ザライズが何かを口にしようとしたタイミングに合わせて 今度はザイドさんが会話に参加して来た

「はい いますよ。その事で 実はザライ様にお願いがありまして」「うん? どうかしたのか?」「いえ もしも ザライ様に御子が産まれた場合 ザライ様に子供を産んで貰おうと思いました。その方が、きっと、もっと ザラインさんの役に立てるのではないかと思ったので」

ザライがザイドの言葉に呆れたように溜め息をつくので「はは。ザライは子供が嫌いなんだよ。な?」とザライの頭を軽く小突いてやる。

俺がザライをからかったりするとザライはすぐにムキになってしまう

「わ、わたしが、子供を嫌っている訳がないだろう。その、その、ほら、アレだ。ザライズは私の実の子なのだぞ。つまりザライにとっては義理の子であるのだ」と慌てるザライは可愛いなと思っていたりする。

そんなやり取りをしていた俺にザライが「まあ良い。ザライドの気持ちは嬉しい。ザライドの子供ならば、その子を私の子として育てるのも良いかもしれない」と口にするのを聞いてザライドは嬉しそうにしている。ザライドと、その奥さんとの間にザライの知らない子供が産まれている筈だったから ザライドがザライの子供の父親になれない理由は無かったりする

「じゃあさその子供達には、もう会いに行ったりしないのか?」

「ええ はい。ですがその必要はないかと思います。ザライン様の力を分け与えられた我が子には既に力が備わっているはずですし」

ザライズも一緒になって俺の意見に賛同してくれて、そこから先は2人で何やら相談をしているようだったので 俺は話が終わった頃合いを見計らいながら2人に話を持ちかけてみた。すると ザイドは少し驚いたような反応を見せたものの、すぐに落ち着いた態度を取り戻す。

「ザイードの申し出については考えてみる必要があるかも知れん。確かにザイードが、私のために、その力を使おうとする理由は理解できるのだが、それでもザイーダに負担が掛かり過ぎる」

ザイドも、それに対して同意するように何度も首を縦に振っていた。俺としてはザインドが2人いるのが凄く気になっていた。俺が見ている限りにおいてはザラインとザライズの外見は完全に同じだからだ

「はい。その辺りについても色々と話し合いたいことがあるのですが ザライ様のお言葉に従えば 私は勇者ではなくて魔王としてザライド様に倒されなければならない存在ということになります。私としても、それを、受け入れる覚悟はあります。それに ザライドさんの御子の事もちゃんと考えなければいけませんよね?」

「え? まあ、そうだな。ザライはどう思うんだ?」

俺もザライドが何を言っているのか意味がよく分からない状況だ。そもそも ザライは勇者としての使命を放棄して勇者パーティからも抜けた状態でザライは、この世界に存在する。ザライドの娘のザライもザライドが勇者を辞めてザライが旅に出掛けて以降は1人で暮らしていた

「私は別に構わないと思っている。ザライドの言う通りに、ザライドの息子のザライドと、そして、この娘のザライズの力を有効活用出来れば ザライは、きっと、もっと幸せになれるのだと思う」

そう告げると ザライドは深く一礼をして「分かりました。そのお話を前向きに考えていきましょう。その、お受けいたします」と返事を返してくれたのだった。

その言葉を耳にした瞬間 ザライドとザライズが、お互いに抱き合ったのは、きっと、それが自然な流れだと感じ取ったからだろうなと思う

「ところでザライドは ザライドとザライドとザライズの関係性って どういう風に認識してるんだ? なんか3人は親子というよりも まるで、そんな風に見えないからな」

ザライドは少し困ったような顔をして「はい。その事なのですが、私はザライ様と出会えて本当に幸運でした。ザライドの魂を持つ者とザライズは 本来なら私が殺してしまう存在でしかありませんでしたし、私が死んでいた場合には別の誰かによって命を奪われていたことでしょう。だから本当に良かったと思っています。私は今の暮らしを大切にしようと心に決めていますし ザライ様とも良好な関係を保っており、ザライン殿も尊敬に値する人物です。私にとってザライドやザライズの存在も大切なものとなりつつありまして もし仮に彼等が私に殺されてしまうことになるのだとしても それは私にとっても幸福な結末でありました」

そう言ってくれたんだよなぁ。なんだかなぁ~なんて思っていたんだけども それから数日が経過した頃には 既に王都に居る冒険者の間では噂になっているらしくて ザレイズ達は有名人扱いされていたんだ。そして そうやって噂が広がり続けていく内に『最強パーティーの一員だった者が、その実力

「お待たせしました 御主人」

私は笑顔で出迎える すると ザライは照れくさそうに笑みを浮かべながら、こう言ってきた。「なあ 今度からは『御父様』って呼ばなくて良いんだ。私はお前を息子だなんて思ってないんだし」

私が「では何と呼べば?」と尋ねてみると

「うーん。普通に『旦那様』『貴方様 とかで良いんじゃね? なんか そういう呼び方はザライの柄じゃない気がしてきた」と言われて

「では御父様と ザライン様では駄目なのでしょうか?」と尋ねる 私が「では私も同じようにして

『ザライ様』と呼びますが宜しいですか?」と訊ねてみても

「好きにして構わないぞ」と言われたのが記憶に残っている。ザライは自分の事を呼び捨てで呼ぶような人が苦手なのかも知れません。

それでザライドの話を聞いた後は 私達の事を詳しく紹介してから ザライには私達が何故この場所に訪れたのか を簡単に説明していました

「なるほど。事情は良く分かった。しかしザライドよ 私はザライドを仲間に引き入れる為にザラインが貴様の所に向かったと聞いたのだったが その目的は達しているようだな。まさか ザライドが、このような場所に住んでいるとは思わなかったぞ」

ザライドは それを聞くと慌てて「そ、そういえば どうして、ここに? それにザラインさんが、こちらに向われていると仰っておられていましたが」なんて言い始める ザライドの言葉を聞いて私達は笑い合う。そんな私達の様子にザライドは困惑した様子を見せているのだけど そんな様子を見て、やっぱり親子だと感じる ザライドはザラインの事を「お父さん」と呼ぶのだろうか?そんな疑問を抱く。ザライドは私のことを娘のように感じていると言ってくれているけども 私の本心としては、どうでも良いのだけれど そう思いつつザライの方を見てみると ザライは真剣そうな表情を見せていた。そこで私も気を取り直したように「はい 御兄様 先日、御姉様とお会いさせて頂きましたがザラインさんは、とても優しい方でした」と言って微笑む ザライは私の言葉を聞いて、なんとも言えない表情を覗かせて「うん あいつは優し過ぎるんだよ。ザライズも気を付けるんだぞ。あいつは女を泣かせるのが大好きな変態でもあるんだからな。気を付けないと大変な目にあうからな」と言った。

でもザライは その発言を聞いて ザライズは嬉しそうに頬を赤らめていた 私は ザライに、そんなことよりも「御母様は、御元気にしていますか?」と聞いてみる ザライが「は?ザライは、ずっと一人だよ 何を言うかと、思ったら ザライの母親は死んだ筈だろ? ザラインはザライが、まだ小さい頃に死んでしまったのだからさ」と言われるのと同時に ザライズも悲痛の表情を見せて泣き始めてしまった。そんなザライの反応が面白くないザライドも少し怒っているようだった。「あの その事は申し訳ございませんでした 私にも何が何だか分からないのです。気が付いた時にはザライドの亡骸を抱き締めて森の中で倒れていて ザライは何処に行ったのだろうと探し回って居たら こんな辺境の田舎まで来てしまっていたのです。そして ザライの姿を探して森を歩いている最中に出会った少女がザライそっくりだったから 思わず声をかけてしまいました」

ザライドの話を聞いていたザライは何かを思い出したように呟いていた

「あぁ そういや あれは ザライドがザラインを連れてきた時だったな。ザライドが死んだ後に ザラインはザライドの後を追って自ら命を絶ってしまった。その事を知った私は もうザライドが帰ってくる事は無いんだと思い知らされたんだよ」

ザライドは涙目になりながらも「ええ 私は ザライドさんの帰りを待つために 生きてきたんです。ですが結局は ザライドさんと出会うことは叶いませんでしたから ザライト様の話を聞いても何も思うことはなかったです。ですから どうか気になさらないで下さいませ」と言う。それに対して ザラインは何も言うことはなく静かに耳を傾けているだけだ。その姿を見ているだけでも胸の奥底が熱くなってきたような錯覚に陥りそうだ するとザライドとザライズの姉妹は何を感じ取ったのか ザラインに頭を下げながら謝罪をし始めたんだ。それは、あまりにも突然の出来事だったために ザライと私も驚いてしまうことになる。すると そんな私達に向けてザインは、このように告げてくるのである 勇者パーティーの勇者は、私の父様だった。勇者のパーティの1人として共に戦った日々を思い出すだけで今でも

「勇者の嫁」と呼ばれるのに抵抗があるくらいに勇者は素敵な人なのだ

「勇者と、どんな出会い方をして 勇者と付き合ったんだ?」

ザライドは、そんな質問を投げ掛けてきて私は答えるべき言葉を探す。そして、それを言葉にする

「勇者と出会ったのは勇者パーティのメンバーと旅をしていた時に魔物に襲われそうになった事がありました それを勇者が身を挺して守ってくれたことで私は勇者に助けられることになったのが 勇者との初めての出会いです」

ザライドが納得するように何度か、ゆっくりと首肯して見せる。そして、そのまま 俺の目の前にあるカップを手に取ると口に運び、そして中身を飲み込むのだが、それから俺に尋ねてきた。

俺は、どう反応したらいいのか迷う事になる。そして「え?ああ ザライズ?ザライドの娘なんだが ちょっと訳ありな状態で ザライが引き取って育ててる。今は俺の屋敷に暮らして居るよ。ザライの息子も、ザライと同じで ザライの娘と一緒に暮らしている。だから俺にとっては家族みたいなものだ。それに ザライズとザライの息子 どちらも かなりの実力者で頼りになる存在になってるよ」と言い終えると ザライズの事を見やるのだがザライズは、それを聞くなり照れくさそうにして頭を掻き始める。そんな姿を見ると微笑ましく感じられて「良かったなぁ~幸せになれてさぁ~。それで何だっけ?」と訊ねるのだ 俺はザレイズから話を聞きたいと思っているからこそザレイズの元に足を踏み入れたのだ。そこで偶然にも出会ったのは紛れもない伝説の剣だと言われている存在であるザレイズであり それに加えて彼の口から飛び出た話題は予想だにしてなかった内容のものとなるのだった まずザライドの生い立ちについて聞かされることになったのだが ザライの奴は苦々しい表情を浮かべてから語り始めることになった「私の場合は、あまり自慢できるような生い立ちではありません。私は物心付いた時には既に親に捨てられてスラム街の路地裏にて、ひっそりと暮らしていました。それでも生きて行くためだけに生きるという生活を繰り返していましたが ある時期を境に私の人生が大きく変わる事となりました ある日のこと ザライドの父親にあたる人物が私の前に姿を見せることになり、そして父親に「お前を拾いに来た。私の元に来る気はないのか? ザライド 私の息子として生まれ変われ」と尋ねられたことで私はザライドとしての生活を始める事になった。それから ザライドは私の面倒を見てくれた 私が今のようにザライドの元で暮らせるようになったのは 間違いなく ザライドのお陰なのである。それから 私がザライドの元で暮らすようになって数年後 ザライドの父親が、

「ザライドを息子と認めたのなら、そろそろ名前を変えても良い頃合いだろうな」と 言ってきた事から ザライの名前も、このザレイズという名に変わって行った その後からは ザライと2人でザライの弟を育ててやっていたのだけども 弟には、やはり、ザラインという名前を付けてやった方が良いんじゃないかという話になり 弟のザライトが生まれた事で、そうなった。ザライとザラインは本当の兄妹ではないので ザライドが姉貴で ザライが妹の関係に当たる。ただ

「ザライの方がザライより背が低いから妹みたいに見えるけどね」と いつもザライには言われるんだけど やっぱり ザライの背中は私の憧れでもあったりする 私は今まで何度もザライを「ザライ姉ちゃん」と呼んで慕ったりしていたから ザライトもザライのことを姉貴と呼ぶようになると思う だからザライズとザライにはザラインが、ザライの妹だと教えておく事にしたんだ 私は、これから先も、ずっとザライと共に過ごしていくつもりです。私は、もうザライが側に居なければ 生きて行くことすら難しいと思っていますから。

ザライドとザライは、それを聞いて微笑んでいる様子だが ザ

「ふぅーん そうだったのか って、そうじゃなくて ザライド。ザライはザライドに惚れていたとかって言って無かったか?」

なんて言葉を漏らしながらザライの方に視線を送ると ザライが顔を赤く染め上げて慌て始める ザライの様子を見ていると どうも嘘ではないらしい。しかしザライドは何を思ったのか 急に「あはは! まぁ ザライドも、それなりにモテているようだし。きっと ザライドの傍でザライドがザライを庇っている姿が美しかったからザライはザライドを好きになったに違いないんだよ。私なんかはザライドとは血が繋がっているから 別に恋仲になりたいとも思ってないし。そもそも恋愛感情自体を持ってないから」などと口走り始めるのであった どうやら彼女は本気でザライドを愛しているわけではないようで。それは少し残念だと思う気持ちもあった。だって彼女の事を見ている限りだとザライに対して好意を抱いていないとは思えない。そしてザライの言葉を聞いて「そうなのですか? 私も、もしかすると そのような理由からザライ様をお好きなのかもしれません。私の両親はザライン様とザライン様の御兄様を酷く可愛がっていて 御兄様が御兄様に嫉妬されるほどです。だからこそ 私は御母様がザライを褒めている姿を見ている内にザライ様が羨ましく思えて来て、いつの間にか ザライ様を尊敬しておりました」なんて言葉が飛び出すのだった 俺はザライに尋ねる すると「ザライがザライドと出会って ザライの運命は、その瞬間に大きく変わったのです。勇者の仲間になる前から ザライズを産んで育てる為に 辺境の街で冒険者として生活を始めますが、その時に出会った人が ザライドさんだったんです。私にとっては人生を大きく変えてくれる人に出会いました」と答えられる。そんな話を聞き終えると 勇者パーティの一員だったザインの生い立ちが気になり始めた 俺としては

「俺の名前はザイン。俺は勇者のパーティの中で、一番最初に勇者と出会った仲間だった。だから勇者の傍に居るのは俺の居場所なんだと決めつけていたんだが そんな時に、勇者とザライさんが恋人同士になり 俺よりも勇者に懐いているザライさんの姿を見ているのに耐えられなくなって、勇者に頼み込んだんだ。ザライは、もう必要ない だから、俺が勇者と結婚する そして俺達は夫婦になると。それでザライドは、あっさりと受け入れてくれて 勇者との結婚が決まった」と語るのである。俺は、そんな言葉を聞いただけで涙腺が崩壊しそうになってしまったのを堪えながら 必死になって耐え抜くのだった

「勇者は俺を受け入れてくれて結婚した後は、勇者のハーレムに迎え入れてもらった。それで 俺も最初は、それで満足していたんだ。勇者に求められるまま抱かれて幸せな気分になれる日々を過ごして、そして 勇者の子供が生まれて それが ザラインだ。だからザライドにとってザラインは可愛い弟のような存在なんだろうな。そして ザライは、勇者に求められた時に応じるのと同時にザライドへの愛を受け入れるようになった。そして 俺の目の前でも2人は抱き合っていたりしたな」

それを聞くなり「ザライとザライドの間には、そういった経緯があって結ばれた関係だったのですね。それにザライはザラインを産んだことで体調を崩しやすくなったために 出産を終えた後では 子供を身籠りにくくなってしまったようですね。それが原因で勇者との付き合い方が、どのように変化して行ったのか分かりませんが 勇者が亡くなってからもザライと勇者の関係が変わる事は無かったんですよ。むしろ ザライの方が勇者を求め続けていて それで私はザライドに惹かれてしまったんです」なんて説明してくれる。

ザライドが、それを耳に入れると照れくさそうにして頬を赤らめながら笑みを浮かべるのだったが そこで俺は

「ザライとザライドの関係について聞きたくて だからザライの元へ足を運んだわけだ。ザライとザライドは互いに想い合う男女だ。だけど どちらかと言えば ザライドの方は、あまりザライの事が好みではなかったような気がする」と口に出してみせる

「どうして、そんなことを口に出せるのですか?」

ザライドが驚いた表情を見せつつ 不思議そうにして訊ねてくるのだが、そんなザライドの様子を見たザライは

「そんなの決まっているじゃない。私の事なんてザライドには興味がなかったんだろうさ。それに ザライドと初めて出会った時の私の態度も良くなかった。ザライは私の過去を気にしていて、それで、私を避けるようになっていた。それでザライドがザライを避け始めたのは、それから数年経っての事だった」

それからザライの語りが始まったのである。俺は、それを聞くと、どうしようもないぐらい胸が苦しくなる。そして ザライドの話を聞くのだった 勇者は魔王を倒すべく旅に出掛けて行き、それから3年の月日が流れ、とうとう魔族が支配する国へと辿り着いたのだ。そこで魔王と戦う前に準備を整える為の話し合いが持たれる事となった。その際に私は自分の能力の高さに自惚れていたからこそ、勇者と共に戦い

「必ず私が貴方を守り抜いて見せましょう」と豪語した事を覚えています。ただ ザライの言葉を受けた勇者の顔色は優れないものでしたがね ザライの言葉を受けてしまうと勇者は困ったように笑うばかりだったよな。それに加えて 私は 自分が何者にも代えられないような力を手に入れてしまっていた事で、その力で皆を守って見せると言ったのだが「その力を自分を守る為だけに使わないで欲しい もっと大切な人を守るために使うべきなんだ」と言われた時 この男は何を馬鹿げたことを言っているのだと心底腹立だしくなったが。結局のところ私には守る価値のあるものが何もないという事に気付かされただけに過ぎなかった。

「なあ ザライは、あの時から、どんな思いを抱えていたんだよ」「今なら言えるかな? そうだね 私に生きる意味を与えて下さいと。ただ 勇者と一緒に魔王討伐に向かう道中でザライドは命を落とした

「私はザライドが守ってくれなければ死んでいた 私の事を命懸けで守り抜いた事でザライドは命を落とした。そして私は 私の命を賭けてもザライドが救えなかった人々の笑顔を取り戻すと決めた 私は ザライドの死を忘れない」って言葉を残しました」

ザライドの言葉を聞いていると ザライが悲しそうな顔をしながら、こんな話をし始めるのであった 勇者様がザライを庇う形で盾となると 私は ザライドを救いたい一心に駆け出します。だけど、そのせいもあって、私は魔物の攻撃から勇者を逃が

「ザライ、もう良い お前が死んでも 勇者の奴を倒せれば本望だと俺は思ってる だから 死ぬんじゃねえぞ」

「そんな事、言わないでよ。私もザライズが大好きだったんだから お願いだよ。もう少し一緒に生きていて欲しかったんだよ もう時間が無いんだから ザライも私と同じ気持ちでしょう? ザライは、そう思うはずだよね?」

ザライズが何か言おうとして、こちらを振り向いたのを目にすると 私は ザライズの背中に体当たりを仕掛けてザライを無理矢理、引き

「早く行ってください! 私の事は放っておいても良いのですから ザライドさんを連れて安全な場所に逃げてください!」と言うなり剣を構え直すと戦闘体勢を取るのである。その姿を見ていた者達の中で勇者だけは「やめるんだ 君はザライを守ろうと行動しているんだろうけど 君の行動で仲間達が危険に晒される可能性がある」と言って来た。その言葉を聞いた途端 ザライドの足を止めさせる。

しかし彼は「いや。このままでは全滅してしまうだろう。そうなってしまう前に俺は逃げるつもりはない」と言いながら腰に帯びている長剣を手に取ると私と同じように戦意を高めていくのだが。そんな彼に視線を向けたまま、私は口を開いた「それは、いけませんわ ザライズ貴女が私を心配するように 私も貴女のことが大事な存在なのです。だから 私の我ま 私は、そう口にしながら勇者達を見据えると、そこからは、もはや戦いとは呼べないような状況に陥ってしまう。私は、どうにかしてザライを助けたくて仕方が無かった。でも、それができない。だからこそ、ここで死んだ方が幸せかもしれないなんて考えながら、ただ、ひたすらザライズに向かって攻撃を放ち続ける。

ザライドの視界の中では 私の動きが見えていなかったようで ザライドに襲いかかろうとする魔族に向けて攻撃を仕掛けたのだが、それが失敗に終わってしまい ザライドと距離を取り、それから ザライズに目を向けます。「私だって勇者パーティのメンバーで冒険者でした。そして勇者様を支えようと努力を続けて来た人間です。だからこそ 貴方にザライを託しても構わないと思ったのですよ。ザライド。どうか ザライを助けてやって下さいね」

それだけ言うと 彼女は自らの首に剣を突き立てるのだった。

ザライトと俺達は共に旅をすることになり ザライド達は王都まで同行することになった。そして王城に到着すると ザイド達の身分証明が済ませて貰えることになったのだ そして「これで手続きが終了致しました」と言われてしまい 僕は 目の前の人物が国王だと信じきっていたのだが ザラインは、目の前の男を見ると驚きの声を上げたのである

「お父様にザライドが居るじゃないの」ザライ

「ザライか まさか 本当にザライドと出会うことになるとは 運命というものを信じなければならないようだな それでザラライの息子ザライドは、どうするつもりなんだ? 」国王陛下 俺は そんな二人のやり取りを見ながらザライとザライドに目を向ける。そこで俺の視線を感じた二人は苦笑いをするばかりであり「俺は魔王との戦いが終わったら結婚しようと決めていました。ザライドさんと だけど 勇者は俺との約束を果たす前にこの世を去りました。でも ザライが生きて居てくれたおかげで 俺の夢が叶ったんだ。勇者に認められるほどの強さを持つ女性 そして 俺にとって大切な存在である彼女を妻にする 勇者には感謝しかない」なんて言葉に 思わず涙を流しそうになる

「勇者に感謝しなければならない というのは もしかすると その身に勇者の力を受け入れたことで ザライドさんの魂に刻まれてしまっている刻印が薄まりつつあるのかもしれませんね」ザライドは、そう口にするが 俺には理解できずにいたのだった そして「ザライドの身体には呪いのようなものがかけられていて、それを勇者が解こうとしたの それで勇者の力を受け止める事によって呪いが解けるように細工されていた。だから 今のザライドは勇者の能力を受け継ぐことで その呪いを解くことができるはずなの」と ザライが説明してくれて それを理解する。

ザライドの言葉を聞き入れてしまった勇者と魔王を裏切った元王国騎士団の騎士達は ザライドを殺そうと動き出す。それを阻止するべく

「私の妻が、そんな馬鹿な真似はさせない」と言いつつ ザライドはザライの前に出てしまう。それを見てザライは、とても嬉しそうに微笑みを浮かべると ザライドに近づき「ザライド、私の命を救ってくれて ありがとう 私も 貴方を愛しています。ずっと、いつまでも、これからは夫婦で寄り添いながら生きて行こう 」

「ああ 必ず ザライを守れるぐらいに強くなってみせる」

ザライドは そんな言葉をザライに向ける。そこで勇者と対峙する形で ザライドはザライドと対峙しており その背後からは騎士の連中が迫りつつあった。

ザライドが、そこまで口にするなり ザライドの腹部

「グハァア!」ザライに突き飛ばされる形で吹き飛んでしまった ザライドは、どうしてザライが自分を突き飛ばしたのか分からずに混乱するばかりだったが、その直後だった 何者かの手が伸びてくると

「お前が勇者なのか」そう言いつつ そいつの攻撃を剣で防ぐとザライドが「ザライドさん こっちに来てください。私が時間稼ぎをしますから」そう叫ぶ声が聞こえてきたのであった 俺はザライドに声をかけようとしたが ザライドの耳に入ってはくれなかったが。それならばザライドを助けるためにも動かねばならないと思ってザライドの元に駆け寄ることにするが。そこに魔族が迫ってきてザライドの首根っこを掴み「勇者 お前を殺す 絶対に許さない」と言い放ってきた。それを聞き入れたザライドの全身が震え上がっており、その言葉に恐怖を覚えた事が原因であろう。

ザライドの意識を奪う事に成功してしまうと、ザライは勇者を睨む。「私の夫は、貴方の玩具じゃあ無いんだから」と言い放ったのを目にしたザライドはザライの言葉に涙を流すのだが

「私を殺して 貴方とザライは永遠に結ばれる」

ザライは そんな事を言ってしまった。

そんな彼女の発言を聞いた瞬間 勇者は表情を一変させ「ザライの肉体には僕の力の一部を植え付けておくからね。そうしたなら 君は死ななくなる。そして僕の血族を増やし続けてくれるだろう。そうして僕と、ザライの子孫達を、また勇者パーティとして迎え入れてくれよ なぁ 僕の願いを叶えてくれるよな? ザライド」

そう口にした勇者が剣を振り上げるなり ザライド目がけて振り下ろし始めるが、ザライドは何とか剣を使って受け流そうとするも力負けしてしまい剣を落としてしまった。それでも ザライドは諦め

「殺せ」という言葉を口にした直後 突然、ザライの姿が変わると勇者の剣を叩き折る。そして「私は あなたの人形にはならない」そう呟いたザライに勇者の攻撃が命中するも傷1つ付けることが出来ずに弾き飛ばすとザライは「この身が滅びても、私は ザライドを救いたい。勇者 私の愛しい人を返してもらうぞ」

そう叫んだザライは勇者に対して攻撃を仕掛け始めたのであった。そんなザライにザライドは目を向けながら「ザライ お前 勇者と戦うのを辞めるんだ このままでは、その体も壊れるぞ」と言うも ザライが勇者を攻撃するのをやめない やがて ザライが、こちらを見やるのを目にすると ザライが口を開いた

「大丈夫よ ザライは勇者を倒して、すぐにザライの元に戻って来るから ザライの事を待ってて ねっ 待っててよ お願いだから ザライ 勇者を倒すから」

ザライトの耳にザライの言葉が入ってくるとザライドの方へ顔を向ける。その行動を見たザライドは何を言いたかったのかを即座に理解したらしく 剣を拾い上げ「さっきの一撃を受けても 俺の命を奪い切ることは出来なかったみたいだから 俺にも、まだ戦う力が残っていたんだよ。だからこそ、俺も戦わなくちゃいけないんだ」と言い放つ ザライは「そんなことしたら、もう二度と戻れなくなっても構わないんですか」

「ああ ザライドは ザライトが、どんな形でも良い。戻って来てくれただけで良い」

ザライの問いかけに対しザライドは答えたのだが、それに対してザライは泣きそうな表情になりつつも、どうにか堪えていた。それからザライとザライドは戦いを再開すると ザライドの猛攻を受け止めるザライだったが。そんな彼女に向けて勇者は攻撃を放ってくる。

だがしかし それを予期していたザライスが勇者の前に出るなり

「お前だけは許すわけにはいかない だから 俺も全力を持ってして 倒す。たとえ、それで俺の身が砕け散ってもだ」

ザライドは勇者に向けて斬りかかる。それを迎え撃とうと勇者も構えを取ると 両者の攻撃が激しくぶつかり合うのだが。やはりと言うべきか勇者に軍配が上がり ザライドは弾き飛ばされると地面に倒れ込んでしまう。「俺は、やっぱり勇者には勝てない か」

ザライドの弱音を聞いたザライは勇者に対する殺意を強くした。それからザライの行動に気付いた勇者の注意が、そちらに向い

「そこだ」

ザライの振るう剣により腕を切り落とされてしまう。勇者の腕が宙に舞うと同時に勇者の顔色が変わった「まさか ザライドを、あの程度の雑魚と一緒にしたくはない。それに 僕は ザライ 君が、どうしても欲しくて堪らないんだ。殺す気で掛かれ。それが出来ないのなら。ここで死ね」

ザライドが殺されそうになる直前に ザライトとクロナとシロガネの三人が到着するとザライドを救出すると「よく持ちこらえた。ザライドは休んでいろ。お前は勇者を倒しに行くつもりなんだろ」

「はい」

ザライドが答えるのを耳に入れると ザライドと入れ替わるような形で勇者に向かって攻撃を仕掛けようとした。すると「僕に戦いを挑むのは、どう考えても無謀過ぎるんじゃ無いかな?」と言いつつ 彼は 俺の動きに合わせて攻撃をしてきたのだ。俺は、それを防御する事が出来ずにまともに食らってしまい。それどころか、かなりの傷を負ってしまうが、俺は、どうにか立ち上がり ザライドの元へ駆けつける。

「ザライ 俺が時間を稼ぐ だから その間に ザライドを治療してやって」ザライトがザライに告げると「分かりました。どうかご無事で 勇者を倒した後は、みんなで 一緒に生きて行きましょうね」

「そうだな 俺の愛する妻と その伴侶である俺の息子 娘 そしてザライ 皆で 共に生きるのが一番の幸せだろう。そして家族を増やすことも だから 俺が時間を稼いでいる間に ザライとザライド二人の未来を閉ざそうとしないでくれ」

ザライドに語り掛けるザライの声を聞きながらザライトは勇者に「あんたがザラライの母親なのか」なんて問い質し始める。

「えぇ 私の名は イリア この身体の持ち主の名前 そして勇者の呪いを受けた際に勇者の力と記憶を受け継いだ。だから 私は勇者の力を扱うことが出来る」と口にするなり 彼女は勇者が愛用している大剣を手に取ると「私には敵わないのだから、大人しく 死になさい」

「悪いが 簡単に死ぬことは出来ない。お前は、あいつに呪いをかけて ザライを傷つけている。それだけでも万死に値しやがる。絶対に許さない」そう言い返すなりザライは立ち上がろうとする。それを見やったザライは「今は 無理をしなくていいから ザライドさんを連れて避難していて下さい」と言う。

