身延

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 参拝が終わったら身延へ。バスでロープウェイ乗り場まで行ったら、高低差763mを一気に登る。頂上からの眺めには度肝を抜かれるぞ。ただし、身延線は本数が少ないから時間には気を付けたまえ。


9:32 富士宮

 |JR身延線

10:31 身延

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 身延駅で『青春18きっぷ』に三日目のスタンプを押してもらい、”あいつ”の立てた旅程どおり、9時32分発甲府行きの身延線に乗車した。車内は思いのほか混んでおり、酔客が四人掛けの座席を占め大騒ぎをしている。アルコールとつまみの悪臭が車内に漂う。


 こういう時こそ、コロナ警察が出てこい。そんな風に思うのは、スケジュールどおり予定が進まないことに対する私の苛立ちからだろう。


 予定では身延駅で降りてバスに乗り、停車場からロープウェイ乗り場まで山を登る。そして山頂から絶景が拝めるはずだった。だが、車窓には雨が当たり、絶景など拝めるべくもない。電車に乗っている間に天気が変わるかもと万が一を期待したが、奇跡は起きなかった。それどころか、天気予報アプリでは今日だけでなく明日も雨だ。


 ”あいつ”なら、雨が降ったら降ったで楽しめるプランを即座に思いつくのだろうが、こういう予定外の出来事に私は弱い。だが、雨天の山など論外だということぐらいは私にもわかる。


 あまりにも騒がしい酔客を避けるため、前の車両に移動した。先ほどまでの喧騒が嘘のように静かだが、混んでいることには変わりない。皆、一人客で、窓の外をずっと見ている。いわゆる乗り鉄という人たちなのかもしれない。私は一番物静かそうな女性客が座っているボックスシートを選び、軽く会釈して向かいに座った。


 もうすぐ身延駅だ。どうしよう、別の駅で降りるか? でも、どこで?


 こんな土地勘のない場所で降りても、どうしようもない。下手に降りると本数の少ない身延線では、次の電車まで二時間待ちになる。


 しかたない。終点の甲府駅までこのまま行こう。

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