第82話 ダンジョンマスターLv7

【所有ダンポが4,000,000を越えております。ダンジョンマスターLvを6から7に上げますか?】


 玉座に座って増えた支配街を眺めていると、ダンジョンマスターレベルアップができるという。

 それにしても眷属達の頑張りだからか、とんでもない速さでダンポが貯まって行く。

 毎日獲得しているダンポは支配街を増やす時に殆ど使っている。

 そこから少しずつ増えるようにはなったが、それだけでは増えないのだ。

 ここまでたくさん増えたのは、俺の足元で嬉しそうにこちらを見上げているアス達のおかげなのだ。


「アス。そんな場所がいいのか?」


「はい☆ ここからマスタ~の顔を見上げていたいんです☆」


 最近ルゼばかり構っているのだが、昨晩一番激しかったのはアスだった。

 今日も珍しくわがままに突撃してきては、玉座に座っている俺の足元の地べたに座って見上げているのだ。

 まぁ、アスがそれでいいなら構わないが…………できれば、俺の膝の上に座って欲しいと思うのは欲張りなのかも知れない。


「それはともかく、アス達のおかげでまたダンジョンマスターのレベルを上げられるようになった」


「本当ですか!?」


「ああ。ルゼやレヴィと一緒に頑張ってくれたアスのおかげだ」


「えへへ~☆」


 こんなに嬉しそうなアスは久々に見かける。

 やっぱりルゼのためを思って色々我慢していたんだな。

 やっぱり俺は素晴らしい眷属に囲まれていると思う。


 さて、ダンジョンマスターのレベルを6から7に上げよう。




 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐



『ダンジョンマスターLv7』


 フロア追加(11) …… 1,000,000



 Aランク魔物生成 …… 100,000


 Aランク素材ドロップ追加 …… 1,800,000



 レーダー&アラーム(9) …… 90,000


 レーダー&アラーム(10) …… 100,000



 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐




 レベル7の内容だが、非常にシンプルな内容だ。

 今までレベルを上げて来た中からすると、一番シンプルか?

 目玉となるのは、フロア追加なのだが、既にフロア追加は余らせているくらいなので、恩恵を考えれば非常に少ない。

 今回増えたAランク魔物生産だが、これもダンポが10万も必要となるので、そう簡単に生産できるモノではない。

 となると、今回レベルを上げてよかったのは、眷属達のレベルが600から700に上がる事くらいか。


 今までダンジョンマスターのレベルを上げると何か大きく変化していたのもあり、少し残念に思ってしまうが、眷属達が強くなるならそれでいいかも知れない。


「マスタ~☆ おめでとうございます」


「ありがとう。やはり、俺は素晴らしい眷属達に囲まれているな」


「えへへ☆ レヴィ達も喜びます」


 丁度届くアスの頭を撫でていると、ノックの音が聞こえてメイド隊の女の子が一人入って来た。


「ご主人様。至急お耳に入れたい事がございます」


「うむ。話してみろ」


「支配が完了した王国の西部ですが、さらに西部に進んだ王国外の領地に外部勢力が存在しておりまして、現在西部の防衛軍と衝突しております」


 彼女に言われてすぐに西部の街々をモニターに映す。

 王国領の最西端の街を映すと、丁度街の防衛に当たっていた魔物達が何者かと戦っている様子が見えた。


「ん? あれはなんだ?」


「はっ。大陸西側の大森林を支配しているエルフ族という異種族でございます」


 エルフ族!?

 なるほど…………異世界なら異種族がいても不思議ではないな。


 モニターの映像をより拡大してみると、魔物達戦っているのは全員が美形で耳が尖っている人だった。

 間違いなくエルフ族そのものだな。


「どうしてエルフ族が我々を攻撃する」


「はっ。魔物の大軍勢による侵攻をエルフ族が重く見たようで、魔族は契約を違反した。これからエルフ族も戦いに参戦すると話しておりました」


「ふむ…………」


「マスタ~☆ 全員滅ぼして来ます☆」


「ま、待て。怒るアスの気持ちも分かるが、魔物達はどうせまた復活する。それに一つ試したい事がある」


「試したい事でございますか?」


「Dランク魔物でオーク、Cランク魔物でサイクロプスだったな? 他にも色んな種類があると聞いているが、制圧に関してはこの魔物が一番効率が良いと聞いている」


「はい☆ 防衛に適した魔物もいれば、信仰に適した魔物もいます」


「それならまだ試していないBランク魔物と今回新しく増えたAランク魔物を試してみようと思う。ただ――――」


「ただ?」


「ふむ…………エルフ族は美しいな」


「っ!?」


「殺すには勿体ないと思ってな」


「…………マスター★ 私に良い考えがございます」


 急にドス効いた声のアスに一瞬驚いてしまった。


「あ、ああ。ど、どうしたのだ?」


「はい★」


 それからアスからとある作戦を提案された。

 承諾したいかと言えば、少し躊躇してしまう内容だったが、何故かものすごく怒っているアス様の頼みを断る事ができず、承諾してあげた。




 本当に怒っているアス様は世界で一番恐ろしい。




 - 獲得ダンジョンポイントが8,000,000を超えました。ボーナスが与えられます。好きなボーナスを選んでください。-


 - ①眷属強制成長(獲得済み)、②眷属視界共有(獲得済み)、③眷属音声共有(獲得済み)、④眷属連携転移、⑤眷属スキル共有 -



 既に①~③まで獲得したボーナスから次の選択肢としては④と⑤になるのだが、今回のエルフ族の侵略により、アスに任せる事になった。

 アスのために、眷属達を自由に使えるようにと④の眷属連携転移を覚えた。


 このスキルは実に有能で、眷属同士ならいつどこにでも瞬時に転移できる優れボーナスなのだが、ダンジョンの中であればそれほど必要ではない。

 特にこのスキルを大いに利用する事になる守護眷属達もダンジョンの中なら自由に転移するためにここまで獲得を見送ってきた。

 だが、最近になってダンジョンの外にも範囲を広げているため、このスキルはますます有用に感じる。

 今回のエルフ達を攻める作戦では大いに役に立ってくれると嬉しい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る