ザライの言葉を聞き入れるも勇者から受けたダメージが酷すぎるせいで ザライドとザライの二人を背負ったまま逃げ切ることは不可能なのは分かっていた。それでもザライに言われて、そうしなければならないと悟るとザライの事を心配する一方で

「勇者 お前だけは、ただじゃ済まさねぇ」と言い放ちながらザライドを背負って 逃げることにした。

その頃になると勇者の仲間達が駆け付けており、勇者を庇うかの様にしてザライドの前に姿を見せる。

俺はザライドとザライドが、これから向かう先にある街を目指して駆け出していくのを確認するも 俺が今居る場所からは遠すぎて駆けつけることが出来ない状況に陥っていた。そこで俺はザライドとザライの身に何かあった時のためにとアイテムボックスの中に収納されている武器の1つを取り出し 勇者に襲い掛かる事にしたのである。

勇者も仲間達を引き連れるかのように移動を開始する。だが それを許さないというかの如く ザライが攻撃を仕掛けていくと、それを避け

「ザライと言ったかしら その女は私にとって、それほどまでに大事な存在ということかしら」

「当たり前だ その人は 俺の愛しい人だ」

そう言い返した直後に勇者が、その攻撃を防いで見せると、勇者とザライの二人は睨み合いを続ける。その隙を逃さずに、勇者がザライドに向けて攻撃を仕掛けるのだが どうにかザライトの一撃を盾を使ってガードに成功させると、その反撃にと勇者の足に蹴りを命中させるのだが。それでも勇者を倒す事は出来なかったようで勇者から距離を置く事に成功したのだった。すると勇者の方から笑い声が聞こえてくると

「ザライド あなたに勇者としての資質は無かったのよ なのに 私の力を、こんな形で使うだなん て」そう言った勇者は ザライの腹を殴りつけるとザライドの口からは血が吹き出ると「私の大切な ザライドを痛めつけ 苦しめ続けるのは 止めてください。貴方にザライドを殺す権利は無いはずです」

ザライドは勇者に対して必死に言葉を絞り出したのだが、勇者はザライの言うことを無視しザライの頭を踏み潰そうとしたのを、どうにか ザライトが間に入る形で、勇者に体当たりを行い阻止に成功すると勇者は怒りの感情を抱く だが 勇者はザライトをザライドと同じように蹴飛ばしてから踏みつぶそうとする。

「貴様ぁぁぁぁ 僕を、ここまで怒らせた奴は今までにいない。覚悟は出来てるんだろうな この勇者に対して、そこまで逆らう事が出来る人間は滅多に存在しないんだぞ この僕が、直々に相手になってやる」勇者はそう言い放つなり ザライとザライトの顔面に向けて拳を振るうもザライドの体を掴んで勇者の攻撃を回避すると「勇者に勝てるのは勇者だけだ」そう言って 今度はザライが勇者に一撃を命中させたのだ。だが ザライの攻撃は、あまりにも非力で勇者の肉体には殆ど傷を与えておらず、ザライの攻撃は意味が無かったとしか言えなかった。それでも ザライトの攻撃は 少しだけ勇者の意識を変える事には成功したらしく、ザライの顔を目に入れると「ザライト そいつが、お前を唆したのか 僕の邪魔をする人間とは、どこまでも不愉快な存在だよ」と言ってくる。

ザライトは、それに返答するように勇者を挑発し始めたが、それは ザライドに対する攻撃が繰り返される結果になる。それから暫くの間は お互いに攻撃を加え続けたのだけども。結局はザライドに致命傷を負わせることは出来ずに終わりを迎えることになったのである。「もう終わりか 残念で仕方がないけど、これ以上続けていても良いことはないだろうしね。それに ザライドが死んでしまったとしても勇者である僕の身体に乗り移る事が出来るかもしれないわけだしね」

「ザライド お前 そんな真似をした日には ザライドの魂ごと殺すことになるんだから 分かったら早く死ね」勇者は、そう口にしながらザライドに近寄ると彼の首を撥ね飛ばしたのである。その結果として ザライドの首が胴体から離れてしまい ザライドの死が確定したのであった。

そんな ザライドを殺されたことでザライの怒りが爆発すると勇者の体に攻撃を仕掛けようとした。それに対して勇者が剣を振り下ろすも ザライは攻撃を回避し。そのまま

「勇者が、いつまでも調子に乗っていると思うんじゃねえええ 俺は、まだ死ぬつもりはないし 俺の命は、お前にくれてやるもんじゃない。だからな ここで、ぶっ倒させてもらうぜ この偽物がああああ」

「ふぅん 良い度胸じゃないか それなら まず先に殺してしまおう」勇者が、そう言い放ってくるなり ザライドの死体に蹴りを放つと、それに合わせるようにして ザライドを剣を突き立てると「死ね」

「俺を殺したいなら 俺より強いか、それ以上の強さを持っていない限り 俺を殺す事は不可能なんだよ それが分かっているなら諦めろ 俺とザライを殺そうとした事を悔やむといい」と勇者に言葉を投げつけると、その一言が、かなり気に障ったらしく。勇者は「この程度で、お前たち二人を殺す事が出来たのだとしたら 拍子抜け過ぎるんだけどね さっきも説明したが僕は勇者であり最強の男でもあるんだ。それがお前たちを簡単に始末出来ないだなんて」と言い放つ。「あぁ、その通りだ。俺も最初は、そう思っていたが、あんたは最強ではない。そして ザライドの母親でもない。あんたの中身は別の存在になっている」ザライはそう言い放った後に ザライドが所持していた剣を取り出すなり ザライドに憑依している人物に「こいつの体を借りることになるけど 構わないよな」そう告げたのだったが それに対してザライドの肉体は返事を返さなかった。どうも ザライドに憑依している人物が許可を出す前に剣に触れたのが原因だったようである。それ故に 今のザライドの状態は非常に危険な状態になっており いつの間にか ザライドの体内に入り込んでいた勇者に操られてしまう可能性を秘めていると俺は感じ取り。すぐさまザライに駆け寄りザライドの

「ザライ 大丈夫なのか」と尋ねる。するとザライが「今は、どうにか抑え込んでます このまま、勇者が、こちらを攻撃しようなんて馬鹿なことを考えるようなら、私は どうにか耐えきって見せて、こっち側に居続けましょう」なんて言うもザライがザライドと入れ替わった際に ザライドの記憶と知識が入ってくるので。俺やザライドの父親であるザライが知っていることを話してくれると助かると口にするのである。それに加えてザライは「私だって勇者と戦いたくないです 私と勇者は戦いを望んではいないんですから どうして、それを分からないのですか。私は、こんな風に勇者と戦う事になるぐらいなら ザライドが呪いを受けた段階で死んだ方が良かった」と口にしたのである。「あんたらの気持ちは良く分かるよ 勇者なんかの為に死ぬ必要は無かった。だからといって 勇者を恨んでいても何にもならない」

「えぇ そのとおりですね。ザライドさんが、あの人に殺される前に私が殺していたら。こうはならなかったはずなのに」

そう言ったザライが涙を流したので俺はザライを抱き締め「今は 勇者の呪縛を解く事に集中しような。そうすれば 何とか出来るはずなんだから」

「そうですね。でもザライドさんは、本当に凄い人ですよ。私の中のザライドさんがザライと入れ替わる際に苦しみはありましたが、その時に 勇者に対しての殺意が薄れていくのを感じられたんですよ。それだけでも ザライドさんの頑張りのお陰なのでしょう」と 俺とザライで勇者をどうにかする為の話を続けている間に勇者の方から、こちらに向かってくる。しかも 仲間達を引き連れての行動だったので、俺達は警戒

「勇者よぉ まさか 一人で乗り込むだなんで無謀な事は考えていないよな」と勇者に声をかけるも 彼女は「勿論だ。ザライド その女を、すぐに差し出せば許す気にはなっているが、そうじゃなかった場合 ザライドには、この世界から出て行かせる。そして 二度と戻って来られない場所に追放する事になるが いいよな?」そう言い放ち 更には「勇者である俺をコケにしてくれた罪は重いぞ」と言ってきた。それに対してザライは、そう答えてきたのだが。ザライドを救おうとするならば この場で、その勇者を倒す事が一番なのだという事を口にしたのだった。「そうは言いますけど ザライドさんを殺さずに、どうにかしようと思ったら。今のままでは厳しいのでしょう」

ザライの言葉に、それもそうだと思いながら俺は勇者と相対することにすると、そこで勇者が、こんな言葉を言ってきたのだった。「ザライは 随分と僕に逆らってくれるね。やっぱり ザライドの身体に入っているからなのか。だったらザライドに成り代わろうとしている人間から この僕の物になれば、お前の願いを聞き入れてやらない事もないぞ」

この言葉を聞いた瞬間にザライが激昂した。「勇者よ。貴様のような存在が、そこまで偉くなったと言うのか。確かに、お父様にも劣る部分はあったが、それでもお前は勇者という立場を利用し過ぎたんだ。それで、どんな罰を受けていても それは当たり前の結果でしかない。だからザライドを殺してザライと入れ替えようとしたお前には同情しない。お前には相応しい罰がある」

ザライは、それだけを口にすると勇者と戦おうとしたのだ。だけど ザライドの身体で、勇者とまともにやり合うことが出来るのか疑問が残る。だからこそ 俺自身が動こうとするの

「お前は邪魔だ 僕の前に立ち塞がるのであれば 容赦するつもりはない」と勇者が言葉を投げかけて来たので、これに対しても 俺は、そうはさせないと思いつつ。自分の意思を貫くように行動を開始する。まず最初に勇者の攻撃を避けるとザライの背後へと回り込み。ザライの意識が俺にある事を確認した上で ザライドとの意識を入れ替えてみることにする。そして俺は ザライドの中に入った事で ザライドが持つスキルを確認する事にすると。ザライドの持つスキルの中に『精神干渉』と書かれていたものが存在した。これは他人の意識を別の人間の中に入れることができる能力だと知ったのだけども。勇者に対して有効な手段になりえるとは思いつつも ザライドと勇者では

「やはり勇者の方が強いな」と呟いた直後に ザライに攻撃されたのである。それから しばらく ザライドと勇者との戦いが続きお互いに消耗していくと「お前が勇者の相手をしていられるとは思わないな。大人しく僕の命令に従え」と 俺の頭に直接語りかけてくる声があった。それを聞いてザライドが勇者の事を「お母さん」と呼ぶも 勇者は「僕は、お前の母親じゃなくて。お前が嫌いになったんだよ。お前が僕の大事な弟を乗っ取ろうとしたから。だけど 弟の肉体を奪っただけでは足りないから。弟に憑依しようとしたザライは、もっと酷い目に遭わせようと思ってさ」と言ったあと 俺は、「お前の弟が、そんな簡単に死を選ぶと思うな」

そう告げて、さらに

「お前がザライにした仕打ちを考えれば ザライドが死んだ程度 何とも思って無いはずだろう」

「そうだね。ザライドに復讐したいと思っていたところなんだ」

勇者が、そう口にすると ザライドが勇者の前に姿を現した。そればかりか 勇者が手にしていた剣を奪うと勇者に向けて「もう 終わりにしましょう」

勇者に剣を振った

「お前 勇者の僕を殺すつもりなのか そんな真似をして、どうなるか分かってるんだろうか」

「もちろんです。だから勇者の剣を奪って貴方を殺そうとしました。そうして、あなたの手にあった聖剣を奪い返すためでもありました」

勇者に剣を振り落としたことで ザライドが「勇者の剣を手にしているんだな なら お前を、この世界から消し去ってやるよ」と言い放たれたのであった。「その前に お前に教えておくことがある」勇者が そう言ってから「勇者である僕が お前の味方に付いているのは、お前を信用していないからだ」とザライドに説明を行ったのである。その話を聞いたザライドは動揺

「どういう意味でしょうか 私が勇者に敵対するなんて」と言い放つと「そういう意味だ。お前は僕の敵に回っているんだよ。さっきまではザラインやザライが 勇者と争うことに否定的だったが あいつらが、お前と勇者とが戦うことを望むのであれば 僕はザライドと入れ替わるつもりだった。それにザライドを、このまま放置すれば勇者に殺されたり洗脳されたりするのは目に見えていたから どうにかしなければと考えた。だが 結局は 勇者と、あんた達の力関係を覆す事は出来なかったわけだしな」

ザライドの言葉を聞いた俺は どうにか ザライドを助ける為にもザライドを操っている人物の力を封じなければならない。そして ザライドが操られている理由は、おそらく 勇者の剣に触れてしまったのが原因だと思うし。その勇者から どうにかザライを助け出さなければならない その為にも勇者と一対一の勝負に持ち込む事が先決だと考えたので勇者に対して 戦いを申し込もうと思ったんだけど そう考えた時に勇者がザライドに対して「今から 僕と二人で ある場所に行って貰うよ」と言葉をかけて来たのだった。勇者は、そう口走った後 俺に対して視線を向けて ついて来いと言う しかし、

「断るよ 俺の目的は ザライドを取り戻す事だけだからな」

「お前が断れる状況だと思っているのか?」

勇者に、その言葉を突きつけられて。それでも勇者が俺と話をするのをやめない以上は、その会話に乗るしかない。勇者は俺に対して ザライドを

「殺しはしないと約束してくれ」そう頼み込んできたのである。その申し出を俺は受け入れた

「勇者 一つだけ聞いておきたいんだけど」

「なんだ」

「ザライドが、こんな風になっている原因は勇者の持っている武器に原因があるのかな?それが分かれば 解決策が見えてくるかもしれない」と問いかけてみると「そうかもね。僕の使っている勇者の装備には人の魂を強制的に封じ込めることができるんだ。そして 僕の勇者としての素質があれば ザライドの心を閉じ込めることは、さほど難しくは無かったはずだ」と勇者が語った内容を聞き 俺が勇者に対して攻撃を仕掛けようとすると、それを勇者は止める。そして「お前が どんなスキルを使うのかは知らないが。勇者である僕の前に立つということは死ぬということだぞ。それを理解した上での行為ならば、それで構わないけどね」と言ってきたのだった。それに対して俺は、勇者に「そうかい そっちが本気を出すっていうのならば 俺の方も遠慮する理由が無いんでね」

俺の方もスキルを発動させると、そのままの状態で、勇者に向かって斬りかかったのだが勇者が作り出した障壁に阻まれてしまい。攻撃することは出来なかったのである

「ザライ。君程度の人間が相手になると思っていたわけでは無いんだよね」と言葉を漏らすと勇者の周りに複数の人型のモンスターが出現し始めた。そして勇者はその人型を自分の周囲に展開させたのだけど、これを見た ザライドは驚愕してしまい。その場で立ち尽くしてしまう

「なんなんだ、この化け物は、お前は一体何をしようとしている」

「決まっているじゃないか ザライドの肉体が まだ僕の物に馴染んでいないのだから お前が勇者として生きられるのも もう少しの辛抱だって事を知らせに来たんだ」

「嘘を言うな。私は勇者だ。お前みたいな偽物の魔王の手下に、勇者の座を奪われてたまるか」

ザライドが勇者の言葉を否定しようとしたのだが

「お前は自分が勇者だという証明を出来るのか。勇者の称号を持つ僕に対して、お前は無様に敗北をしたばかりじゃないか」勇者がザライドに対して言葉を返せば それを耳にしたザライドが黙ってしまう

「勇者よ どうして貴様は、そこまで、私やザライが勇者であることを認めたくないんだ。貴様にとっては、それほどまでに 勇者の座を奪わせたかったとでも言うのか?」

「当たり前だろう。ザライド 勇者が二人も存在していれば お前達の存在が、どれだけ邪魔な存在か分かっていないようだな」と勇者が言い放った直後。勇者の前に、もう一人の勇者が現れれば「勇者。お前には、まだまだ利用価値がありそうだからな。だから殺すことは止めたんだ」と口にすると「それは、お前の目的を果たすための準備が出来たという事なのか」と勇者が聞き返したのだ。

「ああ ようやく勇者として、この世界に降臨することが出来るようになった。だから まずは、こいつらを殺して勇者の存在をアピールしておこうと思う」

「それで良い。お前の狙いが上手く行けば。俺の計画も進むことになる」と勇者が言えば「計画とは何のことですか。私の身体は ザライドのものなので、勝手に動かされると不愉快極まりない」とザライドが抗議すると 勇者はザライドを見下しながら

「お前は、そんな事を気にしていたのか 馬鹿じゃないのか。そもそも、ザライと、そこの女を始末するために。お前の意識を、ここに移し変えた。だけどな 勇者に憑依された人間の体を奪う方法というのは、もう一つ存在する。お前のように自分の精神を勇者の魂で埋め尽くされている人間の場合はな。別の精神の持ち主に乗り移ることが出来る。つまり、お前は勇者の器を手に入れた事になるんだよ」

そう告げられたザライドの顔色が急変した

「私が勇者の体を 手に入れた」

「そうだよ。だからお前に憑依させてやったんだろうが。まぁ 勇者の力を手にしたことで 今まで以上の力が手に入ったわけだし。ザライの奴を処分するのも、それからでも良いだろう。それまで大人しくしていろ」

ザライドの中に入っている人間は、それを聞いても冷静だった。それというのもザライドが「分かった。大人しくしている」と言ったからである。それから俺もザライドに対して 大人しくするように頼むと 俺達は一旦引き下がることにした。それから ザライドは俺達の方に顔を向けると頭を下げたあとで姿を消すのであった

「ザライド。これから、どうするつもりだ」と勇者が尋ねれば「私は勇者になったのです。勇者になったからには他の者に、いつまでも遅れを取っていてはいけません」と言いながら勇者が作り出したと思われる人形を破壊していった。その様子を見ていた勇者は、どこか嬉しそうな顔をしていたのだけど。勇者が「お前には、やはり期待できそうだな。お前の、これまでの行動を考えても。勇者としての自覚に目覚めているみたいだし」と口にしたのと同時に ザライドの中から黒い煙のようなモノが飛び出していく そして「あれは 何なんだ?」

「さあな 勇者が使う能力に何か関係のあるものだろ」と勇者と俺達が話をしていると ザライド

「勇者の力は私が有効に使ってあげますよ。そう 私こそが本当の勇者に相応しいですから」

「ほう それじゃ ザライド。君は僕と手を組んで、その勇者を名乗る人物を倒してしまおうと言うのか」と俺が質問してみたのだが「ええ 私が勇者になりさえすれば もう貴方に頼るような事もありません」

「そういう事ならば 勇者として認めよう。それで どうやって、あいつを葬るつもりなんだ?」

「決まっています 勇者は この世に二人いらないんです。なら、どうすれば良いか分かりますね」

「なるほどな 確かに、あの力を手に入れることが出来れば ザライなんて雑魚に負ける事も無くなるだろうから。それで、どんな方法を思いついたんだ?」と勇者から言葉を掛けられ ザライドから「簡単なことですよ まずは ザライを倒すのに力を貸せと持ちかけてみるだけですからね」とザライドが答えたのである。それを耳にした後だと俺は少し心配になってしまう。本当に、ザライドの体が、このまま無事に残っていればの話だが 勇者がザライズに力を貸すことを持ちかけたのを見て 俺達は動き出すことにする。このままではザライン達にまで被害が出ると思った俺は、どうにかザラインだけでも守ろうとするのだが ザラインの前に立ち塞がった俺に向けて ザラインは短剣を振り下ろして来た

「どけ!ザライン!」と声をかける

「どきませーん」そう口走った後に 俺の腹に突きを入れてきた そして俺の体は後方に飛ばされてしまい 地面に転がってしまった どうにか体勢を立て直して 再び立ち上がる そこで俺の目が見たのは、目の前にいたザライドが勇者から受け取った剣を ザライズが持っている事に気づいたからなのだ。ザライドが持っている剣が本物なのかを確かめる必要がある。俺の目に見えていた ザライドの身体の中に勇者がいるのか、どうかを知るために。その確認の為に ザライドの体に攻撃を仕掛けようと動くが それを邪魔するのはザライドの姿を模した偽物である ザライドの格好を真似た存在に攻撃を加えて もしも本物のザライドに当たってしまった場合。その瞬間

「勇者の能力を取り込んだザライは 完全に勇者と同じレベルの存在に変わる可能性がある」

勇者の言葉を信用するのであれば 今はまだ、ザライの方が強い状態だと言えるのだけど それも時間の問題になるはず。今のうちに決着をつけておかなければならない ザライドの見た目をしているのが勇者である事は間違いないと思う。なぜなら 俺は勇者の姿を一目見れば勇者かどうか判断が出来る自信があるからだ。だけど、今は勇者と戦うのが最優先だと考えたので俺はザライドを攻撃することにした

「くそ」

ザライドの動きを真似ているだけの偽物に対して 何度も斬撃を放つ だけど ザライドの身体能力を持っている以上は、ただ俺の攻撃を避け続けてしまうだけ

「おい。勇者 こっちが手を出せない状況を利用してザライドの能力を手に入れやがったのか?」

「まぁね。でも 勇者の力を使えば ザライドと全く同じレベルで戦うことも出来る」

「それで 勇者として認められて 魔王になる気か」

「そんなことは考えていない ただ 魔王になるために必要な力は手にいれてある」

「なんだと?」

勇者の言葉を聞いてから俺は 勇者が言っている魔王となるために必要な力が、どのようなものなのかを考えた

「お前 もしかして」

「やっと理解してくれたか。僕は勇者として選ばれたから 当然、魔王にもなれる」

そう口にしてから勇者の体の周りを 黒い霧のようなものが包み込むと「これが今の僕の本当だよ。お前の言うように 僕の計画は進んでいるということだな」勇者が笑みを浮かべれば俺の方に向かってきたのだけど その途中で立ち止まれば「さて 勇者の身体を奪った事については ザライドに伝えておきたかったんだが 僕の目的を果たすまでは連絡を取りたくないというのが あいつの気持ちらしいし」と言って立ち去ろうとしたので 勇者の後を追うようにして追いかけるけど「残念だったな」と言われた直後に、その場にいたはずの俺の気配が完全に消えた事で勇者を見失ってしまう そして「これで僕を追いかける事が出来る人間は誰もいなくなったな」と勇者が口にした それから勇者がザライドの元に姿を現したのは、その直後であった

「どうやら 君の力で僕を殺すことが出来ないようだな。なら仕方がない この場を退くとしようか。それと ザライドには勇者になった時に 勇者の武器を与えておくよ。お前の邪魔をして欲しくなかったんだけど 勇者の力を完全に制御出来れば お前を倒せる可能性も生まれるかも知れない」と言い残すと勇者の体から出て

「後は頼むぞ 僕はしばらく眠ることにする」と言葉を続けてから姿を消したのだ、その出来事によってザライドの持つ能力が強化される結果になって 勇者は眠りにつく事になったのでした それから数日後の出来事であった 俺達はザライズの様子を見に行った後で そのまま家に戻るつもりだったのだが。ザライの仲間だった少女達に俺の弟であるザイドが捕まっている事を知り助けに行こうとしたところで ザライズが現れて戦闘を行う流れになってしまったのだ。ザライドの中にある魂は勇者だと思うのだが、それを本人の前で口にする事ができない理由が存在していた、その理由とは 勇者について説明をしたとしても、それが誰の事を指しているか分かる人間は、この世界には存在しないからだ。だからこそ 勇者の正体を口にしないでおこうと思っていた

「ザライドは、そんな事を言っていたのか?」と勇者に質問されて「そうだな 俺の目で確かめた結果 勇者の力を手にしたことで ザライドは勇者と名乗っていても、そう簡単には殺せない相手だということが分かったよ」

「それならば お前一人で、どうやって倒すつもりなんだ?」と勇者に問われた直後

「俺がやるよ。俺なら ザライドの力を奪うことも可能だろう」と言い返してみた するとザライドが笑い出したあとで「まさか ザライが ここまで無様な姿を晒すことになるなんて」と言いながら俺に斬りかかって来たので、その攻撃を受け流して ザライドの腕を掴み上げると「勇者様。ザライドの身体を奪い返します」そう言ってからザライドを地面に投げ飛ばしてから 俺はザライドに対して攻撃を仕掛けることにした その最中で勇者が、ザライドに対して、こんな事を言い放つ

「ザライ 勇者の力を有効に使うためには もっと強くならないといけないな」

「何を仰りたいのですか?」

「僕が手に入れた勇者の力には特殊な使い方があってね それは勇者が持っている全ての技とあらゆる魔法を使うことが出来るというものなんだ」

「それで 私の力を奪って何に使われるのでしょう?」

「勇者が勇者で居続ける為には 力が必要。そして この世界で最強の存在になるのは 勇者しか存在しない」

「なるほど つまり 勇者の器に勇者以外の存在が入り込めば勇者の座を失う可能性があるから 私に勇者の座を譲って頂きたいと、いうことでしょうか?」

「そこまで話が早くて助かる。それで 俺が、お前を殺してザラインに乗り移っても構わないんだよな?」とザライドが口を開くと同時に ザライに話しかけたが、それに答える様子もなくザライドが襲い掛かってきた。俺はザライに足

「くそ。やはり ザライドを倒すことは出来ないのか」

「勇者が言った事は事実なんだろう? 勇者が持つ能力と ザライズが持っていた能力があれば ザライは最強に成ることができるはずだが」

勇者と俺が会話を行っていると ザライドが動き出す その攻撃を俺が防いだあとで「勇者。あんまり、しつこく攻撃してくるなら、こちらにも手段を選ぶつもりは無い」と言葉にして 俺は ザライドを追い詰めていく、その結果 どうにか ザライドから勇者を引き離すことに成功するのだが「それで勇者 どうやって、その力を手に入れたんだ?」

「さっきから言っている通りさ。ザライドに、この力を与える事が出来たのは、お前の知っている勇者の力を持っているからだ」と返答してきた

「それって やっぱり 俺達の世界に現れた奴が、お前と同じ力を使えるということか?」

俺の言葉を聞いた瞬間 俺は勇者に向けて短剣を投げ飛ばすのだが 勇者の目の前に、突然、黒い壁が現れたことにより短剣は弾き飛ばされた

「くそ やっぱり駄目なのか」

「勇者が勇者を名乗る人物と話をしている時に偶然聞こえてきたのですが 勇者様は世界に存在する五人の魔王の一人だったようでございますね。私は今となっては ザライドですけれど、それでも他の魔王を討伐する必要があります」と口走った直後 ザライが動き出して攻撃を仕掛けてくる。その動きをどうにか抑え込むと ザライドの動きを封じることに成功できたわけだが「これで終わらせて貰うぞ。ザライズ!」と口にするなり ザライドの首元を締め上げて殺す事にした そして俺の攻撃が終わった直後だ。俺の手から解放されたザライズからザライドへと戻っていったのだが、その直後から ザライズから力が抜けた状態に陥ってしまい倒れ込んでしまったのだ 俺はザライズを抱きかかえたまま立ち上が

「勇者。どうして、お前が、この世界を支配しようと考えている?」と口にした 勇者の狙いが、どうしても理解できない。勇者の目的が分からないからこそ警戒しなければならないのだから

「お前達が魔王を倒せている理由は 勇者である僕の存在があるからだ。そして僕の存在が、この世界の均衡を保っている この世界に魔王が存在し続ける限り 勇者は存在し続けられる。僕は勇者という役目を捨てる気など毛頭ないからな」

「勇者は 勇者としての役割を放棄して、どこか別の国へ移り住むとか考えていないのか?」

「その手もあったな。しかし、そんな事は、もう無理なんだ」そう答えた勇者は「今の時点で勇者の役割を放棄したら 魔王の勢力が活性化してしまう可能性があるんだ そして 勇者として認められた時点で僕は自分の意志で生きられる立場ではない 勇者として生きる以外に選択肢はない」そう言い切った勇者だったが

「そういえば ザライドの体を乗っ取り 自分が勇者として、これからも活動するのかと思ったんだが」

「それも悪くないだろう。しかし ザライとして生きている間は 僕は魔王にはならない この体は ザライドの物だし ザライドの意思を尊重しなければならないだろ」と勇者の口から

「そういう考えが出来る辺り 魔王としての自覚があると言うべきなのか?」

「勇者として生きて行くと決めた以上 僕は魔王で在り続けるしかない 勇者の力は僕の為にあるのだから」

「なぁ 勇者。一つだけ聞いてもいいか?」

「僕が、お前に話してやれることは多くないと思うけど それでいいのなら好きにすれば良い」

「ありがとう。勇者 それじゃ質問させて貰おうかな」と口にしながら 俺は勇者に問いかけてみた「俺が前にいた世界でも勇者と名乗る人物が俺達の世界に紛れ込んでいるんだけど それはどういう意味なんだろうな?」

「それは お前の世界に僕がいるという意味じゃないのか?」

「いなければ そんな質問をしなくても済んだんだけどな」と口にすると 勇者は苦笑を浮かべていたのであった。

その後で勇者は姿を消してしまった おそらく勇者とザライドは、お互いに話し合いを行い 俺に迷惑をかけないように、ここから立ち去るつもりだったらしい そんな事を言われても ザライドは、勇者によって乗っ取られたせいで ザライドを殺す事になってしまったし 勇者の魂が勇者の中にある事も確認済みなので ザライズと会う事さえ出来れば、勇者を殺すことが出来る可能性だってあったので「結局、何も出来ないのかよ」と思わずには居られなかった その日がやって来た 私がザライドさんに会いに行くことになったのだ その理由というのは 私の師匠が

