島田
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そして、知る人ぞ知る島田へ。一生に一度は、
15:15 掛川
|JR東海道本線
15:34 島田
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島田駅。雰囲気は掛川駅とあまり変わらないが、こちらは新幹線は停まらない。一生に一度は蓬莱橋をお渡りあれか、いったいどんな橋なのだろう。
スマホの地図を見ると歩くと20分以上かかるので、”あいつ”の立てたプランどおり、レンタサイクルを借りるために駅隣の駐輪場へ行く。残念ながら電動アシスト自転車は無かったが、歩くよりかはずっとありがたい。係の人に蓬莱橋への行き方と、蓬莱橋の入り口においしいお茶屋さんがあることを教えてもらった。
駅からはひらすら蓬莱橋に向かって自転車を漕ぐ。普段電動アシストに頼っているため、普通のママチャリだとなかなかに辛い。とくに近くに大井川があるためか風が強く、足への負担が思ったよりも大きい。
駅から10分ほどペダルを漕ぐと、蓬莱橋の駐輪場に着いた。私の他に停めてある自転車は無く、車で来るのが定番のスポットなのだろう。自転車を鍵をかけて停めて川原にでると、蓬莱橋が見えた。
な、長い! 想像以上の大きさだ。ギネスブックに載る世界最長の木造歩道橋で、長い木で長生きの橋、全長897.4メートルの長さも、やくなしで厄無しのごろ合わせと、縁起のよい橋として人気がある。一キロ近いと頭ではわかっていても、眼前に実物を見るとその長さに圧倒される。
でも、橋を渡る前にお茶を飲もう。橋の渡口のところに和風建築の茶屋がある。駐輪場の係員が教えてくれたお店だ。中に入ると、いろいろな土産物をたくさん売っていたが、お目当てのお茶とお菓子のセットを注文した。茶屋の外にあるテラス席で待っていると、店員さんが、お茶の入った急須と、お湯、お茶菓子、湯飲み、タイマーの載ったお盆を運んできてくれた。自分でお湯を入れて飲むとのこと。
早速、お茶の入った急須にお湯を注ぎ、セットしたタイマーが鳴るまで待つ。タイマーがピピピと音を立てたので、急須から湯飲みにお茶を注ぐと、お茶の香りが漂った。湯飲みに口を着けると、ほどよい温度に冷めた飲みやすくなったお茶がのどを潤す。
おいしい。お昼に飲んだお茶も十分美味しかったが、さらにワンランク質が高い。だが、思わず声を上げて喜ぶような刺激的なおいしさでなく、静かに染み渡るような上品なおいしさだ。飲むと心が穏やかになるお茶だ。戦国の戦に明け暮れた武士たちが、こぞってお茶を求めたのもわかるような気がする。
お茶とお茶菓子で一息ついたので、いざ蓬莱橋へ。私は渡り賃を払うと、蓬莱橋を渡り始めた。橋の下には大井川が流れている。落ちたらたいへんだが、高い渓谷に掛けられた橋と違って、不思議と恐怖感は感じない。長い橋はまっすぐ一直線に彼方まで続き、終わりは見えない。橋の終点と思しき場所には、色鮮やかな木が植えられており、まさしく蓬莱へと続くようだ。
一キロ弱はだてじゃない。七、八分ほど歩いてやっと橋の中央だ。さらに同じくらい歩いて橋の終点だ。橋を降りると、山の中の展望台へと続く細道がある。一分ほど歩くと、蓬莱橋を上から見おろす場所に出た。絶好の写真スポットだと地元の人は考えたのだろう。木製の巨大フレームが設置されてあり、親切にもスマホを置くスタンドまで設置されていた。セルフタイマーをセットすれば、蓬莱橋をバックに木のフレームで縁取られた自撮りが完成だ。そして、いかにも観光スポットという感じの”愛和の鐘と長寿の鐘はこちら”の看板に従って、二つの鐘を順番に鳴らし、私は蓬莱から現世へと橋を渡って戻った。
せっかく借りたレンタサイクルなので、まっすぐに来た道を戻るのではなく、大井川を遡って、駅の周りを一周するようにして帰路を選ぶ。駐輪場で教えてもらった大井神社にも寄った。平安時代に建てられた島田で一番古い神社だそうだ。片足で立って踊る奴の像が面白い。水の神の
駆け足(というか駆け自転車?)で島田を廻り、レンタサイクルを返却して私は次の目的地へと移動した。
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