第64話 第二騎士団の侵入

※名前間違えました……本当にすいません…………実はゲイルくんの名前はケイルくんだったんですが、いつの間にかずっとゲイルくんになっていて……このままゲイルくんとして頑張って生きて貰います!(作品内でゲイルくんの表記の方が多かったため)




 玉座の間からモニターを展開させてダンジョン内の出来事を眺める。

 一つは4層に当たる嫉妬の間――――レヴィの階層。

 嫉妬の間には16人の女性と団長が中央にある俺の銅像に向かって祈りを捧げている。


 まさか団長もああいう事をしているとはな。


 もう一つは1層に入って来た騎士団の面々を見つめる。


「1層が変わっているな」


 先陣を切った男が声をあげる。

 この男には見覚えがある。たしか、団長の元部下で、アスがわざと逃した騎士団員だ。

 だが、彼の頭の上に表示されているレベルとか、以前とは比べ物にならないくらい上がっている。この世界でレベルがどれだけ上げにくいのかはギブロン街の住民を見て理解している。


 例えば、彼らが一生懸命1層でFランク魔物を倒し続けても数か月でレベル3止まりとなっている。

 団長曰く、各ランクの魔物で上げられるレベルの上限は決まっているそうだ。だからなのか、パーティーで強い魔物を狩り続けないと、レベルを上げ続ける事ができないそうだ。


「まさか2層への入口すら視認できるとは……」


「団長。ここ本当にダンジョンなんすか?」


「ああ。随分と様変わりしたがな。とにかく2層に向かうぞ」


 騎士団員全員がまとまりがなさそうで、意外にも足並みはそろっている。

 俺でも彼らが荒くれ集団なのは一目で分かる。レベルも全員が3桁になっているから、王国内ではかなりの実力者だろう。


 新しい団長がレベル120、その他が大体100から110の間。


 シャーロットがここを訪れた時、王国内でも最強と呼ばれていてレベルが130だった事をかんがみると、彼らが如何に優秀な人材かくらい分かる。

 高いレベルも相まってか、一瞬で2層に移動した。


「なっ!? ここは……」


「団長。知っているんですか?」


「間違いない。ここは1層だ」


「元1層……」


「以前訪れた時よりも遥かに広くなっている。だが、この構造は間違いなく元の1層だ。という事は1層の上に新しい1層ができたからこの階層が2層にズレたのか」


 やってきただけあって、冷静に分析できているな。


「どうします?」


「…………本来なら一度離れて第一騎士団にも要請を送りたいところだ。だが俺はこの先に進みたいと思う。お前達はどうする?」


「がーははは! 水臭いじゃないですか! 俺達みたいな荒くれをまとめた団長とは思えませんね。俺達が逃げるとでも?」


 すぐに後ろから「そうだそうだ!」と野次が飛ぶ。

 それくらい新しい団長との絆が深いのだろう。


「……ありがとうは言わないぞ」


「そんなのいりませんよ。帰ったら酒奢って貰いますけど」


「全財産をかけて奢らせて貰おう」


「よし! 言質げんちは取りましたからね」


「ああ。では一気に駆け抜ける。付いてこい!」


「「「「はっ!」」」」


 新しい団長は才能が『斥候』というモノで、周囲の地形を調べるスキルがある。

 早速そのスキルを利用して、迷いなくダンジョン2層のくねくねした洞窟道を走り抜ける。

 一瞬で3層への入口に着くと、Eランク魔物を沸き狩りしていた冒険者達が大いに驚く。

 騎士団の面々が凄まじい表情で降りていく様を冒険者達が不安そうに見守る。

 只事じゃないと思ったのか、騎士団が全員降りたのを見守った冒険者達が1層に戻っていった。

 恐らく冒険者ギルドへ報告に向かうのだろう。


「3層も変わりないな。壁の中から魔物が溢れて来るかも知れない。気を付けろ」


「「「「はっ」」」」


 一瞬で駆け抜ける彼らは、オークを一瞬で倒して4層へ向かった。






「っ!? ここからが本番だな」


「間違いないっすね」


「中央に強力な気配を感じる。戦いは避けられなさそうだな」


「…………ええ。とんでもない存在がいますね。やっぱり魔人ですかね」


「さあな。恐らく魔人だろうな」


 4層である嫉妬の間は入口から真正面に大きな街路が続いていて、そこを進んで行くと中央広場に到着する。ちょうどそこから同じ距離を進めば下の層へ降りる入口があるのだ。

 騎士団がゆっくりと街路を進んでいくと、中央広場で祈りを捧げているシャーロット達を見つけた。


「あれはなんすかね……?」


「もしや『ヘルサイズ』とやらなのかも知れないな」


「あぁ……スタンピードから街を救ったとされる英雄でしたっけ」


「そうだな。確か名を『トロッシャ』と言ったかな。聞いた話通り、複数人であったな」


 ほぉ……たった一回しか姿を見せてない『ヘルサイズ』と『トロッシャ』の名前を知っているとは…………と言いたいがその理由は知っている。


「昨晩の女性達には感謝っすね」


「そうだな。こういう情報はありがたいな」


 俺の銅像に祈りを捧げている『ヘルサイズ』の面々が祈りを辞めて立ち上がる。

 全員が真っ黒いローブのような物を身にまとっているが、中の衣装も黒に統一された衣装を着ている。

 さらにその顔には、素顔が見えないほどに大きな仮面で覆われていて、一目で『死神』を連想させる形をしているのだ。

 彼女達を判断できるとすれば、後ろから伸びている髪だけだな。

 騎士団16人が着くと、ヘルサイズ16人が横に並ぶ。


「急な訪問失礼する。俺はレイジネ王国第二騎士団の団長ゲイルと申す!」


「……私はヘレン。『ヘルサイズ』の副団長です」


「ヘレン殿か。答えて頂きありがたい。すまないが少し聞きたい事があるが答えてはもらえないだろうか」


「…………その前に」


「うむ?」


「貴方達の目的を…………」


「とある人を探して来た! 名前はシャーロットという女性で特徴は金髪と高い身体能力を持っている!」


「…………ふふふっ」


「?」


「彼女を見つけてどうするつもりで……?」


「それはもちろん――――――連れ帰る」


 直後、ゲイルが剣を抜いて一瞬でヘレンの首元に剣を当てた。


「シャーロット様を知っているな? 知ってる事を全部教えて貰うぞ」


「…………」


 騎士団が一斉に剣を抜いた。

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