「ザライと会えるのならば 一度 私に顔を見せてくれないだろうか?」と言われた事から始まった

「分かりました。それでは 明日になりますが宜しいですか?」と尋ねてみると「大丈夫だと 思うよ。ただ、いきなり押しかけるような事はしない方が良い」と言われたのだ。

それ故に翌日となりザライさんの住んでいる家に訪れることにしたのだ それから暫くして家の前まで来ると

「すみません 今日は約束が無いんですけど ザライさんは、いらっしゃいますか?」と言い放つのだけど 扉が開く様子がなかった どうしよう

「ちょっと待ってて」

そう言って少女は駆け出すと

「おじさん いるんでしょ 出てきて下さい。お願いします」とザライドの家の中に居る誰かに呼び掛けた すると ザライドの家に出入りしていた男性が姿を現す そしてザライドは姿を見せなかった。その事にザライは不満を感じていたのかも知れない。そう考えた結果 俺はザライズを連れて

「ザライが住んでいる場所は分かるのか?」

「うん。分かるよ 案内する」

そう言われた後でザライズと一緒に歩き始めた。すると、すぐ隣で歩くザライズに対してザライがどんな気持ちで居続けているのかを考え始める 俺はザライドを殺して ザライズの身体を、そのまま奪い取ったが 勇者の力を得て勇者の力を使いこなしている。それが原因で勇者を裏切る

「ザライは 本当に勇者に惚れていたみたいだからな」そう口走ると ザライは「え? 勇者様が、そのような言葉を、私に伝えてくれてたのですか?」なんて言うものなのだが

「いやまぁ そういう訳じゃないが」

「そうですか 私はてっきり勇者様から愛の言葉を贈られたと勘違いをしておりまして そのお言葉だけで十分過ぎるくらい嬉しいのですよ」なんて言葉を口にしたので 俺は少し困惑してしまうのだが「勇者って 誰のことなんだ?」とザライに対して訪ねることにした。すると「勇者様は、この世界を救う存在 私達にとって神に等しい方なのですね」と言われてしまう 俺はザライズの頭を、わしゃっと掴む 俺はザライに話しかけた 俺がザライを殺した直後にザライに意識があったかどうかは分からないが 仮に意識が残っていたとすれば ザライは、その時の状況に絶望したはずだ。だからこそ ザライにはザライなりの人生が有ったはずだったが、それを全て奪う形で俺はザライを手に入れた事になる。

ザライドが勇者に殺された事は ザライも当然だが理解しており ザライは自分の意思をザライドに殺されて勇者になった ザライは 勇者の力を使って世界を支配出来ると信じて疑わなかったが 勇者は、この世界に生きる人間に危害を加えないで欲しいと言ってきた。その願いを勇者から聞いたザライドは

「その条件は 飲めないな。勇者は魔王を倒す者だろう?勇者は魔王を倒す使命を背負って生まれてきているはずだ。それなのに何故勇者は、この世界の住人に危害を与えないでくれと言ったのだ?勇者なら その力を持って人々を守ればいいだろう。違うか?俺の言っていることは間違っていないはずだ」

ザライドとしては ザライドなりの思いがあっての発言だったのでしょう。

そしてザライドの言い分を聞いた勇者は ザライドの言葉を受けて

「確かにザライドの言っていることも間違いじゃないと思うぞ。ただし僕の場合は 僕に課せられた使命とやらが、そこまで重要とは思えなかったんだ。僕は勇者の力とかに興味はなくてね。僕が、この世界に生きている人達を守っていく理由になるか分からないから 君の意見を聞いておきたかったんだ」と返答した。そして「君は勇者としての責務と僕に、どっちの方が大切なんだ?」と質問をぶつけられたことで 勇者の言葉を受け止める形となっていた。しかし勇者は勇者としての責務を果たし続けて欲しいとも考えていたようで

「僕の命が続く限りは勇者として人々を守り続けていくつもりだ。しかし、僕の命が終わったとしても 君の行動を制限するつもりは無い。君の判断に委ねることにする」と告げたのである。その勇者の答えを聞きザライドは

「勇者の答えは分かった その判断を下す前に一つだけ教えて欲しい。もし俺が死んだとしたら お前が勇者の力を悪用することだってあるだろ」ザライドが、この言葉を放った瞬間 勇者は、くすりと笑みを浮かべながら口を開くと

「まあ 勇者としての力は使わない。そもそもの話。今の時点では、そんな心配をしている時点で無駄なことだろ。僕の勇者としての能力は 他の勇者と比べて桁外れだし 僕は、そんなくだらないことを考えるよりか魔王との戦いに備えた方が良いと考えている」

そう告げると勇者は立ち去ってしまうのだった。しかし この時 魔王の力が強大過ぎて、勇者であっても単独で魔王に戦いを挑めば返り討ちに遭う可能性が高いと考えていた。しかし、それとは別に魔王の力を分散させる必要があると考えていて 勇者の力を使った方法ではなく、勇者の力無しで魔王の力を分散する方法を考えていた そして勇者は魔王と戦う為に行動を始めることになるのだけど それは、まだまだ先の話であり、この時点では、この世界の何処かに居ると思われる、その人物を探し出そうとしていたのであった。

その後で ザライドは 勇者の言葉に従って自分の目的を果たす為には まずは自分自身の命を守らなければならないと考え始めた その為にも魔王の配下

「魔王四天王」と呼ばれる四人の存在を殺すことを心に決める。そしてザライドの標的となった相手は 炎を操る男と氷を纏い戦う男の二人であった。

ザライドが魔王の部下を殺しまくっている頃 ザライドの事を気にかける人間はいたものの 勇者だけは、ザライドに対して何も思うことはなかった 勇者としての責務を全うするために この世界の人々の事を助け続けた。

勇者である自分が死ぬ時は世界が滅ぶ時だと考えていた だから勇者として生きている間 は魔王を倒すための旅に出ることは無かったのだけど それでも勇者という役割を持つ人間が殺される事は無かったのだ。

魔王軍の幹部として「魔将」と呼ばれている六人が存在している。

彼等と対峙する場合に限って言えば 勇者

「魔将軍」の実力は 魔族のトップレベルに近いとされている。

勇者以外の者達が、この世界で生きて行くためには 強さが、もっとも重要なステータスとして扱われるようになったのだけど。勇者だけが別格の待遇を受けているように感じられていたのは 間違いではなかった。

それ故に この世界に暮らす全ての生物達は勇者に憧れを抱き尊敬されていた。

ただ、それも過去の話でしかないのかも知れないけどな。

ザライドの話を聞いていた少女が

「そうやって聞いてみると やっぱりザライドさんも普通の人間なんだな。ただ、あのザライドが、ここまで心を開いてくれたってのは凄いな」と呟いていた

「どういう意味なんだよ?」と俺が口にすると ザライズは苦笑を浮かべつつ ザライドについて語っていく。その内容を聞くとザライドも俺と同じく普通に恋をしていただけの青年だったということが分かった それから数日後の事でした。ザライは ザライドと会っていた 二人は、この場所が、どこにあるかも分からない場所なのだが 洞窟の中に存在する村 そんな場所に二人で生活を送っているのだ そしてザライは ザライに会いに来ていたザドの姿を見つける

「貴方が ここに来たと言う事は、私の元を訪れるために訪れたんですよね?」ザライが尋ねると

「はい。貴女に会う為に 此処まで来ました。それと今日は、お願いがありましたので」とザライに、お辞儀をしつつ言うのだった それを受けたザライは、少し戸惑ったような様子を見せたのだが

「とりあえず中に入りましょう」と言い放ち家の扉を開ける ザライの家の中にはテーブルが置かれており その上に置かれているのは紅茶が入ったコップが二つ存在していた その二つの内の片方には ミルクが入れられており もう片方はストレートティーになっていたのは そのミルクを入れている方の紅茶を飲む人物が居たためである

「さて 私は、あなたに対して何をして欲しいのですか?」ザライは問いかけるのだけど それに対してザライが

「私は、もう直ぐ寿命を迎えるはずです。だからこそ、お願いがあるのです」と

「何を言いたいのか分かりませんが」と ザライは首を傾げる それを見たザライドは 椅子に腰をかける形で 口を開き始めた

「ザライ 僕はね。今、ここに居て生きている時間こそが人生の最後だと考えているんだ」ザライドは、この言葉を口走っていたのは 魔王を倒す事が叶わない以上 自分に与えられた使命を遂行することは出来ないのではないか、と考えてしまってから、どうしようもない感情に苛まれてしまい ザライに助けを求め

「僕は、こんな場所で終わるわけにはいかない。でも 僕一人では魔王軍を滅ぼす事なんて出来ない」と弱音を吐いてしまうので それを聞いたザライドの悩みを知るザライドは ザライドに提案するのだった「私が貴方と一緒に魔王軍に挑んであげるから 今は少し落ち着くべきだよ」とザライの言葉を受けて ザライドはザライと共に魔王軍と闘うことを決意する ザライドは ザライに「勇者と旅をした方が安全に過ごせるんじゃないか?」と言われたり

「勇者の側を離れなければ命を失う可能性は無いと思うんだけど」と言われてもザライと別れようとは思えない ザライドは 自分が勇者に救われたのは間違いの無い事実だが それとは別の

「別の」部分で ザライドにとって ザライドが勇者に救われたという事実よりも 勇者と過ごした日々の記憶の方が大切だという事に気がついていたのだろう だからこそ ザライの提案を受け入れて ザライドとザライが 魔王軍を撃退し続ける道を選ぶ事になった。

ザライとザライドの旅が始まった しかし それは長く続かなかった ザライドの身体に異変が起こり 徐々に体が朽ち果てていくようになる ザライドとザライが、この世界に現れたのが百年以上前だと言われているので この世界にやってきた時の勇者はザライドと同じくらいの年齢だと推定出来る ザライドは ザライドに助けてくれたのは 勇者なので 勇者には頭が上がらない状態になってしまう

「僕を、救ってくれた人は 一体誰なのだろうか」

ザライドは 何度も考えた。

ザライの肉体が完全に崩れ落ちる前に ザライに救いを与えた存在にザライドは出会う事が出来るのだろうか? ザライの魂は、いつになったら ザラインの元から離れられる事になるのであろうか? ザライの精神が崩壊しそうになると ザライの意識の奥深くに存在する人格達が ザライドに対して話しかけてくる。

ザライドが、もしも その言葉を受け入れるのであれば ザライドの心の支えになるはずだった。

その日が訪れたのは 本当に唐突のことだった 魔王四天王の一人 魔族の頂点に立つ存在である 炎を操る男 と氷を操る男。

彼等が二人の人間に戦いを挑んだが、あっさりと殺されてしまう

「魔王様の命令に逆らった罰なのか」魔将の二人が死ぬ間際の言葉を口にしたのを最後に炎を操る男と氷を操る男は絶命した。

しかし 魔将二人を倒した人物は ザライドではない では誰が倒したのかといえば 勇者だ この世界を魔王の手から守るために 自らを犠牲にして戦うことを決めた勇者は 仲間を魔王から守る為に魔王の配下の命を奪ってしまう その行動を取る前に勇者の側に控える女性の存在に目を奪われてしまったが為に魔王の怒りを買い魔王の攻撃を受け止める事に失敗し 瀕死の重傷を負う結果となってしまった。それでも命を捨てる覚悟を決める事で致命傷を免れた勇者は 魔王との決戦を行う事になり その結果として戦いの末に勇者

「聖剣 セイバリオンを手にした者のみが使うことが出来る最強の力を手に入れた。

その力が、どこまで通用してくれるかは分からない。

「だけど僕は 勇者の力が、どこまで通用するかを知りたかった」勇者は自分の気持ちを抑えきれなくなった

「勇者として 人々の笑顔を守って行く そんな決意を抱いた時に、ある少女の事を想う。勇者は その想いを成就させたかった そして魔王を倒すべく行動する」

「勇者は勇者の力を持って魔王の討伐に向かう

「僕の目的は魔王を殺すことでは無かった 魔王が滅べば、それは達成出来たも同然だったからだ しかし魔王を倒す過程で 勇者はある事を確信してしまった それは勇者である僕ですら この世界を救う事は出来ずに終わるかも知れない と 勇者の力が魔王を滅ぼす その光景を見て魔王の表情には 余裕が溢れ始めていた

「馬鹿め。我を殺すことなど、出来ぬ。貴様には、それが分かっていまい」と自信たっぷりな声色で魔王は口にするが それを受けたザライドは

「魔王 お前には理解が追いついてないだろうけど 僕の目的は最初から変わらない。人々の笑顔を守る為ならば 僕は どんな犠牲も払ってみせる 例え それが自らの命であってもな」

この会話の中で勇者は 魔王

「死」を司る神を身に宿している事を打ち明けたのだけど。それを耳に入れていなくても 魔王は勇者を殺せない事を直感で理解していた。勇者が持つ力は魔王を超えるもので、魔王の力ですら 殺すことが出来ない程 強靭なものだからである。魔王は勇者と戦う中で「我が敗北する事はない」と呟く。それに対してザライドが返した言葉が「魔王 確かに貴殿を倒す事など出来ないだろう」というものだ

「だけど、これで終わりだ」と告げ 魔王を葬るための魔法を放つ 勇者が放った魔法の効果は単純で「魔将」の能力を封じる事に成功した

「勇者の攻撃は 確実に そして着実に魔王に届いているはずだ」と この時、ザライドの視界の中に映っていた少女の姿が 勇者の目を奪うことになる そして、この瞬間。

ザライドは 自分の中に眠っていた

「聖女」の存在を認識することになる。

勇者は

「魔将」が、この世から消えたと同時に「勇者の加護を失った」という事実を認識するのだが この事実は「勇者の役目が終わってしまった」と言う意味では無く「勇者としての使命を果たしたのなら 勇者の役割を終えた」という意味での「勇者の存在意義が消失した」と言う意味なのかもしれない 勇者に倒されたはずの魔王は復活を果たし ザライドの前に姿を現すのだけど その際に魔王が口にしたのは「我の命が、あと数秒で消え失せると言うことだけは理解できるのだぞ。勇者」と言い放ち「我の死と共に 世界は再び破滅へと向かうであろう」「我が死んだ後の世界で、貴様は何をする?」と質問してきた

「私は、まだ死んでいないから分からないけども」ザライドの声を聞いて ザライドが口を開いた直後 ザライドの首から下は全てが崩れ落ちた ザライの精神は既に崩壊を始めており ザライドから発せられる言葉を聞いていたザライとザライドの間に何かがあったと考えるべきだと考えられる。そうじゃ無ければ「私は既に壊れているんだからさぁ」なんて事は言い出しはしないだろう それにしても、やはり「私達の目の前に現れるんだろうね」とは予想通りだったね。まあザライの口から聞か

「ふぅ。私の方には、貴方が姿を見せたのね」ザライドは、自分が勇者の前から姿を消すとザライに対して語りかけ ザライは 自分が「魔族」であることを伝えると ザライドが姿を消した後に「魔族に滅ぼされた村が存在しているのよね」と呟いた後 ザライドの願いを受け入れる形となり「勇者の敵を討つ為に旅を始める事になる」と「魔王を倒す」という言葉をザライは、この世でザライド以外に聞くことはない。

この世界に居る「人間」の誰もが「魔王」が、どれほど強大な力を持ち合わせている存在かを「本能で感じ取る」事ができるので「人間」と魔物達は お互いに手を取り合い

「魔王」に立ち向かう事を選んだ。

「人間は 人間で有る以上 魔王を倒すことは出来ないだろうけど 魔王が居なくなれば平和になるだろうからね」と誰かが口走ったのを聞いた。

ザライの肉体は完全に崩壊する前の段階で「勇者の仲間の一人だった女性の魂に救われる」事になる その女性は、とある人物によって造られた「機械」に魂を吹き込むような形で誕生した その女性は「ザライと共に生きる」という意志を抱き続けていた為に 魂が完全に破壊されることなく存在していたのだろう しかし、その魂は 完全に消滅してしまい ザライドの肉体が崩壊してしまった事で「魂だけが残された状態」となる 魂はザライが消滅する直前に「魔族の命運を握る事になる」

「聖女の加護」を手に入れるのであった 勇者は、ザライの言葉を信じることが出来なかった 何故ならば、その「聖剣」こそが「聖剣 セイバリオンの本来の力を引き出す為の道具」でしか無く その力で「魔族を滅ぼす事が出来るのか?」という問いに対して「無理だ」とザライドに断言

「この「セイバリオン」が放つ力の本質を見極める事が出来なければ」と断言 その上で、こう口にした「この力が魔王を屠れるかどうかは分からないが その力を使えば魔将を滅する事が出来ると思うんだけど」勇者の話を耳に入れる ザライドは、この時に「自分は魔王の配下達を道連れにして死ぬ」事を心に決めるのだった。

勇者からの提案を受けたザライドは「分かった。それで構わない。君が僕と一緒に戦ってくれるだけで どれだけ心強いか」とザライドは「ザライが勇者を騙す為に吐いている偽りの発言である可能性」を考えながらも「もし騙されたとしても後悔しない」という覚悟を決めた上でザライの意見に賛成 勇者の力を使い「魔将軍達と一人ずつ戦う事になった」勇者の側に聖女と呼ばれる女性が侍っており、その女性から受け取った回復薬を飲む事で肉体の崩壊を抑えつつ 最後の一人となった魔王と対決する。

勇者は魔王との戦いの最中に「僕は、これから魔族や人間の未来を救わなくてはならないんだ」と語るのであるが その台詞に対して魔王は笑みを浮かべながら

「それがどうしたと言うのだ? 勇者よ」と言ってしまう 魔王に追い詰められた勇者は「このまま負ければ全てが無駄に終わるんだよ!」と言い

「そんな事も分から無いなんて それでも本当に世界の希望なのか?!」と言い放ったのだが、それを耳にした瞬間に魔王の怒りを買い「勇者が所持していた能力を全て失った上。貴様は我が手で直接殺さなくては気が済まないようだな!!」と言い放つなり攻撃を仕掛けてくるが ザライドの方も黙っているわけが無くて。ザライは「僕は君の命を奪いたいと思っている。ただ僕の目的を果たす為に必要な事なのだ。許してくれとは言える立場ではない。でもね。もしも僕が死んだら、せめてもの償いとして世界を滅ぼそうとする悪の根源を必ず殺すからさ」と言った後は「もう僕に構う必要は無い」と告げるのだけど。そんな言葉で

「はい、そうですか」ってなる訳も無くて。勇者はザライドを逃がさないために「魔王から逃げるつもりか?」と問うのだけど それに対してザライドは

「違う! これは僕の問題だ。勇者の手を煩わせる程のものでもない!!」とザライドが言ったところで「貴様が、何を企んでいるか。その程度は分かる。魔王軍にとって貴様の存在が有用だからだ。だから生かし続けておける状況でいる」という風に言い放ったので、その言葉の意味を理解していない様子のザライドが困惑してしまう。「僕には君の考えている事を理解する事が出来ない」と それに対する魔王の答えが「その必要はない。ここで貴様は終わるからだ」と口にすると 魔王は勇者との戦闘を始めたのである この時、魔王が使用した魔法の中にはザライが知らない魔法も存在していて「こんな魔法もあるのか!?」と思った。だが、そんな感想を抱いている場合でも無く どうにか魔王の攻撃を避けようと足掻くのだけど 魔王の魔法を避けることが出来ないまま「自分の身体の半分以上を失う事になってしまうのだけど それによって「自分が死んだ時の為に 自分の死体の処理」をしておいて良かった」と言う形で死を迎えるのである ちなみに

「僕の死体は絶対に見つからないようにしろ」と言い残した 聖女と呼ばれた女性はザライドの遺体を「自分が持っていた「アイテム」の中に収納して隠すのだけど、それが魔王に見つけられてしまう事になり そこで、どういう手段を用いたのかは不明で 魔王はザライドが持っている「聖女の遺体」を利用して蘇生を試みるのである その結果 聖女と呼ばれていた女性が蘇り「ザライドと聖女が二人揃って行動している」という状況になるのである。

聖騎士が「俺達が今から言う話をよく聞いてくれ。お前達に頼んだ仕事の内容は、魔王軍の幹部を討伐する事で間違いはない が、問題は誰が魔王の幹部を討てるのか、という話だ。勇者は魔王を倒した時に「勇者の加護を失い。聖女の力でしか勇者に戻る方法がない」と言われている だから、まず間違いなく聖女が動くだろうけども、その動きに付いて行ける者が居ないので、この任務を任された者達は全員勇者パーティーに所属して「勇者の代わりが出来る人材」だったと言うことになる 聖女の方は勇者より年下で「年齢」を理由にすれば まだ何とかなったかもしれないけども 勇者は「魔王に勝てないのなら この世界に魔王が現れた場合に勇者に変わって魔王を倒せる者が現れなければならない」という理由で「聖騎士の位を授かった」とされている為に 勇者と同じ歳で「勇者の代理を務められる実力者」というのは「勇者よりも歳を重ねている人物で、勇者と同等以上の力を持つ人」に限られる

「そんな人物は何処にも存在していない」と判断するのが当然の流れになるだろう だからこそ「私達は勇者様とザライさんが居なくなった後の世界を 守り続けなくてはいけないのです」とザラインは口にした

「そうですね」ザライドはザライの言葉に納得するのであった。

聖女とザライは二人で旅に出る事になるのである 勇者とザライの関係は ザライとザライは 旅の途中で知り合った人達と交流を重ねる

「魔将軍」の一人である「魔獣使い」と戦い

「魔族領」に向かうのであった

「私は魔王を裏切り勇者の側に付きます」という事を聖女の口から聞かされた勇者の一行は「どうして聖女の分際で、そのような事を言えるんだ」と言う疑問を抱いた しかし、その言葉を勇者の前で口にする者は誰一人としいなかった なぜなら「魔王の配下の中で 最も魔王を恨んでる存在が、聖女とザライドであり、この二人は特に強く恨みを抱いてる相手だった」というのが理由となる そもそも

「魔族の命運を握っている」という言葉に関しては 勇者に告げられて「あー、そうなんですね」と受け入れる形となり、そのまま魔王と直接対決し 結果として勇者が勝利を手にした

「魔将は全部で五人いるが 一番厄介なのは魔将軍じゃなくて、実は魔王自身だったりする」

と勇者は語り「もしも勇者とザライドが居なくなれば その時点で、あの国は完全に崩壊する」と勇者の仲間達は口にした

「まぁ ザライドが居なくても、なんとか崩壊せずに済むんじゃないだろうか?」

「無理だろうな」と勇者の仲間の一人が呟き、他の仲間達も同じ意見を抱くようになるのだけど、そこに現れた聖女が「それは どうしてでしょうか?」という風に問いかけた 勇者から「ザライの存在が大きい。ザライが魔将軍の配下を上手く誘導してくれたおかげで、魔将軍と戦う事が出来たのは事実だ」

「つまりザライさんのおかげだという事で間違いありませんか?」聖女は自分の意見を述べた後 その流れで ザライドに対して「貴方の行動に感謝をしていますよ。これから先の世界を守る為に協力してくださいね?」と言うような発言をしたのである この言葉を耳にした後に 聖女の言葉を聞き流しながら 勇者の方に視線を向けた聖騎士であったが「その気持ちも理解出来るんだよね」と言い出すのであった。その言葉を聞いて「え? 何の話なんですか?? 教えて欲しいです!!」と反応したのは勇者ではなくてザライドであったのだけれど。それに関して「聖騎士さんとしては、あまり人に話すべき内容じゃないと考えていると思うよ。それに僕に語るべき情報ではないと自覚をしていると思うから、詳しい話は勇者の口から直接聞いた方が良いと思うな」と答える ザライドが、ザライから教えられたのは「僕と勇者は 同じ村で生まれ育ち、幼馴染と呼べる関係だったんだよ」と そんな話をザライは「魔将の配下の中でも、もっとも警戒心を抱かなければならない存在」

「魔王軍の中では四天王と呼ばれている「魔将四人組」というのが存在している。

そして魔将の配下の数は数百を超えると言われており。彼等が従っている魔将軍とは それほどの権力を有する魔族である また「魔将軍」の配下には魔将軍と同等の力を持つ者も少なからず存在しているらしい その為 人間側からしても 魔王軍の中に存在する「魔将軍を討たない限りは 魔王を滅ぼすことが出来ないのではないか?」と言われるまでに至るのだが。魔将の配下の中には「四天王と呼ばれて それなりの立場に就いている奴らが存在していて 魔王軍に所属している魔将軍の側近を勤めている連中の事を指し示している。魔王の手足と化す事で 魔将軍の力を支えている存在だと言えるんだ。だから俺と勇者の二人だけでは「どうしても 全ての魔将を討ち取る事は不可能になってしまう」と俺は感じた そこで「勇者は「ザライトの力が必要になる場面もあるだろう」と言っていて、それを聞いた上で聖女と俺を含めた三人で「魔王軍を追い詰める為の計画」を立てていた」と口にした ザライドとザライの二人が、そんな話し合いを行っている中で ザライの目の前に現れた少女の名前はリリィと言うのだけど。彼女は勇者が召喚した女性である事を教えてくれたのである 勇者は魔王を裏切った後で「魔王軍に居る知り合いに会いに行く」と言って その場所に向かい その後 聖女は勇者と共に行動を開始するのだけど そんな彼女を見て「僕は、あんな表情をする事が出来ません」と言うのだけど

「そうかもしれないけど。聖女も「勇者様の為ならば命を懸けて戦う」って言う思いが強いんじゃないかな。だから「ザライの為に命を捨てることなんて簡単に出来る」って思う部分があるのかもしれない」と

「その可能性も有るかもしれませんが それでも僕の目から見た聖女さんは、勇者さんの側に立っている時は、とても穏やかな表情を見せています」ザライは聖女と勇者の関係性について口にしていた その言葉を受けてザライドは「僕は聖女様から ある提案を受けた。僕を勇者様と二人だけで行動をしている最中に呼び出してほしいと だから聖女は、この機会を使って勇者様と離れようとしたのだろう。僕と聖女の二人だけになれば 僕が何を考えているのかが理解できる」と

「でも、そんな事が可能だったのかな?」

「僕を信頼してくれていたのでしょうね。聖女さんからは「貴方が何かを企んでいるように見えましたので」と言う形で声をかけてもらったわけで」ザライドの話を聞いたザライは「ザライドと聖女の二人だけにしてみたかった理由は分かったけども、勇者さんと一緒に魔王軍との戦えない理由について説明して欲しいんだけど」と言う そんな時だった「僕からも聞きたい事があるのだけど」と言う形でザライは「僕も 僕自身が知り得る限りの知識で聖女に説明をしたのだけど その結果が、あれで良いのだろうか」と言う風に問い掛ける ザライの疑問に対して聖女が「そうですよ。私もザライド君の意見に同意します」と言い それに対してザライドは「そう言う訳にもいかないでしょう。僕には聖騎士さんから与えられた使命が有り それは勇者が魔王に敗北した際に「魔将軍を倒すことが出来る勇者に変わって 魔将軍を倒して欲しい」と言われているからこそ「聖女や勇者が魔将と戦う」という状況になる事を阻止しようとしている。だからこそ聖騎士が求めているような状況を作り出そうとしている。それが真実なのだと僕は思っている」と答えた ザライが聖騎士からの依頼を受けて 聖女は勇者に頼まれて魔将との決戦に挑むと言う構図を作る為に「魔将の一人を打ち倒さなければならないという事になるのであれば、聖女が一人で戦いに向かうのが一番だろうね それで問題はないはず そもそも魔将が、どれ程の戦力を持つ者なのかが分かっていない もし「ザドさんと同等レベルの実力者」だった場合 魔王と勇者とでは「どちらの方が実力は上か」という話になり 勇者が勝つ可能性が高い。その可能性を高めるためには、やはり魔将はザライかザライドのどちらか一人に任せ

「二人で魔将を相手にして 二人で討ち取ってくれればいいのだけど」と勇者は考えており 勇者とザライの関係を良く知っているザライだからこそ「ザライトには、こちら側に残ってほしい」と言う結論に達したらしいのだけど。勇者の仲間達が「魔将軍と戦うという選択肢は選ばずに聖女の手伝いをしよう」という意見を抱くのは自然な流れとなる。そんな事を言われたら 誰だって

「あー、そっか。確かにそうだよね」と思うのも仕方ないと思うんだ それから聖女は「魔将との戦いに向かう前に ザライド君に、お願いをしておいた方がいいんじゃないでしょうか?」とザライドに声をかける 聖女が言った言葉を耳にすると「あぁ、その事ですね 分かっていますよ」と言う風に彼は返事をする 勇者と魔王の戦いの邪魔にならないために 聖騎士は「ザライトさんだけは魔将の討伐に挑まないようにしてください。聖騎士さんに命じられた役割を全うしてもらうために、聖女が単独で挑むのが良いのではないのかな」

「勇者と聖剣使いの二人が組めば 負ける事なんて無いでしょ。まー もしも負けてしまったとしても「魔将軍さえ倒すことが出来れば 結果的に勝ちだし」と考えても良いと思いますしね」

「私は別に構いませんけど。そういう話なら私は聖戦士と一緒に戦う事にしましょうか? ザライ君の事は私が守る形として動くつもりですが?」

ザライドに対して聖女は、こんな話をする ザライドの言葉を聞く限りでは 彼が本当に魔将と戦いたいと思っていれば「僕としては止めようと思ったりする気持ちもあるんだよな」と言う風な態度を取り始める ザライドは自分自身を落ち着かせるためもあって、しばらく時間を置きながら考えてみるのである 勇者が魔将を相手取って

「絶対に負けるな。勝ってこい!!」という風に激励される ザライと聖女、そしてザライドが聖女が口にした言葉を聞き入れて 勇者の仲間達は勇者の援護をするために動き始めたのだ 聖女とザライが「勇者と魔将の決着をつける瞬間」が訪れるのを手助けするような立ち位置となり ザライドは聖女を守り そして魔将と戦って勝利を収めようとするのである そしてザライと聖女とザライドの三人は聖剣を手に取るのであった

