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ベニテングダケ

Start of operation 幻影の彼女

「あなた⁉︎ねぇ!危ないわよ⁉︎」

声が聞こえる。年齢はおそらく四十半ば、おばさんと呼ばれてもおかしくない年齢だ。目的さえなければすぐに貴方達がいる黄色い線の中に戻っただろう。そう目的さえなければ。

「ごめんなさい」

未練がない私は喋ることは無駄だとわかっていたが、この心配してくれたおばさんにだけは謝っておこう。私は足を一つまた一つ線路の並べられた崖へ進ませた。二分前に聞こえた入線のアナウンスは何の狂いもなく来た。

「さよなら」

私は落ち

「なぁ!これ見ろよ」

「んっ…?」

昼休みに友達のアスナロ(本名佐々木明日名)が俺にスマホニュースを見せてきた。渋谷駅で17歳の女の子が自殺!よくあるニュースだ。

「急になんだよ。そんなニュース」

「いやさ!なんと自殺した女の子消えたらしいんだよ!線路に飛び降りてさ!電車が走りきっても死体がないんだよ!死体が!」

「な訳ないだろ。マジシャンか」

そう言うと俺はアスナロのスマホを取りニュースを読む。

「いやまじだって!俺の推測では神隠しとかさ!」

「ったく…それより購買行くぞ。腹減ってしゃーねぇんだよ」

俺は席から立ち財布を持つすると扉がガラッと勢いよく開き担任のゴリ松が呼ぶというよりは叫ぶ。

「おい鳩山!悪いんだがちょっといいか?」

「何ゴリ松」

「いやな?誰だかわからんが知らんおっさん達がお前を呼んでてな」

「は?まぁいいや行くわ」

俺はゴリ松(本名忘れた)と校門に行く。すると黒塗りのリムジンにサングラスの黒服集団が待ち構えていた。

「こんにちは鳩山樒様。とりあえず車へ。」

すると黒服の何人かが俺を車へ連れていく。

俺が扉を開けると中はクーラーでひんやりしていた。今日は7月11日夏真っ盛りのこの時期にありがたい温度だった。リムジンは椅子と椅子が向かい合う様になっていて俺の前には俺より1.2歳かは歳上の黒髪ロングがいた。

「こんにちは鳩山さん。お初にお目にかかります」

社交辞令のあいさつだけすると彼女は名刺を渡してきた。天灯楓。

「あの…天灯ってまさか」

「はい。天灯グループです」

天灯グループ。色々なとこに手付けてるお偉いさんだ。総資産は確か…360億…それ以降は覚えてない。

「天灯グループがなんで俺に?」

「あぁすいません。渡したいものがあってここに来ました。こちらをどうぞ」

そう言ってこちらにジュラルミンケースを渡してきた。中には現金と…

「銃…?」

おもちゃの銃だった。エアガンの類。しかも弾も入ってない。

「はい。依頼料300万と武器です。鳩山さんにはこれでこの事件を解決して欲しいのです」

すると先程アスナロが見せてきたニュースを見せた。

「意味がわかりません。第一こんなおもちゃで、一般市民に」

俺は家が除霊師関係でもなければ警察でもない一般市民だ。

「今は一般市民ですが貴方ならこの事件を解決できます。私はそんな人にしか期待しません。それが今回貴方だったということです。とりあえずこの300万でお願いします。できなかったとしても300万は貰って頂いて構いません。私の目が節穴だったということです。それでは。」

そうすると扉が自動で開いた。いや本当は運転手が開けていたのだろうが俺は見れなかった。

「やりませんよそんな依頼。さよなら」

決別の意味も込めて俺は学校へ帰った。

「あ…昼休み終わっちまう!」

途中で急ぎ足で。



鳩山樒が車を出た後ちょっとし、天灯グループ社長令嬢の天灯楓は一人呟いた。

「ジョーカー…私達がその他なら。鳩山さんはきっと」

天灯楓のその目には青い炎が揺らめいていた。


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