春はたけのこ
爛夢瀧
春はたけのこ
春はたけのこ。ようよう突き出たる箱庭、少し邪魔にて、剥きたる皮の高く積み上げられたる。
夏は、西瓜。花火のころはさらなり、食むもなほ、種の多く飛びちがひたる。また、ただ左右など、目隠して打ち割りに行くもをかし。芽など出でたるもをかし。
秋は、焼き芋。夕日のさして焚火の光いと近うなりたるに、人の胃袋へ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど堀り急ぐさへあはれなり。まいて焼芋カーに積まれたるが、いとすぐに止めらるるは、いとをかし。芋食べ果てて、皿の音、尻の音など、はた言ふべきにあらず。
冬はだいこん。切り干したるは言ふべきにもあらず、深く漬けたるも、またさらでもいと寒きに、茶など急ぎおこして、コタツでつまむも、いとつきづきし。風邪になりて、はちみつにつければ、みずみずしさも、しなびがちになりてわろし。
春はたけのこ 爛夢瀧 @yumemidareru
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