「聖女様、貴方の頼みを受け入れ 勇者の代わりに魔将を倒しに行きましょう」

聖女に向かってザライドは聖女から依頼されていた「勇者の代役」を果たすことを了承したのである こうして「勇者を聖剣の力によってパワーアップさせてあげてくれ」と言われたザライドだが「聖女の力を借りるのは悪い気がしますね。ここは聖女様に頼られるぐらいの存在になれるくらいまで成長しなければ駄目なんですかね。まぁ、頑張りましょう!」と言い出して ザライドは自分の胸を叩きつつ 聖女の願いを叶えるべく「勇者から託された役目を果たし 聖女の力を借りて「勇者から与えられた役割を果たすこと」が重要だと思い至るのである 聖騎士が勇者に頼まれていたのは

「勇者は「魔王が操っている魔物」と「魔王軍の幹部」が所持していた 聖武具を奪い 魔王の力を弱体化させる事」という部分である。そんな時に聖女が現れたからこそ「この機会を利用して 魔将の配下である四人を打ち倒した方が魔王にとって有益なのでは無いのか」と考えたのだとザライドは考えたのだ。だから聖女がザライに対して 魔将の配下達を倒した方が良いのかどうかを話し合っていた時だ 勇者からザライトに与えられた命令を思い出すザライト。しかし「ここで聖騎士に聖女と二人だけになった時を見計らって

「俺達の作戦に協力してください」と言われ 俺はザライトと共に勇者の指示に従うことに 聖女に気付かれないような形で、ザライドとザライの二人は魔将の配下の一人の居場所を突き止めると「この魔道具を使えば良いのです」と ザライドは言うなり「これは「気配察知」の能力が備わった魔具であり これを使う事で 敵の姿を探り当てる事が出来るんですよ」

「この魔道具を、どう使えば良いんだ」

俺とザライドは会話を交わすと 俺は彼から使い方の説明を受けた上で行動を開始した 俺とザライの二人で協力したこともあり あっさりとその敵の場所を見つける事に成功をした ザライとザライの二人が手を組んで ザライは聖騎士と共に行動を行い ザライドは「勇者の力になろうとする人達を纏め上げ 勇者の代わりを出来るように聖女と一緒に行動をしていこうと考えているようだ」

それに加えて聖女は聖戦士と一緒に行動をすることになり 聖女の側にザライは残ることになった。聖女の側には ザライが残る事になったのは、彼女が魔将軍の側に就く人物の素性を調べてみたいと言い出したからである その申し出を受けて 勇者の方はザライの提案

「ザライトと勇者は別行動する」と言う話の流れで決まったのだが。

ザラインの話を聞いた聖騎士はザライの考えを素直に聞き入れたのであった

「ザライが勇者の為に動こうとする理由が良く分かりました」と言う感じで聖騎士が反応を示し それに対してザライも 聖騎士の事を気遣い「聖騎士さんが僕の兄さんの面倒を見てくれていると言う話を聞いた時には とても嬉しい思いをしています。だからこそ僕は貴方の味方に回らせて頂こうかと考えています。僕も聖騎士の皆さんに協力が出来る事ならば何でも致します」

「そう言っていただいて光栄です。これからはお互いに助け合っていきましょう」

それから聖女はザライトに「魔将軍を倒す事よりも 今は魔将軍を倒すための手がかりを掴むべきだと思うのですよ。貴方も魔将が所持している魔武具を手に入れる事が大事だと考えますよね?」と問いかける そうすればザライドも

「ザライの気持ちが分からない訳ではないのだけど やっぱり勇者が魔王軍を倒してこそ魔王の力は弱まり魔王軍が敗北する確率が高くなると思うんだ」

そんな訳で聖女は勇者の協力者に 聖戦士とザライと聖女とザライの四人で魔将との戦いに臨む事になるのであった 魔王が従える四匹の魔将の内の一匹が持っている その聖遺物は 魔王の弱点が分かる能力を有している 魔王を封印するには聖女の持つ

「勇者の聖なる力を込めた武器」が必要不可欠 その為に聖騎士は「魔王の討伐に向かう前に 魔将の所有する聖器と魔具を強奪してくる事」と指示を受けているのである

「私達が勇者様のお役に立つことが出来るとすれば 魔将を討ち滅ぼす以外にない」

「私達が聖騎士と勇者様の助けになるためにも」

ザライドとザライと聖騎士とザライは魔王城へと向かう それから聖騎士はザライスに「勇者殿はザライトの事も心配してくれているようですね。だからこそザライトと勇者は一緒に旅をしているのですね」と言ってきたのである その言葉を聞いた聖女とザライの二人が聖剣を手にした。ザライドと聖女と聖剣使いの三人で魔将軍

「魔将」を退治しようとして その前に聖騎士とザライの二人が 聖女から依頼された事をやろうと考えていた 魔将の四人のうち 一名を倒し 残りの三名の所在を調べるためだ。そこで勇者の仲間である聖女とザライドは魔将が残したと思われる魔剣を手に入れたのであった 聖剣使いが聖女に向かってこんな話をしだした

「魔剣を手にいれたことだし。さっそく魔剣の効果を確認するべきだと思う」と。

「あー、はい それも確かに必要だとは思いますよ。でも私は今 聖剣の力で強化されていませんから まず最初に確認するべきことは 私が魔王を相手に戦っても平気なのかという部分ではないでしょうか」と聖女が答えると聖剣使いが反論をするのだ

「大丈夫だよ。僕には確信があるしね。それに仮にも「聖女の力が宿る武器を所持した僕が負けたら」という話になるけど、僕が死んだところで世界への影響は特にないと思うんだよね」

そんな彼の意見を聞いて「それはまた随分な言い方をするものなんだよなぁ」と思いつつも私は口を開く事にする 勇者さんも何かを考えているのか無

「魔将が残すアイテムを手に入れてきたのであれば、まずはそれを試すべきだと思います」

「なるほどな。じゃー 僕達は「魔将軍の持ち物を回収」してから動くことにしようか」

ザライはザライドに対して「聖剣の加護が発動したら 僕だって簡単に魔将を倒せるだろうし だから問題なく魔将を倒すことが出来ると思う」と伝えてみれば ザライドが聖剣の力を開放させた。そのお陰

「勇者の仲間が魔王に挑んだ結果、見事に勝利する」という光景が再現できるだろうと考えてみた ザライドはザライドの話を聖女とザライとザライの三人が耳を傾けてくれる それでザライはザライとザライが「魔将を追い詰める際に必要な事 魔将の持ち物である「聖武具」を回収する必要がある」と言った それを聖女に話し終えれば聖女はザライに対して「それなら、魔将と戦う際には 魔将から奪うようにして「聖剣の力を解放する」ように意識を向けてください」と言われたので ザライはその言葉に納得をした そしてザライはザライに「勇者と聖女を上手く誘導しながら

「魔将の討伐を成功させること」と「魔王の討伐を成功させた後に必要となる魔将の所持品を集めること」を 同時に達成しようと考える そしてザライドが魔将軍の配下達を倒している最中の出来事で ザライは、たまたま近くに居た魔将の配下の一人を見つけ出すことに成功するのであった そうやって「魔将軍が所持していた聖武具を回収したいのだけど協力して貰えないだろうか」とザライドがザライと

「ザライドとザラ」の二人に声をかけたのである ザライが勇者の力になりたいと願い ザライの願いを受け容れたザライは聖女に「俺の事を勇者さんに伝えて欲しい」と頼んだ 俺が勇者の力になれる機会が来てくれた事を喜びながらも

「勇者と勇者の聖女の二人を 聖武具を盗み出した魔将が待ち受けていた場所」に 俺は案内してあげた そうすれば 勇者が「この先にある洞窟こそが魔将の住み家だ」と言う 俺は 魔将から

「魔将軍の住処の扉を守っていた守護者が居るのだが、それは倒したのだが中に入り込むのに苦労した」と言われ それから俺はザライに対して「勇者と魔王の間に起きるであろう戦いを手助けしてくれるように」と話してくれと言えば ザライドは「分かりました。勇者さんの期待に応えられるかは分かりませんけれども精一杯頑張らせていただきます」と言ってくれた ザライトの言葉は嬉しかったものの聖女にとっては不安要素も大きかったようで ザライドに対する警戒心を強めたようだった ザライとしては俺の力になろうとしてくれる気持ちはあるけれど やはり自分の弟の命を奪った存在だからといって俺に敵対する気持ちは全くないようだが しかしそれでも油断はできないのだから注意をしておいた方が良いかもしれないと考えた もしも魔族

「魔物と魔獣と悪魔を操っている元凶の黒幕が聖女に敵意を懐いた場合 それが魔将であろうとも、その魔将がザライと同じような思想を持っているとは限らないのだし」

「だからこそ ザライドを信用し過ぎないようにと勇者さんに伝えた方がいいかな」とザライは考える ザライドとザライは「勇者の力になるために」と言う名目のもと 自分達が手に入れていた「聖武具」の使い方が分かったので「魔将の持ち物」を奪い取ろうと行動を起こしたのであった そんな行動に出る二人の事を聖騎士とザライとザライの二人は「何を考えているんだ」と言いながら眺めていたが

「この行動が結果的に失敗に繋がるなんて誰が想像できたんだろうね」

聖剣の勇者である彼は「自分が手に入れた聖剣を使う事によって魔将の配下を倒す」という経験を積んでいたこともあり その経験を活かして「魔将が持つ魔道具」を利用して「聖剣の勇者」としての自分が強くなれるように調整する事も出来るようになっていたのである そのせいか勇者は魔将の魔剣の力と

「勇者の持つ力 つまりは聖女の力を利用したことによって」

自らの力を強化することが出来るようになっているのであった。

そうすることで聖女の持つ

「勇者が使える能力」は「勇者の能力と融合」を果たしていく その事実を聖女は知らなかった。だからこそ彼女は

「勇者の仲間である魔剣士のザライさんに「聖剣の力を発動させても問題ないか」を確認する事」も重要だと考えた 聖剣使いの彼からの提案を受けたのである そう言う意味を込めての「魔将軍が所持している魔剣と聖遺物を手に入れるために動こうと提案したのであった。聖剣使いとザライの二人で「魔将との戦いに臨む事を決めたのだ」そうすれば勇者と聖女と聖剣使いの三人で行う「魔将の打倒」と言う作業が非常にスムーズに進んでいくと思えたからだ だからこそ私は「私達も聖剣の力を使ってみるべきかも」と思って 魔将が残したとされる魔剣を手に取ってみれば その瞬間に「私の中に流れる勇者の力を魔剣が取り込み始めたのを感じ取れてしまう」と口に出して呟いてしまえば

「え?聖剣使いの貴方が勇者の力を取り込んだの?」

「うん。僕は魔王の力が宿る聖剣 聖槍 聖弓 それに 勇者が持っていたとされている聖武具を 聖女の持つ聖なる力を用いて聖剣として作り替える事が出来る」と魔剣使いは答えるのだ

「魔剣と勇者さんの持つ能力を融合させた聖剣の力が有れば 聖女の聖なる力を利用する事で「魔王の持つ弱点がわかる能力」が使用可能になると?」と聖女が尋ねてみると 聖剣使いは

「うん。僕の考えが間違っていなければそうなるね」と答えた

「なるほどね。じゃー ザライドさんとザライさんの二人が「聖剣使い」になったのって「聖剣の力で魔将を退治するために 魔将の所持品を奪おうとして、その試みが成功をしたから」と考えるのが妥当なのだろうけど」

そんな話を続けながらも 私は「私の中に流れ込んでいる勇者の力は「魔将の所持品を奪う事が出来たら聖剣の勇者である私が聖剣の力を取り戻せたり もしくは強くなったりできるようになるのではないか」という考えが思い浮かぶようになる そこで私は「魔王を倒すための武器 魔王から奪い取る事に成功した聖剣と魔王から奪い取った魔剣とが融合した武器ならば、魔王の弱点が分かるのではないかと私は考えたのですよ」と話したのだ

「それは つまり聖剣使いの貴方に魔王の弱みを探る役目を託せば 魔将を倒した後に必要となる魔将の魔剣を手に入れやすくなる」と言うわけですか そこでザライとザライが「俺達は、とりあえずは勇者さんに協力をしながら 勇者さんのためにも 魔王に奪われてしまった聖武具を回収する手伝いをするべきだ」と言う 勇者さんは

「魔王が僕と勇者と魔王との勝負を有利に進めたいと考えるのなら 魔剣と聖剣の力を合わせられたら厄介だよね」と言ってきたので 私は勇者に「聖武具と聖具とが一つになって作られた聖斧を魔王に対して使って貰い その時に魔将の持っている聖武具の効果が発揮されれば魔王に聖武具が取り込まれて聖武具の能力を扱えるように なってしまうのではと考えています」と答えてみた そうすれば聖剣の勇者は「聖剣の力は「魔剣と聖剣が一丸となって魔王に襲いかかると どうなるのか」は知らないけれど「聖剣の勇者の力を受け継いだ聖女さんと魔剣と聖剣の三人が一緒の力を合わせる事ができたなら」と教えてくれたので それを聞けば勇者と勇者の聖女は顔を見合わせてお互いに「聖女様 僕達の力を聖女の力を重ね合わせることが出来たなら絶対に倒せると思う」と言ったのである それで勇者さんはザライドとザライの方へと振り向き彼等に向けて「魔将軍の住処に乗り込む前に 勇者の力を 魔将軍の所有するアイテムで パワーアップしておいた方が魔王を倒せる確率が上がると思わないかい」と言ってくれたので ザライとザライは聖剣の勇者の言葉を聞いて納得した様子だった ザライが「俺の事は呼び捨てで構わないよ」と口にするのだけど

「いいや やっぱり ザライと呼び捨てで呼ばせてもらう」と言われてしまい ザライドとザライの二人はお互いの事を見て どこか楽しそうにしているように見えた そして「これからの作戦会議を行う」と言い出すのであった 俺は勇者の仲間に聖女と呼ばれている女性に向かって 魔将軍が所有している魔剣の力は聖剣と合体できる可能性が高く 魔将の討伐の際には聖女の力を持つ人と共に戦う必要がある

「魔将軍に奪われた 魔剣の力を利用して 聖剣の力を使えるようにしようと考えているのは良い案だと思える だが魔将の居場所を突き止めた後はどう動くつもりなのか」と言うのが問題である もしも その場所に向かう際に 魔将の住処までたどり着くまでに時間をかけると 魔将と遭遇する前に別の魔族 例えば魔王の手先とでも呼べる存在が 勇者の仲間たちの前に立ちはだかる可能性があると

「魔王の尖兵」と「聖女を暗殺するために現れた刺客たち」の存在が脳裏に浮かび上がった そんな感じのことを告げた勇者に対して聖女は 聖剣の力を引き出すには

「聖剣の力の核になっている部分がある魔剣の力を引き出した状態」にしてから「聖剣の力を使用できる状態で魔王城の中に入り込めればいい」と俺が説明をすると聖女は「魔剣と聖剣が力を合わせられて魔王城に忍び込み 魔将と戦うために必要な準備を整えることが出来る」と言ってくれる ザライドとザライが聖剣の力を使えるようになり それから聖剣の力を魔剣と合わせる事で 聖剣を更に強化することが可能になるらしい 魔剣と聖剣が融合する事によって魔将の持つ聖剣が魔将の力を奪い取り魔剣が更なる力を得るという展開に なり得るのである。そうする事によって 聖女が持つ勇者の力に聖

「勇者の勇者の力が上乗せされる」事になる そんな話の流れになったのだが 魔将と聖女の力の源となる物が二つ存在し それらが一つになり

「魔王が所持している聖剣 それに その剣の持ち主が所持している聖剣 それこそが聖剣使いである聖女が手に入れないといけない」

その言葉を聞いた勇者は 聖剣を手に取って「聖剣の力を魔将から奪うために使う」と言う結論を出した そうする事によって魔将の持つ「聖剣の力を利用出来るようになる」

勇者と聖剣が力を合わせた結果 聖剣は聖女が持つ力の一部を吸収してしまう形となってしまうのだが

「魔王の持つ聖剣 それと聖女の持つ聖遺物の力 この二つの力が合わさった時 魔王は確実に倒せるはず」というのが聖女の考えでもあった。

そうすれば聖剣の力は 魔将が持ちし「魔剣」に力を奪われるのではなく 魔剣の持つ「聖剣の力を取り込んでいく効果」を発揮してくれるのではないかと 聖剣の力が「聖剣使いの持つ力」に混ざり合ってくれることで 魔王を倒すために「聖女が手にしなければならない聖剣」も その聖剣の力を発揮する事が可能となるのである

「勇者さんの持っていた魔剣と聖剣が一緒になる事で聖剣と魔剣の両方の効果を得られる聖剣が誕生する 聖女さんの言う通りに事が運べば魔王を退治することが出来るはずだ 聖剣を上手く使いこなす事が出来なければ魔王を打倒することはできない。しかし ザライド 君達ならば そんな問題は無いと思う」

「あーそうだね 聖女さんの話を聞いていると本当にそんな事が出来るかもしれないと思ってしまうよ だってさ。魔王が所有をしていると言う噂の聖剣の力と聖遺物の魔力 それらを「勇者と聖剣の力」と混ぜ合わせたら「凄まじい力を発揮して魔将を倒すことが出来るようになる」と考えてもいいわけだし」

そこで聖女さんは少しだけ困った表情を見せてしまうのだけど「その通りですね。ですが私達が魔将の居場所を探し出し そこへ向かうまでの間に 勇者が持っていた「魔王の力を持った聖剣 魔剣」に魔将の持つ聖剣を取り込み 聖剣と魔剣が共に力を合わせる事が出来たとしたら」と言うような言葉を吐く そして「魔王の力を持っていて魔将の持つ聖剣も持っている そういった存在であるならば魔王は聖剣の持つ聖武具としての能力も使えます」と言った後で聖女は

「なので聖女の持つ聖なる力は 魔剣と聖剣 それに勇者の持つ聖武具の力を合わせて「聖女の聖なる力を使えるようになった勇者」の聖なる力を利用する事で魔王の弱点を探すことが可能になるとは思うんですよ」と言ったのであった 僕は「なるほどね聖剣と聖女の聖なる力を魔将の力と一緒にして それで魔将の持つ魔剣と魔王から奪い取った魔剣とを一体化させる事が出来たとした場合 魔王の弱点を探るための道具 そう言っていい聖具が完成するのは間違いないね」と言ってみせたのだ 僕達は今、勇者パーティーの三人の人達と一緒に行動していたりする 理由は「聖剣の力を使って魔王に対抗する事」が出来るようにするためであり その方法は聖女が考えた方法を実行していく事なのである

「勇者と聖剣の力を持つ勇者と聖剣が お互いに力を融合させて新たな力を生み出す」といったやり方なのだけど

「魔王を倒せるくらいに強くなれるんじゃないか」とは思っていたのである そして「魔王を倒す為には聖剣が必要」だと考えていたら聖女さんが聖剣についての説明を始めていく 聖剣には 様々な種類が存在していて、まず最初に聖女が口にした「普通の聖剣」というのは

「一般的な剣」のような形状をした武器のこと

「勇者が持つ聖剣 それに魔剣と魔王から奪った聖剣 それらの三つの力が一つになって出来上がった剣 それが聖剣と呼ばれる物」だと言う それで

「その聖剣の見た目だけど、剣と杖とが組み合わされている武器 聖剣には

「普通ではない」種類の武器も存在するんだよね」と聖女は言い出した その話は「剣」と

「剣」と「杖」と「盾」が合わさって一つの大きな刃となっている剣が存在したと言う話をしてくれた

「そんな剣が存在しているのか」と僕が思ったので質問したら「勇者の持っている剣」だと教えてくれた

「その剣の名前は 魔導剣士の使う「マジックソード」なんだけど 聖剣の力と 勇者の力を組み合わせて生み出された「聖剣と聖女の力を融合させた聖剣と魔王から奪ってきた魔剣とを組み合わせた その合体技の剣」なんだ 魔剣と聖剣を合体させ「魔王が持つ全ての力を封じ込める事ができるようになった剣」であるのは事実だけれど その力を制御できるかどうかは分からない」と言う

「だから 勇者が持つ「魔剣と融合した魔装の斧」は「勇者と魔剣が力を合わせられたなら 魔王の持つ力を封じ込めて無効化する事ができる そういう事も可能じゃないかなと」と口にされた ザライドとザライは「確かに魔王が持つ魔剣の力を抑え込められるのであれば 魔王を倒せる可能性も上がってくるだろうし」と口にする

「魔王が持つ力を封印する 魔王の力が発揮できない状況を作り出すことが出来れば 倒す事も容易くなると思えます」と聖女が口にしたのだけど 実際に聖剣と聖剣と魔剣と魔剣を それぞれの力を合わせた合体剣を扱えるようにならないとダメなのかなとも思えた

「聖女様は どう考えておられましたか?」と勇者に問われたのが 聖女は自分の考えを述べていた 魔王の力が「魔王が支配している地域一帯を支配する魔王」という能力を有していると言うことは分かっていたのだが「魔将軍は その能力を使えない状態です」と言う事を話したのである そして

「魔将軍が聖剣の力を取り込んで 魔将の力を高める事が出来ても それは あくまでも魔王の力のごく一部でしか無い」という風に言っていた

「ですので聖剣の力を使えるようになってから魔王と戦えるようにならないと勝てる見込みはありません そう言った意味で「聖剣の力が扱えてから」というのが正しいのです」と説明した後に聖女はザラインの方へと目を向ける 勇者と聖女と聖女が持つ聖剣の力が融合することで「聖女の持つ力が魔王の弱点を見付けるのに役立ってくれるのではないかと考えているのだけど ザラインは「本当にそうなると嬉しいですね。私の力を魔王にぶつける事で倒せればいいのにと願うばかりですよ」と言葉を口にしていった

「そうですね。私達の持つ勇者の力を使えば「魔王を倒せないにしてもダメージを与える事は可能になるかもしれない。そうすれば聖女さんの聖なる力でダメージを与え続け 弱らせていけばいつかは討伐も夢ではなくなるでしょうね」

そこで「そういえば勇者様と聖女様は、どうやって知り合ったのですか?」というザライドの言葉を受けて聖女と勇者が出会った時の話を語り始めた 勇者は自分が生まれ育った国を離れて「魔剣を持つ魔王を仲間にして一緒に世界を救う」という目的の為に 色々な土地を訪れて魔王を探し回ったりして旅をしていたのだが ある時から「魔族と魔物」が支配する「魔王軍」によって侵略されている国々を勇者の仲間である魔法使いと共に助けるために

「魔族や魔物が支配をする領土を奪還」をするという目的で活動していたのだが「魔王軍と戦うため その時に必要となる強力な力を身に着けたい」と思った勇者は聖女に出会う事になる 勇者と聖女が出会い そして一緒に行動を共にするようになってから一カ月が経った時 勇者は魔族の住む領地に攻め込もうとしていたのだが そこに聖女がやって来て 二人で魔族の王を倒し 魔王軍を滅ぼそうと考えたのだそうだ しかし その作戦は失敗をしてしまう 聖女の持つ「聖武具」の力で魔将を追い詰めて 聖女の持つ「聖なる力」を使って「魔将を聖なる存在にする事で無害化出来るのではなかろうか」という考えがあったようで、それに賭けようとしていたのだそうだが失敗したらしい そんなわけで「私は勇者様に協力して貰いたかっただけなのに 何の役にも立っていない気がする」とか聖女さんは言っているのだった

「あのさ ザライド君」「なんでしょうか?勇者さん」「君は今の状況が辛いと感じるかい?」と唐突に尋ねた

「いえ。そんな事は無いですよ。僕は聖女であるザライさんが傍にいるだけで十分過ぎるくらい恵まれています。この幸せを失うくらいならば魔王軍の手先にでもなりましょう。それぐらいに思っていますよ」と答えたのだ

「そっか。ありがとう。そう言ってもらえると 本当に助かるよ」と僕は笑顔で答えたのである

「ザライド、あんたが何を考えているのか私には分からねぇ。でも 聖女の旦那がお前のことを考えているのは確かだと思うよ」そう言うのである。

私達は「魔将の持つ聖剣と聖剣と魔王が持っていた魔剣 それらを合体させて作り出した新たな武器を手にすることが出来た場合 魔将の持つ全ての力を抑え込むことができるようになるんじゃないかと思うんだよ」と言う そうしたら勇者が少しだけ悩んで「確かにその方法が可能になれば、俺が持っている魔剣と聖剣が合わさった事で「俺の力」として発動させる事が可能になった「勇者の力」を使う事で「魔王の持つ力を全て無効化できるんじゃないか」と考えると 魔王との戦いも楽になりますよね」と言う

「うん だけど魔将が操る聖剣の力を取り込んだ魔王は「魔将の力を取り込み その力を己の物として使っている」のと同じ状態になるんだよね それで「その状態になっている魔将の力を魔王の物と同じように吸収出来なければ 聖剣の力を扱えるようになってからも魔王を封じ続ける事は難しいかなと僕は思うんだけどね」と言うと 聖女は納得したような顔つきになっていた

「勇者さん 貴方の力は、魔剣が変化した物なのですが 魔王が持つ聖剣は その魔剣と融合した事によって聖剣の力を得る事が出来るようになったんですよね」

その聖女の言葉を耳にすると勇者が口を開いた

「その聖剣の力を利用して魔王を封じ込むことが出来れば「聖女が扱うことが出来るようになった聖剣と聖女の力を利用する形で魔王に対して有効的な手段を生み出せる可能性が高くなる」とは思えるんだよな」と口にしたのである 聖剣の力を利用しようとしても「勇者が元々所有している剣」と「聖剣の力を持つ者」の力を 魔王が操る聖剣の力を吸収して「勇者が元々所持していた魔剣の力に上書きをする方法」と言うことになると聖剣と魔剣が融合を果たすことで初めて成立する行為だ つまり魔王が持つ「全ての力を自分の物にする」能力を「魔将の力を吸収する事なく魔王が持つ力と同等の物に引き上げる事が出来れば それでいいって話になる 魔王の能力を「自分と同等レベルにまで引き上げることが可能かどうかが問題なのだろうな それで

「魔剣の力を扱えるようにならない限り「魔王が扱う聖剣の能力」の全てを使いこなすことは不可能」だと口にした勇者であった ザライトが魔導剣士から奪った魔装の斧でザライの体を貫く 魔装の斧で貫かれた瞬間にザライの姿が霧となって消える それと同時に僕達の視界の中に現れた一人の男性に視線を向けた 彼は僕達に

「魔王を封印したい」と言うのである その男は僕達が魔王の配下と戦っていた際に 魔王の手先と戦おうとしていた僕の前に現れていた「魔人」と名乗る魔人だったのだ

「貴様 私の部下に手を出してただで済むと思っているのかね?」そう口にしたのはザライドである

「当然の事だが 魔王の味方になった奴らに容赦などするつもりはない」と語る そう言い終えると ザライドは魔装の斧を振り下ろす ザライドは魔装の斧の力を解放した ザライドの振るう剣が炎に包まれていく

「その剣 魔王が持つ魔剣なのか なるほど どうやら魔王と取引をして魔王軍側に寝返っていたようだな ザライドよ」と口にしていた ザライドは剣を振るい斬撃を放ち ザライドは魔人の体に傷を付けていった。それにより傷を負った部分を手で抑えて痛がっていた。どうやら ザライドが持つ魔刀は魔人に対しても有効である事を示しているかのようである。そんな状況を見据えながら勇者は自分の剣を鞘に収めたまま腰に下げており ザライドの行動を見てから何かを考え始めていた 勇者が自分の持つ魔刀を抜いて 魔人と相対しようとしはじめる。その様子を見た勇者の仲間は声を荒げたのだ

「お待ちください!勇者様。そのような危険な行動を起こされてしまっては何が起こるか分かりません!」と言って止めに入ったのだが それに対してザラインさんが「心配しなくても大丈夫だよ 私に任せてくれ」と優しい口調で言葉を口にして、その後で魔人に言葉をかけるのだ

「魔王軍に属する「お前が所属している組織は、もうすぐ滅びることになる」」そう告げた後で「どうして魔王軍が滅ぶ事になるのかという理由を教えてやろう」と言う

「まずは魔王の封印された場所に魔剣と魔刀を持つ者が入り込めば「魔王の持つ力を封印する機能」が停止する可能性がある それによって魔将は本来の力を取り戻してしまい魔将の力が魔王の持つ「支配」の力を上書きする形で魔人を魔王の支配から逃れることができる」

「魔王が復活すると魔剣と魔刀の所有者が手に入れられる力が「魔族を支配」する力を魔王が持つことになる その状態で 魔王が持つ力に対抗する力を魔王が持つ力を手に入れた魔将が手にすれば「魔王の力に負けることなく」魔王の力を支配することが出来るかもしれないから そうなった場合は魔将の持つ力が「勇者の持つ聖武具に匹敵する存在」になってしまうかもしれないから それは危険すぎる」

そんな事を言われた魔人は 動揺を隠

「そんな事が真実であるならば我々は滅ぼされても仕方がない存在なのだな」そう口にしてザライドの方を見る。そしてザライドも冷静さを取り戻したかのように見える表情をしながら

「だから、お前は、これから俺の手によって倒されなくてはならないんだよ」と口にした。ザライは目の前で起こっている出来事に戸惑ってしまう そこで僕は こんなことを思いつくと魔王が使う魔法や特殊能力の全てを奪うことの出来る能力を使ってみたのだが何も起こらない ただ単に僕は魔王が持っている聖剣や魔装の斧などのアイテムを手に入れてしまっただけだった 魔王が使っていた魔法の力は魔将にも通用していたようなのだが魔将自身が持っている魔剣や魔刀のような武器を持っているわけじゃないみたいだし魔将

