第76話 ダンジョンマスターLv6。そして、
【所有ダンポが2,000,000を越えております。ダンジョンマスターLvを5から6に上げますか?】
王国北部全土を占領して、毎日届くダンポの量が驚く量に変わっている。
祈りから得る量も凄いが、犯罪者が増えたのも大きな利益となっている。
監獄に送られた罪人達はずっと生かされながら、ダンポを供給し続けているのだが、不思議なのは、それがずっと続いていて、どんどん加算され続けているのだ。
レヴィ曰く、ヘルサイズの玩具――――元第二騎士団員達が入って、抜けられた事による効果ではないかという。
頑張って働いていれば、いつか外に出られるなら、彼らも必死に刑期を全うするはずだ。残念ながら終わりのない刑期を。
そんなこんなで、毎日増え続ける街を支配下にするためにダンポを使い果たしていたのだが、遂に支配下でも減らなくなり、今ではダンポが200万も貯まってしまった。
さては、レベルアップも久しぶりだな。
レベルがいくつまであるのかは知らないが、5を超えるというのは、色々感銘深いモノではある。
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『ダンジョンマスターLv6』
フロア追加(10) …… 500,000
Cランク植物生成 …… 1,000
Cランク動物生成 …… 10,000
Cランク鉱物生成 …… 10,000
Cランクガーディアン生成 …… 2,500,000
レーダー&アラーム(7) …… 70,000
レーダー&アラーム(8) …… 80,000
鉱山作成 …… 1,000,000
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レベルが上がり、6のリストの中に遂に次のランクのガーディアンが出て来た。
それにしても、250万とはまた凄く高い。
ただ、以前から手に入れている赤い卵のおかげで125万あれば、Cランクガーディアンの生成もできるはずだ。
次に鉱山作成。
こちらは100万という単位だが、鉱山という事は金属が採れるという事か?
【鉱山は監獄と連動し、罪人達の労働をダンポから金属に変える事が可能です。ダンポと金属の比率も変更可能です】
ほぉ…………今までの農場などとは違って、こちらは監獄の追加の部分だったのか。
まぁ、金属が今すぐ欲しい訳ではないので、これは少し後回しだ。
そして、最後は遂にCランク植物生成だ。
これは俺が一番待ちに待った待望のモノでもある。
しかし、一つ気にしなければならないのは、使用ダンポがさらに10倍増え、Cランクともなれば、1,000もの量が必要だ。
一見、一本分と考えれば、まだまだ安い。
けれど、最下層に作ってあるDランク植物は、既に1,000本を超える。
となると、それを全て植え替えるとすれば――――100万ほどのダンポが必要になる。
真っ先に優先したいのは山々だが、ずっと待たせている赤い卵を優先させようと思う。
レベルが上がった事で、眷属達全員のレベルが500から600に上がったのを確認した。
◆ ◇ ◆ ◇
数日後。
【ダンポ1,250,000及び赤い卵を使用し、Cランクガーディアンを生成します。】
守護眷属、アメリア、シャーロットが見守る中、目の前の浮遊して赤く光り輝いている卵から禍々しい霧が溢れる。
すぐさま、霧の中から圧倒的な気配が周囲に放たれる。
守護眷属は全員が同じ強さだとレヴィが言っていた。
なのに、それをあざ笑うかのように、その中から放たれる気配は圧倒的な強者そのものである。
守護眷属はともかく、アメリアとシャーロットはその姿に身体を震わせた。
そして、
「グルァアアアアアアアア!」
大きな咆哮と共に黒い霧が一瞬で消え去り、中から小さな身体が地面に落ちる。
彼女は赤い髪を持ち、赤い髪は長いが不思議と重力に逆らって空に向かって飛んでいる。
その中から地面に手と足の四つ這いで俺を睨む鋭い赤い瞳が見えた。
殺気を放つ彼女の飛び込みと同時に、守護眷属達が止めようとするが、手で制止する。
阻む者がいない空間を一瞬で飛んできた彼女は――――俺が付き出した左手に全力で嚙みついた。
「ルゼ! いい加減にしなさい! 主様に噛むつくなど! ――――主様?」
「よい。構わん」
視線だけで弱い者なら耐えられず死んでしまうと思われる殺気。
それを放つ彼女の殺気の中から――――――悲しみが感じとれた。
全力で俺の腕に噛みつく彼女だが、それが痛いかと聞かれれば、全く持って痛くない。
アスから聞いた話では、眷属が俺に傷を付ける事は不可能。
それは節理であり、真理でもあると言っていたのが、ようやく理解できた。
彼女がどれだけ俺を傷つけようとしても、俺は彼女から絶対に傷つかない。
だが、どうしてか――――――心が痛い。
「ルゼ。そのままでよい。聞いてくれ」
「グルル」
「お前が怒っている理由は分かる。最も先にお前を優先するべきだった。けれど、俺はお前よりも先に違う選択肢を選んだ。それはここまで支えてくれた仲間を優先するためだ。だがそれによってお前が悲しんだ事に変わりはない。だから俺は逃げない。好きなだけ俺を噛み続けてよい。だが、これだけは言っておこう。
お前もレヴィ達と同じく、俺の大切な守護眷属だ。これからよろしく頼む」
俺は必死に噛みつく彼女の頭を優しく撫でる。
彼女に謝るべきだと思う。でもそれは他の眷属達に申し訳が立たない。
ならば、これからの時間を優先するべきだと思う。
彼女の怒りがいつまで続くかは分からないが、俺は彼女を自由にさせようと思う。
俺の左腕に噛みついているルゼの瞳から、美しいとさえ思える涙が溢れた。
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