無知な令嬢に罪があるのなら真実を明らかにしましょう
NALI
第1話 何も知らない
ドーーーーーン
ガラガラガラ
近くにミサイルが落ちたんだ
「お父様とレオは王都に行ったばかりなのに」
私は震えるお母様を支えながら、地下へと避難する
「ジェミー!執事長と一緒にこの伯爵邸の使用人全てを地下へと案内して来て」
「はいお嬢様!」
一週間前までは戦争が起こるとは思わなかった。 近隣国とは友好関係にあるって聞いていたから 戦争が起こる予兆も情報も何もなかった。 だから何も準備なんかしていない。
お父様と弟のレオが王都に呼ばれたのが先日 その次の日から空爆が始まった。
・・・・・・ 本当に何もなかった!?
ううん、変な事はあった。
先月、15歳の誕生日を迎えた日に この国の第一王子様の婚約者候補になったとお父様に言われた。
お父様も不思議そうに言っていた。 第一王子様には侯爵令嬢のイザベラ様が婚約者としていらっしゃるのに、伯爵家の娘が第一王子様の婚約者候補になるのはおかしいと、しかも第二王子様にも婚約者はいる 何のために婚約者候補になったのか ご成婚されて側室として話しが出るならまだしも、このタイミングは変だと。
しかしお父様が国王からの命令に逆らえるはずがない。 承諾して帰ってきた。
それから数週間して王都からの呼び出し・・・・・ お父様とレオだけ、私と第一王子との顔合わせじゃなかった。
私も王子様との婚約は期待してなかったし 勘違いで候補になってしまって、 その破談の話しで呼び出されたんだろうって勝手に思ってた。
私は何も知らなかった。
私が婚約者候補になった理由
お父様とレオだけが王都に呼ばれた理由
今、隣国からこのリシャール伯爵領が攻撃されている理由
私は何も知らなかった。
きっと国が周りが何とかしてくれる。
私みたいな無知な令嬢には何も出来ない ただ地下で身を潜めるだけで精一杯。
2週間程空爆が続いた、たくさんの人々が死傷した リシャール伯爵領地だけじゃなく他の領地もたくさんの被害を受けた。
ドンドンドン
パラパラ
地下の扉を誰かが叩く
「お母様、お父様が帰って来たのかも!」
私は物音に怯えるお母様を抱きしめたまま話しかけた
「クロエ・・・・もし敵国だったら?怖いわ」
お母様は恐怖で全てが怖くなっていた
「執事長!扉を開け・・・・・・」
私が言い終わらないうちに扉が外から蹴られて開いた。 そこにいたのは この国の王宮騎士団だった
「やった〜!助かったんだわ」
私は嬉しさのあまり 使用人達とハグをして喜んだ。
騎士団長らしき人が 冷たい表情のまま
「クロエ・リシャールはどれだ?」
え? 今呼び捨てされた?
その声は今まで生きてきた中で1番恐ろしい声だった
「わ、私ですが」
そう言った瞬間、使用人達から引き剥がされ、地面に顔を叩きつけられた
「クロエーー!!!」
お母様が私を呼んでるけど、あまり聞こえない。
頭を地面につけられた衝撃で鼓膜が片方破れたのかな 右耳が凄く痛い あまり聞こえない私に向かって その恐ろしい声の主は こう言った
「アルホンス国へのスパイ容疑並び戦争勃発の罪としてクロエ・リシャールを投獄する」
は?スパイ?
私自国から出た事ないんだけど 15歳の少女が戦争なんて起こせるの? 意味のわからない罪で私は王宮騎士団の人達に引きづられながら馬車に入れられた。
「クロエー!!クロエ!」
「お嬢様ー!」
お母様や使用人の人達の声が何となく聞こえる。
でも私は意識を失った
王宮の牢屋に入れたれた私は、水さえ与えられる事はなかった。 意識を取り戻してすぐは
「何かの間違いです!」
「お父様に会わせてください」
いろいろ叫んでみたけど 牢屋の近くには誰もいないただ私は鎖で両腕を繋がれているだけ
「右耳が痛い」
「お母様大丈夫かな」
私が何をしたんだろうか。
何も知らないのに 3日水を飲まないだけで苦しくて仕方ない。
喉が渇く。
お腹が空いても我慢できるけど 水だけは我慢出来ない
「み・・・・水をください」
声にならない声で叫んでも近くに誰もいないのだからどうしようもない お父様が助けに来てくれる レオが絶対に助けてくれる それを信じて牢屋についている湿気を舐めて渇きを我慢したけど 1週間で私は立てなくなった 。
1週間誰一人来なかった 私がスパイって言うなら事情聴取してよ。
私が悪かったのなら謝るから
いっそ殺して欲しい。
そう思った頃はもう身体中に力が入らなかった。
カチャン
誰かが牢屋に入って来た。
でも顔も上げられず寝転んだまま体は動かなかった。
入って来た人はとてもいい香りがした
申し訳ない気持ちになった私は今どんなに臭いのだろう。
誰だろう何も喋らない
「レ・・・・・・オ・・・・・?」
私の頬に温かい何かが一粒落ちて来た。
涙?
私は確認することも出来ず、 とてもいい香りがする中、私は意識がなくなった。
その後牢屋はまばゆい光を放つが誰もその光景を見ていない。
✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳
「おはようございます。クロエお嬢様」
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・夢?
懐かしい夢でも見てるのかな? 死ぬ前にもう一度幸せだった頃の夢を・・・・・
目を開けると、
見覚えのある天井
ふかふかのベッド
懐かしい匂い
・・・・・・・・・匂い?
私はバッと起き上がった
「お嬢様!昨夜高熱を出されたので、急に起き上がってはいけません」
ジェミーが心配そうに私を見ている。 「高熱?」
「はい。昨夜急に高熱で倒れられて、先程まで旦那様も奥様も付き添っておられたのですが、お嬢様の熱が下った事に安堵され先程お部屋へとお戻りになられました。レオポルド様もお部屋にどうしても入りたそうでしたが感染ったら大変だと言われ、お部屋に入れずお部屋の外でお待ちになっていたようでした。しかし8歳のお体には大変だったようで・・・・・」
「8歳!?レオが8歳?私の弟のレオは13歳じゃ・・・・・」
「お嬢様?熱で頭がぼーっとされてるのでしょうか?レオポルド様はお嬢様の2つ下の8歳ですよ。お嬢様は明日10歳の誕生日を迎えますから、今日はまだ1つ下ですね」
明日で10歳?
私は慌ててベッドから降りた
「お嬢様?」
近くにあった姿鏡で自分を見た
そこにいた私は 見るからに幼い9歳の女のコが映っていた。
これは夢? 現実?
扉のドアがノックされる
コンコンコン
「お姉様!レオです!入ってもいいですか?」
「レオ・・・・・・・・」
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