「そう言えばお前は、魔族が持っていた聖具や魔宝を持っていたよな」と魔王が言ってきた 僕は魔王の問い掛けに対して答える 魔王は「その道具を使って「聖剣の力と魔剣の力を合成させ」る事が出来るのではないか?という疑問を抱く。そして魔王は「勇者の持つ武器は魔王の魔剣の影響を受けているはずだ」そう口にしてから勇者の持つ武器は魔王の魔剣の力を取り込んで「勇者の武器の能力を更に高めることができるんじゃないだろうか」と考えた。

そして「その魔族が持っている魔剣と魔族に聖剣の力を与えて 魔将が持つ魔剣の力を強化する事が出来る」と言う事まで魔王は語っていく

「魔族は人間達に比べて優れた肉体能力を持つ存在であり「その肉体能力は魔剣の影響を大きく受けているはず」だと魔王は考えたのだ。そんな風に思えたからこそ その仮説を確かめるため「魔王は勇者の剣を手に入れる事によって聖剣と魔剣の力を「合成させる事で聖魔の力を生み出す事は可能なのでは?」

「その聖魔の力を扱う事で「魔王が所持する全ての魔剣の力を超える」ような力を持つ事も夢物語ではないのかもしれない」と考えてみたりもした。そう考えながらも 実際に勇者の持つ聖剣の力を吸収する為に「その聖剣が勇者の持つ聖剣と同質の存在に変化するまでは聖騎士として行動を続けようと考えていた」と言う魔王だったのだ

「お前の持つ聖衣 あれには魔王が作り出した聖剣 その力の一部を聖鎧に混ぜ合わせて作られた聖魔の力で作り上げられている」魔王が勇者に対して その事実を語り始める 勇者の纏っている聖鎧の見た目 それは この世界における聖剣に非常に似ている部分がある事から 聖剣の力を勇者の聖鎧に取り入れることに成功したら聖魔の力が生まれる可能性が高くなるのではないかと魔王は考える つまり魔王が聖魔の力を得る可能性が高まったと言う事を意味している そう言う話を耳にしていたら

「貴方は聖女さんを仲間にしたんですね 私も彼女と一緒に行動する事にしたんで、しばらく一緒に居させて貰いますね」と聖女さんが僕に声をかけてくれたので「はい よろしくお願いします」と返事をしておく それから僕は、聖女さんとザライの会話を聞いていて「魔王が持つ全ての剣の力と 魔将が聖剣の力を持つ聖女に近付く事によって 勇者の扱う聖剣と同等の聖剣を作り出すことも可能じゃないか」と

「聖剣と同等の聖剣を作り出して その力で魔王を封じ込めることが出来れば「魔人を倒す事ができるようになるんじゃないか」と考える 魔王が操る魔剣の力を全て無効化できるほどの聖装を持った魔人が

「聖女の聖装と融合した聖魔の力を利用して 魔人の体を乗っ取ることが出来るようになった」のであれば 魔人に対する切り札にもなるし「聖女の操る力を利用すれば 魔剣の力を上回ることが出来る」と思えるのだ 勇者と魔王の二人だけで話し込んでいたのだ それだけではなくて聖王と魔導剣士とザダインの三人は勇者に戦いを挑む だけど勇者が持つ「全ての攻撃を無にする事が出来る剣の力」を前にすると攻撃は意味をなしていない。しかし ザライドが聖剣を手にすると ザライトの持つ魔刀の能力が消え失せる それによってザライトの動きは止まるのと同時に「聖剣の力を打ち消すことが出来る魔刀を所持する魔王ザライトは 聖剣を扱えるようにならなくては勝機がない」

そういう事を知る事となる。だからこそ勇者との戦いを途中でやめて聖剣の使い方を学ぶことにしたらしい ザライドは勇者が使っている魔刀の使いこなし方が気になったらしく質問をぶつけると勇者から答えが返って来る 勇者が扱っている魔刀の能力は 聖剣や魔刀と同じ性能を持っているようで「聖剣が扱う魔剣の全て」を扱えて、さらに「魔剣の力を奪い取ってしまうことも出来る魔装の斧」についても同じ効果を発揮することが可能のようである そして 僕が持つ聖剣 魔剣は魔王が持つ魔剣の影響を受けないようにすることが出来る その事を知っていたのか魔王が魔刀の力を解放すると「魔族の力を取り込み魔人の力を増大させることが可能なのかもしれません」と言い出していた。そこでザライドは自分の持っている剣が魔人の力を抑えることが出来たり魔人の力を取り込んだりする事が出来る事を話すと「そうですか 魔人の力を抑制することが出来る聖剣が存在していると知る事が出来て良かったです」と勇者が口にする。

そんな感じに魔王が勇者に向けて言葉をかけている間に 僕の目の前に現れた女性が「魔王に敵対する者は私の敵 貴様は我が主である「女神アルテシア様」に仇をなす者だな ここで私が始末してくれる」と言っていた。

僕は「いきなり何を言うかと思うかも知れないけど「僕は勇者の仲間になりたい」」そう口にして自分の気持ちを伝えてみたんだけど 彼女はそんな事を聞き入れようとはしなかった。

そんな彼女の動きを見かねた勇者は「お前の実力で 魔王に挑もうとした所で無駄死にをするだけだぞ やめろ」と言うのだが「黙れ 勇者よ 我を侮辱するか」と言った直後に 僕は剣を振るう女性の攻撃を避け

「僕は魔王軍と戦うつもりはないんだ。魔王が居る場所に行きたいとは思っているが、それだけの事なんだ。君が僕を攻撃した理由は「僕は勇者様達と争う理由が無いから」と言う理由しかない。それに、もしも勇者様達と争いになれば 君の命を奪うしか道は無いだろう それを僕はしたくない」と伝えると「なるほど お前が勇者と共に魔王の討伐を行う旅に出ようとしていた理由は理解した」と口にしていた その後で「だが それで魔王を殺せるかといえば難しいと言わざるをえない それは、お前自身が良く分かっているのではないか?だから私に殺されようとしたのだ そうだよな?」そう言葉を口にする女性に対して「君の考えている事は間違いない」と答えた。その言葉を聞いた後で

「魔王に敵対の意思を見せなかったとしても 私は お前を殺すしかなかったんだよ そうでもしなければ魔王は倒せないと分かり切っていたからだ」そう口にしてから

「さっきは「殺すしか道がない」とか言ったが そんな事をするつもりは最初から無かったんだよ」と続けて「魔王は お前の事を信頼して任せたのだ だから、お前を殺してしまえば あの方の信用を裏切ることになってしまい「お前の裏切りは許されない」」なんて事を言われてしまったので 僕は苦笑いを浮かべてしまう。

「僕は あなたから見れば魔王の右腕的な存在なんでしょうね そして「お前に期待している これから先 お前は もっと成長してくれ」と言われた事を伝えた上で僕は「今の自分が魔王の配下の中でどれだけの強さを誇っているのかは不明 しかし 僕自身が強くなったからといって必ず強くなれるという訳でも無いから」と語る。「僕は強くなる為に「仲間にしたいと思っている人達が居たら 是非仲間にして欲しい」と伝えてから僕は聖都に帰還する。

勇者は魔将や聖王達を引き連れて聖王国に戻ってきた そして勇者達は 魔王を倒した際に得られる聖武具の宝具である聖具と魔装を聖王が保管していた事を思い出す その聖具や魔装を手に入れる為に 勇者

「まずは俺が魔王を倒して得た聖具を使ってみることにする」そう言い出すと聖王の宝具を手に取り使用する。すると 聖剣や魔装の鎧の見た目が変化するのだが「魔刀と魔槍と聖衣に関しては見た目が変化しているだけじゃなく その性能も変化していた。そうやって聖王が所有していた三つの聖器を手に入れると 今度は魔剣を手に取るのだった。

その魔剣を手にした瞬間 聖王は何かを感じ取った その感覚を確かめながら魔剣を振り回していた時に「魔王の魔剣が反応したような気がしたのだが」という事を話し始めてくれた。勇者はその事実を確認する為なのか 僕を呼び寄せる そして「この魔剣は聖女が所持しても特に何も起きないのですが どうしてでしょうか」と話し始める その問いを受けた僕としては どう返答しようか悩む部分があったので「この魔剣については「魔将が持つ聖剣の能力が宿っているので聖魔の力が宿るようになっているはずだ」という話を聞いたことがある なので、それが影響しているんじゃないかと」そう話したら 僕の意見を聞いた勇者も同意するように

「そう言う可能性もあるかも知れませんね」と話す それから魔装と聖剣を手に入れる事で魔人の能力を吸収している最中にも魔王が持つ全ての魔剣を無効化出来るように変化する事が出来たのだ そのおかげで 勇者が聖剣で魔人を斬っても吸収される事無く倒す事が出来る

「やっぱり俺が思っていた通りに「魔装を手に入れた事で魔剣の力は使えなくなるけれど その変わりに聖魔の力を使う事が可能になり」魔王が持つ全ての剣の力を上回る事が出来るようになった」と喜んでいた。

そうして聖魔の力を得た事によって魔王が持つ全ての魔剣の力を上回る事が出来るようになったことで魔王が操る事の出来る聖剣と同等以上の力を聖魔の力によって手にした事となり「俺は 魔王と戦えるようになる日が近付いた」と確信していた。だからこそ「聖剣や魔剣 それと聖衣が魔王と聖魔の力を宿らせることが出来る存在なのだとすれば 聖魔の力で作り出した武器は、より一層強力な聖剣や魔剣と同等の物を生み出す事も夢物語ではないかもしれない」と思いつくと 僕の持つ魔剣と魔剣の融合をする事によって魔王が持つ全ての魔剣が持つ聖剣と同等の力を秘めた魔剣を生み出し 聖剣を作り出すことが可能になってきたのではないかと僕は考え始めていた そう考えるようになったのは「僕が持つ聖剣と魔王が持つ全ての魔剣の融合した姿を持つ魔剣」と「僕と魔王が操る聖剣と魔王の持つ聖剣を融合させた聖剣」この二つの組み合わせを実現させる事ができれば 魔剣の全ての能力を無効化することはもちろん 魔王が持つ聖剣が持つ全ての力を無効化することが出来るのではないかと考えるようになっていたのである それだけでなく 魔王が持つ聖剣は聖魔の力によって作り出すことの出来る 魔王が持つ

「聖剣と同じ性能を誇る剣を作る事が出来る」と言う事になると、それこそ聖剣と魔剣 聖剣と聖剣の対決は起こらなくなってしまう可能性がある そんな風に思うようになったんだ。

勇者は魔王の事を気にかけているようで「もしも魔王が復活すれば、再び魔王として君臨するんじゃないのか?」なんて事を言っていたりする。それに対して魔王は「魔王が蘇って聖王や魔導士と敵対する事にはなって欲しくないとは思わないか?」と言っていたりもした。そして魔王は聖王にこう語り掛ける

「私だって「勇者と戦いたいから」という理由で、わざわざ魔人の中から「聖剣の力を手に入れて勇者を倒そうと目論む魔人」を生み出そうとするようなことはしたくないからな」と口にした。

そういえば、そんな魔人も存在していたんだったな

「お前は魔人と手を組んで魔王を倒す事を考えるのかい」なんて事を言われたりした そう言えば魔人は魔王の配下になる前は何をしていたんだっけ? まあ それはともかく 勇者が魔王の事を気にかけて「もしも聖魔が共存出来ない力なら、魔王は俺が倒しに行くから心配しなくていい」と言い出す。

勇者が魔王に言葉を投げかけようとすると「その必要はないよ 僕は勇者と敵対したりはしない。僕の望みは勇者と敵対しないことなんだ。だから、その必要は皆無だ」と言ってやった。その言葉を聞いた勇者は少し嬉しそうな顔をした後に、聖王とザライドの二人が居る方へ顔を向けた。

ザライドは「ザライ お前さんは俺の仲間を救いたいという想いだけで動いていてくれたんだろう。ありがとうな でも これから先の事は考えておかないといけないぞ 勇者様の仲間になった時点で魔王軍に敵対する者として認識されても仕方が無い状況になってしまった訳だからな」と言われてしまう そんな感じに話が纏まりかけたタイミングを見計らうようにして「魔王様 そろそろ あのお方が到着される時刻かと」という言葉を口にするんだ。

「なるほど、お前達に伝えておいて良かった 私の元に「あいつが ここに向かっているようだ」と」魔王がそう言った直後に 一人の人物が その場へと姿を現すのであった。

僕の前に現れた「あいつ」と呼ばれる男は「お前達が魔王軍の関係者だったとは驚きだったが、今さらお前達に何が出来る訳でもないから、とりあえず死んでも構わないか」と言った後で「魔王が死んでいるようならば魔王の座は お前に譲っても良いと考えていた」と言葉にしていた しかし「その必要はない。私は既に勇者と戦って負けた。私の敗北が魔王敗北の原因になっているのだとすると それは、これから先「魔王軍の脅威が無くなることに繋がる つまり「勇者との敵対関係は意味をなさない だから私に敵対の意思を見せるなよ そうで無ければ私はお前を殺してしまうだろう」そう言うと彼は魔装を展開して攻撃を仕掛けてきた 魔装の使い手である男との戦いが始まったのだが、その最中にも魔王は魔族の兵達に対して「人間と戦う意思があるのであれば戦い続ければいいが その先には何もない事を分かってくれ 魔王の居ない魔王軍は滅びに向かうだけだ」などと話し続けていた。

魔王の言葉を受けて 魔族が「それでも魔王様には従うことは出来ない たとえ命を奪われようとも 我らが戦う理由は 魔王様に尽くすためだけに生きることを決めたからです」と答える

「その覚悟が本当かどうか見定めさせてもらう」と魔族は口を開くと同時に攻撃を再開すると「魔剣の力を発動させた」魔装から炎を発生させながら攻撃をしてきた。僕は聖剣の力で対抗しながら どう動くべきか悩んでしまう。

「このままでは魔人の王を相手にしなければ成らない」と そして僕は、この場で「魔人の王」と名乗る男の実力が本物なのか

「本当に 魔剣と聖剣 どちらの力が上なのか確認しなければならない」と思うと 僕もまた「魔人が持っている全ての聖具」の力を発揮した上で戦いを挑むことにした。その結果「僕は勝利することが出来たのだ。ただ それだけの事に過ぎない」とだけ語らせて頂くことにします。そして僕は聖剣の力を用いて 魔王が持っていた魔装を破壊することに成功する すると魔装を失った魔王は、すぐに聖魔の力で聖剣を作り出そうとするが それも失敗に終わってしまい「魔装がない状態であっても聖魔の力を操る事が出来る」という魔王の力を完全に上回ることに成功したので「魔王が もう二度と聖魔の力を手に入れる事はないでしょう」という確信を抱くことができたのです。そうしてから「あなたに一つだけ尋ねさせて下さい」と話し始めた そう

「あなたの名前は なんと言うんですか」そう尋ねたら 魔王と名乗っていた「その方は」自分の名を名乗り始める その瞬間だった 勇者と聖王は何かを感じたようで「これはまさか」と言い出し始めると「俺は聖王と勇者の戦いを見る為に聖王国までやってきた」と言うと勇者に向けて話し掛けていくのだった。

聖王は自分の元に訪れた魔王の姿を見て「その者は本物の魔王なのか」と聞き返す

「もちろん本物さ 俺が偽物の魔王を演じていると思っていたのかい?」聖王は「そうでは無かったとしても、やはり魔王は 魔剣の力を使う事ができるのか」と言うと魔王も同じように返してくる そうやって勇者と魔王が会話を始めようとした矢先に聖王が勇者に話しかけてきた 聖王に話しかけ

「どうして 魔王が魔王城から離れた所に存在する 魔国以外の土地に現れたのか?」と聞かれたので 魔王の代わりに僕が説明を始めた

「魔王は 勇者の配下となることを望まない だから勇者が魔王を倒しに行くのを阻止する為 聖剣で魔剣の力を抑える方法を模索し続けた その最中で 聖剣に宿っていた聖剣に眠る力を引き出す能力を身に付ける事になった」

魔王は自分が持つ聖剣の力を解放することが可能になる そんな風に話してあげたら勇者は

「俺の配下の魔王は 魔剣の力を抑え込みたいらしいな その為には聖剣が必要になってくるという事か」そう話す 勇者が魔王について語った事で

「聖剣に宿っている聖剣の持つ力 それを使って魔王が持つ全ての魔剣の持つ力を抑えてみないか」という話を持ち掛けると「それは良い考えかもしれない 魔剣と魔王の関係は複雑すぎて とてもじゃないけれど俺には解決できる問題だとは思えないからな だから魔王が魔剣の力で暴走しないようにする手段は是非とも必要だと思っているんだよ」そう答えた。

それから魔王と勇者との間で「魔剣に聖剣の力を封じ込められるような仕組みを作ることが出来るのか」そんな話し合いが続いていく そんなやり取りが行われている中で「この二人の間に割って入るべきではない」と判断した僕は二人の会話を耳にしつつ「魔王は勇者が倒すべき敵ではないのかもしれませんね」

「この魔王は僕が思っていたよりは悪い奴ではないみたいだし 魔王は僕達を裏切ることはないんじゃないかな」

そんな話を仲間にしている

「もしも魔王と敵対してしまった場合は魔王を討伐しようと考えていました しかし今の様子を見ている限りにおいては その必要はないのではないかと感じ始めました」僕は そう語ると「そうだよね 魔王様は優しいお方だから、こちら側に牙を向く事は絶対にしないと思う」

「でも、もしも魔国が攻めてこられた場合に備えておく必要があるから いつでも戦えるようにしておかなければならない」そう思うようになり「魔剣の力を全て打ち消す事の出来る武器」を魔国に作り出していこうと考えた 魔国の民達は「勇者は魔王と協力関係を結んでおり魔国に攻め込むことはないだろう」なんて事を考えていて 僕達が作り出した魔導具は魔国で保管される事になるんだ そういえば聖王から聞いたんだけれども「魔王は魔人でありながらも 人間として生活をしていた時期があった」って話を聞いた

「それが真実ならば、魔王に戦いを挑む意味は無いように思えてきたぞ」と呟いたのだった 僕は聖王様の言葉

「もしも魔剣に魔剣の力を持つ者の全てを吸収する能力が備わったのなら それは魔王の弱点になりうるだろう そうなれば、その聖具によって魔王を滅ぼすことも可能なはずだ しかし そうなる事が出来ないのであれば、お前は、まだ、その時では無いということなのだろう だが忘れないで欲しい お前が魔人との戦いを終わらせるために行動を起こしたというのに、それを邪魔するような出来事が起きてしまったとしたならば、その時こそが本当の最終決戦になる」という言葉を何度も頭の中で繰り返すことになるんだ。

そうしている内に、とうとう、あいつがやってくる あいつが来る前に、魔王の身柄を確保することさえ出来れば、全てが丸く収まるはずなんだ その筈なのに魔王

「俺を捕まえても、無駄なことだ」そんな事を言っている。だから私は「魔王が、どんな状況に置かれていようとも、必ず助け出すつもりだから心配しなくていい」と言ってやるんだ 私は「あの男 勇者は魔王を殺すためだけに動いているわけではないと聞くが、お前にとっては魔王が死んでしまった方が良いのではないか」などと言葉を投げかけられると、ついカッとなって言い返そうとしたけど どうにか思い止まることが出来た。

そしてザライの口から「僕はザライズの気持ちを尊重したいと考えている。たとえ ザライの命が失われることになろうと僕は、ザライの選択を尊重するよ 僕は ザライに幸せになってもらいたいと思って 一緒に旅を続けていたから、ザラインの想いも大切にしたくてだからこそ 僕は、ザライの行動を妨げようと考える事はない。だけど ザライが ザライドの意思に反して あいつと一緒に居るという選択を選んだ場合には、たとえ ザライド本人が、どうしようもない程の窮地に立たされていたのだとしても、あいつと手を取り合って生きて欲しいと 僕は、それだけを願っているよ」と言葉を告げられてしまい 私とあいつは 勇者と戦うべきなのか迷うようになってきてしまう しかし そんな迷いを振り払うようにして私は「私は勇者と戦って魔王様を救う為に戦う決意をしたのだ」そう言葉にして立ち向かうことを決意していく 私とあいつが それぞれ勇者に立ち向かう覚悟を決めたところで、ついに「勇者」と呼ばれる存在が私達の前に現れてしまうのであった。そして勇者が

「お前達の正体は、おおよそ見当がついている。俺は聖王国の人間だ 聖王国の為に この世界の平和を守るべく活動している。お前達の目的は知らないが魔王の身柄を引き渡せ そうしたら危害は加えない 約束しても良い」と話されたのだが「私が知っている魔王とは少し違うのだが」そう伝えると勇者は

「どういう意味で言っているのかは分からないが 魔王と呼ばれている者 あれは間違いなく魔族だ」そう言って来た 魔王が魔王城に居ないという事は魔族の兵にも知らされており 彼らは困惑しており魔王の姿を見掛けていない者達の中には「魔王様の身に危険が迫られているのだろうか?」といった不安を抱いている者も居たようだ そして勇者

「どうやら魔王の配下に動きが見られる 聖王国に向かっているのは確かなようだ だから俺としては一刻も早く聖王と話がしたい」と語る それから「聖王は聖都の大聖堂にいるはずだ」そう伝えてから姿を消した勇者 彼は、そのまま聖国まで戻っていき聖王様と話をするらしい 聖王が「お前は魔王城へ向かえ」と言われ「どうしてですか」と尋ねる 聖王は魔王が聖魔の力を手に入れた可能性がある 魔王の力を打ち消したい聖剣の力で抑え込め

「もしも その方法が失敗したのならば」魔王を殺せば聖魔の力が消滅するのかどうかを確認すれば良い そう話してきたので 魔王は魔王城へと向かい 魔王の捜索に当たる その途中「魔剣を持った魔人が聖国に向けて進軍を開始しています 勇者様に報告をしてください」そう言われ「勇者が聖王と会話をするために戻ってきた」という話が広まる

「聖王は勇者と共に魔人と戦闘を行う」という話も広がっていった そのおかげで魔王は、勇者よりも魔剣の力の方が脅威であると判断されてしまうことになった そんな状況下で魔王は聖王との会話を行い聖王は勇者と協力をすることを決め込むのだった 僕は聖王が そう決断する

「聖王と魔王が戦い始める前 僕も魔王の加勢に向かう事に決めた」と伝えた。聖王が「魔人の相手を勇者にお願いします」そう言った 勇者が「魔王が聖王の配下に手を貸すのか?」そう尋ねてくるので「俺が魔人を食い止める」と答えた 聖王は「では魔王は魔人を頼みます」と話すと「勇者は俺が相手になる 安心して欲しい」勇者の相手は、こっちで受け持つことにしたんだ。

勇者と俺とで、どちらが相手を担当するかを話し合った結果「勇者は魔剣の力を使いこなす事が出来る 魔人は聖剣の力を扱える そう考えて勇者は魔剣を扱うべきだ」と判断を下すに至った 俺は勇者に剣の切っ先を向けながら 剣を抜いた。

勇者は魔剣を抜き放つと

「さぁ始めましょう」と言って俺に対して攻撃を始めた 魔剣の力を使う事で 剣から魔法を発動させるような仕組みになっているようで 俺と勇者との間で爆発が起こり その威力を目にした俺は驚きを感じずにはいられなかった。「この勇者という人間は強い」と感じた そして聖騎士が「魔王様 魔人は聖剣の力を扱っています」

「それは俺が引き受けよう」そう宣言してから 魔人に近付く事にした 魔人は俺から距離を取るようにして移動を繰り返していき 俺は、それを目で追って追いつくのを待つという形を取っていた 魔人が剣の届く範囲内にまで俺が入り込んで来るのを待って 剣を振るってみるが魔人も反応してくる そんな攻防を続けていく中で

「魔剣を扱えるようになった勇者が聖国に向かった」

「聖王様 聖王様」と魔国の者が聖王様に知らせにやってきた 魔人を倒した後に 勇者を追いかけようとしたのですが「魔人から勇者に逃げられた」と連絡を受けた 勇者は聖国へ向かったのか?と聖王に訪ねる事になった そんな時「魔王は魔国にて魔王の味方として現れた人間を始末せよ」という指示を受ける事になる そんな時に魔王様が現れて

「魔国に魔人の侵入を許しているのならば魔王自ら赴いて魔王を討伐しなければならんだろう」そう話してくれた 私は「この場から動かず あなたには魔国の守りを 私は魔国の外に出向いて 魔人を潰しに行く それで構わないでしょうか」と話しかけると聖王はすぐに承諾してくれる そして魔王様には この国から出ないように指示を出してくれる事となった 私と聖王の二人は聖王国と魔国の境界線上で待ち合わせることになり「お互いに準備が出来たら 同時に出発しようと思う 私はいつでも動けるが、そちの準備はどうなっている?」「問題は無い」「それならば行こうではないか」と話が進む

「聖王様 勇者の動きが見えません 魔王城を目指して進んでいるはずです 魔王城に辿り着くまでに見つけなければなりません もしも 見つけた際には足止めをして頂きたい 魔人の狙いは魔王の命なので魔王に危害を加えられる前に倒さなければならないと思います」という感じの話を聞いた 聖王様 聖王様が聖

「勇者と聖 俺が聖 と お前達はどうだ 何か名前を付けたいと思うんだが」と そう提案されたのだが

「私達が、その名前を名乗ると色々と問題があるかもしれない ここは私達以外の者達から呼ばれる名を決めて貰おうと思っているのだが」そう答えると「聖と勇者と魔王の名前を使って、そう言う風に呼べば良いんじゃないのかな」なんて事を言う

「俺達の名前を、そう呼ぶなら俺達の名前は勇者 と魔王 と呼んで欲しい」

俺がそう言葉を発すると聖

「私も、勇者と魔王と呼ばせて欲しいと思っていました 魔王の側に居る人間達も魔王と聖と呼ぶようにしていますこれから魔王城を目指す勇者が聖剣を手に入れるために 魔王を殺す可能性を考えてみると やはり聖と魔王という名前を勇者に与えるべきではないのかと考えてしまうんですよね だから魔王と聖が二人で協力して魔人と戦ってくれるように 勇者も魔王を殺すのではなく仲間に引き入れたい 仲間に出来るかどうかは不明 でも もし仮に勇者と魔王を殺す必要があった場合の想定で考えた場合に魔王が魔王城の玉座の間に居ると仮定した場合 その玉座の周辺には、かなりの数の兵士が配置されていたのではないかと考える事になります その状態で勇者が攻め入ったのだとしたら、どうなったのか まず兵士は全滅するのではないか と想像してしまいました」そう語るのである 勇者と魔王は聖王と一緒に

「魔人と遭遇する可能性がある 気をつけてくれ」という言葉を残してから魔王城を出発した 魔王は聖王様に「魔王は、どのようにして戦うのだ」と問いかけられて「私の場合は、こうやって魔道具を作り出しているんだよ」と話してから魔道具を作り出して見せている。そして魔剣も作り出していたのだが「魔剣の魔力を消耗してしまうのが勿体無いと感じていた この魔剣も勇者の手に渡ったら また面倒臭いことになるんじゃないかな」そう考える そう思い至った俺は聖王に向かって「魔剣を勇者から取り戻せる自信がある」と言う事を告げた上で 聖剣を取り返しに行きたいんだけど、手伝ってもらえるだろうか そう話を振ってみたところ「魔王と聖王の協力が得られるのであれば」魔剣を手にする事も容易く行えるだろう そのように返事があった 勇者は魔剣を持っている魔人と対峙すると「お前は魔王の配下か?」と問い掛けてきた 僕は「魔王に用事がある 邪魔するな」と返してから聖剣で攻撃を仕掛けて それから魔剣で対抗して戦いを始めていったのだが、その時に「聖魔の力は魔剣が作り出した物だ」

そう話しながら「魔剣さえあれば聖剣の力を上書きすることが出来る その証拠を見せよう」と言ってきたんだ 僕は「そんなことが出来るわけが無い 魔王に何をした」と叫んでいるのだが そんな言葉を意に介さずに「これが魔石だよ」と言いながら魔石を握りしめたまま「魔剣に力を注ぐと 魔石の力に干渉することが可能になる 聖剣にも似たような機能はあるはずだが?」

勇者の魔石の力と聖剣の力は、ほぼ同程度に存在しているからこそ「俺の聖魔の力の方が魔石の力を上回っているのだから お前の力を消すことも出来るはずだ お前が使っている聖剣が もしも魔剣の力を上回る事が出来たならの話だがな」

聖魔の力は僕が持つ魔剣の力を完全に凌駕している 僕の聖剣は、あくまでも魔剣に対抗するために作られた力 魔剣に通用するほどの力を持ち合わせてはいないと自覚させられることになった しかし魔人との戦闘で得た経験値 聖剣を手に入れた事で得られた魔剣の制御技術と、それに付随してくる能力の数々 そのおかげで魔剣の力は格段に上昇しており「俺の持つ魔剣の力が、この程度の力で収まるわけがない 魔王と魔剣の力を、もっと引き出せる」そんな考えを持つに至る そして魔人は勇者に対して「魔王は聖剣を欲しがっているんだろ?聖剣を手に入れて来い」そう命令を出すのだった 勇者は魔王に「魔人が俺の持っている魔剣を奪いにくるから守ってもらいに来た」そう伝えることにした 魔王城へと到着した俺は魔王と共に聖王国の方へと向かったんだが「聖王は勇者を手中に収めようとしているらしい 俺を味方につけるつもりなのか、それとも殺すつもりで呼び寄せたのかは不明だが、とにかく俺を殺しに来る可能性が高い。そこで魔王と俺が戦って、もしも俺が死んだのならば その時は聖王は俺の味方となってくれるか?俺と勇者が戦った時に聖王が、どちらの陣営につくのかを決めて貰いたい」そう伝えてみたんだ そう伝えた後に「勇者の居場所を探してくれないか」と頼んでみる。「魔人を倒しに行ったと聞いている 勇者が魔王殺しに向かった可能性も十分にありえるだろうな その場合は勇者が魔王と敵対関係にあるのは間違いないだろう 魔王を殺したいと思っていたが、今は勇者と戦いたい気持ちの方が強くなってきている」と話すと 魔王様は「俺を殺そうとした勇者と戦うのは当然だ」そう言い切っていた。

