30日目(5/13)私が俗に言う天才です
5月13日。13日の金曜日。今日も激しい雨模様。
今日はもりもりもりだくさんモーリーファンタジーな日だった。朝から教習所へ向かい、午前中は2時間の技能教習(みきわめ)。ここでお墨付きをもらうと、次は技能検定。それに受かれば今度は学科試験。そんな具合。
今日も今日とて雨で視界が悪い。午前中から2時間連続での乗車。最初の時間、S字で脱輪したり、クランクでぶつかりそうになったりと、今までにしたことのないヘマをして、幸先の悪いスタートを切った。
「確認してから寄せる前にハンドルが動いちゃってる」「一時停止で止まる時間が短い」「左折の確認が甘い」「今ウィンカー出してなかったね」「今中央に寄りすぎてたね」「今度は左に寄りすぎ」「徐行場所だよ、気を付けて」「慎重になりすぎて判断が遅れてる」
コースを回るたびにアドバイスが増え、そのたびに意識することが増えていく。不安と緊張にさらに混乱が重なる。マルチタスク苦手民にはつらい。それでも終了時間までにはなんとか改善しつつ運転することができ、無事にみきわめが終了。
お昼休みを挟んで、次が技能検定である。お昼ご飯を食べようと弁当のケースをのぞいたら箸がはいっていない。おにぎりだけを黙々と食べていたら母から「ごめん!お箸入れるの忘れてた!」とLINEが来た。
弁当は毎回母が作っている。最初は負担じゃないかとドキドキしていたが、「お弁当の必要な時期(高校生くらい?)に弁当ひとつ作ってあげられなかったから、実はちょっとお弁当が作れるのはうれしい」と告白されて以来、安心して甘えている。
そんな愛母弁当を食べられず、これまた幸先が悪い。
とりあえず気持ちを落ち着かせるために一服して、その後は学科の勉強。とはいえ、技能検定で受からなければ元も子もない。しかし今から技能のためにできることなどない。淡々と問題をやって気を紛らわせる。ペーパーテストは得意だし大丈夫。大丈夫……。ううん。と途中で嫌になって音楽を聴いてみたり。
そして来たる技能検定である。すれ違った先生(若い男性)からは「ゆきこさんなら仮免余裕っしょ~」となんとも軽い感じで言われた。「天才ロック」と「うっせえわ」を聞いてとりあえず自分を鼓舞する。公務員試験の前とか、面接の前とかは、「とにかく私は天才だ」という自己暗示をかけることで挑んできた(結果は勝敗が半々くらいだが)。特に就職の面接の前に聴く「うっせえわ」はなかなか格別なものがあった。
自分を奮い立たせ、気合十分。が、待ち合わせ場所で担当の先生と合流した所で問題発生。
眼鏡を待合室に置いてきていた。
走って取りに戻り、「すみません」とへこへこ頭を下げる。「大丈夫だよ~」と教官はあくまで優しかったが、とりあえず出鼻を挫かれた感は否めない。
そして乗車。隣にはいつもより真剣モードの教官。後ろには見知らぬ教習生(乗る直前に「頑張ってください!」と言ってくれた。きれいな女の人だった)。
ぎくしゃくと座席を調節し、水滴のついてしまった眼鏡を拭き、ベルトを締め、ミラーを調節し、準備が整う。「では、始めてください」と言われ、ついに試験開始。
こんな日に限って眼鏡がやたら曇るし、外は横殴りの大雨である。視界が悪いことこの上ない。そしてスピードを出すのがいつも以上に怖くて、やたらぎくしゃくした運転になるし、確認が過剰になるし。
検定の途中は緊張しすぎて記憶が曖昧。とりあえず教官に「緊張感のある運転でしたね」と言われるくらいには緊張していたっぽい。
一度巻き込み確認を忘れていたくらいで、大きなミスはさほどなかった様子。「結果は校長からじきじきに知らせるんで」と言われ、ドキドキしながら待合室で待つこと数分。
明らかに他の先生と服装の違う人が、こちらをちょいちょいっと手招いた。
近づいてみると、OKサインと共ににっこりされる。
受かった。
受かった……!!
前世では3回目でやっと受かったのに……!!
これで学科試験の勉強が無駄にならずに済んだ。必死こいて一夜漬けした甲斐があったってもんだ。受かった途端緊張がもろに体に出、なんだか心なしか震えが止まらなくなる。とりあえず煙草吸って落ち着く。それから、喜びを噛みしめつつ、音楽を聴いてノリノリになりながら勉強をした。
youtubeの見過ぎで充電が残り5%を切った頃、ようやく学科試験の時間が来た。電源を切ってくださいと言われ、スマホは今日はもうお役御免になる。
テストはたいして問題なかった。ペーパーテストだけで生き残ってきたタイプである。30分の試験時間のうち、問題は10分もかからず解き終わり、残りは4回くらい見直しをしたり、マークシートで塗り方の気に入らないところを塗りなおしたりしていた。
結果。
合格!!
仮免ゲット!!!!やった!!!!!
(ちなみにスマホの電源は切りっぱなしにしていたので、母からは「学科受かった連絡がないけど落ちたのか……?」と心配されていたらしい)
やっぱりゆきこは天才なのである。ふふん。みなぎる才能が眩しすぎて申し訳ない。へへん。
P.S.今日の晩御飯は、おじさんが釣ってきたウツボのから揚げでした。ウツボってけっこうおいしいんですね。身がふわふわで皮のあたりがモチモチしてたよ。
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