先輩に振られた俺。でも、その後、いとこと幼馴染が婚約して結婚したい、という想いを一生懸命伝えてくる。俺を振った先輩が付き合ってほしいと言ってきても、間に合わない。恋、デレデレ、甘々でラブラブな青春。
第14話 なんで振ってしまったんだろう (のずのサイド)
第14話 なんで振ってしまったんだろう (のずのサイド)
今日は、始業式だったが、気分はいいとはいえない。
それどころか、春休みの間よりも、つらい気持ちになっていると言っていい。
イケメンの彼に振られて傷ついた状態が続き、海春くんを振ったことに、なんでそんなことをしたんだろうと悩み始めていたわたし。
学校から帰ろうとした時、海春くんに会った。
ただ会っただけだったら、こんなにつらい気持ちにはならなかっただろう。
彼は、女の子と一緒に歩いていた、
それはもちろん学校だから、男の子と女の子と一緒に歩くこともあるだろう。
しかし、海春くんは奥手だと聞いていたし、何といってもわたし一筋だと思っていた。だから、他の女の子と一緒に歩くことはありえないだろうと思っていた。
それが今日……。
ただ一緒に歩いていただけじゃなくて、その相手の女の子は,海春くんの婚約者を名乗っていた。
わたしは、「婚約」という言葉を聞いた途端、倒れそうになってしまった。
わたしがせっかく海春くんと付き合いたいと思っていると思っているというのに、一足飛びに婚約してしまうだなんて……。
その後、まだ正式には婚約していないと聞いたので、わたしはホッとした。
少なくとも、今の海春くんには恋人はいない。
ということはわたしにもチャンスはある。
でも二人は親しいことには違いがない。
彼女の方は、婚約者を名乗るぐらいだから、彼のことが大好きなんだろう。彼の方はまだそこまで好きではないようだけど、彼女がアプローチを続けていたら、そのうち彼女に心が傾いてしまうかもしれない。
そうならないうちに、わたしの方に心を傾いてほしいんだけど……。
それには、わたしからアプローチした方がいいのかな。
いや、まだまだわたしが好きなことには変わりはないはず。わたしから進んでアプローチするべきではないわ。
わたしにもプライドというものがあるんだから。
そう思って、彼からのアプローチを待つ。
しかし……。
彼はわたしに対し、「好きです」とも「付き合ってください」とも言わないまま、女の子と一緒に帰ってしまった。
そ、そんなことって……。
わたしはただ呆然自失。しばらくそのまま動けなかった。
海春くんは、わたしのこと好きじゃなかったの……。どうして、どうして、魅力ならわたしの方があるはずなのに……。
今日の対応は、わたしのことを普通の先輩としてしか扱っていないように思える。
告白を断った相手なので、想いを改めて伝えるのが恥ずかしいのだろうか。
そう思いたい、思いたいが……。
心は一緒にいた女の子に移り始めている。
あれだけ熱意を込めて告白してきた人が、わたしから心を離そうとしている。
きっと彼女は、彼のことを一途に想ってきたのだろう。そしてその想いは強い。
それに比べてわたしはなんと情けないことだろうか。
最初から海春くんを選んでいれば、今日一緒に帰っていたのはわたしだった。
それどころか、十一月から付き合っていれば、今頃はラブラブな状態になっていたと思う。
いや、それは無理でも、少なくとも彼女のライバルにはなっていたかもしれない。
今のわたしは、彼女のライバルにもなれない哀れな女の子。
それは、自分の方から告白して振られたのであれば、まだ救いはあるのかもしれない。
しかし、わたしは海春くんのことを振ってしまった。それなのに、こうして彼の好意を待つということをしている。
一途な彼女とは大違いだ。
こんなわたしだけど、今日思ったことがある。
海春くんが好きだということだ。
でも今のわたしは、それをいう資格はないだろう。それだけ彼にはひどいことを言ってしまった。彼も傷ついていると思う。
それでもわたしは海春くんに付き合ってほしいという気持ちが強くなっている。
しかし、もう時期的に間に合わないのかもしれない。
そう思うと、涙が目からあふれてくる。
間に合わないとは思いたくない。しかし、海春くんの意識は、わたしに告白した十一月の時点まで戻ってくれるのであろうか。
戻ってくれれば、わたしと彼は。そのまま恋人になれるに違いない。
そんなことはあるのだろうか。
今の状況ではまず無理だろう。それどころか、わたしのもとから心はどんどん離れている気さえする。
あの女の子が海春くんの心の支えになっているところもあると思う。
しかし、いくら時期が遅くなっていっているとは言っても、ここであきらめるわけにはいかない。
まだわたしの中で、告白を断った相手にアプローチをすることに対して、プライドが許さないと思っているところも大きい。そして、イケメンの彼に対する想いは、薄くなってきてはいるけれども、まだなくなったわけではない。
しかし、海春くんと付き合おうと思ったら、そういうものを、いつまでも持っていてはいけないと思う。
もう海春くんのことのみ想うべきだろう。
それがわたしにできるだろうか。できなければ、いつまでも彼とはつきあえないだろう。
とにかく海春くんと付き合いたい。
わたしの心は、その想いを強くしていた。
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