俺は「俺が、勇者と戦ったとして勝ち目はあると思うかい?」なんて話をしながら進んでいく事になる 勇者と聖王国まで行く道中では戦闘を行う必要も無く移動できたため そこまで時間を費やす事無く目的地に到着した俺と魔王様だったが俺達は聖王の使いを名乗る者に呼び止められることになる。そんな聖王様からの書状を読み終えた後に俺は、その場で返答をする事になった。それは聖王国に入る許可を出してもらえる代わりに魔人が聖王国に入り込んだ場合には即座に対処するという取り決めを交わすというモノであった為 その提案に了承を示した俺は「それじゃあ、そっちも魔人を発見したら速やかに処理するように心がけてくれよ」そんな言葉を投げかけて聖国へ入国を果たした訳なんだよね~

ただ聖王に頼まれごとをしているという事もある

「勇者を味方に引き入れるために どうにかしたいとは思わないのか」そう尋ねてみる事にしたんだ そうした結果 聖王様は「私が勇者様を説得するよりも先に 聖王自ら魔人の排除に向かった方が話が早そうな気がするんですけど どうでしょうかね 勇者様の説得は魔王様にお任せすれば大丈夫でしょう」みたいな事を言い出した 勇者が魔王を倒すのではなく 仲間にするなんて事は絶対に出来ないだろう 聖王国から外に出て魔人の気配を探している その際に魔人に見つからないように隠密行動を行っている最中の 俺の前に「魔人と勇者が現れたみたいだ」と話をしていた聖王

「それならば どうするか」そう考えて「聖王の側に行けば 何か分かるかもしれない」と考え直した俺は聖王の元に訪れる事になった。

魔王は勇者が居なくなった聖王国の様子を眺めていたが「どうやら、ここに聖は居ないようだ これから、どこに行こうと思っている?」そんな言葉を聞いて

「私は勇者に会いに聖剣が置いてありそうな場所に足を運ぶつもりなのだが もしも勇者が魔人の相手をするのだとしたら、この場所に現れる可能性は高い」と話すと「私も聖に用事があるので 勇者の相手は魔人に譲ってやりたいところではあるが 聖と話をしておきたい」そんな答えを出してくれた魔王 魔王と行動を共にすることを選択した

「聖剣の場所には どのような理由があって向かうのか」魔王から質問を受け「魔人と魔王との戦いの様子を見たかった だからこそ魔人より早く聖剣を見つけ出したいと考えています」そう告げると 魔王は「魔人の力を目の当たりにしたいのだね それならば聖は聖剣を置いていった場所の近くに居ると思う」と、そういった話に落ち着いた 俺と魔王は魔王城の近くにある教会を目指すことになる。その場所に聖がいると考えての話し合いだ 勇者は魔

「お前が聖剣の持ち主だと分かった」そんな言葉と同時に現れた魔人 それに対して僕は「僕が魔人を始末しますので 勇者様は聖剣を取りに行って下さい」と言って勇者から聖剣を受け取ったんだ

「この剣を手にしたのであれば、もうお前も立派な勇者だな」

そんな事を言われてしまったんだけど僕は「魔人も聖剣を持ってきているようです ここは一緒に戦うべきだと思うのです」と返すことにしたんだよ。そんな

「勇者の癖に聖剣を盗んでいる」とか「勇者の癖に魔人から聖剣を奪い取っている」といった噂が広がってしまう事態が発生したんだが、その状況に「魔人を倒して、さっさと魔王に聖剣を渡してしまうしかないんじゃないか」

そんな風に考えた僕は聖剣で魔王に挑むのだが

「魔王は魔人と手を組んでいて聖剣を持っているんだよ」と聞いた話を すぐに思い返させられたんだ 聖剣の力

「魔王を殺すつもりだ」と宣言をして、すぐさま聖剣を構えて攻撃を仕掛けてきた勇者を見て 俺も聖剣を手にしてから勇者と対峙することになる そして俺に向かって攻撃を仕掛けてきた勇者に向かって「魔剣の力で強化された俺の剣を防ぐことが出来るかな?」と言う言葉を投げつけてから聖剣による攻撃を仕掛ける。そして俺が放った一撃を受けて、かなり深い傷を体の中に刻まれていた勇者 そんな様子を確認してから「聖剣で魔剣に対抗しようとした場合 こうなる事を覚えておくと良いぞ 魔剣の力に勝てる存在なんて魔王ぐらいしかいないだろう」という言葉を伝えた

「お前は何を言ってんだ」とでも叫びたげな顔をしていたが無視して そのまま戦いを続ける 俺と聖

「さっき、俺に対して「俺の持っている聖剣の力で、こいつの剣に対抗することが出来ないかどうか試してみるとしよう」と言っていたが、その剣の実力を見せてもらっても良いだろうか? それとも俺と戦ってみないと聖剣を使えるか分からないか?どちらにしろ 俺に戦いを挑むのが一番だと思うんだが」と言葉を漏らしていた俺の言葉を聞いた後に、そんな問いかけを行ってくれた聖に答えるようにして「俺は魔人としての能力をフルに使う事が出来る だから魔剣と一体化をした場合の聖剣の力を引き出すことが出来るはずだ 俺の力を確かめる為に俺と戦うか?」

そう問い質すと「魔剣の能力を使えば聖剣の力を超えることが出来るはずだ」と言ってから こちらに襲いかかってきた聖

「確かに、そうかも知れませんね 実際に魔剣は聖の力を上回っている部分もある」そう答えて聖の方を見据えた それから「魔人 勇者が来ましたよ 僕達は一先ず 隠れる事にしましょう」と、いう事で、まずは身を潜める事を決めた僕達は、建物の中に身を隠してから魔人の能力について語り始めた。

「この剣の能力は、この世に存在する全ての剣の性能を向上させることの出来る能力 それによって聖剣にも対抗することが可能だと思います もちろん あくまでも性能を引き上げる程度の事なので、それを越えるだけの力を身に付ければ また違う結果が生まれるはずですよ」「その理屈で言うなら 今の状態なら聖剣を扱える可能性があるということか」と質問をしてきた勇者に対し「理論上の話としてならば、聖剣を操れる可能性も有る筈です やってみたらいかがですか?」と言葉を投げかける俺

「この世界を救うという意思を持ち合わせているという聖の話は 信用できそうだった」そんな感想を抱いていた俺の元へと、聖王がやって来た

「魔人 聖様と魔王様の争いを止めて頂けないでしょうか。貴方ならば魔王を、お止めできると思いまして お願い致したいのですよ」と、そんな話をしてくれた 俺は「聖と魔王の仲が悪そうだという話は、よく聞いていた 俺も魔王が、どうして、あんな行動をしているのか知りたい気持ちがあったのも事実 だから聖が魔王を説得するという行為自体は 賛成だが その結果は保証できない 聖だって、それは理解してくれるだろう」という旨を話してやった そう口にすると聖王は納得した表情を見せてくれた

「私は勇者である聖に 魔王を説得してもらうのが良いと思うが 魔人は聖の意見に賛同してくれて魔王と戦いたくないって言っているからね それに関しては魔人が判断する事にすれば問題ないよ」そんな言葉を投げかけられて、どう返事をしたらいいか迷っている時に 魔王が「魔人が聖剣を手に入れた事については、どう考えているのでしょうか」そんな事を聞いてきたので 聖王と魔王の考えを照らし合わせて「魔王と魔人の二人が仲良くしてしまえば平和が訪れるのではないのか」そう考えて魔王を仲間に引き入れてやることにしたんだ そんな感じで「とりあえず勇者を聖剣で倒すという行為は 無しにして魔王の所まで連れていくから安心してくれ」みたいな言葉で魔王の説得を試みる事を決意した訳 魔剣が

「聖剣は 俺に任せろ」なんて言うもんで 魔王様から聖剣を受け取り「これで勇者を倒す事が出来たら 魔王様に喜んで貰えますかね」なんて話をしながら聖剣を手にした状態で勇者と対峙してやる事になった。そして勇者から攻撃を仕掛けて貰った後 俺は、勇者から聖剣を奪い取ると「俺が持つ聖剣は 聖の持っている聖剣とは格が違うんだ それこそ勇者と魔人が戦おうとしても勝敗が決まる程の差が有る」なんて説明をした上で 勇者を聖剣で叩き潰す事になった。

俺は勇者との戦闘を行い、どうにか勝利を収めることができたのだが、その際に 俺は魔王城に向かう前に勇者が聖剣を所持していた事を聖

「お前の事は許さん 絶対に殺しに行く」とか「魔王を倒すために来たのに魔王側に付いた奴は敵と認定した 聖剣使いの癖に魔王側に付いてしまった時点で俺は勇者を辞める」とか「お前の裏切りで聖王国に被害が出てしまっているから 魔王軍との戦争で死んだ連中の恨みを全てぶつけて殺す」みたいな事を言われた。まぁ聖剣を奪ったのも魔王に渡してしまったのも事実

「言いたい放題 言ってくれているけれど、そんな言葉を聞き入れるつもりはないな」みたいな事を言われてしまい 少し困った。聖王の目の前に魔人の姿が出現していて、そいつに対して「貴様のような卑怯者 勇者を騙して魔王軍に寝返らせた魔人と この場で殺してやることにする 覚悟は出来ているな」と言い出した聖王様

「待て そんな真似をされると魔王様に迷惑をかける」なんて話を始めた 聖様は俺と聖剣のやり取りを眺めながら「聖剣は魔王が手にする事になった」という言葉を口に出して

「魔王も魔王なりに聖剣を手にした経緯があって それを簡単には手放そうとはしないはずだ それに聖剣と聖が戦うのだとしたら俺と聖は無関係だとも考えにくい それどころか、この状況だと聖の手助けをする事になるだろう 聖は魔人を倒してくれると約束をしている」といった内容を話していた。

そして「それじゃあ、どうやって 魔王と話し合いをして 魔王を聖剣で打倒するか 魔王を味方につける方法は、これ以外に考えられないだろ その方法を考える為の時間稼ぎを頼んでいいか?」と言ってきやがりまして その言葉に対する返答は聖王の方から行う事になった そして「私が魔王の元へと向かうから魔人 勇者が聖剣を手にした場合は 魔人と共に魔王城を目指すように そして勇者の足止めを行うのも忘れないように注意しておくといいだろう」と そんな事を言って聖は

「魔人に魔剣を貸し与えても良い ただし魔王に刃向かう行為だけは禁止するように」といった忠告をしてから俺に魔剣を返してもらうと魔王に会いに行くと言って消え去った

「あの方は魔王の元へ向かわれました 貴方も早く聖剣を取りに行きましょう」と言った後に 聖

「私達が聖剣を入手した場所の近くに勇者が現れると思うのです 勇者が動き出す前に移動してください」と口に出して来たので「了解 分かったすぐに出発しよう」と答えてから行動を開始する事に決めた 勇者との戦いを終えてから魔剣を手にしてから すぐに俺達は目的地に向かい始めた。俺の予想が正しければ、勇者は魔剣を手に入れようと考えている筈だと考えていたからね。その予測通りなら、勇者は魔王に俺達の邪魔をしに来るだろうと思ってたから。そんな勇者に魔王と話をする機会を作ってやる事が出来れば俺の目的は果たせるんだよねーなんて考えたわけだし。そうして移動を開始してみたは良いんだけれど「やっぱり お前らは この場所に現れるのか」そう言った勇者が俺達の前に姿を現したんだけど、そこで聖剣を持った勇者と魔剣を握った俺とで戦いになる展開が発生して

「さっきの戦いで俺と聖が お互いに所持していた武器を交換しあったんだが お前はどういった手段を用いて、その剣を手に入れたんだ? 俺が持っていた聖剣よりも明らかに性能は上な感じだった」と疑問をぶつけてやると「俺の持つ聖剣が 俺に答えを教えてくれた」そう言って いきなり聖剣を振り回し始めて「魔剣の持っている力の方が聖剣を上回る」そんな事を告げられた俺は「確かに それはあるかも知れんが、それを証明する方法が無かろうに 魔剣に頼り切って 自分の実力で手に入れた訳でもない聖剣の力を誇示するのは どうかと思うぞ」と言ってやったんだよ。そう口にした後 俺

「俺は あんたの持っているような性能の良く分からない能力より確実に使える力を持っているからな」なんて事も伝えてみると それに対して勇者は怒り狂って「この聖剣を使いこなせるのが自分だけだと思っているのか ふざけんじゃねえよ」みたいな発言をし始めたので そこから口論が始まってしまってね。それから暫くして、どうにか勇者が落ち着いた後で話を続けた結果「とりあえず これから魔王と戦う事に関して 聖には勇者に協力するという気持ちがあるのだろうか?」という話題に切り替わっていった。そんな話をした後に「聖王は 今 どこに向かっているんだ」とか聞かれたので「魔剣を手に入れた場所は分かるよ だから聖王は魔王城に向かおうとした筈だよ」っていう事を 勇者に伝えた上で「それで、どうするの?」という質問を聖に投げかけてみる事にした

「俺だって勇者だ だから魔王と敵対関係に有る魔王と、このまま話し合ってみる もしも魔剣の力で俺の思いが届かなかったとしても」そういった答えを勇者は口に出してくれました 俺の言葉を聞いた聖は、しばらく沈黙を保っていたんだけれど、どうにもならないって

「魔剣を、そのまま使って聖王に挑めば聖が負ける可能性だって出てくるかもしれない」なんて事を呟いてから「聖王が魔人と戦ってくれたのなら、俺は聖剣で魔人を斬り倒してくれる だけど俺が、もし負けたら 後は任せた」と 俺が勇者に向けて放った言葉を聖にも、そっくりそのまま伝えると聖は俺に対して「魔剣を使って魔王と聖剣の争いを終わらせる事はできないのですか」と、こんな話を切り出してきた。なので俺は「聖が魔王と話をしたいのなら 俺も一緒に話に参加してやってもいい それこそ魔王を説得してみせる」と提案してやった。そして どうにか話がまとまった状態で

「聖王は、どうして そんな事を言っているんですか」と勇者に対して問いかけてみた。そんな問いを受けた勇者が言葉に詰まっている状況を確認した後で「お前が魔王城に向かう事が決まった だから お前が無事に戻れる事を祈っているよ」そんな言葉を投げかけてみると勇者は聖に「魔王城に案内して欲しい」と頼み込んできて その話を聞いた聖が「勇者様が、お望みでしたら」と 魔王城へと勇者を連れて行く事になった。勇者と魔王の戦いを見守る役目を負った聖王を魔王の元に向かわせて、その隙に魔人が勇者から聖剣を奪って魔王を倒すという計画が失敗してしまう可能性があるから、俺も聖王の傍に付き添

「魔人よ 魔王を倒すために協力してもらえないか そして俺が敗れた時には、聖剣を託して魔王討伐を成し遂げて欲しい その為の協力ならば 俺は喜んで協力するつもりでは居る 魔王と対話をする為には魔人の力が絶対に必要となるんだ 俺は、どうしても魔王と会話がしてみたい それが叶わないと言うのであれば、この場は見逃してほしい」勇者は、そんな事を聖に告げてきた後で、魔剣に「聖剣の能力は聖が知っている 魔剣の使い方についても、俺が教えるから とりあえず、やってみよう」とか 聖王と勇者のやり取りを聞いて 魔人は勇者と聖に気付かれないように「勇者の手助けを行いながら聖剣の奪取を行い 勇者に敗北する事で、勇者の聖剣を奪い取る」そんな行動を聖にバレない程度に行い そして聖が魔王城に到着した直後に聖の目の前に姿を出現させた後で「俺は、ここで あなたに殺されるつもりでいます 魔王を聖剣の力だけで倒す事が出来ない場合は、その瞬間に 魔王から奪い取ってやるつもりなんだ 魔王が聖剣を所持したままで居た場合 魔王に、その剣を返せ」そんな事を言って聖を脅迫する流れにして 聖に聖剣を渡してもらう事にした。

勇者が聖に「魔王に話し合いを持ちかけるのを協力してくれないか」とお願いして、聖王はそれ

「魔剣が魔王から奪おうと動いている事は分かっているし 魔人と共に行動すれば魔人に魔剣を渡すのも時間の問題だと思うのですよ」

そんな言葉を勇者と聖に告げた上で「魔剣に、そそのかされて 魔王と話す為だと聖剣を奪われても困りますから」なんて言葉を口にしてから魔剣と魔人の二人から聖剣を奪うために動き始めたんだよね そうして、しばらく時間が経った後に聖王の動きに変化があった 聖剣は魔王の手に渡るだろうけど 勇者が聖剣を所持できる程度の時間は残されているだろうと判断を下した魔人と聖王の行動が一致したのだ そして勇者が魔剣の能力を確かめてみるために「まずは、これで聖剣に触らせてもらいたい」と魔剣に話しかけた それに対して「分かった 俺から先に魔王に聖剣を手渡す事にしようか」と、そんな返事を俺の方からも返すと 勇者は俺に近づいて来て 聖剣を差し出して「これが魔王の手元に渡ってしまえば大変な事になるのだから、どうにか魔剣の力で魔王との対話の場を作る事が出来るように動いて欲しい」そう言った後に「勇者である私が、この世界に聖剣を取り戻すから 魔剣の方も頑張って、その目的を達成できるように動いてもらいたいとは思わなくていい 私は魔王と話をする為に必要な時間を稼いでもらうだけでも、それで構わない」そう言うと 勇者は魔王の元へと向かった その時に俺の

「お前らが魔王と話し合う機会を作り上げる事に成功さえしてくれたのなら 聖剣を取り返されたとしても文句はない それに聖剣を取り返したところで お前らに扱えるとは限らんだろう」そんな台詞も聖の耳に届き「お前の気持ちはよく分かった」という言葉を残して消え去っていった

「勇者の奴が動いたようだな それじゃあ俺達は魔王に会いに行くとするか」俺は、そう口にしてから 聖剣を取り返すための行動に移る事に決めたんだ。勇者に「それなら魔剣は、俺が持って行こう」と聖剣に手を伸ばしてみると「俺が勇者になったのだから 俺が管理させて貰う 魔剣の力を信用していない訳じゃないんだが 万が一の事を考える必要だって出てくるだろうからな」勇者が俺に向かってそんな言葉を吐き出した後で聖剣の力を自分の物として扱って見せつけてきやがった そして聖剣を手にした勇者は「この力を俺の為に役立ててやろうとは考えてくれなくても構わない ただ俺に、これの使い方を教えてくれるだけで良いんだ」そんな話を俺に振ってきた そんな話を勇者が俺に告げてくるなり「俺が、その力を使いこなせるかどうかは関係ない お前が聖剣を使う事を拒んでも聖が聖剣を使えないと嘆く結果にはならないだろ」そんな事を伝えたんだけれど勇者は「魔人が持つのであれば、俺だって安心して使う事は出来る筈さ 俺は勇者になる前から使っていたんだぜ」そう答えて来てくれた。それから少しして「とりあえず 聖と魔人二人で魔王に会うために行動するのか?」と質問を受けてしまって「いやまぁ魔王と会うには魔王城まで行く必要があるんだけどね」「それだったら魔王城へと一緒に行っても大丈夫だよな」と質問をされましたよ。まぁ勇者が魔王と戦い始めてから聖剣を回収する方法が一番早いかなと考えていたりした。しかし そんな作戦を思い付いたからと言って実行しようとまでは思わなかったからさ。だから「とりあえず これから魔王城を目指すぞ」そう言葉を向けて移動を開始しようとした矢先に聖王は勇者に声をかけられたんだ「勇者よ貴方が、その力で魔王を倒す事が出来なければ、その時点で 魔人が聖剣を奪い取りに来ると思うので そうなると聖王は殺されてしまうかもしれないのです それでも構わずに進む覚悟はあるか」ってね そうした質問に対して「ああ、そうだな もしも聖剣の力を持ってして魔王に負けるような結果になってしまうようなのであれば その時は聖剣を奪われる事も、受け入れてやるべきかもしれないとも思うんだよ」勇者は そんな事を言

「俺は魔王城に向かう」

それから聖と俺と魔人で魔王城へと向かう事に決まった。聖は勇者の傍で待機していた方が良いと聖王から言われて「勇者よ、くれぐれも魔王を倒せると信じている」という別れの言葉を口にした後に勇者から距離を取ろうと歩き出した。

俺達三人組で魔王城にたどり着いた後で

「この扉を開けるための方法が見当たらないんですけど、どうにかできませんか」と俺が声をかける事でどうにか扉が開くようになるんじゃないかと思い込んでの行動だったのだが魔剣が反応を見せ始める事は無かったのである。

それこそ何の変化も起こらないまま どうしたものだろうかと考えて居たときに聖王は聖王の瞳の中で光輝く聖王の身体を使って何かを始めたようであった。そんな光景を眺めていた時に勇者は「魔王は話し合いに応じてくれるはずだ お前達の目的を魔王に打ち明けてから、どうやって話し合いを行うつもりなのか教えて欲しいんだ」と俺と魔人に語りかけてきたのだ すると俺は、こんな風に説明をした

「聖が俺と魔人に話してくれた通りなんだが俺たちが話している内容を聞き届けてもらえるかどうかについては保証できない だから、それは、あくまでも保険的な扱いとして考えているんだ だから魔王と交渉が成立したのであれば、すぐにでも話を始めたいと考えている そして魔王に、お前と話をしたい」と、そんな感じの話をしたら聖王が俺の代わりに言葉を発した「私が魔王の立場に立ったとしますと 聖が、そんな提案をしてきて魔王城に足を運んでくれたというのならば その話の内容にも、ある程度耳を傾けてみたいと思えるんですよ」聖王の口を借りた聖王の口調は聖王の声帯を使用して行われた言葉の響きに似ていた。なので 勇者は聖から発せられる言葉を聞いてから聖に「ありがとう これで聖剣を取り戻した後は、しっかりとした対話が望めるのかもしれんな それでは、まず魔王城の最上階にある謁見の間へと向かってみるとするか」と言うと魔王城を後にしようとする勇者の行動を聖剣は邪魔しなかった。だが、そこで「私達は魔王の目の前に姿を見せないで会話だけを行おう そして魔人と魔人は姿を消していなさい」と俺の事を聖剣が指示をしてきたので素直に言う事を聞かせるしかなかった 俺と聖剣の意思疎通は、どうにか成功する事が出来たのだと俺は理解できた だけど俺は「勇者の奴は、どうして俺と聖王を一緒に魔王の元へと向かわせようとするのか 俺としては、あいつが勇者の聖剣を手にしている間は聖の体と融合されている聖に攻撃を加えるのが難しいのだから」そんな風に疑問を感じながら「とにかく魔王に、その聖剣を渡すつもりで居るのか? 魔王と対話が行える状態になった時 俺達が姿を現したら 魔王から奪い取るつもりでいるんだが」そんな疑問を口にするしか出来なかった。

「聖剣の使い道は魔王が決めるのでしょう 聖が魔王に奪われても構わないと思って聖剣を手渡してくれるのであれば、私が勇者に力を貸そうと考えていますから」聖剣が、そのような事を俺に伝えて来た 聖剣と聖王の間に主従関係は存在しているのか、どうかは知らないが、聖と魔王と聖剣と俺が、どのような関係にあるかを、はっきりさせる必要性は間違いなくあった 聖剣と聖王は魔王の手に渡ってしまったので、これからは聖と俺で協力して魔剣の動きを止める必要が出てきたのは事実であるから だからこそ、そんな確認作業が重要な意味を持ち始める可能性は高いだろうと判断できるから「聖と魔王との会談の場を設ける事に成功したなら、まず最初に魔王から奪う形で聖剣を手に入れて その後は魔王との対話が、どれだけ可能になるかを確認したいと考えてる」俺は聖に向かって、そう伝えた

「魔王との、お話は私の口からは言い難いのですけど、もしも魔剣が魔人の手元に収まったとしても、魔人の思い通りに動いてはくれないと私は確信していますから」聖は、そう答えた後に 魔王が聖剣の扱い方をどのように行うつもりなのかを話した

「魔剣と聖剣は魔王に管理を任せれば 魔剣は力を失った状態となると思いますから そうやって聖剣の管理は魔王に任せておいて 魔王の身に危険が迫ってしまえば、その時に聖剣を取り戻すために動くべきですよ 魔剣は聖剣よりも遥かに優れた武器な訳ですし 魔王の身を守る為に 力を使う方が、きっと良い結果になると思いますからね。まぁ魔人が魔王を襲おうとするならの話ですけれども」との事だったので俺の意見を代弁する形で「とりあえず聖と魔王の二人で話し合いの場を作り上げてくれ 俺も協力をするから 聖の王も力を貸してくれるなら頼もしいだろうな」そんな事を告げてみると「私は聖と一緒に行動させていただきますから 私一人だけだとしたなら魔人が魔王城まで辿り着く前に殺されていた可能性が高いのですよね まぁ今なら何とかなりそうな気がしないではないので」と答えを返してくれた

「魔王は話が通じる奴だし安心しても良いぞ もし万が一の時には聖剣は諦めてもらうしかないんだがな」俺は勇者に対して、そう伝えておくことにした。勇者の方からすれば聖剣を奪われないように守っておきたいところだと思うが、そればっかりは勇者の問題なので仕方が無いと思ったんだな。

聖と勇者は魔王に会いに行った際に「とりあえずお前らには聖剣の力の使い方を覚えて貰わないと駄目だからな」と言われてしまったらしい

「聖剣の使い方を教えてやる」勇者に告げられてから俺達は聖と魔王の二人の話し合いを見守るだけ

「さてと魔人も魔人として動いている事には意味があるはずだろう?俺の考え通りなら魔人は俺と同じように他の連中とは考えが異なるはずなんだ 魔人の目的は一体なんだったんだよ?」そんな事を言われたのだが魔人に目的なんてものは無いんだよな ただ俺の目的を叶えてくれる存在を探していただけの事なのだけれど、この場でそんな説明をしてしまう訳にもいかないので適当に誤魔化すしか無かったりする

「俺は特に何かを狙っての行動をしているわけじゃあ無いんだけどね ただ、この世界で生きている人間の中で一番強いのは誰なんだとか興味を持っただけなんだ まぁ結果として魔王に出会う機会が回ってきた訳だ」俺は魔王に出会った経緯を話すと勇者は少しばかり

「まぁ確かに、そう考える事が出来るのは分からんでもないよ しかし魔人は、それでは もしも俺に会っていなかったら何をするつもりで居たんだよ」という質問をぶつけられました。

それに対して俺の頭に浮かんできた返答は「別に何も、どうとも考えてない たまたま俺の視界に入り込んだ、お前達二人が邪魔だったから潰しておいたというだけで」そんな事を俺が言った直後に勇者の奴が俺の首根っこを掴んだ上で殴りかかってきた。勇者は拳で殴ってきていた 当然だが、それが勇者の全力で放たれた一撃ではない事は理解できていた。だからこそ俺は勇者の攻撃に対してカウンターを仕掛けるような形で攻撃を仕掛けた

「俺は魔王を倒すためだけに生きて来た男だよ 勇者よ 勇者としての使命を果たしたかったら、このまま黙って殺される気はないのか?」俺は聖剣の能力を発動させると、それだけを勇者に伝えた。勇者の身体を乗っ取った状態で「俺と、やり合うつもりか」という聖王の言葉が響き渡ると勇者と聖王は戦いを始めた 聖は勇者との戦いに集中し始めたので俺は聖王が魔王と話し合いを行っている場所へ向かわなければならなくなったのである。

魔王と聖の会話が行われている場所に辿り着いた俺は魔王に事情を説明した後で「俺は魔王から奪い取る形で聖剣を手に入れるのが良いと考えている だから魔王と俺の二人きりで話し合いを行う場を用意して欲しいんだ」俺が

「聖は勇者に体を貸そうとしているようだが それは、あくまでも勇者が魔王に敵対の意志を示して聖が勇者の肉体を魔王に委ねる事になった場合に限られると思う 聖は魔王の味方であり続けようと心に決めているから 聖が身体を譲るような事態に陥らないように勇者と話し合いを行い 聖が身体を差し出そうとしても断る そういう姿勢を見せて欲しく思う」俺は聖に向かって、そう話してから聖と魔王の二人が顔を合わせて話が出来る空間を作り出せるようになるまでの間 聖の身体を借りる形で「魔王、俺は聖の事が大切だと考えているんだ だから俺としては、聖と俺の関係が崩れてしまう事を許容する事はできないから お前の口から魔王は絶対に敵対するつもりなんか無いと言ってくれるだけでも嬉しい限りなんだが」と口にした。

聖が勇者との戦いで負った傷を回復させた後は魔王は聖と魔人を部屋に案内してくれた。そして「それでは、まずは私からの自己紹介をさせて頂きましょうか」と口を開いて聖に語りかけた。「私は魔王と呼ばれていて 貴方と魔人の関係を修復する為に魔王城まで来てもらい こうして私自身が姿を現したという訳なのですが 魔人と聖の関係は本当に大切な物なのでしょう それなのに、こんな風に私が姿を現してしまっても良いのかと思い悩んでいるのが今の私の立場となります」魔王は、そんな言葉を聖に語った 聖が聖王に話しかける。

「聖は私に、どうしても勇者と話をしたいと頼まれたので魔王に、このような対応をしてもらい聖と勇者が顔を合わせられる状況を作って貰ったのですが まず勇者の意識があるのかどうかを確認する必要があるので 確認作業をお願いします もしも勇者の意識が無い状態のまま魔王に対面してしまった場合は最悪なことになってしまう恐れもあったでしょうから」そんな言葉を発した

