五日目のきっぷ
身延
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P.S.
おっと! 残った最後の一日はどうするかって?
隣の駅に行ってもいいし、日帰りで遠出するなり、君が行きたいところへ行けばいい。すでに『青春18きっぷ』の達人になっている君には、俺が教えることは何もない。
自由に旅を楽しんでくれ!
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「やっほー!」
子どものように、山の上から叫んだ。私は今、身延山山頂の展望台にいる。『青春18きっぷ』最後の五日目は、”あいつ”の作った旅程で行き損ねた身延に行くことにした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
05:20 東京
|JR東海道本線
07:21 三島
07:29 三島
|JR東海道本線
07:53 富士
08:06 富士
|JR身延線
08:25 富士宮
9:32 富士宮
|JR身延線
10:31 身延
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天気予報で快晴の日を狙い、朝5時20分の東京発の東海道線に乗った。この列車は沼津までの直通列車だ。『青春18きっぷ』ではグリーン券を支払うことで、グリーン車に乗ることができる。特急や新幹線には乗れないが、2時間の旅もグリーン車の車両ならば快適だ。
8時6分発の富士駅発の身延線は西富士宮行きのため、時間待ちを兼ねて富士宮で途中下車して朝の浅間神社を参拝するのにちょうどよかった。今度は富士山もバッチリと鳥居の上の見えた。そして、9時32分発の甲府行きの身延線へ乗って身延駅まで行き、駅からはバスで15分、そしてロープウェイで頂上へ。朝5時に家を出て、すでに昼近い。
でも、どうしても心残りだったから、まるで乗り鉄のようにひと頑張りしてしまった。だけど、来てよかった。こんな景色は生まれてから今まで見たことがない。富士山から甲府盆地まで見渡せる、360度大自然に囲まれた大パノラマだ。
さて、次はどうしよう。甲府に行って、ワインセラー見学をリベンジするか。それとも、熱海に一泊して明日は新幹線で帰るか。
そして、今年の夏はどうしよう。また『青春18きっぷ』で旅をしてもいいし、コロナが明けたら久々に海外に行ってもいい。
まだ、何も決まっていない。だからこそ、楽しい。
でも、いつかまた、ここに戻ってくるよ。今度は、友達か、もしくは、恋人を連れて。”あいつ”が私にこの素晴らしい景色を見せたかったように、私も誰か大切な人ができたら、この景色を見せたいから。焼きもちなんか、やくなよ!
「ありがとう!」
私は大声で叫び、展望台を後にした。そして、次の目的地へと移動した。
―了―
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