土地に住むもの

アモア

第1話 土地に住むもの

僕はちょこっと見える人


母のほうが見える系譜なので薄っすら継いだのかもしれません

兄弟はしっかり見えるらしいので注意喚起はされるレベル

僕としては見えないけれど不快感として感じる


危ない感じは大人となった今では無意識に避けることができる

これらは土地に住んでいるので注意すれば避けれる

土地が変わるタイミングは「引っ越し」

引っ越しは今の場所から別の場所への移動として

土地に住む者は移り住むことが多々あることは知られていない


この引っ越しで一つエピソードがある

仲の良い先輩の引っ越し手伝いに行った。

無計画な先輩なので恐かったけど

案の定朝一番に家に行ったら段ボールがぺちゃんこ状態

不思議と人がいない。え!まさかと思ったら

「笑顔でうん二人だよ、がんばろう!業者は呼んでるけどね」

うん、わかってた。早速箱詰め作業開始

片っ端から箱に詰めめしていき、2時間後くらいに業者到着

引っ越し先は割と近いので新居と行ったり来たりの繰り返し

独身にしてはモノがべらぼうに多い

20箱を超えてからは覚えていない

先輩は新居で配置指示でおうちは自分と業者一人だけ

箱を出し切ってベットをバラシているときに

突如違和感に襲われ、全身に鳥肌が駆け抜けた。

引っ越しのバイトくんも同じく違和感を感じていた

おうちに残るはベットやテレビくらい

何もないのでバイト君と一周したけど理由はわからなかった

「鉄板のお風呂や洗面所、リビング、トイレ 何もない」

気味悪いので音楽をかけてベットバラシを再開した。


バラシ終えてやることがなくなり

先輩に電話

「終わりましたけど人送ってください」

『了解、新居来て箱開けて代わりにそっち行くから入れ替わろう』

「はーい 向かいますね」

電話が終わり先輩の到着を待って新居へ向かう

新居は徒歩5分くらい先にあるマンションの一室

マンション正面には川が流れ桜が満開できれいなところだった。


「さっきの違和感の正体はわからないけれど前の家だし新居なら大丈夫だろう」と思って特に違和感も気にしないでおいた。

箱の開梱していると先輩は彼女を連れて帰ってきた。

引っ越し作業はあらかた終わったので

先輩は業者を連れて前の家に最終確認しに行った。

このタイミングで彼女さんに違和感を言ってみた。

〈そうでしょ!あの家気持ち悪いんだよ。わかったんだ!〉

〈原因はよくわからないけど長時間居たくないから引っ越ししてもらったんだよ〉

話始めると直ぐに先輩が返ってきた。

『面白い写真取れたから見てみ』


結果からいうと写真は見た瞬間消してもらいました。

「写真はブレたり光の入り方で変わるので一概には言えないけれどこの写真は異常であることは間違いないのですぐに消してください」

※前の家で何もなくなった場所で寝転んで大の字になって引っ越し完了!!という場面を写真でパシャと一枚 両足が天井に刺さって頭が3倍くらい大きくなって 手がないという最悪の写真


先輩が帰宅したタイミングでテレビが消えて音楽も消えた

ちょうど話をしていたので先輩を外にたたき出して最低減の塩を撒いた

そっち系を全く信じない先輩なので説得が大変だった。


数週間後に新居で引っ越しパーティーが開催され

気に病むのも嫌なので一応家族に話して最低限塩やお札をもって向かった

マンションにはいると「至って普通、普通だ」聞いてみると

『しつこいからお祓いに行ってきたよ』

『気分的なものでしょ、でも体が軽くなったからよかったよ』

〈でも足けがしたんだよ、火傷〉

〈私も足けがしたんだ、踵の肉がえぐれて出血〉

〈ケガしてから速攻でお祓い行ったよ〉


やっぱり前のおうちから連れてきてしまったのかもしれません


見えないものは土地に住む




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