「勇者と話す前に確認を行ってみるべきかもしれません もしも勇者に聖王の魂が入り込んでいない場合 魔王から聖王へと乗り移ってしまう危険性だってあり得てしまいますから」聖の言葉を受けて聖王は自ら魔王の元から離れると魔王の背後に移動を開始したのだ 聖が聖王に向けて話し掛けると、すぐに返事があった。その声音は普段と変わらず優しい口調だったが俺が聖王と会う前から既に人格は変わっていて、ただの魔人となっている可能性が高そうな雰囲気を感じ取ることが出来たので「それで聖が求めているのは 聖が死ねば勇者として復活するかもしれないので死んでほしいと言う要望でしょうか」なんて質問を聖に投げかけてきた。聖が答える

「いえ、そのようなつもりで私は、あなたに近付いたのではありません 私の身体が、この世界に存在する必要が無くなって 私の魂と魔人の魔力さえあれば、いくらでも復活できる状態にまでなったからこそ魔人の前に立つ事が出来ました ですが私は魔王と、あなたの関係を壊したいと思っているわけでは無く 勇者も魔剣が聖剣と聖の身体を手に入れてしまったので、もう手出しができない状態に落ち着いたと判断していますから これから先の戦いは、もはや勇者と魔人の一騎打ちのような形に収まると思います そうですね、それを踏まえて聖は魔人に問い掛けた 魔人が聖剣を手にすると、その瞬間から魔人にとって聖が邪魔な存在になるだろうな、と考えていた俺は聖が勇者に対して聖剣を渡した場合に、どういう結末が訪れる事になるかを予想してみる 魔剣を手にした段階で聖剣と聖の力は魔王に奪うような形で魔剣の中に取り込む事が出来る。聖剣に秘められた力を魔王の手に握らせる事によって 聖剣は俺に扱えない力となるはずだ しかし 魔剣を勇者が所有していれば勇者は俺よりも強力な力を持っているから魔剣を所持したまま 俺を殺すことが出来る可能性が存在する。俺を殺してしまえば、聖剣の力も魔王の手に渡らなくなってしまうだろうし魔剣を手に入れた事で得られるメリットも無に帰してしまう事となるだろうな、そんな予測を立てておく 俺の考えを聞いて聖王が答えた

「まぁ確かに俺の方から聖に聖剣を渡すように仕向けるのも良いかも知れねぇけど それは、あくまでも俺が魔人から逃げ延び続ける事が条件となってくるからな 俺は魔王と戦うつもりだし それに魔王は聖剣の能力を使えない状態にあるはずなんだつまりは俺が聖に聖剣を渡してしまったら 俺は、どう頑張っても聖剣を扱う事ができなくなるわけだ そうならない為には聖の奴は勇者から、どうやって聖剣を奪い返して魔王の元に聖剣を届けるべきかを考えた方が ずっと楽だと思うんだ」

「魔王は、いつ頃なら動けるようになりそうなんだろうか?」俺は魔人に質問を行う 魔人は 俺の問いかけに答えてから聖に聖剣を返した後に「俺と勇者が戦ってる間くらいまでは、この城に留まって 聖王と戦っていてくれよ その間に俺の方は聖剣の扱い方をマスターしておくつもりだから まぁ聖王との戦いには決着が付いたら、すぐに魔王のところに駆けつけてみせるつもりだ そうなると魔王が動けない状態の時を狙った上で 俺の手で魔王を倒す それなら万々歳だ」などと言い始めた

「俺は魔人として、あんたと戦いながら聖と聖王が戦うのを見てみたいと 思ってもいるんだが どうせだったら、もう少し待ってくれ そうしてくれるんなら、その時がきた時に、より面白い結果が待っているはずさ」俺は魔人に対して「俺に、どうして欲しいんだよ」という言葉を投げかけてから「俺は俺のやり方で、あのクソみたいな聖と聖王をぶっ殺す準備を整えておくよ そうしないと魔人に殺されるだけじゃなくって聖にも殺されちまいそうだから」という返答を行った そうして会話を終えた後で聖は「それでは勇者よ、聖は部屋に戻っていますので」と言葉を残しその場から去って行く そんな様子を見て魔王が呟く

「聖は自分の意思で動いているのではなく操られているだけなんですか」

「はい、そうです だから、もしも俺が死んだ場合には、聖王は俺の体から追い出されて聖は自由に行動ができるようになります」

俺の言葉を受けて魔王は「貴方が死ねば 貴方に憑依していた魔人は、どうなるのでしょうか?」と聞いてきたのである それに対して俺が返す 俺の体は魔王が支配しているから、おそらくは魔王の支配から逃れる為の準備を行い始めるのではないか?そんな事を魔王に伝えておいた。

「それでは 魔王よ 俺は今から聖の所に向かうから お前は、ここで俺を待ち構えていてくれ それと、もし俺が戻ってきた場合に聖の肉体に乗り移りたいと望むのならば それは止めない だけど聖の身体を奪う事だけは許さないと約束してくれ」俺は、そこまで言ってみた それから俺は聖と魔人が顔を会わせる事が許される空間に移動するために聖に身体を貸してもらうように願い出る事にする そして俺は魔王に、これから聖に会いに行って聖と話をする許可を貰

「勇者様の事は、こちらに居る聖王が対応させて頂きます 魔王と勇者の二人が接触するのは危険だと 私も判断しましたから」そう聖が口を開く

「それに関しては 俺も同じ意見なんだが、聖に一つお願いしたい事が有るんだ 実は俺の肉体と魔王の肉体は、お互いに乗り移ったりするのが困難な状況にある だからこそ、聖の力で この世界に漂う 魔王に肉体を貸し出したり 聖と魔王の肉体が共有できる状態を作り出せないかと考えている そのように、お願い出来ないか」俺は、そんな言葉を聖に向かって投げかける すると聖王は

「私は聖王様との面会を望んでいます」

聖が

「わかりました 勇者は魔王と話をしてから勇者は魔王に魔王城の案内を受けていました その際に聖王とも対面する事になって魔王が魔王城から外に出るまで魔王は聖王の相手をしなければなりません」そう口にした後 魔王に「魔王に頼みたいことが有りまして その前に、少しだけ私と勇者の二人で話をする時間を作って欲しいのです 私としても、このまま魔王に魔王城まで送り届けて欲しいのですが、もしも魔王城に到着するまでに聖王と出くわしてしまえば、そこで魔王は命を奪われてしまう可能性も有るために 出来れば、そうしたリスクを避けるために、こうして私に時間を下さい」

魔王は、そう告げられた事で聖王に対して

「それでは、私も魔王城へ同行致しましょう 私自身も勇者殿に、ご迷惑をお掛けしないかどうかを確認する必要があるので」と言葉を残すと共に 聖と勇者の二人だけで魔王城を出発する事になった。

魔王が、これから魔王城は どのように動こうとしているのかと尋ねてみると聖が答える「魔王が勇者の肉体を支配したのは魔剣の力が関係していたから つまりは魔王が勇者の肉体に宿ることが出来たのは、聖王の持つ魔力が魔王の存在を許すだけの物を持っていたから、それが理由の一つとなります もしも聖が聖剣を持って勇者と対峙したとします そうすれば聖が所持している聖剣に秘められた能力により 聖剣の力は勇者の力に匹敵した力を持つことになります それによって、この世界で魔王に敵対する勢力として存在している勇者の力に対抗する事が出来るでしょう」聖が 魔王は、聖が魔王に対して何かを言おうとした瞬間に魔王に視線を固定させたまま聖に声を掛けてきた 聖の態度の変化に対して「どうかなされたのでしょうか 私は聖に対して何か不快な思いをさせてしまいましたでしょうか」そう問いかけてくる しかし、聖からの返事が返ってくる事は無い その代わりに聖の意識の中に存在する聖王が

「申し訳ありませんが、しばらくの間 私は勇者と話しています その間は勇者への憑依も、あなたと勇者の関係に対する干渉も行うことが出来なくなってしまいました」と声を上げる

「聖は、この場から離れるつもりなのですね」聖が問い掛ける それに対して聖王ではなく聖自身が

「はい、そうしています」と答えてから 聖が俺の目の前で姿を消したのと同時に俺の精神が現実に戻ってくる 俺は魔剣に聖王の事を伝えようと思ったのだが魔剣が見当たらない 魔王の魔力が俺に対して敵意を持っている状態で 俺が魔王の身体から離れて行動する事に抵抗を感じているため、俺は自分の力で魔王をどうにか出来るとは思えなかった。そのため魔王から逃げ出す事も

「勇者よ 先ほどから魔王を、この場で待ち続けているのだけれども、まだ戻ってこないのか」魔王は、そのような事を言い出す。

魔王が「しかし魔王城の中に入った時点で、すでに魔王の居場所は特定済みなのだろ」と言ってくる。確かに魔王の位置情報を探る魔法を使えば、その場所を見つける事が出来るはずだが 俺は、あえて、そうせずに、しばらく様子見を続けるつもりだった 俺は魔剣の気配を察知する事

「俺としては、もうそろそろ姿を現して貰わないと困ってしまうんだけどな しかし魔王は俺に何を望んでいるんだ」俺は、魔王が、どのような意図を持っているのかが、わからなかったため、とりあえず魔王から逃げようと試みることにした しかし、俺の考えに反して魔王は、まったく動かない どうやら魔王も、なんらかの理由で俺の動きに付いて来る事が出来ないようである 俺は「仕方がないな魔王の方は放っておいて、まずは聖の奴の所に顔を出してみよう」と思い 聖に身体を貸すように指示を出す そうして聖と入れ替わる

「魔王さん 魔王は私の方から話しかけても良いですか?」

魔王の口から発せられる言葉を聞く限りでは魔王は俺が聖に聖剣を手渡そうとした時と同様に 俺の体を乗っ取ろうとしていたような気がするが、そうはならなかったらしい

「勇者よ 貴方の事は私にとっても非常に興味深い人物ではある 貴方には、もっと話を聞きたいと感じる」との言葉が魔王から返ってきたため 俺は魔王に対して

「魔王 貴方は、俺に聖を渡して貰うために聖王と聖剣を奪い合って俺を殺すとか言い出しているけど 聖の人格が存在している俺を殺して聖王の聖剣を奪って、その後どうするつもりなんだろうか」

俺の言葉を受けて魔王は「私が魔王城に戻るためには聖剣が必要 その事を聖王が許さないのであれば、私は力尽くでも奪い取る その為の準備は既に終えている」などと口にしながら魔王は 自らの手を見つめていた 俺が聖に身体を貸せば魔王の体を奪う事が出来るのかもしれないが 俺は、それを行わなかった 俺は「そうか お前の目的については、だいたい分かった」と口にした後に

「魔王 俺の方からも聞きたい事が有るんだけどさ お前は、どうして聖王を魔王城に連れて行きたいと思うんだ」俺は 俺の体を借りている聖の口を借りて 魔王と話をしている 魔王は俺との話の最中に「勇者は魔王に勝てないからこそ 勇者は聖の体に魔王の魂を入れることで 魔王の肉体を支配して この世界を支配しようと考えているのでしょ」などと言い出してから「貴方が聖と入れ替わって この世界を支配する事は出来ないのでしょうか」

俺は「それは無理だろうな そもそも俺に、その権限はないから」と言葉を返すと

「勇者 魔王に聖王を差し出してくれるのなら 魔王はこの世界に平和をもたらすと約束しよう」と魔王は語りだしたのである

「聖王を差し出した後は、お前に肉体を貸してくれる人間が居なくなった時に、お前の肉体を使って この世界に平和をもたらす事が可能だから、俺が魔王から聖王を守る必要も無ければ お前に肉体を貸し続ける理由も無いから」と俺が言うと

「それでは魔王は これから何を行えば良いのですか」魔王は悲痛そうな声を上げ始めた 魔王に対して「魔王 今、この場所は 聖王が結界を張る事で守られている もしも魔王に憑依されていた人物が 他の場所に移動しようとした場合には その人間は別の場所に移動しない限り 魔王の体は支配されてしまい、やがて死が訪れることになる そんな危険な状態を作り出した聖王を許しても良いと言うならば 魔王が望む通りに魔王城へと向かっても構わないぞ」

俺が、そう告げると

「魔王は聖王に対して 聖が生きている間に、このような行いをするのを止める様に説得して下さい 聖王は、ただでさえ寿命が少ない存在だというのに、さらに魔王の侵食によって生命力を吸い取られていくと死んでしまうから これ以上、魔王を成長させる事が無いように この世界の為に尽力してください」と魔王は言った。

それから聖王から身体を返してもらう 俺は「聖王よ もしも俺が聖王の立場だった場合、魔王の誘いに乗るのか否か」という質問を聖王にぶつけてみた。

それに対して聖は「もしも魔王が私と聖剣を引き離そうとしないので有れば 私は、この世界に生きる人達の為に行動しようと考えます そう考えますと魔王の狙いが分からない限り 私は、どちらにも転ばないと決めたいと思っています」と口にしてきた そこで聖は「魔王の方は勇者と話をするだけ 聖は勇者から話を聞かなければいけませんね」と言った後

「聖は、勇者との話を済ませました」と聖が声を上げた後に 聖の肉体が光に包まれた瞬間 魔王城の上空に光の塊が出現する

「魔王様」と声が上がる

「どうやら聖の魔力を感知されたようですね」そう口にすると

「勇者 魔王と聖王の両方から目を付けられたようだな これは少しだけ厄介な事になるかもしれないな」そんな風に俺は言葉を発した

「しかし聖王が魔王城へ乗り込んでくると決まったわけではない そうでなければ魔王は勇者の肉体を使う事を諦めてくれないか」と魔王に問いかけた

「私と勇者との戦いは 勇者が聖王と戦うための実力を身につけるまでの間の事です その間に聖王から勇者を護る事が出来たのでしたら 聖王からの干渉を受ける事は無いのでしょうから 私は、勇者の身体を手に入れます 私は勇者と戦い そして勝ちます もしも勇者に敗北するようであった場合は 魔王城に聖王を招き入れる事を許可します しかし勇者に聖王が勝利した時には、魔王城への干渉を行う事を止めさせて頂きます」魔王が、そこまで話した時に 魔王は聖剣の力で、その場から姿を消してしまった

「聖は、あの聖王と呼ばれる魔王の器となった人間に対して興味が有るのです」聖は そのような事を

「しかし 今の魔王は 私の目から見ても危険過ぎると感じました だからこそ、私は、魔王の力を利用しようとしたのかもしれません」俺は「それで聖は、どのように行動するつもりだったのですか」

「私は聖王が、このまま魔王城へ向かうつもりであるのであれば 私が魔王から守る事に決めていました」そう話す聖を見て

「そう言えば 魔王から、俺の体に乗り移っていた魔王は、どうやって自分の体を、この世に出現させたんですかね」俺が、そのように問い掛けると「私が、この場に存在する事が許されるのも 私が所持している能力のおかげ」と言って

「そういえば、魔王が使っていた魔法を聖に貸して欲しいと言っていたが、あの場で使うことが出来なかったのか」と疑問に感じて聞いてみると

「私の能力は 魔王が魔王城から持ち出して使用する事が出来た魔法 つまり魔王の魔法を使用することが出来る」と言って

「しかし魔王が、なぜ聖王の体内に入り込もうと考えたのかは不明 それに魔王の目的を、もう少し探る必要があると私は考えている」と答えた 聖の口を借りて俺に話をしていた聖王に対して「しかし聖王よ 魔王の奴が 聖に身体の主導権を奪われた時も思ったんだが 本当に お前達は俺達の身体に入り込んだりする魔法を 習得しようとしないんだよな」

俺が聖と入れ替わる

「聖が 貴方達のような人族と共存出来る道を選ぶのであれば協力したいと思っている」聖王と名乗る人物が、そのような言葉を口にしてから「しかし聖剣に認められたのは勇者だけであり 貴女ではないはずだ」などとも言って聖王は言葉を続ける

「聖が貴方と会話を交わせなかったのは聖が未熟だからだと思われる」

俺は、聖と入れ替わる際に魔王の魔力を取り込んだため 精神が不安定になってしまったのだと思うが とりあえずは「お前の言葉が正しいとするなら 俺は魔王の魔力の影響で心が壊れかけているんだろうけど お前は、どうして平気なんだ?」と聖に尋ねた。

「そうだったんだな。それは大変そうだな まぁ~でも魔王が復活する前に、どうにかする事が可能なんじゃないか」と俺は答えてみた。

「ところで魔王の奴は、聖と聖剣を取り合って殺し合いをするような状況を作り出す為に動いているわけだろ」

俺の言葉を聞いた聖王は「そうなのだろうか もしそうであるなら聖剣を渡したくはないが 貴方の肉体を手に入れるための戦いならば仕方がない」などと呟いた後

「聖は 聖王の言葉を聞くと「パパ。ママに会って来ても良いですか」と口にしたため 俺は聖に対して

「俺の許可など取らずに、いつでも自由に行動してくれて構わないぞ」と告げると 聖は、この部屋から出て行くために扉の方へと向かうと、その途中で「パパ。私は、これから魔王に乗っ取られた人間の女性を助けに行きたいので」なんて事を聖は言ってきた。

俺が「それでは魔王を乗っ取った相手を倒してしまえば 魔王を乗っ取る事が出来ると思うか?聖剣の力は どのような物なんだろうな 俺は聖剣の事は、よく分かっていないから教えてくれると助かる」

俺が質問をしたところで 聖の意識体が消えた「どうやら俺の身体を返す気に成ったらしいな」と独り言ちてから俺が部屋の外に出るために歩き出すと 俺の背中に向けて魔王の声が聞こえてくる「勇者 聖の身体を奪い返させてもらいます」そんな魔王に対して「俺だって この肉体を奪われないように頑張らないとな」と答えて 俺と聖王の戦いが始まるのであった 俺

「俺が聖王を魔王の肉体から救い出して、聖王を自由にするために魔王を倒さないといけないみたいだが まず最初に聖が魔王を封印するための道具を使える状態にしなければいけないので 俺は、すぐには魔王に勝つ事は出来ない そこで俺の手助けをしてくれる人間はいるかな」

「はい。私なら その役を引き受ける事が出来ます」

「そうなると聖は魔王を倒す事は出来なくなるんだけど それでも聖が魔王と敵対して魔王に聖剣を使わせないように頑張ってくれた方が嬉しい」と聖に伝えた。

それから聖は、しばらく思案に耽っているようであったが

「聖は、聖王が勇者の肉体を手に入れた場合、その肉体を破壊せずに魔王の魔力だけを浄化する方法を見つける」と言い出したのである 俺も「もしも俺が魔王を封印するために必要なアイテムを所持していたら、魔王に肉体を明け渡したりはしなかっただろうからな」と俺も言い出したのだった そして俺は「しかし魔王は、そんな都合の良い方法で、聖王と聖の体の中から出て来られるとは、思ってはいないよな」と考えて 聖王に魔王と会話を交わして どんな手を打ってきたのかを尋ねる事にした。

俺は聖の体の中に入り込んでいる魔王の魂を聖から引き離し 俺の体の中で復活させるという荒業を行ったのだが その事を説明すると

「そうだったのですね。聖は、この世界に居る限り 他の者の肉体に宿る事でしか存在できないのですが 私のように聖を操りやすい肉体を探し出そうとしていたのですね」と言う言葉を聖は口にしてくれた そして聖が「聖剣の力が有れば聖が、その人物の中に存在するだけで良い」と口にするのであった

「それで聖は どのようにして魔王が聖に身体を渡すように誘導しようと考えているのか」と質問を行うと 聖

「聖には 魔王の本体が、どこに潜んでいるのかが分かる」と口にした 俺は「なるほどね 聖王を操れる聖を魔王に近付けてから魔王を聖剣を使って倒すつもりなんだな」と納得をする 聖

「しかし そんな簡単に 上手くはいかないと思われ」と口にすると 俺

「しかし聖王は この城の中に入る時に、聖が聖王である事を、どうやって誤魔化したんだ?」と疑問をぶつけてみると 聖王

「聖が、聖王として振る舞っても怪しまれないのは、この城の最上階に有る 祭壇に聖王の聖印を刻んで来たからだ そうすれば誰も聖王が聖王の器を、魔王の罠によって奪われたと、考えないはず」と言ったのだった 聖王の発言を聞いて「それなら俺とザライドは聖王の器を取り戻すべく行動を行う 俺達が聖王を助けるまで、魔王から身を護るのに聖剣を使いこなせるようになっていて欲しい あと 魔王と戦う時以外は、絶対に俺の肉体を魔王に奪わせるような真似はしないでくれよ」と伝えた

「しかし 聖は、貴方の体を魔王に渡さない為にも魔王城へ行かない方が良い」

「しかし 勇者よ。勇者が聖王を助けた場合は、貴方と勇者の力を合わせなければ、魔王に対抗する手段が失われてしまう事になる」と言って聖王は話を続ける「貴方も勇者と同じ世界に存在する勇者の一人だと聖も理解している」

俺は勇者と呼ばれてもピンっと来るものが無かったのである「そう言われて俺の事だと言われたんだから反応しないと不自然だよな 俺の名は 天城真樹だ 聖は、勇者と呼ばれているのは、やっぱり聖の代わりを務めているのが原因なのか」と聖に対して問いかけた

「聖が 聖の代わりを務めているのは聖自身が選んだこと 貴方は聖ではないのだから 自分の力で自分の運命を切り開いてほしい 魔王の呪いを受けた人間を助け出してほしい」聖の言葉

「それは魔王の呪いを受けている人がいるから助け出しに行ってきてほしいと言っているんだよな」

「それは違う 魔王に身体を奪われた人は救わなくて良い ただ 聖は魔王の力を封じる聖剣が欲しいだけ それが無理であれば魔王の魔力を封じ込めた宝玉で構わない」聖王の言葉に俺は首を左右に振って

「聖は、どうして魔王に支配されている人間のことを気にかけるのか分からなくなってきたぞ」「聖にだって事情はある。しかし今の時点では 聖にも全てを語ることができない それは聖を乗っ取ろうとする力が強くなっているためでもあるけど 今の時点で、あなたに伝えなければならない情報を伝える事は危険だ」と俺の頭の中に聖王の言葉が聞こえてくると「今は、ただ聖のことを信じてくれないか 勇者は、この世界の魔王を倒してくれさえしてくれれば良い 聖王のことに関しては、またの機会にするべき」

そんな会話を行っている内に俺と聖王は元の場所へと戻されていた。俺は「これから魔王の討伐を行いたいと思っているんだが」と伝えると ザライドは「魔王城に侵入された魔王軍は 勇者様が魔王を倒した後に魔王軍の支配地域を開放するのでしょうか」

俺が「いや、そうするつもりは全く無いんだけど 俺は、ザライドやザライズ達から見れば 裏切り者だからなぁ。だから魔王軍に殺されるかもしれないけど、俺は魔王軍の奴らを皆殺しにしてでも 俺の手で魔王を封印してしまうから問題は無いんだがな」と言うと ザライは「私は 貴方が聖剣に選ばれて勇者になったのだと信じています。なので どうか私と お友達になってくださいませんか? 魔王との戦いが終わるまでに、必ず私の方からも会いに行きますので それまでは生きてくださいませ」と言われて俺は困ってしまったので「そうだな。じゃあ、俺が、この魔王を封印するための道具を手に入れる事が出来たのなら俺が魔王と和解をしても良いか」などとも言ってみた

「聖王を魔王の肉体に宿らせたくない気持ちは解るが 私を封印するためのアイテムを手に入れるのなら、聖を魔王に渡す事は出来ない」

そんな魔王の声が聞こえてきて、俺の視界が歪むのであった。どうやら聖は 魔王の魂に憑依されてしまっているようであり、俺は聖の意識を呼び起こそうとしたが失敗した。そこで俺は「魔王。俺と勝負しようじゃないか」と言い出した そんな俺に対して聖王は「魔王と、そんなに戦いたがっている理由が知りたい」

「そんな事は 別に知らなくても いいんじゃないか?」と

「俺は聖の意識を取り戻すために 聖と話をする その間は聖の意識は眠っている状態になっていると思うから その間に聖と話をする事が出来るかも知れない」

「そんな事が出来るわけがないと思うが」

「まあ、やってみたら 出来るかもしれないだろう」と言うと 魔王が俺に対して

「私は お前を殺すつもりはない 私が肉体を取り戻した後で殺しに行く」

「そうか。しかし俺は、お前が聖王の身体を奪う前ならば魔王が肉体を手に入れても魔王の魂だけを封印して聖王を魔王の肉体から取り戻すつもりだったから そうしてくれるのが一番嬉しいよ」と言う 魔王

「しかし私が聖の肉体を手にしてから 魔王を聖の肉体に封印した場合、どうなるのか知っているのか」

「ああ。聖が聖の肉体を操れる状態で魔王が聖の肉体を支配しているのが、一番望ましい状況だと思う」と言う 聖王

「それは不可能。聖の身体の支配権は すでに私に移っている もう誰にも聖王である聖を操る事は出来ない」

「そうかな。俺は聖の身体に魔王の人格を植え付ける事ぐらいなら簡単に出来そうなんだけどな」

魔王

「なんですとー!」

聖王の言葉を聞いて魔王は焦っているようだったので 俺は笑みを浮かべながら「とりあえずは交渉の場を設けた方がよさそうだから俺は一旦 外に出る事にした」と言うと宿屋の外へと向かった。するとザライも俺の後を追いかけるように付いてくるのだが俺は立ち止まっていた「あんたも、もしかして、あの化け物のような強さを持っているのか?」という質問を行う ザラインに対して

「あれは、おそらくだけど、まだ子供だろうからね。子供の力は大人が全力を出した場合に出せる力の数倍近い力が出る事があるんだよ。そして大人の場合は、ある程度年齢が行かないとその力を発揮したりしない事が多いからね」という説明を行う事にしたのだった ザライド

「そういうものですかねぇ」ザライの反応

「俺だって自分が特別に強ければ魔王と戦う事も考えたかもしれない しかし現状では魔王を相手に戦うという事を考えるのは無謀だ もしも魔王と戦うとしたなら聖王が聖剣の力で魔王の魂を消滅させる必要があるが それをするためには、まず聖王から聖剣を借り受ける必要があるが、しかし、それは聖王が、俺達に、それを任せてくれるかどうか分からないしな」と口にしたのだった。

「とにかく俺達は、しばらくこの街に滞在して聖王が目を覚ました時には聖王に、ちゃんと事情を話してもらえるよう頼み込むしかない それから聖王に事情を説明してから 俺は一度聖王と一緒に魔王を倒すための武器を、どこで手に入れられるのかを確認しに行くつもりだから」と言って街を離れようとするのだが俺は目の前にある建物が目に止まる。すると俺は建物の中に入るように促されると俺は店の中に入ると店内に置かれている商品を見て回る。そこには様々な魔石が存在している中で一際異彩を放っていた魔導書が置かれていたのだ「これは一体なんなんだ?」俺は疑問に思いながらも魔道書を開こうとするがページを捲る前に店の主人が近づいてきて魔道書を開くのを止められてしまう すると魔道師の店主は、「それに触れるな」と言って来たのだった。俺の方は不思議に思えたが店主に「それは危険な魔導書なのか?」と尋ねてみると店主の方は「いや 危険というよりも非常に価値の高い書物なのだが、それが本当の持ち主の手に渡ることなく、こんな場所で放置されている理由は解らない。もしかしたら持ち主に危険が迫って来ていて、この本に書かれている魔術を使用する必要が生じた時にのみ開かれるのかも知れない」と言葉を返してくる。俺は 店主の言葉に「つまり、この本が本来の所有者の手元に戻ったとしても開く事ができない可能性が高い」ということなのだろうか。俺はそんな事を考えてみるが答えを知ることは出来ない。俺は魔導師と話すと聖の城に戻る為に転移の

「貴方には聖剣が扱えないだろう」俺の頭の中に声が聞こえてくると「そんなことは やってみなければ、わからないんじゃないの」と言うと俺は自分の手から光を放ち始めた聖剣を掴む

「ふっ。確かに貴方も聖の力を、その体に宿らせているが、それでも貴方は聖のように魔王を打ち倒す力を、その体から放つことが出来ないようだな」そんな声を聞いて聖の力が弱いので俺が聖と同じだけの力を出すことはできないだろうと予想はしていたので、それほど驚いてはいない だが 俺が握った聖の力が宿った聖剣は輝きを放つのである。俺は聖の宿り主になった時と同じ感覚を感じる。そして俺は

「勇者は、これから何を成すべきなのか」と言った 聖

「貴方は、いったい何を考えているの」

「俺は、これから先の戦いで魔王の配下達を倒していかなければならない。俺の目的は、あくまでも、ただ、それだけのことだ」

聖王と聖は魔王によって洗脳されており、今の二人は魔王の力の影響を受けている状態のはずだった 俺は「お前の魂を肉体の外へ弾き飛ばす方法って何かあるのか」と聖に語り掛ける 俺の言葉を聞いた聖王は聖に宿っているのは魔王に体を乗っ取られているのだと理解して俺

「聖王は今、魔王の精神攻撃を受けています。私は今の状態での聖王を乗っ取るのは容易だと考えています。なので聖王は聖剣を使えば、すぐにでも魔王に身体を乗っ取られるかもしれません」と言い出す。

俺は聖の意識が戻ってくれれば良いと考えていたのだが、やはり聖王は魔王に支配されており聖の身体は自由を奪われてしまっているようだった。そこで俺は

「魔王が、どうやって この世界に出現しているのかを知っているのかい」という俺が聖に対して話しかけると 聖王は「貴方は魔王が何者かを知っていて戦いを挑もうとしているのでしょうか」と言う言葉を口にするが、俺は聖の言葉に対して何も答えることが出来ずにいる。聖王は、さらに俺に対して「貴方は もしかして この世界の真実を知らないで、この場所まで辿り付いたのですよね。もしも本当に知らないというのなら私達の敵ではありません。ですから、どうですか。私と共に世界を救うために協力をしてくれないですか」と言われると俺は聖が魔王に操られているのならば俺を倒そうとするのではないかと考えてしまったのである。しかし 俺と聖の実力の差を考えれば魔王の身体に乗り移っている状態ならば聖の方に分がある可能性は高いと考える そこで聖は俺に向かって剣を振り下ろしてきた。

「どうしました。まさか、このまま殺されると本気で思っていたわけではないでしょう。私の攻撃を避けようとすれば、避けられたはずなのに何故 避ける行動をとらなかったのですか。その理由は、きっと私が聖王様ではなく魔王に身体を支配された存在だという事を知った事で動揺をしているからだと思いますけど、私としては残念で仕方がありませんよ」聖は そう言うと俺の顔面を目掛けて拳を突き刺してくる。そこで俺は何とか攻撃を交わそうと動くが聖の動きの方が速かったのか 腹部に大きな衝撃を受けてしまう。俺は地面に倒れ込み、そして聖の蹴りで、また地面へと倒れる。俺は「どうして、そんなにも強くなった」と問いかけたのだ。すると聖王

「私は、ずっと修行をしていたんですよ。貴方と出会う前も。それから あなたと出会った後でも、それは、ずっと同じこと」と言うのだった。それに対して聖は聖

「しかし、もう諦めて下さい。あなたの意識が完全に消える前に私が貴方の命を奪いましょう」と言うのだが俺はまだ死ぬつもりはなかった「お前の攻撃を受ける事は出来なくともお前を攻撃する方法はいくらでもあるからな」と言うのだが聖に対して攻撃を行う事は出来ずにいた 聖は「ならば大人しく死ね!」と言うと同時に飛び上がってきて拳を強く握り締めると俺の顔に殴りかかる。その一撃を受けて俺の首は胴体から離れてしまい頭部だけが転がってしまう。しかし俺の死体から流れ出た血は赤い液体となって空に浮かび上がると聖を包む込むかのように広がっていき全身を赤く染め上げていくのであった。それと同時に首から上の無い死体からも黒い炎が噴き出したと思うと首

「貴方が魔王の肉体を葬るために必要な聖剣は聖王が、ちゃんと所持しています。そして聖剣を手に入れるために私達は魔王を倒すために必要な武器を手に入れに行きます」と俺は聖に説明したのだった。俺は「魔王が復活するための時間を稼ぐ事に成功したら、あの男と俺を、もう一度殺しに来ると言っていたからな。それまで魔王を封じ込めておけば問題はないはずだ。魔王が復活した時に、もしも聖王がまだ生きていて聖剣を所持していれば俺達の勝利だからな」と言う 聖王の言葉を聞いて俺は「魔王の復活を阻止する事が出来たなら魔王は俺達に敵対する事はできなくなるのか?」と言う 聖王は「もちろんですよ。そもそも、あそこまで力を付けていたのも魔王を復活させないように頑張ってくれていたというのが大きいですからね」と俺の質問に対する答えを言うのだった。

「それで、どこに向かうのですか?」

「それに関しては俺が聖剣を手に入れた場所に行くのが一番いいんだけど とりあえず聖が聖剣の保管されている場所は、どの辺りにあるんだ」と尋ねると聖は聖剣が保管されていた場所に俺を連れて行きたいと、うい 聖王の言葉を聞く限り、そこに行かなければ、まずい事になるだろうと思い、まず聖剣の置かれている場所に行くことにした。

俺と聖王が聖剣の安置されている場所に辿り付くまでに聖王が魔王に体を乗っ取られてからの出来事を聞き、魔王が

「聖剣を使って勇者に宿る 俺の魔力の魂を引き離す事ができるのであれば 勇者の肉体に封印されている俺の力を 引き剥がせるようにする事が可能なのか 」と言ってきたが聖は「貴方の力で魔王を討伐出来るような状態にしなければ 貴方を宿した状態で魔王に勝てるとは思えません だから 私の力で貴方を倒す為の力を与えなければ魔王は倒すことが出来ないと 貴方も解っているでしょう 魔王に勝つには魔王と同等の力を秘める聖剣が必要なんです」と言ってくる。俺は魔王の言葉に対して何も答えることが出来なかったのだ そこで俺は魔王の体の中から俺を引っ張り出そうとしたが、うまく出来なかったのだった。俺の身体が魔王の力に汚染されていたせいなのか 俺は自分の体に何が起きているのか解らずに混乱していたのだが聖は俺に語りかけて来た。

「貴方は自分の体の状態を確認してみて、どうですか」

俺は聖の言葉に従う形で俺の体を調べると、かなり深刻な状況に陥っていたらしく俺が「これは 一体 どういうことだ 」と呟くと、それを見ていた聖が俺に話しかけて来る 聖

「貴方が、どうしようもないほどに取り返しが付かない程の状況に陥れられたとしても、まだ貴方を助ける事が出来る方法が存在しています」と口にすると、その言葉を聞いた聖王

「今の状態で魔王に戦いを挑んでも絶対に勝てないのに魔王に立ち向かうと決めた以上、もう手遅れだと、はっきりと言いなさい」聖王の言葉が聖の心に響く 聖王は心が揺らぎ始める。俺は魔王の言葉によって自分の身に、どのような異変が生じてしまったのかを自覚させられている最中であり自分の体を必死に調べるが 俺の体が既に手遅れだと気付かされ絶望してしまう。しかし そんな俺を見かねたのか 聖は言葉を投げかけてくる。聖は、さらに聖

「貴方には、もっと大切な物が存在しているはずでしょう。魔王は聖剣を使い貴方を救う手段は、すでに残されてはいませんでした。貴方が魔王に対して挑めば確実に魔王に打ち勝ち聖剣を奪う事が出来ると貴方は、この期に及んで言いたいのですか。それに魔王は、なぜ、わざわざ勇者を魔王に対抗できる力を持たせる必要があったのですか」と言われてしまう 聖王は何も言うことが出来なくなる 俺

「俺は、魔王を宿し勇者の力を持っている、今の俺なら魔王を打ち倒せると魔王が判断したから、魔王を宿している俺に対して、あえて魔王の力を与える方法を取ったのではないのか」と言うと聖は「確かに、それも一理あるでしょうけど それでも 魔王自身が魔王を滅ぼそうとする者を作り出したとしたら、いったい魔王は何がしたいのか私には全く分かりません」と俺が思っていた事を聖が代わりに言うのだが、その時、俺が考えていたのは「聖剣で俺が聖と聖王が宿っていた身体を切り離せば魔王を滅ぼすことができるかもしれないが それは 俺と聖王の二人で魔王に対して挑む場合のみだ。聖が、どのようにして聖剣の保管してある部屋へ辿り着くことが出来るか分からないけど もしも辿り着いていたのなら、それは不可能だった」と思っていたのだが聖は俺の考えを否定した。聖王は聖に向かって

「貴方が、もし本当に勇者である私を倒し魔王が復活し そして再び世界を支配できるほどの力を持つことが出来たというのならば魔王に対して戦い勝利を収めることができると思いますよ」と言うのだったが、しかし聖王は、そこで「しかし 貴方が本当に勇者として目覚めることができたのですか もしかして、ただ単に貴方が自分の実力で勇者になったと思い込んでいるだけではありませんよね」と言うと聖は聖王に攻撃を仕掛けてきた。

俺は「おい、どうして、そんな攻撃を聖に対して行ったんだ」と言うのだが聖は「だって貴方が私と同じような存在になれば聖は貴方の傍から離れることは出来なくなってしまのです。それは つまり貴方が魔王を倒すのを邪魔される可能性が非常に高くなってしまい もしも魔王に勝てなくなったら どうなると思っているのですか」と言われる。

俺が「どうして、俺が魔王に負ける前提で物事を進めているんだ」と言うと聖は「だって そうじゃないですか 魔王は貴方の体を宿にして魔王を宿した勇者を作り上げようと思ったのですよ なのに、貴方の体の状態を見れば魔王が、どれだけ酷い状態を作り出してくれたかぐらい貴方も理解できていると思いますよ」と言ってきやがった 俺は「まあな しかし お前と話をしている内に聖剣の置かれている部屋に辿り着けたぞ 聖 早く俺に魔王と話をさせてくれないか 魔王と話をつけなければならないから」と言うと聖王

「それは、こちらの方も問題がないと言えば嘘になります 貴方の体の中に宿っている魔王を私の体に戻す事は可能なのかという問題もあるんです」

俺は「じゃあ聖が言ったように俺の体に魔王の魂を呼び戻してくれ」と言うと聖王から聖に対して俺と会話をする権利を与えられた魔王の肉体から黒い炎が噴き出して魔王は俺の前に現れる

「貴様が どうやって魔王を呼び出し 聖の意識を奪った 答えろ どうして どうして聖から聖剣を奪う必要がある」と 聖王から

「魔王が復活した理由って、どんなのだったのか説明しても大丈夫かな?」

「えっ、まさか貴方も聖剣を魔王から奪い取ってしまったから聖剣の力を得た状態で魔王が復活してしまったのでしょうか」

俺「そうだ。お前が持っていた聖剣が聖の身体を奪い取った事で生まれた存在が魔王なんだよ」と俺 聖 聖王と俺 聖王が聖剣を使って俺と聖から魔王を引き剥がそうとしてくる 俺と魔王が一体化した事により魔王は肉体を取り戻している 俺「お前の持っている聖剣を使って俺を封印しようとしたところで無駄だ。なぜなら俺は既にお前が封印しようと努力をした魔王よりも格上の存在であるからだ」と俺が告げ

「だから俺が聖剣を使えなかった理由は分かるよな」と魔王に聞くと

「あぁ、もちろんだとも、だからこそ俺は聖剣に聖を封印させることにした」と言うと聖王は自分の剣を構えて魔王を切り裂こうとする 聖王は魔王に攻撃を加えていく。魔王に斬りかかった聖王の攻撃は、すべて空振りに終わってしまう 魔王は、ゆっくりと聖の前に姿を見せると聖王は聖に「私は魔王を討伐する為に、ここまで来たんです」と いうと魔王は「俺が、そんなにも、お人好しのバカ野郎だと思うのかい」と言うのだが聖王は自分の体に聖剣を刺して俺との繋がりを作ろうとする

「さっきから何をやってやがるんだ。やろうとしていることくらい俺には、お見通しだ やろうとしても お前の聖剣を使う能力なんて俺の前では意味のない行動だ」と言ってやった。

俺と聖王が戦おうとしたが 魔王の言葉を聞き入れた魔王の言葉に従い戦う気がなくなった聖は武器を捨てて俺の元に近付いてきて魔王の元に向かうと 魔王も、その姿を見るなり聖に駆け寄ってくる。すると俺は俺達の様子を確認する為なのか 俺に話しかけてきて その言葉を聞いた俺達は「お前 何者なんだ」と俺に

「何言ってんだ、俺の名前は、この世界の聖が付けた名前がある。その名は 光太郎 」と答える 魔王に宿っている人格に、その名前を伝えたところ魔王の中で記憶の断片が集まっているような感じがしたので、やはり魔王の記憶の中には 自分が転生してきた異世界での、すべての記憶が存在しているのではないかと思い始めていた。

「それで貴方は 一体 何の為に魔王の体に聖が居た頃に使っていた聖剣を持って現れたのだ。貴方は一体誰なんだ 何を目的にして聖剣を手に入れた」と訊ねてきた。それに対して俺は「まずは俺の事について話しておく必要が出てきたな 俺は別の世界から来ている勇者だ お前の知っている奴の、その世界からやって来た者と言えば分かりやすいだろう その世界では魔王は、まだ出現していなかったのに 俺の身体を魔王に乗っ取られてしまい この世界で、もう一度 人生をやり直す事になったんだ」と すると魔王は驚いた様子で「別の世界に、もう一人の自分が存在していて、それが魔王となって自分の前に立ちはだかるだと、これはどういう冗談だ。いや そもそも聖剣を手にしていて魔王と聖を、それぞれ従わせていた俺に、そんな事が出来るはずがないだ」と口にしていたが魔王は、そんなことを言っていたが俺の身体には聖王の身体があり さらに、その聖王の体には魔王の身体が存在していた。

「俺は聖剣を手に入れるまでは、聖と魔王の身体が宿っていた人間で 聖剣を手にした途端に、いきなり、こちらの世界に召喚されて、魔王として目覚めてしまったんだ」と言うと魔王は信じられないという顔をしていた 俺「そんな事を言っている俺だが 実は聖剣を持っている時に聖に体を預けてみた結果、勇者と魔王の力を同時に手に入れたんだ それ故に魔王は聖剣を持つことが出来なくなっていた訳だけど それでも、それでも魔王は俺と取引をしないのか」

俺は「魔王が聖の体を奪わず聖に魔王を宿させたままの状態で、そのまま放置すれば良いのではないか そうしていれば、いつかは勇者として目覚めることが出来る可能性が高くなる」と言った。

聖 俺は「貴方 もしかして勇者が魔王を倒さない方法を教えて 自分は勇者であると言いたいのですか」

俺「そうだよ 俺は 勇者と魔王の二つが同時に存在する状態なら魔王を聖に倒させる事ができると思ったんだけどな」と言うと聖は「確かに私も聖剣を持った状態でなら魔王を打ち倒す事が出来るでしょうけど 聖剣の力が無くなった後はどうするつもりなんですか」と言うと俺が

「魔王を宿した勇者を作り出した魔王の魂を 再び俺が取り込みなおす。そうする事によって、もしも魔王が、このまま勇者が復活することが無いのなら魔王の魂を聖剣の鞘の中に収めることが可能なはずだ」と言うと魔王は「魔王が 勇者が魔王を封印するために使う道具になるだって」と驚いていた。

聖は「でも貴方は、いったい聖剣の力を得て魔王に対して、どのような方法で対抗しようと考えているのですか もしかして貴方の力でも魔王を滅ぼす事は出来ないという事はないのですよね」

「お前が聖剣の力を得る前に 魔王の事を、どうやって封印するかという話になっているのならば俺の肉体が持っている勇者としての力を使えば魔王を倒すことは可能かもしれない だけど 魔王を倒すだけなら簡単だ。俺の力を聖の剣の力と一緒に使えば 魔王を殺すことが可能なはずだ」と魔王に言った 魔王「なあ 勇者は魔王の力を取り込むと言っていたよな 勇者に宿っている魔王の力は勇者の力に飲み込まれることになるんじゃないか」と魔王が質問をしてきたので

「そう言う心配をしてくれるとは意外と優しいんだな」と言ってしまった 魔王は少し恥ずかしくなったのか、それからは口を閉ざした 聖が「もしも、貴方に聖剣が使えない状況になった場合 もしも貴方の身体の中に魔王が残っている状態で魔王を封じる術が見つかった時は 魔王を封印することは出来るのでしょうか」と言うのを聞いて俺は

「魔王は俺の肉体から魔王が消えてしまうことになれば聖に魔王を宿らせることも不可能になって 聖が魔王から聖剣を取り戻すことも可能に、なるはずだ」と答えたので 聖が聖王に向けて 聖剣を渡した そして俺に対して聖

「魔王 あなたは本当に聖剣を扱えるのか試させて欲しい 聖剣を渡すから 私の手の中にある剣を振り下ろして欲しい もし、もしも聖剣を使えるようであったら聖剣が反応をすると思う」と聖は俺の体から聖剣を取り出すと俺の体に聖剣を突き立てた状態で振り上げる 俺は聖剣を振ってみるが何も変化がない 魔王 俺の体内に存在する魔王は「俺は聖の体内に存在していた時の感覚を、今も引き継げるようになっている。だから今のお前が使っている聖剣を振るう事も可能だと思うが お前は、どうしたいんだ」と言うのだった 俺 魔王に対して「聖剣を扱う事が出来るのは聖と魔王 それに、もしかしたら俺にも 可能性があるのかな 俺も一応、今は聖剣を扱っているからな」

聖王 聖は俺に向かって「貴殿が、これから魔王を倒しに行くというのは本当なのでしょうか」と言ってきたので 俺「その通りだ 俺の目的は、ただ一つだけだ 俺は、あの世界で魔王を討伐することが出来た唯一の人物だ だから俺が魔王を殺さなければ、他の誰も 魔王を討伐することはできない」と 聖王は俺の言葉を聞くと「聖は 私が守ります 絶対に死なせません 聖の身に万が一の事が起きたとしても 聖の傍には聖剣を宿した聖が居る限りは、どうにか生き延びてみせるつもりなので安心して欲しい」と言うのを聞いた 聖王は俺に向かって 何かを言いかけて それを途中で辞めてから聖は「貴方が魔王を倒そうとしているのは 聖剣が、そのように判断をしたと言う事ですね」と言う言葉に俺が「そのようだ。聖が俺を魔王に転生させようとした時に、おそらく俺の持つ魔王としての力は 聖剣が魔王に封じ込める事が出来なかった部分だ だから俺は、この世界に魔王を封じる為の存在として誕生してしまったんだ」と言うと 聖

「それでは、この先 勇者の貴方に魔王討伐の使命をお願いしても大丈夫なのだろうか」と訊ねてくるので俺は 俺「それは分からない 勇者として転生を果たした魔王の体は俺と同じ様な境遇にあるんだ その身体は、聖と俺との話し合いの末に聖に宿った状態だ」と伝えると 聖王

「それじゃあ貴方も、やはり聖に魔王を倒させるべきだと言っているんですね」

俺「違う。魔王を聖に宿らせたままにしておけば、いずれは俺が聖を聖剣で打ち倒し 魔王に俺の存在を消されてしまい聖に魔王の力を封印させる事も出来なくなってしまう。そうなると、やはり俺の存在が消え去る危険性があるんだ」と俺が話すと 魔王は俺に語り掛けてきた

「聖 俺は、こいつに聖の身体を譲り渡すことにした」

魔王が、その言葉を俺に伝えると

「お前 俺を騙して聖を聖剣の宿主にしようとしていたんだろ」と言うが魔王は答えなかった 俺「お前は、この世界に魔王が存在していても良いと思っていたんだろう」

魔王は黙っていた。

「おい!お前は、なぜ魔王として生まれ変わる事になった」と訊ねた 俺が 魔王に対して「お前が聖剣の力を手に入れる事が出来たのは 俺を魔王にする事が 一番の目的だったんじゃないのか 俺は勇者の魂として転生を繰り返していてな。転生を繰り返していたら自分が何者であるかも分からなくなり 気が付けば別の世界に来ていたんだよ」と言った後に 俺の中で一つの仮説が生まれていたので「まさか自分が勇者で無いことに気が付き自分の正体を知りたいと思って自分の前に現れた存在が自分の肉体を奪ったりしているなんて思ってもいなかっただろうな。だが自分が勇者ではないという事実に辿り着き それでも勇者であり続けたいと願い続けていた所に偶然 ザライドが現れてな それが理由で ザライの心に取り入り身体を奪うことに成功したという訳か」と言うが答えてくれなかったので別の話題に変えることにしたのだが「そもそも、そもそも、お前達3人はどういう関係なんだ?」と疑問を口にした途端、突然 ザライスとザライドが現れたのだったが 2人

「勇者様は私に全てを与えて下さいました。私は今でも彼の為に生きているつもりです」と言ったのだけれど ザラインが少し気になる発言をしてくれた「貴方達は私の命を守ってくれて本当にありがとうございました」と言うので俺が驚いた顔をすると2人が話しを始めた 魔王に対して 聖王が「貴方と話をしてみたいのですが良いですか」と言い出して、いきなり魔王を自分の元に呼び寄せたので俺は思わず驚きの声を上げたんだけど聖は気にせずに「貴方も勇者であるならば分かるはずです。私たち人間は人間以外の生き物によって支配されていた歴史が長い種族でしたし今現在だって魔物が暴れていたりしています そんな世の中だからこそ私達は、もっと強くなって欲しいと思っているのです。その為の方法が勇者なのかもしれません」と言うと 魔王「俺は勇者なんかに興味はねぇ」と言うが 俺「お前 魔王に聖剣の力が通用しないのが悔しくないか 魔王は、どうして聖剣が通用するような存在にならないんだ」と言うと 魔王「なるほどな 確かに 聖剣の力が通用しなかった理由は聖剣が聖の体に宿っていた影響だ 聖の体と魂は別に存在する物だ」と言うと 聖が「魔王は魔王の体を使って何をしようとしているのですか」と言うので 俺が 魔王に向かって「お前 俺を騙して聖を操ろうとしていたけど 聖を聖剣の力を宿す聖王にして魔王を宿す魔王の王にするつもりだったんだろ それで聖は魔王を封印するために魔王の力が必要になるはずだ」

魔王「ああ 聖は聖王になるはずだった」と言うと 俺「聖は聖剣の力を使えたよな あれって実は聖が魔王に近づきすぎて 魔王と精神を繋げた事で聖が聖剣に愛されるようになったから 使えるようになったんだ」

魔王「聖は、いつ 聖剣の使い手になったのか覚えていないようだが俺は聖に勇者になって欲しかっただけだ。勇者の聖になら俺を宿らせてやっても良いとも思っただけだ 魔王の力を使えば聖の体を乗っ取ることが出来る」と言うと 聖「貴方が勇者にならなくても勇者の力は いつか聖王の肉体を得ることになるのならば、その方が良かったと思う」と 聖は答える

「それじゃあ 魔王が、もし仮に聖剣に宿る事が出来ず聖の体に乗り移ることが出来なかったとしたら、どうするつもりだった」と俺が尋ねると答えを待っていたらしく直ぐに「魔王は俺に肉体を返してくれていたはずだ 俺が魔王になっていたかも知れないが、そうなったとしても問題は無かったと思うぜ。俺が望むのは 聖と魔王を一緒にする それだけだ」という答えが帰ってきたので俺が納得をしてしまうと 聖王は「貴方が言ったように聖王になれる可能性が少しでもあるのであれば、それは素晴らしい事のように思います」と言うのを聞いて俺は少し嬉しく思えた

「なあ。聖王や勇者王 お前たちは これから何を望むんだ」という問いに対して「私達には守り通したいものが沢山あるんです。私の国は私の国の民を守ることが出来なければ滅んでしまうでしょう。私の国民だけではなく世界中の人達を守り抜く事が出来る国を築きたいと願っているんです」「ふぅん でも、その話だと、お前達の力では守ることが出来ないから助けを求めたと言う感じにしか見えないなぁ」と俺が指摘すると聖が慌てて言い始めた 聖王の言葉を聞いて俺は驚いてしまったのだが何故って、その言葉に心当たりがあったからだよね その話は以前に聞いていたんだよ魔王は勇者の力に滅ぼされてしまうと言っていたんだけれども、その話が本当だと仮定

「お前の身体は勇者と魔王 両方の性質を兼ね備えた身体になっているんだ つまり勇者でありながら魔王としての魔力を持つ身体なんだよ 聖は聖剣が、そう言う風に調整してくれると思っていたらしいぞ その聖の勘違いは仕方が無いとしてだ。勇者は魔王に対して聖を倒さなければ自分が消滅をするという気持ちを植え付けられていたそうだ」と言うと聖王は不思議そうな表情を浮かべて考え事をし始める 俺は俺の中に封印された魔族に向かって語り掛けるように意識を向けた「お前が、これから行う事は分かっているな。お前の力を全て使って世界を救えそうか?」と言うのだが答えが無かった ただ黙って沈黙を貫くだけだったのだけれど 暫くの間、沈黙が続いた後で声が再び聞こえてきたのだけども今度は質問ではなく頼みごとをするような内容だったので聞き流せないような言葉を口にしてきたんだ

『もしもだ この先何かが起きた時に勇者は魔王を倒す事無く聖王に魔王の討伐を依頼してくれないだろうか。あの世界の住人達が困るだろうから』と言って来たのだ その件に関しては俺

「魔王の身体を聖の体に憑依させてくれれば、俺も文句はない」と答えた。その言葉に対して魔王が口を挟んでくると俺に対して『お前は勇者として、この世界で聖剣を扱える唯一の者だった。お前が聖剣の宿主に選ばれて、それから勇者として覚醒を果たした。だがお前は既に、その身体は勇者ではないと口にしているではないか。それに、お前は勇者だった頃に勇者では無くなる事を恐れていた。勇者を辞めても構わないと言うのならば魔王である俺を受け入れてくれないか」と言う。それに対して 俺「勇者として生きたかったのは事実だよ だけど俺には勇者だった頃の記憶が無くなっていた。そして勇者として生きていた頃の自分の力さえ取り戻せなかったんだ。だから、こんな状態の俺は既に勇者では無くなったと考えるしか無かったし聖剣を扱うことの出来る人間は他にもいると思っていた」と返答をする。すると魔王が笑みを見せると話し始める 魔王が語った内容は 勇者とは魔王に対して有効な攻撃を行える唯一の手段を持った人間なのだとか、それが勇者と言う存在なのであり その力を持つ人間のみが魔王にダメージを与えることが出来るようになる訳なんだ

「それで、お前は、どうやって俺にダメージを与えられると思ったんだ?言っておくけどな。聖も魔王も共に神剣としての性質を持ち合わせている。聖と魔王は共に同じ属性の神剣である」と言った上で魔王は続ける 勇者が持つ聖剣の能力の一つが魔王に対しても効果を発揮させられるはずであり実際に

「俺は勇者だった頃から魔王に効果的なダメージを与えられていたしな。俺の持つ聖剣と勇者の使う聖剣は 元は一つの存在なんだよ。お前に貸し出す形にしても勇者に返却するような形でも良いが 聖に使わせるという選択肢は 勇者の聖への扱いを考え直す切っ掛けになる可能性がある」なんて言葉を発して俺に向かって「俺は勇者に魔王を倒して欲しかった。ただ勇者に俺を殺すと言う罪悪感を少しでも持たせることが出来たのなら満足だ。俺を聖王の元に返してくれると言うのなら俺を聖の身体に寄生させてやっても良かった お前が、そう思うか 魔王が聖王の肉体を奪うことで魔王を滅ぼすと言うのであれば俺の願いは成就した しかし 俺を聖王の体に移すというのであれば、俺が聖王の身体を奪い取っていただろう 俺が魔王になったとしても、勇者が俺を殺せなくなってしまえば良いのだ」と魔王は言う そこで俺は気が付いたのだ。魔王が何を考えているのかを理解できたので、ここで改めて、もう一度 勇者は魔王を倒し魔王は勇者に負けなければならないという法則について説明を行うと 俺の話を聞くと魔王は 俺に尋ねてくる

『それで 俺は どうすれば

「俺は聖王になるつもりはないし 魔王にも興味がない。俺は聖に勇者の役目を継いで欲しいとまでは言わない。

勇者は聖剣が担ってくれればいい その方が俺にとっても楽が出来るんだ」と言うのだったが聖王が少し残念そうな顔を見せてから、ゆっくりと口を開く 聖王が「私が、貴方に頼める立場じゃないと思いますが私に勇者の役目を引き継がせて貰う事は出来ませんか 私の身勝手なのは分かります 私を信頼してくれなくて結構です 私は聖王になって国を護りたいのです ですが私の国だけで国を守れなければ 結局、何もかもが失われてしまいかねないと思うのです ですので貴方が私を認めてくれるまで待ちます 貴方が認めてくれるような立派な人物になります 貴方に認められるよう頑張ります ですので私を聖剣の力を宿す聖王にして下さい」と言い出したので魔王は呆れたような声で言い放った「お前 俺に認められたければ聖王になるしかないぞお前が、それを受け入れる事が出来るのであれば、俺は聖剣を使って、お前を勇者にするぐらい簡単なんだ 魔王と聖は元は同じ存在であるんだからな お前が聖剣の力を使えば、その程度の事は簡単だ」と魔王が話す その話を聞いて俺は、魔王に提案を行った 俺「俺に考えがある 聖は聖剣を使って聖の身体を手に入れろ お前が俺の力を使って聖の身体に宿れば 聖が勇者になって 魔王の宿っていない お前を聖剣の力を宿している状態に戻すことは可能だ 俺と聖王の契約の時と同じ状況を作り出せるはずだ」と言う 聖は「貴方の提案に甘える事になるのでしょうね 本当に、こんな形で聖剣を使えたとしても嬉しくはありませんが、今の私は勇者として生きていく覚悟はしています。貴方の力を借りることになっても構いません」と俺に対して言い放つと魔王が「聖 お前を俺が宿っている聖の王の肉体に入れることが出来るぞ」と告げると「それは、とても魅力的な申し出なのですが 貴方は、そんな話を信用しろと言われても、すぐに納得することなど出来るものではありません。だから貴方が、そう言うことが出来ると言うことを 今直ぐに見せて下さい」と言う 魔王は笑いながら「俺の力は、そういう類のものだ。お前が信じなければ、どんな力を持っていても無駄になってしまう。だが俺は聖を裏切ったりする意思は一切ない 聖が俺の力を信じられないと言うのであれば俺は聖を信じるよ」と語ると、それを聞いた聖王は、しばらく考えると決断を下したらしく「分かりました 今は、この場は、あなた達を信じてみましょう ただし、もしも私を裏切る様な事をするようなら許しませんよ」と答えたのである。そして魔王は聖王に、そのままの姿で魔王の力が使えるように俺の力で一時的に封印を解くことを行い。俺が「勇者の力を取り戻して欲しい」と告げたら 聖が「貴方が望むのであれば 勇者に戻ります」と言ったので魔王が「お前には俺の力が使えないように細工をしておいた 聖剣を扱えないのに勇者を名乗る資格は無いぞ」と言ったのであった

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勇者パーティに捨てられたポーターは実は最強?~アイテムボックスがいっぱいになると魔力が回復するスキル『無限収納』のお陰でした~ あずま悠紀 @berute00

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